noaaaa様、赤い柿様、second4869様、☆9評価ありがとうございます
クルスマ様、noaaaa様、感想ありがとうございます
お気に入り登録してくれた皆さん本当にありがとうございます
間に合った
まじでよかった
やっと原作キャラが出てきます
ここからはどんどん原作キャラを出していきたいです
ちなみに作者は第七王子で彼が一番好きです
旅に出て3ヶ月が経った。
ノヴァはいろいろなところに寄り道しながらサルーム王国を目指していた。
たくさんのものを見た。
空飛ぶ犬
魔物たちがうじゃうじゃいるダンジョン
ゲームで見たようなドラゴン
星の形をした果物
気という謎の技術を扱う人
漫画の世界にあるような空想のものばかりで、見ているだけで楽しかった。
何より、現在進行形で夢を叶えているというのがノヴァにとっては幸せだった。
「次はどこに行こうかな」
そう呟きながらノヴァはまた歩き出す。
まだ自分が見たことない【面白い】何かを見るために。
◆◆◆◆
そんな自由気ままな旅人ライフを送っていたノヴァはある運命的な出会いをする。
その日ノヴァは森の中を歩いていた。
鳥のさえずりや川のせせらぎを聞き癒されているところに
否、
「ん?」
「うわっ」
ヴンッという音と共に空中に黒い斑点が円を描き、その中心には青年がいた。
高身長で、腰まで届く長さで癖っ毛の黒い長髪、手首には金色の腕輪を左右3つずつはめていた。
青年はどさっと音をたててノヴァの目の前に落ちてきた。
「いててて……うわっまた移動しちゃった。ここはどこだろう……ん?」
「お前……どっからきた?」
いきなり目の前に人が現れて脳がフリーズしてしまうノヴァ。
旅に出てから今までたくさんの人を見てきたが、いきなり現れる人は初めて見た。
男は立ち上がってズボンについた砂をはらうと自己紹介を始めた。
「僕の名前はジェイド。君の名前は?」
「ノヴァ・レイヴンだ」
「ノヴァか……いい名前だね」
よろしく、といいながら手を出してきたので、こちらも出し握手をする。
なんかいい奴っぽいな、と考えているとジェイドが何か思い出したかのようにハッして聞いてくる。
「そうだ、いきなりで悪いんだけどサルーム王国の行き方を知らないかい?」
「あぁ、知ってる。ていうか、俺の行こうとしてるのがサルームだ」
「本当かい‼よかった。できれば行き方を教えてほしいんだけど……」
「いいぜ、俺も話せる奴が欲しかったんだ」
「ありがとう。ほんっとにありがとう」
ジェイドはそう言いながら再度ノヴァの右手を両手でつかむと、何度も激しく上下に振ってきた。
少し痛かったがジェイドは善意でやってるので彼が満足するまで待った。
「それじゃ改めてよろしくねノヴァ」
「おう、よろしくジェイド」
二人はそう言うと、並んで歩き始めた。
歩いている間、ジェイドはずっと喋りかけてきた。
森がちょっとだけうるさくなり、鳥のさえずりや川のせせらぎに混じってジェイドの声が森に響いていた。
◆◆◆◆
森の中を歩いて半日が立った時、日が暮れて辺りが暗闇になった。
さすがにこれ以上歩くのは危ないと二人は森の中で野宿をした。
いつもは焚火を見ながらゆったりしているが、今日はジェイドがいるので二人で話していた。
そして昼間、ジェイドがいきなり現れたことを思い出してジェイドに聞いてみた。
「ジェイド、一ついいか聞いていいか?」
「なんだい?」
「昼間のことなんだけど……お前、どうやってあそこに現れたんだ?」
「あぁ、そのことね。実は僕ノロワレなんだ」
「ノロワレって確か……」
ノロワレ
この世界には稀に生まれて持って魔力の性質が特異な者がいる。
彼らの中にはその力をコントロールできず命を落としてしまう者もいる。
特に周囲に害をなす力を持った者達をノロワレと呼ぶ。
昔、本で存在を知ってはいたが実際に見るのは初めてだった。
そして、何もないところから急に現れて来たということはジェイドの能力は……
「瞬間転移か?お前のノロワレ」
「‼」
自分のノロワレの能力を当てられて思わず驚いてしまうジェイド
少し黙ったあと意を決したように口を開いた。
「……そう、僕は瞬間転移の能力を持つ『神隠しのノロワレ』だ」
(おいおいまじかよ……)
瞬間転移
それは空間系統魔術に分類されるもの
歴代の魔術師たちがこぞって研究しているが未だ実現していない能力
ただでさえ難解な空間系統魔術の中でもトップレベルに難しい魔術
そんな能力をもつジェイドは持っていた。
「僕のこの能力はいつ起こるのか、どこに行くかもわからない。しかも、元いた場所には戻れない、そんな能力なんだ」
「………最悪だな」
「うん、そうだね」
「けど、お前のその能力はすげーよ」
「え?」
ジェイドは予想外の言葉に思わず声が出てしまった。
今までそんな言葉をかけてくれる人なんていなかったから。
「いいか、瞬間転移は長い歴史を持つ魔術の中で誰も解明できてない能力だ。そんな能力を持ってるお前はまじですげーんだ」
「………」
「もしお前の能力を解析できたらそれは、人類にとってすげー進歩になるんだぜ」
「………」
「それにお前はそんな能力持ってるのに前向きになれるなんてすげーよ。俺なら神様を一生恨むね」
「だから自信持て。お前はすげー奴だよ」
「……そっか」
ノヴァの言葉を聞いたジェイドは少しだけ涙目になっていた。
これまでの人生はいいことばかりではなかった。
いつもどこかに転移してしまうという不便な能力を持って生きていた。
さらにノロワレというだけで、周りからの視線は痛く、賞金までかけられてしまった。
そんな人生を狂わせ力を人のためになると、自分のこともすごい奴だと言ってくれた。
自分がノロワレだと知っても差別をせずに接してくれたことが
それが何より嬉しくて、つい涙が出てしまった。
「ありがとうノヴァ。少しだけこの力が好きになれたよ」
「俺はただ事実を言っただけだよ。ま、お前の励みになったらいいけどな」
それからは無言の時間が続いた。
焚火のパチパチという音だけが響いた。
お互い気まずくはなかった。むしろ心地よく感じていた。
しばらくしてもう遅いから寝るぞ、と言いノヴァが焚火を消す。
辺りが一気に暗くなり寝る支度を始める。
「おやすみジェイド」
「おやすみノヴァ」
お互いの毛布に身を包んで寝始める。
その日、ジェイドは久しぶりに安眠できた。
◆◆◆◆
次の日からジェイドとの旅が始まった。
二人でいろいろなところに行った。
一人旅も楽しかったが話せる誰かがいるというのはノヴァにとって楽しいことだった。
一緒に過ごしているうちに二人は打ち解けていった。
他人には話せないようなことも話していた。
「え?お前貴族なの」
「うん。僕の本当の名前はジェイド・ロードスト。ロードスト領の三男なんだ」
「へぇー」
「あれ?なんか反応薄くない?」
「いや、まぁ、確かに驚いたけど別にお前がどこ出世とか関係ないし」
「そ、そっか」
自分の中では重大発表だったことがさりげなく流されてしまい、少しだけ肩透かしをくらったジェイドだった。
「じゃあ今からそのロードストに帰んのか?」
「いや、今は訳あってロードストに住んでいない」
「は?じゃあお前どこに住んでんだよ」
そう聞くと少しだけ気まずい顔をしながら口を開いた
「げ、下水道」
「は?」
まさかの回答にミームのような反応をしてしまった。
いったいなぜ貴族の坊ちゃんがそんなところに住んでいるのか聞けば、彼の夢と関係あるらしい
ロードストは戦好きの戦闘貴族でジェイドの親兄弟は日々戦を目論むようなヤバい連中らしい。
だが、ジェイドは兄とは違い、戦いが嫌いでいつも親兄弟を止めようしていた。
しかし、一人では止められない。そこで仲間を集めに町に出て、現在3人の仲間たちと暗殺者ギルドというチームをつくり、依頼をこなしているらしい。
「ただ全員ノロワレだから手配書もあるし、全然依頼が来ないんだよね」
「お前……苦労してんだな」
「確かに大変だけど、苦ではないよ。僕には頼りになる仲間がいるしね。それに夢もできたんだ、僕はロードストをノロワレが笑って暮らせるような場所にしたいんだ」
「……そりゃでっかい夢だな」
「いいでしょ」
そういう顔は心底嬉しそうで、本気でその夢を目指しているというのがわかった。
「そういうノヴァはどうなの?夢とかないの?」
「俺の夢?俺は……」
そう言って空を見上げるとそこには鳥が自由に飛んでいた。
「この世界を自由に生きたい。俺の見たことない面白いものを全部見たい」
「いい夢だね」
「そうか?お前の夢に比べたら立派なもんでもないだろ」
「そんなことないよ。僕のと同じくらいでかくていい夢だ」
「そうかよ」
「うん」
そんなふうに笑いあって夢を話せるほどの信頼を結ぶことができた。
二人はいつの間にか親友と呼べるほどの濃い関係にもなっていた。
そして、二人があって二週間がたったころ二人はとうとうサルームについた。
◆◆◆◆
サルーム王国の国境に入って少し歩いたところにある町に入ってすぐにジェイドが立ち止まった。
「ごめん、ここでお別れだ」
「……そうか」
別れの時が来た。
もともとそういう関係であった。
ノヴァがたまたまサルームに行こうとしていて、ジェイドはそれに同行しただけ。
「二週間か。長いようで短かかったな」
「うん、そうだね」
「お前と過ごした時間はすげー楽しかったよ」
「僕もだよ。もしまた会えた時は旅の話を聞かせてよ」
「あぁ、約束だ」
「うん」
そう言って熱い握手を交わす。
お互い手が痛くなるほどに力をこめて。
「
「うん‼またね」
今生の別れではない。またいつかどこかで会う。
そんな約束を胸に別れようとした。
しかし、ジェイドは去りゆくノヴァの後ろ姿を見て思わず声をかけてしまう。
「ね、ねぇ‼」
「?」
「なか……」
そこまで言って声がでなくなってしまった。
仲間になってくれないか、と言おうとした。
しかし、言えなかった。
この二週間は本当に楽しくて、ノヴァが仲間になってくれたらとても楽しいだろうと、みんなともすぐに仲良くなってくれるだろうと、そんなことを考えるようになった。
だが、もしここで止めてしまったら、きっと彼の夢の邪魔をしてしまう。自由に生きるという夢を。
それはノヴァにとって幸せなことではない。それは嫌だった。
ノヴァは自分の絵空事のような夢を否定せずに応援してくれた。なら、自分もノヴァの夢を応援したい。
だから言えなかった。言いたいことを嚙み殺して前を向く。
「………次会えたら仲間に紹介させてくれ」
「あぁ、俺も楽しみにしてる」
じゃあな、と言って歩いていく背中をジェイドは見えなくなるまで見続けた。
見えなくなると自分も歩き出す。待っている仲間のために。
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