男女比100対1で男が多いとかマジ終わってる   作:ののじん

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52話 意見箱の中身

 誕生日から二日後の放課後。

 

 生徒会室へ入ると、長机の中央に小さな紙の束がいくつも並べられていた。

 

「ずいぶん多いですね」

 

 自分の席へ鞄を置きながら尋ねると、紙の端をそろえていた真壁先輩が顔を上げた。

 

「期末試験や林間学校があって、しばらく確認できてなかったからな。今日の昼休みに石倉と回収した」

 

「内容ごとの仕分けは、真壁先輩に教えてもらいながら僕が手伝いました」

 

 真壁先輩の隣に座る石倉君が、机に並んだ束へ目を向ける。

 

「食堂や購買、校内設備、部活動関係で、大まかに分けてあります」

 

「ほとんど石倉がやった。俺は確認しただけだ」

 

「いえ、最初に分け方を教えてもらわなかったら、もっと時間がかかってましたよ」

 

 石倉君がそう答えると、真壁先輩は棒付きキャンディを咥えたまま小さく頷いた。

 

 指導役として、きちんと仕事を教えているらしい。

 

 全部で何十枚あるのだろう。

 

 備え付けの意見用紙だけでなく、ノートから切り取った紙や、きれいに折り畳まれた便箋まで交じっている。

 

「意見用紙じゃないものもありますね」

 

「それは、たぶん意見じゃないね」

 

 向かいに座っていた如月先輩が、意味ありげに笑った。

 

「まだ中身を確認していないだろう」

 

 天ヶ瀬先輩が書類から顔を上げる。

 

「でも、表に宛名が書いてあるよ。ほら、『榊琴姫先輩へ』って」

 

 如月先輩が、淡い色の便箋を一枚持ち上げた。

 

「あら、私に?」

 

 榊先輩は驚いた様子もなく、楽しそうに便箋を受け取った。

 

「意見箱を個人用の郵便受けにするのは、さすがにどうなんだろうね」

 

 如月先輩が苦笑すると、榊先輩は便箋を指先でもてあそびながら微笑んだ。

 

「本人へ直接渡す勇気がなかったのでしょう。かわいらしいじゃない」

 

「まあ、気持ちは分からなくもないけどね」

 

「榊先輩って、やっぱり人気者なんですね」

 

 石倉君が、榊先輩の手にある便箋を見ながら感心したように言った。

 

「今さら気づいたのか、君は」

 

 隣に座る鷹取君が、少し呆れたように息を吐く。

 

「この学園で生活していれば、女子の中で誰が人気なのかくらい、自然と耳に入ってくるだろう」

 

「噂は聞いてたよ。ただ、こうして実際に手紙が入ってるのを見ると、本当に人気なんだなって思っただけで」

 

「なるほど。そういう意味なら分からなくもない」

 

 鷹取君はあっさりと納得したように頷いた。

 

「あら。二人とも、私の噂をしているの?」

 

 榊先輩が楽しそうに尋ねると、石倉君の背筋がわずかに伸びた。

 

「い、いえ。榊先輩は人気があるっていう話です」

 

「そう。ありがとう」

 

 榊先輩がにこりと微笑む。

 

 石倉君は少し気まずそうに視線をそらしたが、鷹取君は特に慌てた様子を見せなかった。

 

「人気があるのは事実ですから」

 

 鷹取君はそう言い切ったあと、机の上に並べられた意見書へ目を落とした。

 

「……すみません。余計な話を続けてしまいました」

 

「まだ始めてないから、大丈夫だよ」

 

 如月先輩が笑いながら答える。

 

 天ヶ瀬先輩が室内を見回し、全員が席に着いていることを確認する。

 

「全員そろったな。始めよう」

 

 そう言ってから、真壁先輩へ視線を向けた。

 

「真壁、進行を頼む」

 

「分かりました、ボス」

 

 真壁先輩は棒付きキャンディを口から外し、包み紙の上へ置いた。

 

 それから、内容ごとに分けられた紙の束を手元へ引き寄せる。

 

「今日は意見箱の中身を確認します。似た内容は石倉とまとめてあります。すぐに対応できるもの、先生や担当者への相談が必要なもの、実現が難しいものに分けます」

 

「全部で何枚あったの?」

 

 如月先輩が尋ねる。

 

「個人的な手紙を除いて、42枚です、姉御」

 

「結構入ってたんだね」

 

「しばらく回収してませんでしたから。同じ内容も多いです」

 

 真壁先輩は一番上の束を石倉君へ渡した。

 

「まずは購買と食堂に関する意見だ。石倉、頼む」

 

「はい」

 

 石倉君が一枚目の意見書を開く。

 

「購買で販売するパンの種類を増やしてほしい、という要望です。似た内容の意見が三枚あります」

 

 続けて、二枚目へ目を移す。

 

「人気のパンは、昼休みが始まってすぐに売り切れてしまうそうです」

 

「種類を増やすことと、売り切れる商品を増やすことは別ではありませんか」

 

 鷹取君が口を開いた。

 

「まずは人気商品の数を増やす方が先だと思います」

 

「新しい種類を入れてもぉ、売れ残ってしまったら購買の負担になりますからねぇ」

 

 桜庭先輩が、やわらかな口調で続ける。

 

「でも、ずっと同じ商品だけなのも寂しくない?」

 

 如月先輩が言う。

 

「月ごとに一種類だけ試しに販売してみるのはどうかな。人気があったら、そのまま残してもらえばいいし」

 

「それならぁ、一度にたくさん仕入れる必要もありませんねぇ」

 

 桜庭先輩がゆっくりと頷いた。

 

「人気商品の数を増やせるか確認する。それと、新商品の試験販売が可能か、購買の担当者へ相談しよう」

 

 天ヶ瀬先輩の結論を、俺は手元の記録用紙へ書き留めた。

 

「石倉、次だ」

 

「はい。具体的な商品名が書かれた意見もあります」

 

 石倉君が次の紙を持ち上げる。

 

「購買に焼き味噌チーズバーガーを置いてほしいそうです」

 

「そうなんだ。私、普段は購買に行かないから知らなかったよ」

 

 如月先輩が少し意外そうに言う。

 

 焼き味噌チーズバーガー。

 

 なんだ、それ。

 

 名前から味噌とチーズを使っていることは分かるが、前世では聞いたことがない。

 

「それって、どんなものなんですか?」

 

 俺が尋ねると、石倉君が意外そうにこちらを見た。

 

「槻山君、知らないの?」

 

「初めて聞いた」

 

「味噌だれを塗って焼いた鶏肉と、チーズを一緒に挟んだバーガーだよ。駅の売店とかでも普通に売ってるけど」

 

「そうなんだ」

 

 味噌とチーズなら相性は悪くない。

 

 鶏肉なら味噌の濃さにも負けないだろうし、焼いた香ばしさも加わる。

 

 聞いているうちに、一度食べてみたくなってきた。

 

 大輔に話したら、あいつも喜びそうだな。

 

「焼き味噌チーズバーガーなら、置いてほしいな」

 

 真壁先輩が、意見書へ目を落としながら言った。

 

「真壁君、好きなの?」

 

「はい、姉御。駅前で見かけたら買ってます」

 

「甘いもの以外も食べるのね」

 

 榊先輩が面白そうに笑う。

 

「甘いものしか食べないわけではありません、お嬢」

 

 真壁先輩は淡々と答えると、意見書へ印を付けた。

 

「知ってる人が買いたいと思う商品なら、候補に入れてもよさそうだね」

 

「これも試験販売が可能か、購買へ確認します」

 

 真壁先輩は意見書を相談が必要な束へ移した。

 

「石倉、次を頼む」

 

「はい」

 

 石倉君が新しい意見書を開いた。

 

「食堂の期間限定メニューの種類を増やしてほしい、という意見です」

 

 現在は同じ料理が何度も繰り返されているため、もっといろいろな料理を出してほしい、と書かれている。

 

「新しいメニューを増やすとなるとぉ、仕入れや調理手順の確認も必要になりますねぇ」

 

 桜庭先輩が意見書を見ながら言う。

 

「一度に増やす必要はないだろう」

 

 真壁先輩が腕を組む。

 

「季節ごとに一つずつ、新しい料理を加えるくらいならどうだ?」

 

「それなら、食堂側の負担も抑えられそうですぅ」

 

「今あるメニューと入れ替えながら、少しずつ増やせばいいかもね」

 

 如月先輩も頷いた。

 

「食堂側へ提案しよう。採用する料理については、調理を担当する者に任せる」

 

 天ヶ瀬先輩の言葉を受け、真壁先輩が意見書を相談が必要な束へ移した。

 

「石倉、続けろ」

 

「はい。次は、食堂の事前予約をできるようにしてほしい、という要望です」

 

 朝のうちに食券を購入し、昼休みに料理を受け取れるようにしてほしいと書かれている。

 

「予約したのに取りに来ない生徒も出るんじゃない?」

 

 如月先輩が首を傾げる。

 

「食券を先に購入するなら、代金は支払われているわ」

 

 榊先輩が手元の便箋を畳みながら言った。

 

「食堂側が損をするわけではないでしょうけれど、料理が余る可能性はあるわね」

 

「受け取り時間を過ぎたら、通常販売へ回せばいいのではありませんか」

 

 鷹取君が提案する。

 

「予約した生徒には、時間を過ぎた場合は返金しないと、最初から伝えておけばいいでしょう」

 

「それならぁ、受け取られないまま料理を捨てることも減らせそうですねぇ」

 

 桜庭先輩が頷いた。

 

「全部のメニューで始めるのは大変そうだけど、期間限定メニューだけなら試せるかもしれないね」

 

 如月先輩が言う。

 

「食堂側で対応できるか確認しよう。すぐに導入を決めることはできない」

 

 天ヶ瀬先輩の言葉に、全員が頷いた。

 

「次だ」

 

 真壁先輩に促され、石倉君が別の意見書を開く。

 

「校内に電子レンジを置いてほしい、という意見です。食堂か購買の近くへの設置を希望しています」

 

「同じ意見は何枚ある?」

 

「三枚です。持参した弁当や、購買で買った商品を温めたいと書かれています」

 

 真壁先輩は小さく頷いてから、石倉君へ目を向けた。

 

「石倉は欲しいか?」

 

「僕は欲しいです。購買で買ったカレーパンとか、温めたらおいしそうなので」

 

「それは少し分かるかも」

 

 如月先輩が頷いた。

 

「ただ、実際に利用する生徒は、そこまで多くないと思います」

 

 鷹取君が口を開く。

 

「食堂を利用する生徒には必要ありませんし、手作り弁当も容器が電子レンジに対応していなければ温められません。コンビニ弁当を持ってくる生徒も少数でしょう」

 

「購買のパンを温めたい生徒が中心になりそうだね」

 

「ええ。ですから、最初は一台あれば十分だと思います。利用者が多ければ、その時点で増設を検討すればいいでしょう」

 

「そうですねぇ。最初から二台置いて、ほとんど使われなかったらもったいないですからぁ」

 

 桜庭先輩がゆっくりと頷いた。

 

「ただぁ、置くだけというわけにはいきませんねぇ。電気代もかかりますしぃ、清掃や故障したときの対応も必要ですぅ」

 

「管理するのは食堂か購買になるな」

 

 真壁先輩が言う。

 

「どちらも引き受けられないと言われれば、置くのは難しい」

 

「匂いの強いものを温める生徒も出るかもしれないね」

 

「焼き魚とかですか?」

 

 石倉君が言う。

 

「匂いが残りそう」

 

 如月先輩が顔をしかめた。

 

「温めていいものや、使用できる時間も決めた方がいいでしょう」

 

 鷹取君が付け加える。

 

 天ヶ瀬先輩はそれぞれの意見を聞いてから、机の上の用紙へ目を落とした。

 

「食堂側へ、管理が可能か確認しよう。問題がなければ、まずは一台の試験設置を提案する」

 

「分かりました、ボス」

 

 真壁先輩は電子レンジの意見書を、相談が必要な束へ移した。

 

「石倉、飲み物の方を頼む」

 

「はい」

 

 石倉君が数枚の紙をまとめる。

 

「自動販売機の飲み物の種類を増やしてほしいという意見と、お茶やスポーツドリンクがすぐに売り切れるので、補充する本数を増やしてほしいという意見です」

 

「種類を増やすより、売れている商品の本数を増やす方が先ではありませんか」

 

 鷹取君が言う。

 

「設置業者なら、商品ごとの販売数を把握しているはずですぅ」

 

 桜庭先輩が答えた。

 

「夏はスポーツドリンクの需要も増えるだろう。販売状況を確認したうえで、商品の入れ替えを依頼する」

 

 真壁先輩は意見書へ印を付けた。

 

「食べ物と飲み物だけで、かなりあったね」

 

 如月先輩が机に残った束を見ながら笑う。

 

「毎日利用するものですから。意見も出やすいんでしょう」

 

 真壁先輩は次の束を手に取った。

 

「続いて、校内設備に関する要望です。石倉」

 

「はい。昼休みだけでも屋上を開放してほしい、という意見です」

 

「それ、いいね。天気のいい日に屋上でお昼を食べられたら楽しそう」

 

 如月先輩がすぐに反応した。

 

 聖凰学園の屋上には、高い転落防止用のフェンスが設置されている。

 

 ベンチやテーブルも置かれているらしいが、現在は扉に鍵が掛けられ、生徒が自由に出入りすることはできない。

 

「設備があるのに、ずっと使わないのはもったいなくない?」

 

「安全設備は整っているが、屋上の鍵を管理する担当が決まっておらず、現在は施錠されたままになっている」

 

 天ヶ瀬先輩が答える。

 

「それだけなら、開け閉めする人を決めれば使えそうだね。雨の日や風が強い日は閉めておけばいいし」

 

「そうだな。設備を使わないままにしておくのは惜しい」

 

 天ヶ瀬先輩は少し考えるように、机の上の意見書へ目を落とした。

 

「おっ、がっせーが前向き」

 

「私を何だと思っているんだ」

 

 天ヶ瀬先輩が呆れたように返すと、如月先輩は楽しそうに笑った。

 

「教員側へ、昼休みの開放が可能か相談しよう」

 

「分かりました、ボス」

 

 真壁先輩は意見書へ印を付け、相談が必要な束へ移した。

 

 真壁先輩が石倉君へ目を向ける。

 

「次を読め」

 

「はい。空き教室を、放課後の自習室として開放してほしいという意見です」

 

「自分の教室では駄目なのか?」

 

「放課後は、教室に残って話している生徒も多くて、集中しにくいそうです。図書室も試験前になると席が埋まってしまうと書かれています」

 

「静かに勉強できる場所が欲しいということか」

 

「はい」

 

「空き教室を使うなら、鍵はどうするの?」

 

 如月先輩が尋ねる。

 

「利用する生徒が職員室へ取りに行けばいいのではありませんか」

 

 鷹取君が答えた。

 

「代表者の名前と貸し出した時間を記録して、使い終わったら戸締まりを確認して返却する。それで十分だと思います」

 

「それならぁ、先生がずっと付いている必要もなさそうですねぇ」

 

 桜庭先輩がゆっくりと頷いた。

 

「教室を使ったあとは、机や椅子を元の位置に戻してもらえば問題ないな」

 

 真壁先輩が言う。

 

 天ヶ瀬先輩は、石倉君が持つ意見書へ目を向けた。

 

「自分から勉強する場所を求める生徒がいるのなら、その意欲は大切にするべきだろう」

 

 天ヶ瀬先輩は小さく頷く。

 

「空き教室を自習室として使用できるか、教員側へ相談しよう。鍵の貸し出し方法も、合わせて確認する」

 

「分かりました、ボス」

 

 真壁先輩は意見書へ印を付け、相談が必要な束へ移した。

 

「部室の設備に関する意見です。石倉、内容を」

 

「はい。すべての部室へエアコンを設置してほしいという意見が複数あります」

 

「一度に全部は難しいですねぇ」

 

 桜庭先輩が意見書へ目を落とす。

 

「本体の購入費だけじゃなくてぇ、工事費も必要になりますからぁ。古い部室棟だと、電気設備も直さないといけないかもしれませんしぃ」

 

「限られた予算を使うのであれば、実績のある部を優先するべきではありませんか」

 

 鷹取君が言う。

 

「大会や発表会で結果を残している部には、学校として支援する理由があります」

 

「実績だけで決めるのは難しいと思いますぅ」

 

 桜庭先輩が困ったように眉を下げた。

 

「できたばかりの部や、結果が数字に出にくい文化部もありますからぁ」

 

「まずは部室の温度と、活動する時間を調べるべきだな」

 

 真壁先輩が意見書へ目を落とす。

 

「同じ条件なら、活動実績も判断材料にすればいい」

 

「必要性を優先し、条件が近い場合は活動実績も考慮する。それなら公平性も保てるだろう」

 

 天ヶ瀬先輩が頷いた。

 

「エアコンを設置できるまで、冷房のある教室を一時的に貸し出す方法もありそうですねぇ」

 

「活動内容によっては普通教室を使えない部もある。だが、可能な部には有効だ」

 

「まずは各部室の状況を調べよう。設置の優先順位は、そのあとで決める」

 

 天ヶ瀬先輩の言葉を受け、真壁先輩が意見書へ印を付けた。

 

「同じ束に、シャワー室に関する意見もあったな。石倉」

 

「はい。運動部が使うシャワー室を増やしてほしい、という意見です」

 

 屋内と屋外の運動部が共用しているため、夏場の活動後は混雑するらしい。

 

「増設は難しいですねぇ」

 

 桜庭先輩が、困ったように意見書を見つめる。

 

「シャワーだけ増やすわけにはいきませんからぁ。給排水の工事や、更衣室の広さも考えないといけませんしぃ、かなり費用がかかると思いますぅ」

 

「空いている場所も必要になるな」

 

 真壁先輩が腕を組む。

 

「増設より、今ある設備の使い方を変える方が現実的だろう」

 

「部ごとに利用する時間を細かく決めるべきではありませんか」

 

 鷹取君が言う。

 

「活動を終えた部から自由に使わせれば、同じ時間に集中するのは当然です」

 

「今も利用時間は決められているのか?」

 

 真壁先輩が石倉君へ尋ねる。

 

「大まかには決まっているそうです。ただ、活動が長引くと、ほかの部と重なってしまうみたいです」

 

「それなら、予約表を作るのはどうかな」

 

 如月先輩が提案する。

 

「利用時間を細かく区切っておけば、今よりは混雑しにくくなるよね」

 

「遅れた部は、空いている次の時間へ回す形がよさそうですぅ」

 

 桜庭先輩がゆっくりと頷いた。

 

「増設は現実的ではない」

 

 天ヶ瀬先輩が結論を出す。

 

「まずは現在の利用状況を確認し、部ごとの予約制や利用時間の見直しを提案しよう」

 

「分かりました、ボス」

 

 真壁先輩は意見書へ印を付け、運用の見直しが必要な束へ移した。

 

 これで校内設備に関する意見は終わったらしい。

 

 机の上には、まだいくつかの束が残っている。

 

 部活動の予算。

 

 図書室へ置く本。

 

 文化祭や修学旅行に関する要望。

 

 そして、そのどれとも別に置かれた、ひときわ厚い紙の束。

 

「まだ半分近く残ってるね」

 

 如月先輩が、それらを見回しながら言った。

 

「ここからは、予算や学校の方針に関わるものが多いです」

 

 真壁先輩が、一番上の束へ手を伸ばす。

 

「次は、部活動の予算に関する要望です」

 

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