「達者で走れよ、テメェら…」
暴走魂と希望を胸に抱き、明日に向かって走らんとする
…筈であった。
しかし、彼は何処かも分からぬ場所で
─そもそも、ここは一体何処だ?─
あの世とやらかもしれないが、窓から覗く景色は動いている。どうも乗り物か何かに乗せられているらしい。
目の前には、一人の少女の姿があった。水色の長髪にピンク色のメッシュが入っており、白色の軍服のような服を身に纏っているが、その軍服の右側は赤黒く染まっている。どうやら重傷を負っている様子であった。
『……私のミスでした。』
彼女が口を開いた。
曰く、己の選択によってこの状況がもたらされたと。
曰く、この状況になって初めて過ちに気づいたと。
曰く、幾度繰り返しても同じ結末を辿ったと。
『……図々しいかもしれませんが、後はお願いします。
─何故、俺の名前を知っている?─
そう問おうとしたが、口が動かない。いや、それどころか
『きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません』
『何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから……』
『ですから…大事なのは経験ではなく、選択。』
『宇宙一の暴走魂を持った貴方の選択。私が信じる大人である貴方なら、きっと…』
『この捻れて歪んだ先の終着点とは、また別の結果…そこへつながる選択肢は…きっと見つかるはずです。だから先生、どうか…――を…お願いします』
─何を言っているんだ。何故俺の事を知っているんだ。というかそもそも此処は何処なんだ。─
問い質したいことは山のようにあったが、彼女の声は段々と小さくなり、姿も遠ざかっていく。それとは対照的に、何処からか聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「パラリラ…パラリラ…」
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「パラリラパラリラ!パラリラパラリラ!」
「おお、ハシリ犬!よ〜しよし、どうしたどうした?」
再び目を覚ますと、今度はさっきまでとも違う、小綺麗な部屋のようであった。彼は左脚の愛犬に声を掛け、椅子から立ち上がって辺りを見回した。
(さっきまでのは一体何だったんだ…?夢にしちゃあ随分現実味があったが…ってか、此処は一体何処だ?地球なのか、それとも…)
そう思っていたが、ふと気づいた。
「……ありゃあやっぱり夢だったのか?いや、そもそも俺は死んだ筈じゃあ…」
事実、彼には自分が死んだ時の記憶がはっきりと残っている。
一度目は
二度目は
しかし、其処から今に至った経緯は皆目見当もつかない。
(……それに、アイツは一体何者だったんだ?俺のことを知ってた様だが……)
そう考えていた時、部屋のドアが開いた。
「失礼します、先生。」