「あぁん?誰だ、テメェは?」
暴れ回る不良生徒の1人が彼に気付き、そう尋ねた。
「騒音はお手の物、暴走は俺の物!ハシリヤン斬込隊長にして、シャーレの先生!!マッドレックス、只今参上ォ!!」
そう叫んだ彼は、背中の大槍─怒りのデスロッドを構えた。
「ヘッ、カッコつけやがって!」
不良生徒は鼻で笑うと、彼に狙いを定める。しかし、マッドレックスは彼女が引き金を引くより速く肉薄し、顔面に拳を打ち込んだ!
「嘘だろ!?」
「どうしたァ!もう終わりかァ!?」
「何!?なめやがって、行くぞお前ら!!」
彼の挑発に乗せられた別の不良生徒が、仲間を連れて4人ががりで挑んできた。しかし、マッドレックスは1人を殴り倒し、裏拳でもう1人をノックアウト!さらに3人目にはケンカキックを見舞い、残る1人はデスロッドの柄尻のタイヤで殴り倒した!
「何なんだよ、アイツは!?」
「狼狽えるな!せ、戦車!戦車なら……」
マッドレックスの強さを目の当たりにした不良生徒達の間には、動揺が広がっていた。そして、破れかぶれとなったある生徒がそう叫ぶと、それを聞いた他の不良達は蜘蛛の子を散らすように退いていった。すると、地響きが鳴り渡り、程無くして巨大な戦車がこちらに向かって来た。
「!?」
「あ、アレは……!?」
「何よ!あんなの確実にブラックマーケットに流れた不法品じゃない!!!」
「何だ?随分デケェのが出てきたな。」
「あれは恐らく
ハスミがそう言ったが、マッドレックスはデスロッドを構えたまま、その場から動かなかった。
「折角だ、一つテメェらに良い事教えといてやるぜ。攻める時はインベタ!ノーブレーキだ!それに、さっきの奴らは手応えが無さ過ぎたんでなァ。
「何言ってるのよ!あんなの撃たれたら、私達でも…」
ユウカはそう言ったが、マッドレックスは再び頭部から重低音を響かせ始めた。今度は先程よりも更に大きな音を響かせ、エンジンマフラーを思わせる側頭部からは炎が立ち登っていた。
「な、何考えてんだ…アイツ…?」
「怯むな、撃て!いくらアイツが強くても、コイツなら…」
その異様な光景に、戦車内の不良達にも動揺が広がっていた。しかし、このクルセイダーは違法改造によって95mm榴弾砲が搭載された、謂わば特別仕様。対人戦闘や警察車両との交戦に特化したこの砲弾を受ければ、ヘイロー持ちの生徒といえども負傷は免れない。ましてやヘイローの無い彼は一溜りも無いだろう。そう思いながら、彼に照準を合わせ…砲弾が発射された!
「「「「「先生!!!」」」」」
砲弾が着弾し、土煙が立ち昇る!そしてそれが晴れると…其処にマッドレックスの姿は無かった。
「そんな…」
その様子を見ていたリンは、呆然となった。折角彼が先生になることを承諾してくれたのに、これでは元の木阿弥ではないか。いや、それ以前に彼を死なせてしまったのは自分の采配ミスの所為ではないか。彼女は絶望し、今にも膝から崩れ落ちそうであった。
しかし…
「何よ、あの穴は?」
ユウカのその言葉を聞き、ふと気づいた。確かに、先程まで彼のいた辺りに大きな穴が空いているのだ。
その大穴は砲弾によって空いたのか、それとも…?