「あら、あの方々のお力を借りなくて良かったんですの?そちらの方が勝機があるかもしれませんわよ?」
「生憎、俺は
「別にあの子達は私の子分って訳じゃ有りませんわ。居ると何かと便利では有りますけど。」
「…そうかよ。」
マッドレックスは何処か冷めた声でそう呟く。
「…お前とは気が合うかもしれねぇな。」
「あら、それは嬉しいですわね。」
「じゃ、そのよしみってことで、其処を退いてくれねぇか?」
「それはまた別の話ですわ。貴方が私の立場でも、きっと引き下がらないでしょう?」
「…それもそうだな。」
(((((え、何か意気投合してる…)))))
2人の間に生じた妙に和やかなムードには、ユウカ達も不良生徒達も困惑せざるを得なかった。
しかし、そんなやり取りをしながらもおもむろにマッドレックスはデスロッドを、ワカモは"真紅の災厄"を構えて、互いに臨戦態勢を取りだした。
「それじゃあ…押し通らせてもらうぜ!」
そう言うが早いか、マッドレックスはデスロッドにエネルギーを滾らせ、一直線に突っ込む!!
「そうはいきませんわ!」
ワカモも直ぐに照準を合わせ、引鉄を引いた!
「遅ぇ!」
しかし、マッドレックスはその弾丸をデスロッドで弾き、尚もスピードを緩めずにワカモに迫る!
「なっ…」
ワカモも避けられた事には一瞬驚きの表情を見せたが、直ぐに弾丸をリロードする。
「させるかぁ!」
しかし、既にマッドレックスはワカモに十分に接近しており、デスロッドの一撃を喰らわせようとする。
ワカモはそれを銃口の先に付いた銃剣で受け止め、直ぐに銃剣を取り外した。
「今度はこちらからいきますわよ!」
そう言って、今度はワカモがマッドレックスに肉薄する!
「面白ぇ、かかって来い!」
マッドレックスもそう言い、再び彼女を迎え撃つ。
この攻防に、周りの不良生徒達やユウカ達は呆気に取られるばかりであった。
「本当に何なんだよ、アイツは!?姉御はあの"災厄の狐"だぞ!?」
「だから言っただろ!アイツ、戦車を一撃で廃車にした奴なんだよ!」
当初は半信半疑だった不良生徒達も、マッドレックスの桁外れの実力を目の当たりにして慄いている様子であった。
「…これ、私たちが援護する必要あるかしら?」
「いえ、あの間に割って入るのは余りに危険すぎるかと…(
ユウカのぼやきに、ハスミがそう返す。ハスミの脳裏には、正義実現委員会の会長─彼女の親友たる少女の姿が浮かんでいた。
一方、ワカモとマッドレックスの戦いは、マッドレックスが優勢であった。
(やはり、こちらが圧倒的に不利…こうなったら、一か八かに賭けるしか有りませんわ!)
そう決心した彼女は、右手に銃剣を構えて突撃した!
「ほう、そう来たか!」
マッドレックスも何処か嬉しそうに、それをデスロッドで受け止めた!
(今ですわ!)
しかし、ワカモはその瞬間、左手に持っていた銃をマッドレックスの腹部に押し当て、引き金を引いた!
「何ィッ!?」
「「「「先生!?」」」」
ユウカ達が叫ぶ。ヘイローの無い彼が銃弾を、しかもあんな至近距離で当てられたら、それこそ命取りだ。
しかし…
「ふぅ…焦ったぜ。」
「「「「「えっ…?」」」」」
彼は生きていた。しかも、殆どダメージも負っていない様子で。
「な…何で何ともないんですの!?あの距離で放たれた弾丸、避けることも防ぐことも…」
ワカモも叫ぶ。実際、賭けとはいえそれなりのダメージを与えられる算段もあったのだ。
「あぁ、確かにありゃ驚いたよ。だから、少し銃口を反らして、手で受け止めさせて貰った。まぁ、それでも脇腹撃たれちまったがな。」
実際、脇腹と左手に真新しい傷が出来ていた。
「……しかし、驚いたぜ。俺の身体に傷をつけるなんてよぉ……ハァーハッハッハ!!お前、やっぱり強えな!」
そう言いながら、マッドレックスは頭…いや、全身から炎の様なオーラを立ち昇らせ、彼女の方に歩みを進めていた。
(嘘ですわ…こんな、こんな事って…)
ワカモは、自分の命が危うい事を察知し、恐怖に震えていた。脚も竦み、立っている事がやっとな有様であった。
(こんな人がいたなんて…あら?何かしら、この気持ちは…?)
しかし、同時に
そんな時…
「パラリラパラリラ!パラリラパラリラ!」
左脚のハシリ犬が、いきなり鳴き出した。
「おぉ、そうか、散歩がまだだったな!…よし、行くか!」
それを聞いたマッドレックスからは立ち昇っていたオーラが消え、猫撫で声でそう答えながら踵を返した。
「えっ…」
その豹変っぷりに、ワカモは驚いた。
「嗚呼、そうだ。テメェ、名前は!?」
「わ、ワカモ…狐坂ワカモですわ…」
「そうかい、ワカモ…次のレースで会おうぜ。」
「た、助かりました…の…?良かっ…」バターン!
何と、ワカモはいきなり倒れてしまった。
「「「「「「姉御ぉ!!」」」」」」
「「「「「先生!!」」」」」
不良生徒達は慌てて駆け寄ろうとするが、それより先にユウカ達が向かってくるのを見て、皆慌てて逃げ出してしまった。
「大丈夫なんですか!?」
「あ?何の話だ?」
「さっきの傷ですよ!先生は無茶しすぎです!」
「何、こんなの大した傷じゃねぇよ。」
チナツがそう叫ぶも、マッドレックスは涼しい顔だった。
「ところで、先生…"災厄の狐"はどうしたんですか?まさか…」
"最悪の想像"をしたハスミとスズミが倒れ込んだワカモに駆け寄る。
「…傷は多いですが、致命傷では無さそうです。恐らく放心しているだけかと。」
「そうか。で、どうすんだ、そいつ?」
マッドレックスは興味なさそうにそう尋ねた。
「…彼女の身柄は、此方で預からせて頂きます。他の不良生徒達も、我々の方で対処しておきますので、ご心配なく。」
一歩遅れて合流してきたリンがそう答えた。
「おぉ、リン。…ところで、シャーレの部室って本当に此処なのか?」
「…はい、そうです。お伝えするのが遅れてしまい、たいへん申し訳ございません。」
リンはバツが悪そうにそう呟いた。
「で、結局俺は此処で何をすれば良いんだ?」
マッドレックスが尋ねた。
「では、改めて説明致します。まずは中へお入り下さい。」
少々原作と異なる展開になってしまいました。