草喰みの白兎   作:リヴィドーカリェー

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 何となく話の流れは思いついているのですが、文章力がなく・・・くどくないかな?文字薄・・・ううん?と息抜きに書いてるはずなのに頭を使ってて、まあ、うん。リラックス自体はできてるから、いいか。
 今回から一章なのですが、怪物祭から始まります。
 もっと登場人物増えて〜・・・誰か私の頭の中の文そのまま打って〜・・・と思いながら書いてます。
 多分メインヒロインは2章くらいに出る、かも?


一章
誤解


 短杖を受け取った日から数日後。

 空は晴天で雲一つなく、街の人々もそれに喜び洗濯物を干している。

 いつもであれば『青の薬舗』にてポーションを研究するものだが。

 本日のベルは調合用の白衣を着たまま、露天の中にいた。

 

「いらっしゃいませー!」

 

「いらっしゃい、ませ・・・」

 

「いらっしゃいませ、だ」

 

 ベルとナァーザ、ミアハ。

 ミアハ・ファミリアの総員が集まり、露天の中で売り子をしていた。

 それぞれが頑張って普段よりも大きな声を出しながら、『商品』を売り捌いていく。

 興味を持ったのか商品を見たり手に取ったりするお客さんに、一つ一つの商品を解説していく。

 

「そちらはうちの新商品の『回復薬飲料ポーション・ジュース』ですね。ポーションの効果はそのままに、美味しくない要素を可能な限り除去したもので、味はオレンジジュース、レモンジュース、リンゴジュースの3種類があります。特に疲れが溜まっている人におすすめの一品です」

 

「そちらは『睡眠深度向上薬』と言いまして、騒音や物音等が気になる方に向けた商品です。いつもよりも深い眠りを提供できるもので、なかなか疲れが取れない、という方におすすめですよ」

 

「そちらは『回復薬の葉ポーション・リーフ』ですね。そちらは紅茶等と同じように淹れて飲んで頂けると、心を落ち着かせる効果と、疲労回復が見込める商品です」

 

「そちらは────」

 

 頑張って覚えた商品の概要を説明しながら、一つ一つ丁寧に売っていく。

 いつもとは異なりお客さんが次から次へとやって来る現状に少々混乱しながらも、一生懸命に売り子を続ける。

 ミアハやナァーザは経験豊富なため、ベルよりも淀みなく次々とお客さんを捌く。

 相手を選んでサービスをしているところなどは経験の無せる技なのだろうか。

 

 なぜ少年たちが露店にて商品を売っているのか。

 それは今日が祭事であるためだ。

 ──今日は『怪物祭モンスターフィリア』。

 ガネーシャ・ファミリアが主導する催し。

 年に一度、闘技場を貸し切ってモンスターの調教を行う催しが行われるそれは、商業系ファミリアをも巻き込んだ大規模な祭りになる。

 例えモンスターを嫌う人であろうと、露店の商品を購入,あるいは露店を楽しむため、人の行き来が多い。

 そしていつもは閑古鳥が鳴いている『青の薬舗ミアハ・ファミリアのホーム』とは違い、お財布の緩んだ人々が珍しいものや目新しいものを次々と購入していく。

 

 今年はベルが来たため、材料は今日まで少年がコツコツと集めた素材を大量に投入できたために、実質タダ。

 売れば売るほど利益になる商品を全て売り捌くため、3人ともいつもよりも必死だ。

 特に看板に『薬神が効果を保証』と書いたため、効果が疑われることなく*1次々と商品が手に取られていく。

 

「こんにちは!」

 

 暫く商品を求めるお客さんの波を捌き続け、段々と商品の在庫が薄くなると共にお客さんも段々とまばらになってきた頃。

 明るく元気な声がかかる。

 少年が目線を上げると、そこには明るい赤色の髪をした女性が立っていた。

 

「おお、アリーゼか。久しぶりだな」

 

「こんにちは、ミアハ様!ナァーザちゃんも、久しぶりね!」

 

(ナァーザ、ちゃん?)

 

 およそ自身の知る犬人シアンスロープの女性に似つかわしくない敬称に、少年は困惑する。

 次々とミアハ・ファミリアの主神と犬人シアンスロープの名前を挙げていった女性だったが、ベルの方を見て言葉に詰まった。

 えーと、うーんと、あれ〜?と口に出しながら困惑する女性に、苦笑しながら名乗る。

 

「僕の名前はベル・クラネルです。一カ月前にミアハ・ファミリアに入ったばかりの新参者なので、知らなくて当然だと思います」

 

「ベルね!よろしく!!」

 

 明るい声のまま手を差し出される。

 どういうことだろう?なぜ手を?と迷った少年は、とりあえず手元にあった商品をその手に載せることにした。

 

「こちらの商品は『回復情薬ポーション・タブレット』と言って、ポーションを固形──錠剤にしたものです。通常の物のように振りかけて使うことはできなくなりましたが、代わりに噛み砕くことで使うことができるようになったため、奥歯等に仕込むことで緊急時に使用することが・・・」

 

「違う違う!?握手よ、握手!!??」

 

「・・・・・・握手?」

 

「・・・ベル、握手のこと、知らない、の・・・?」

 

「いえ、握手がなにかは知っているんですが・・・」

 

 気づけば、女性は載せられた商品を戸棚におき、再び手を差し出してきた。

 なぜ?と疑問に思ったが、やらないと退かない気がしたため、少年はその手を握る。

 あまり知りもしない女性との握手は緊張したが、跳ねそうになる心臓を無理やり押さえつける。

 そのまま手を上下に揺すられ、プラプラと身体がそれに少し連動する。

 暫くそのままギュッ、と強く握られていたが、満足したのかようやく手を離される。

 

「ありがとう、かわいい兎ちゃん!」

 

「兎・・・?僕はヒューマンですけど・・・?」

 

「いいじゃない、かわいいんだし!」

 

「・・・ベル。次からは、兎耳を付けて、売り子・・・する?多分、売れる・・・」

 

「嫌ですよ!?」

 

「そうだぞ、ナァーザ」

 

「ミアハ様・・・!」

 

 そうだ、ミアハ様は助けてくれると信じてた!

 兎耳をつけたくない少年にとって、彼はまさに世を救う救世主に見えていた。

 

「私たちは『薬師ハーバリスト』なのだ」

 

「・・・ん?」

 

 ──すぐに叩き落されたが。

 あれれー?思っていた言葉と違うぞ?と、先ほどまでは救世主に見えていたミアハの姿が、滅びをもたらす邪教の教主のように見えてきた。

 

「ちゃんとベルを兎人ヒューム・バニーに変えられる薬を作らないと駄目だろう?」

 

「ミアハ様!?」

 

 悲鳴を上げる少年に、ナァーザとミアハが笑う。

 やっぱりかわいい子ね〜!とアリーゼにもカラカラと笑われ、揶揄われていたことと子供扱いをされていることに気づき、少年が少し膨れっ面になる。

 主神と犬人シアンスロープの女性に左右から潰されブヒュッという空気が抜ける音と共に頬が潰れる。

 少年の髪と目を改めて見たアリーゼは、何かに気がついたのか「あっ!」という声を上げる。

 

「わかったわ、多分貴方のことよね、かわいい『鐘兎』さん!」

 

「『鐘兎』?」

 

 かねうさぎ。

 なぜ急にそう呼ばれたのか理解できない少年は、思わず首を傾げる。

 するとあれー?と少女も鏡合わせのように首を傾げる。

 

「貴方よね?ダンジョンの上層で怪我をした冒険者に回復薬ポーションを譲ったり、鐘の音がする回復魔法で回復したりしてるのは!」

 

「え?あ、はいしてますよ」

 

「でしょう?」

 

 フフーン、私ってば名探偵!とどこか誇らしげな顔をする女性に、少年は困惑する。

 なぜ『鐘兎』と呼ばれているのか、というのもそうだが、そもそも少年の周りにいる女性は、暴ry・・・厳しくも美しい女性や,ダウナー系の女性,生真面目な女性と、目の前の女性のように元気いっぱい!という言葉がそのまま動いているような人との関わりが薄いのだ。

 ──人は『未知』を前にすると無力になるのだ。

 

「ありがとう!」

 

「え?」

 

「貴方のお陰で、ここ一ヶ月の上層での死亡者数が激減してるのよ!お手柄ね!!」

 

「はあ・・・」

 

 感謝されると思っていなかったことと、あまり実感がなかったことで気の抜けた返事しかしない少年に、アリーゼは微妙な顔になる。

 

「本当のことなのよ?私は嘘をつかないんだから!」

 

「それは見てたら分かりますけど・・・」

 

 そもそも人を疑うことを知らない少年にそんな事を言っても意味はないが。

 単純に実感のなさと当たり前の行動をしただけだと思っているが故に。少年は威張らないし、威張れない。

 

「当たり前の事をしただけなので、感謝をされるようなことじゃないですよ」

 

「当たり前じゃないわよ!基本的に『冒険者』は怪我人を見てもスルー、が常識なんだから!!」

 

「それは知ってますけど・・・僕がやりたくてやったことですし・・・」

 

「謙虚ね、もっと誇らしくしていいのよ?そう!私みたいに!!」

 

「それは自慢することなんですか・・・?」

 

「するわ!私は誰もが認める清くて美しい、超絶美少女なんだもの!」

 

「・・・23歳だけどね・・・・・・」

 

「────ぐっふ!!?」

 

「アリーゼさん!?」

 

 ナァーザがボソリと呟いた言葉きんくが聞こえていたのか、その場に崩れ落ち、頭がゴツンッ!!と地面と接触する。

 思わず悲鳴を上げた少年は、すぐに駆け寄り容体を確認する。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「あぁ、兎が見える・・・私の美少女人生もここまでね・・・せめてアストレア様の膝の上で・・・」

 

「脈は安定してますし、意識もありますね・・・一応額が少し赤いので、回復魔法を使っておきますね」

 

 もう早くも慣れたのだろう。

 何やら意味のわからないことをのたまうアリーゼを無視し、異常がないかの確認を終えると、すぐに治療にとりかかる。

 邪魔にならないように露店の脇に移動させ、見やすいようにアリーゼを腿に乗せると手を赤みがかっている額にかざす。

 【アンジェラス】、と少年が魔法の名を呼ぶと、安らかな鈴の音と共にアリーゼの額から痛みが消える。

 数十秒後に消えると思っていたのに、すぐに消えた事に驚き、アリーゼは自身の額に触れる。

 先ほどまであったヒリヒリとした痛みが消え、触れても問題がない。

 

「一応表面上は治りましたが、違和感等があったらすぐに言ってください」

 

「・・・・・・・・・あれ?詠唱は?」

 

 先ほどまでの元気いっぱいの声とは違い、困惑いっぱいの声のアリーゼ。

 すぐに起き上がると思っていたのにそうではなかった女性を訝しんでいた少年は、その質問に「ああ」、と納得した。

 

「僕の回復魔法は詠唱がいらないんです。その分、完全に癒すには何度も発動する必要があるんですけどね」

 

「へえ、そうなのね!・・・リャーナとセルティには黙っておこう・・・

 

 すぐにばれる気がするけど、と小声で何事かを呟く少女を他所に、何者かが二人に声を掛ける。

 

「アリーゼ、ここにいまし、た・・・?」

 

「あ、リュー」

 

 アリーゼの声に導かれたのだろう。

 人混みをかき分けて現れた金髪のエルフが、二人の様子を見て固まる。

 

 地面に倒れたのだろう、とすぐに分かる程度に戦闘服バトル・クロスに砂がついたアリーゼに、それを膝枕しつつ顔を覗き込むベル。

 角度によってはキスをするように見える構図を前に、妖精おぼこさんの体が震え、その頬が赤みがかっていく。

 

「は、はしたない!!」

 

「は?」

 

 素っ頓狂な声をあげ、顔を上げてようやく妖精の存在を視認した少年。

 どういうことか、と質問しようと立ち上がるために、屈伸の要領で立ち上がる。

 アリーゼを乗せていた事をド忘れたしたために行われたそれにより、彼女の後頭部がガツン!と地面に落ちる。

 それを見てあああ!と焦る少年に、相当痛かったのか同じくあああ!と声を上げながらゴロゴロと転がるアリーゼ。

 混沌に支配された場に、リューが強行する。

 

「あ、あな、あなたは!・・・な、なななな・・・何を、していたんですか!?」

 

「治療です」

 

「あれのどこが治療なんですか!?何処からどう見ても、その、せっ、せせせせせせせせ・・・」

 

「せ?」

 

「せっ・・・接吻を、していたのではないですか!!??」

 

「は?え、はぁぁぁあああああ!!??」

 

 ズビシッ、と指さすリューに、悲鳴を上げるベル。

 そして、まだ痛いのか地面を転がり続けるアリーゼ。

 それを見て笑うミアハに、さすがに迷惑がってきたナァーザ。

 ──場が、混沌に包まれていた。

*1
原作の『果汁薬ポーション・レモネード』とは異なりポーションを薄めるようなことをしていないため、本当に効果が保証されている。ナァーザがやろうとしたらベルに止められた




◯アリーゼ・ローヴェル
・アルトレア・ファミリア
・ヒューマン
・元気いっぱいのお姉さん。最近年齢が禁句になった
・Lv5にはなっているが、なったのは二年くらい前。アイズに追いぬかれたときにぐぬぬぬぬ・・・した
・ベルくんの膝枕の感想は「落ち着くし、安心するから眠くなる!」だそう

◯リュー・リオン
・おぼこ
・アストレア・ファミリア
・エルフ
・Lv5
・ベルくんとアリーゼの逢瀬(勘違い)を見て発狂
・見た目は金髪のままなので、ベルくんの好み・・・ではありません、残念ながら。今作のベルくんは義母に如何にエルフが面倒かを叩き込まれたため、エルフに恋愛感情を持つのは難しいかも
・正直言うとヒロインになるかはかなり怪しい・・・どうしよう?メインヒロインはもう決まってるし・・・
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