草喰みの白兎   作:リヴィドーカリェー

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 今更なんですけど、オリキャラくんのことなんですが。
 今作で出すオリキャラは彼が最初で最後ですね。増やす理由もないですし。あるとしても敵?思いつかないけど・・・
 まあ彼は私にとって(物語的にも)都合のいい彼くんなので。
 ちなみに描写忘れてたんですけど、髪は長く、腰くらいあります。
 ショタ✕ジジィ✕エルフ✕長髪=師匠、という私の歪んだ認識のせいです。なんでこうなった?


尋問

「なるほど。つまりクラネルさんはアリーゼの怪我を診ていただけで、不純な動機はなかった、と・・・」

 

「はい・・・」

 

「そうよ!」

 

 混沌の場から離れ、人通りの少ない路地にて、リューによる『尋問』は行われていた。

 彼女の目の前では、少年と女性が仲良く正座をさせられ、

 片や居心地悪そうに肩を縮こませ。

 片や何故か自信満々に胸を張っていた。

 

 座布団すらない石畳の上にて強制させられた正座によって、もはや自分たちの足は痺れを通り越して地面と一体になったのではないか?と、少年は錯覚する。

 それほどまでに、美麗なエルフによる『尋問』は恐ろしく、彼の体感時間を引き伸ばしていた。

 

 なお人通りが少ないとはいえ、ゼロではない。そのため、僅かに行き交う人々が彼女たちのことを興味津々に覗き見ている。

 その度に『見世物じゃない』、という目線でリューが睨むため、逃げるように立ち去っていく。

 ──それでも、一部の命知らずが遠巻きに見ているが。

 

「分かりました。貴方たちが不埒な行為に及んでいない事は・・・一応ではありますが、納得します」

 

 二人への質問を終え、取り敢えずの状況を把握した。

 

 ベル曰く

「僕はただ強かに額を打ったアリーゼさんが大丈夫か診ていただけなんです!不埒な行為なんて行ってません!そ、そもそも!そ、そういうのは、もっと、好きな人と・・・」

 なお、最後の方は顔が赤くなり、ゴニョゴニョと自身の結婚観の一部を垂れ流したために、アリーゼに(あれ?結構余裕ある?)と思われた。

 

 そんなアリーゼ曰く

「私がちょっと額を打ったら、この子が颯爽と駆けつけて、誰もが認める超天才美少女たる私の額に傷がないか診てくれたのよ!しかも!優しい膝枕付きで!!」

 フフーン!と何故か誇らしげにする彼女に、(これが残念美人っていうのかな・・・)と少年はなかなかに失礼なことを考えていた。

 ちなみにナァーザとのやり取りを思い出して、(美少女じゃなくて、美女っていうのが正確なんじゃ・・・)とも思ったが、絶対に口にしなかった。少年もまだ死にたくはないのだ。

 福音怖い義母の教育の賜物、だ。

 

 ひとまず。

 二人の話しを聞いて、リューは納得したのだ。

 つまりは、始まりはアリーゼが額を地面に打った──いつもの過剰な反応オーバーリアクションの結果だろう──こと。

 そして、それを見た少年が颯爽と駆けつけ、異常がないかを診ていた。

 間が悪いことに、その診ている時にリューがやってきて、少年たちの関係を勘違いした、と。

 そう、リューは納得────

 

 ───しきれなかった。

 

「いえ、やはり。そもそもの話ですが、膝枕をする必要はなかったのでは?」

 

「そう?この子の膝枕、とっても気持ちよかったわよ!こう、お母さんの膝枕、って感じがしてすごく安心したの!」

 

「────アリーゼさん!?何を言ってるんですか!?」

 

 養護したつもりなのであろう女性は、その後も「まるで想像上の女神様の膝枕のように優しかった」「彼を抱きしめて寝たら絶対にいい夢を見れる」「リューもされてみたら分かる」など、擁護なのかどうか怪しい弁明が続いた。

 当然、それを聞いて不純異性交遊を疑わない妖精おぼこさんではない。

 何を想像したのか、顔を真っ赤にし、現在つけている覆面をより深く上げ、少年を睨みつける。

 

「アリーゼ!やはり、それは・・・その、不純異性交遊、だったのでは!?」

 

「何を言ってるのよ、立派な医療行為よ!」

 

「いいえ!やはり、あれは神々が言うところの『膝枕』と言う名の『医療行為ハレンチ行為』なのでは!?」

 

「リオンさん!?怒りますよ!?僕これでも医療系ファミリア所属なんですけど!!!???」

 

 ギャーギャー、ギャーギャーと。

 少年たちは正座のことなど忘れ、ヒートアップにヒートアップを重ね、騒ぎ始める。

 

 やれ やはり二人は破廉恥なことをしていた!と妖精が吠え。

 やれ リューもしてもらえば?と、女性は何故か妖精の動揺を誘い。

 やれ 医療行為を破廉恥行為って言うのやめてください!と医療系ファミリアとしての誇りを叫ぶ少年。

 それぞれの持論を持つが故に加速と過熱を続ける、話し合いという名の『意見の押し付け合い』は終わらない。

 

 それを遠巻きに見ていた人々も、その不毛な争いに──主にただの肌の接触程度で叫び散らす妖精に──ドン引きする。

 ──やがて。三人の話し合いは、いつまで経っても戻らない少年に文句を言いに、犬人シアンスロープの女性が現れるまで続いた。

 

 

 

 

────

 

 

 

 

 

「・・・・・・あまり・・・うちの、後輩を・・・いじめないで、ね・・・この子は、繊細な子、だから・・・」

 

「はい・・・申し訳ありません」

 

「ごめんなさい!かしこま!バチコーン☆」

 

「イラッ☆」

 

 目にも留まらぬ速さで接近したナァーザに背を叩かれ、「ドブぇ!?」と言う汚い悲鳴を出しながら吹っ飛ぶアリーゼ。

 反省を促したはずなのに、巫山戯た了承の言葉と片目配せウインクを返したのだ、さもありなん。

 『銀の腕アガートラム』の方の腕で叩いたからだろう。痛そうに背中を押さえながらその場を跳ねる姿は、とても威厳のある『正義の派閥』の眷属の姿とはとても思えなかった。

 

「アリーゼ、大丈夫ですか?」

 

「痛い・・・とても痛いわ!どうしてこんなに痛くなるように叩いたのかしら?もしかして、私が美少女すぎるから嫉妬したのかしら!!」

 

「アリーゼ、あなたが悪い。疾く謝りましょう」

 

「リュー!?」

 

 ガーン!?と信頼していた仲間に裏切られたショックで項垂れる。

 長年の時を経て、青二才の妖精はアリーゼ尊敬すべき団長の扱いに慣れてしまったようだ。

 やがてショックを受けた彼女は、少年を視界に収めると、嘘の涙を浮かべて突撃した。

 

「ベルくーーーん!癒してぇーーーーー!!」

 

「どぇええええぇ!!??」

 

 涙を浮かべ、全力で駆ける女性。

 こちらへ来ると思っていなかった少年は、思わず悲鳴を上げる。

 しかも、かなりのスピードで走っているせいだろうか。

 彼の目には涙など欠片も写らず、ただ、彼女が『ミノタウロスの突進』のような"危険な代物"にしか見えなかった。

 そのため、自身の持つ『回避の経験』をもとに、ギリギリまで引き寄せて───避ける。

 本気で走っているわけではなかったが、急に視界から少年が消えたことで止まることができず。女性そのまま──壁に激突した。

 「ブギュ!?」というこれまた可愛くない悲鳴と共に壁に激突した彼女は、少し赤くなった鼻を押さえながらベルを睨む。

 

「痛ったーーーー!なんで避けるのよ!?」

 

「避けますよ!?第一級冒険者の突撃なんか!?!?」

 

「私はただ、あなたの回復魔法で癒してほしかっただけなのに!」

 

「それならそうとちゃんと言ってくださいよ!すっごく怖かったんですよ!?」

 

 文句を言いながらもアリーゼの元へたどり着くと、すぐさま『回復魔法』を行使する。

 優しい音色と共に広がる緑色の波動が、赤くなっていた鼻と,未だにヒリヒリとしていた背中を癒す。

 

「はい、終わりましたよ」

 

「ありがとう!このお礼は必ずするわ!」

 

「いりません。元はといえば僕が悪いんですから」

 

「そう?リューの暴走のせいな気がするけど?」

 

「ちょ───」

 

「─────」

 

 「ん?」とリューの反応がないことを怪訝に思い、振り返ると、そこには少年の手──先ほど回復魔法を使用した手を見ている妖精がいた。

 

「どうしたんでしょうか・・・?」

 

「あー・・・」

 

 「忘れてたわ」、と呟くと、アリーゼはすぐに駆け寄り、リューを露店の方へと引っ張る。

 考え事をしていたせいか、それに気づかずに、急に引っ張られたと勘違いしたリューが、ジタバタと抵抗する。

 それを無理やり押さえつけながら、アリーゼは少年たちへ振り返る。

 

「それじゃあ、ベル君!お祭り楽しんでね!この誰もが認める清らかで賢く手美しい私が、あなたたちを守ってみせるから!フフーン!」

 

「ア、アリーゼ!離してください!自分で歩けます!」

 

「そう?」

 

 ややあって、アリーゼが手を離すと。リューは居住まいを整え、謝罪をしながら巡回へと戻っていった。

 

「嵐のような人たちでしたね・・・」

 

「うん・・・あれでも、正義の派閥、なんだけどね・・・」

 

 暫く二人で去って行った彼女達を見続ける。

 そこには、行き交う人々に感謝をされたり、食べ物等をサービスされたり、と人々に愛されている彼女達の姿があった。

 

「でも、すごく信頼されてるっていうか・・・信用されてるっていうか・・・かっこいい、ですね」

 

「・・・そう?ベルに、見せたのは・・・醜態の部分、だと、思うけど・・・」

 

「あはは・・・そうなんですけど・・・こう・・・うまくいえないんですけど・・・」

 

 再び前を向く。

 人々が笑顔を浮かべ。

 彼女達もまた、笑顔を浮かべていた。

 

「ああやって、人々を笑顔にして、信頼されるのは・・・すごく頑張ったんだな、とか、僕も頑張らないと、とか。学ばないといけないところがあるな、って思いまして・・・」

 

「・・・ベルは、真面目、だね・・・」

 

 よしよし、とナァーザはベルの頭をなでる。

 その子どもをあやす時のような優しい手つきに気恥ずかしさを感じるものの、少年はそのまま受け入れた。

 

(そういえば・・・)

 

 結局、リオンさんはどうして僕の手元を見ていたんだろう?

 自身の回復魔法の特異性即効性を忘れた少年は、一人そんなことを考えていた。

 

 

 

 

────

 

 

 

 

 

 ベルたちミアハ・ファミリアから離れ、巡回に戻った二人。

 通常であれば、第一級冒険者である二人は畏怖や畏敬の念が込められた目で見られ、人々から遠巻きに見られる存在である。

 

 しかし、彼女たちはそんな扱いを受けることない。

 次から次へと声をかけられては、感謝を伝えられたり,日頃のお礼と称して商品をサービスされたりする。

 こうまで受け入れられているのは、彼女達の日頃の行いや、主神──アストレアの神徳によるものか。

 

 どちらかといえば無愛想寄りなリューも、その顔を頑張って笑顔──ものすごく引きつっているが──にしたり、商品も一度断って、それでもと言われたものを、しょうがなく受け取る。

 気づけば、両手一杯になりそうな品物を抱えながらも、巡回を続ける。

 ──それでも、ふと気がついたときに、先程の不思議なありえない光景を思い出し、つい顔が強張る。

 

「どうしたの?リュー」

 

 ハッとして顔を上げれば、アリーゼがリューの顔を覗き込んでいた。

 どうやら自身が思うよりも考え込んでいたようだ、と反省し「すみません」、と巡回に集中する。

 ──が、できなかった。

 すぐに少年が起こした『異常』を思い出し、顔を伏せてしまう。

 

「何か気になることでもあった?」

 

 全てを見透かすような瞳に見つめられ、誤魔化そうとする。

 しかし、暫くして──

 

「先程の、クラネルさんの魔法のことですが──」

 

 やはり、聞くことにした。

 思えば、アリーゼは彼の『回復魔法』を二回も受けていた。

 彼女であれば、知っていることもあるだろう、と。

 ──これまでの常識を破壊しかねない、彼の魔法について。

 

「うん、『詠唱』がなかったわね」

 

「──気づいていましたか」

 

「とーぜん!なんたって、私は美少女であると同時に、天才でもあるんだから!!」

 

 何でもお見通しよ!と笑う彼女に、リューは真剣な表情を浮かべる。

 

「ならば、気づいているのでしょう。もしもこのことがバレれば、彼は『魔法大国』だけでなく、医療系ファミリアにも狙われる────いえ。下手をすれば、彼はすべての神々にも狙われることになる」

 

 例えば、ディアンケヒト・ファミリアのアミッド。

 文字通り全てを癒す『全癒魔法』を使える彼女だが、その発動までに詠唱が必要だ。それにより、例え急患が現れたとしても、すぐに治すことはできない。

 それに対し、少年の場合は『すぐに治せる』のだ。

 もちろん詠唱がないことにより回復効果は落ちていそうだが、それでも『速さ』の恩恵は馬鹿にできない。

 それほどまでに、少年の魔法は『異常』で、特異性が高い。

 

「そうね、それは間違いないわ。あの子の魔法、受けた感じだと今のリューの『【ノア・ヒール】回復魔法』よりも効果が高かったわ。痛みなんてすぐに消えたしね」

 

 ──それこそ、まさに『異常』だ。

 彼は明らかにリューよりもLvがひくく、またエルフマジック・ユーザーよりも魔力が低い筈のヒューマン。魔法円が出ていないということは、発展アビリティの『魔導』も持っていないだろう。

 そんな存在が、いくら苦手といえど、Lv5、それも『魔導』と詠唱のあるそれよりも回復効果が高いなど。

 

「彼は、保護したほうがいいのでは・・・?明らかにエリスイスさんでは荷が重そうです」

 

 リューの懸念は正しい。

 団員がベルとナァーザの二人しかいない零細ファミリア。いくらナァーザがLv2といえど、一人では限界があるだろう。

 アリーゼも「んー・・・」としばらく考え──微笑む。

 

「大丈夫よ、あの子たちなら」

 

「・・・なぜ、そんなことが言えるのです?」

 

「そうねえ・・・・・・『直感カン』、かしら」

 

 その言葉を聞いて、しばらく呆然とし。

 やがて重々しく「ハァ」、とため息をついた。

 それを見て、アリーゼは不満そうに唇をとがらせる。

 

「なによ、私の『直感カン』が当てにならないの?これでも団長なんだけど!?」

 

「・・・・・・いえ、そうではなく。ただ、それで納得行くようになってきた、私自身に呆れたのです」

 

 パチクリ、と。しばらく緑色の瞳を瞬かせる。

 やがて意味を理解した瞬間、意地の悪い笑みを浮かべた。

 

「なになに、リューってばそんなに私のことが大好きなの!?ごめんなさい、私が美少女すぎるから貴女が信じざるを得なくしてしまって!!」

 

「なっ──!?違います、ただ私はファミリアの一員として、貴女のことを信じていると言うだけの話で───!?」

 

 何に焦っているのか、声を荒げるエルフ。

 それを見て、やはり意地の悪い笑みを浮かべ。

 ひとしきり弄んだあと、アリーゼは不敵なそれに変えた。

 

「大丈夫よ」

 

「───アリーゼ?」

 

 いつもの快活な笑顔ではなく、何処か儚げな笑み。

 それは何かを見透かしているのか、それとも何かを知っているのか。

 何処か浮き世離れしたその笑みに、リューは吸い込まれる。

 

「さっきも言ったように、あの子たちなら大丈夫よ。ファミリアの一員同士で仲が良さそうだし、それに──」

 

 言葉を切り、後方を見る。

 人混みに紛れ、見えづらくはあったが。そこには、ナァーザに撫でられている少年がいた。

 微笑みを浮かべ、少年を慈しむように撫でている様は、まるで兄妹のよう。

 暫くそれを見つめると、リューの目を見た。

 空を閉じ込めたかのような蒼の中に存在する自身を見つめた。

 

「──何かあれば、私たちがあの子を守ればいいのよ」

 

 暫く呆然とし。そして言葉の意図を理解すると、苦笑を浮かべる。

 

「・・・私たちと彼は今日会ったばかりです。そこまでする義理は存在しない気がしますが」

 

「あら、そんなことないわよ!あの子には『借り』があるわ!そう、この美少女剣士アリーゼちゃんの治療をした借りが!」

 

「それは俗に言う『マッチポンプ』と言うのでは・・・いえ、私たちが騙されている、というわけではないのですが・・・・・・」

 

「そうね、なら暴走したリューのせいね!けってーい!」

 

「何故そうなるのです!?」

 

 悲鳴を上げる妖精を他所に、アリーゼは駆ける。

 それにおいて行かれないよう、リューが追いかける。

 

 二人の決意は、いつか少年を救うのだろうか───




 そういえばリューさんって覆面してたな・・・って小説読んで思い出しました。
 なんか不審者みたいだよな・・・とか思ったのは内緒。

 ところでなんですが、魔法のことで有識者の方に質問したいです。
 ダンまちの魔法って『詠唱』を言ったあとに必ず『魔法名』を言うものなのでしょうか。
 単に描写の関係で『魔法名』を言っているのか、それとも本来は『魔法名』を言わなくても発動するけど、例えば他の人との連携を意識して言ってるのか、とか。

 原作のベル君の【ファイアボルト】が、アルフィアの【サタナス・ヴェーリオン】より速いらしいので、どうして?って思いまして。
 もしも『魔法名』を言わなくていいなら、それこそ何も言わないで炎雷どーん!とかできそうなので、そのへんどうなのかな。

・アルフィアはちゃんと『魔法名』まで言ってる説
・ベル君が魔法への憧れ的なものから『魔法名』を言ってから発射してる説
・単なる『絵的』なもののため

 の3説くらいですかね。
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