いつもと違って『資料』がないため、何処か間違っている部分があると思います。
何卒お願いします。
さて。少しずつではありますが、話が進んでいきます。
あまり焦りすぎないよう、けれどしっかり進めていきますので、よろしくお願いします。
「集まるのが早かったね」
『リヴィラの街』、ヴィリーの宿にて、死体が発見されてからしばらく。
『ロキ・ファミリア』のフィン、リヴェリア、ティオネ、ティオナ、アイズ、レフィーヤの六人は、そこにいた。
彼らは『小遠征』──主に武器の借金があるティオナと、件の『怪物祭』にて代剣を壊したことにより、同じく借金のあるアイズのお小遣い稼ぎ──を行っていた折、この事件が発生した。
事件の被害者は、ガネーシャ・ファミリアのLv4──ハシャーナ・ドルリア。【剛拳闘士】の名を持つ彼は、謎の女性と宿を貸し切った後、殺された。
現在は『リヴィラの街』の首魁であるボールスが街を封鎖し、犯人──それもハシャーナを簡単に殺せる女性──を逃さない包囲網を敷いていた。
街の二つの出入り口である北門と南門が塞がれ、今や冷たい白と青の水晶に囲まれた街は、冷たい牢獄の様相へと変貌していた。
「呼びかけに応じねえ奴は、街の要注意人物一覧に載せるとも脅したからな。そうなりゃどこの店も即叩き出しだ。この要所を今後も利用してえ奴らは、嫌でも従うってもんよ」
「それに、一人でいるのは恐ろしい、か」
ああ、とフィンの呟きにボールズは頷く。
街の人々は皆警戒の視線を贈り合い、互いを牽制し合っていた。
──Lv4。第二級冒険者を殺害できる存在が、今も街中にいるかもしれない。
疑心暗鬼の渦中に飲まれるのも無理はないその現状で、「はーい!!!」という元気な掛け声が響く。
街中の人々がその声の大きさや明るさに驚き、声の主を見る。
そこには、青髪を揺らしながら快活な笑みを浮かべる、ハシャーナと同じ派閥に所属する女性──【アーディ・ヴァルマ】がいた。
「はい、皆、そこにならんで!身体検査をするよー!大丈夫大丈夫、皆のことは、あのシャクティ・ヴァルマの妹で、品行方正で、いつも笑顔を忘れない──」
「【ガネーシャ・ファミリア】所属のLv5、アーディ・ヴァルマが守ってみせるよ!じゃじゃーん!!」
──自分で効果音まで言う彼女に、皆が少し白けたような目を向ける。
・・・・・・まぁ、彼女とは友人であるティオナ──英雄譚繋がりの友人──だけは「アーディだ〜!」と、嬉しそうにしているが。
「お前達ロキ・ファミリア以外の第一級で見つかったのは、あの女だけだ」
何処かゲンナリしたような声をしたボールスに、フィンは苦笑する。
彼女は、先ほど自分で自己紹介していたように、【ガネーシャ・ファミリア】の団長──シャクティ・ヴァルマの妹、アーディ・ヴァルマだ。
都市でも少ない第一級冒険者の一員にして【象神の詩】の二つ名を持つ彼女は、その人柄もあり、人気のある冒険者である。
「・・・・・・・・・決めつけはよくないけど、彼女が犯人のはずがないからね。いざって時の戦力としては申し分ないし、プラスとして考えよう」
「それに、彼女も犯人を捕まえようと頑張っているのだろうしな」
リヴェリアの言葉に頷き、フィンは一旦言葉を切る。そして、改めて集められた冒険者達を見回す。
集められた者は、数にして約500名。多いとも少ないとも言えないその数は、一人ひとり確認を取っていては時間がかかりすぎる。
犯人が女性で、確認する人数が変わろうとも、その事実は変わらない。
いつまでも時間がかかりすぎれば、不満はたまり──最悪、暴動になるだろう。
───早めに終わらせよう。
フィンがそう決意していると、周囲を見つめていたレフィーヤが、突然「あ」と声を上げた。
気になったフィンがその視線の先を見ると、一人の少年が立っていた。
白髪の髪に、深紅の瞳を持つ少年だった。
──たしか、彼はレフィーヤが言っていた──
付与魔法と広域の回復魔法、詠唱のない回復魔法を使い、さらにはナイフを使った剣技を操る少年だったか。
───実在したのか。
フィンがそう考えていると、レフィーヤが少年のもとへ駆け足で向かっていった。
────
「運がねえなあ。この様子じゃ、下手すりゃ朝までだな」
「そうですね・・・でも、仕方ないと思います」
僕達はボールスさん、という人に集められ、この広場に集められていた。
事件の犯人を逃さないために、なんだとか。
それでも、例え男同士であっても、皆警戒しあっている。
犯人は女性、という情報は出回っているが、それでも皆不安なんだろう。Lv4を殺せる存在が、今もこの街の中を跋扈しているかもしれない──ということで、皆疑心暗鬼になっている。
「どうするよ?一応、朝までに終われば稼ぎに行けるが・・・」
「いいんですよ、お金は集めれば・・・僕の場合は・・・・・・・・・嫌ですけど、ホントに嫌ですけど、最悪は死なないので大丈夫です」
「お、おう・・・そんなにいやなのか、ディアンケヒト・ファミリア・・・」
「だって、ディアンケヒト様は医療をお金儲けに、としか考えてないですし・・・僕の信条に反します。医療は人を助けるためにあるんですから」
「なんつーか、お前ってほんとに・・・ハァ・・・・・・」
「?」
僕達が話し込んでいると「あの」、と声をかけられる。
そちらを見ると、山吹色の髪をしたエルフ──レフィーヤ・ウィリディスさんがいた。
「あん?千の妖精?」
「ウィリディスさん?こんばんは」
「こ、こんばんは・・・」
何処か緊張した面持ちの彼女に、取り敢えず挨拶をする。
「どうかしましたか?身体検査なら、男性はやらないそうですけど」
「そうじゃなくて・・・その・・・・・・」
しばらく視線を彷徨わせ、やがて覚悟を決めたかのようにキュッ、とした目となる。
「ありがとうございます」
「え?」
「あなたのおかげで、私は助かりました。だから、ありがとう」
ウィリディスさんの言葉に、僕は嬉しいやら、申し訳ないやらで何とも言えない顔になる。
助けたと言っても、ただ治療師としての責務を全うしただけで。
戦闘面でも、結局は彼女が倒した。
僕は別に何も───
「坊主」
「え?」
ドンッ、という音と共に、モルドさんに背を叩かれる。
響く部分に当たったのか、痛みがなかなか消えない。仕方がないので『回復魔法』を使って痛みを消す。
「ちょ、モルドさん、何を───」
「受け取っとけ」
「はい?」
唐突な言葉に、僕は首を傾げる。
モルドさんは、まるで仕方がない親戚の子どもを見るかのような視線で、僕を見ている。
「お前のことだ。どうせ何もしてない、とでも言おうとしたんだろうが・・・やめとけ。こういう時の『エルフ』は、受け取るまで意地になるからな」
「な・・・誰が頭でっかちですか!?」
ほらな、と言うモルドさんに、僕は苦笑いを浮かべる。
「とにかくだ。受け取っとけ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
───まだ、納得はしてない。
でも、レフィーヤさんが勇気を出したのはわかる。
だから、感謝を受け取ろう。
────何で勇気が必要なんだろう?*1
「───わかりました。感謝を、受け取ります」
「はい、お願いします」
「──それと、こちらこそありがとうございました。あなたのおかげで、モンスターを一掃できました」
「──はい」
雰囲気が和やかになる中。
コホン、という咳払いの声が下の方から聞こえる。
見れば、そこには金髪の小人族の子ど──否、青年がいた。
確か、彼は───
「───【勇者】、フィン・ディムナさん」
「おや、僕のことを知っているのかい?」
「はい。オラリオに来る前に、有名な冒険者の情報はほぼ覚えましたから。それに、あなたのことは知ろうとしなくても知ってしまうと思いますよ」
「なるほど。勤勉なんだね、君は」
緩やかに微笑む彼。──だけど、なんだろう。
──何かを探られてる?
まるで、たまにバベルの塔から降り注ぐこちらを『観察』するような視線を感じる。
──犯人は女性の筈なんじゃ?
「君は『怪物祭』の時に、うちの団員を助けてくれたそうだね。感謝するよ」
「いえ、必要ありません。もうレフィーヤさんから頂きましたし、そもそも『医療系ファミリア』として当然のことをしただけですから」
「───『医療系ファミリア』?」
『観察』する視線が、怪訝なものに変わった。
「君は戦闘系や探索系のファミリア所属じゃないのかい?」
「?はい、そうですよ。それに、そもそも最初から医療系ファミリア志望でオラリオに来ましたから」
質問に答えると、今度は顎に手を添えて考え始めた。
何なんだろう、と思っていると、モルドさんが「おい」とディムナさんを高圧するかのように、ディムナさんと僕の間に立った。
「こいつは今日『リヴィラの街』に来たばかりなんだ。あんまり質問攻めにするなよ」
「・・・・・・そうかい?なら、ここらで失礼させてもらおうかな」
済まなかったね、と言いながら、ディムナさんは離れていった。
その小さな背中が遠くなったのを見つめていると、モルドさんが、『警告』する。
「気をつけろよ、『鐘兎』」
「え?」
間抜けな声の僕に、彼は呆れ顔をする。
・・・・・・最近なんだか、僕のことを世間知らずの子どもみたいな視線で見てくる人が多い気がする。
「さっきの『回復魔法』、見られてたぞ」
「え?」
イマイチ重要性がわからない僕に、モルドさんはわかりやすくした。
「つまりだ。【千の妖精】が何て報告したのかはしらんが、少なくてもお前の『詠唱がない回復魔法』が本当にある事がバレた、ってことだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あっ」
そうだった。
確かミアハ様とナァーザさんにも、上層で使う分にはいい──良くない──けど、あんまり使いすぎると直ぐに噂になって、人攫いに遭うぞ、って言ってた────
「どうしたらいいんでしょう・・・・・・」
「しらねぇよ。そんくらいは自分で何とかしな」
我ながら情けない声で泣く僕を、モルドさんは切り捨てた。
その目は、何処か可哀想な者をみる目だった。
─────
「────なるほどね」
フィンは、件の少年のことを見ていた。
彼は明らかに詠唱をしてない──Lv6の聴力で詠唱をしていないことは分かるし、そうでなくても小人族特有の視力の良さで、唇の動きが分かる──状態で、『回復魔法』らしきリィン、という音と緑色の波動を見た。
「ティオネやレフィーヤから聞いたときは眉唾物と思ったものだけど・・・・・・あの様子だと本当のようだね」
───フィンが受け取った報告。
それは、かの白髪の少年が行った所業──レフィーヤは付与魔法までもが無詠唱であることは伏せた──のことだった。
例えば、回復魔法。
『スキル』らしき白い光で様相を変えるそれは、あるときは連続で使用して一人の傷を防ぎ。またあるときは『スキル』によって、アミッドには劣るものの、『広域回復魔法』に変化する、というもの。
例えば、戦闘技能。
恐らくは『ランクアップ後のズレ』があった状態でも、食人花相手に大立ち回りを行ったと。
それはナイフによる剣舞であったり。あるいは付与魔法による加速や火力の増強、及び件の『スキル』を利用した遠距離攻撃。
───『魔導』こそない──魔法円が出ないことから明白──にも関わらず、そのあり方は『回復特化の魔法剣士』のようであった、とか。
「ふむ・・・・・・」
さて。
無詠唱の回復魔法は本当だったわけだか。
──一体、何処までが本当なんだろうね。
「団長?」
怪訝な顔をする団員に「何でもない」、と返すと、改めて『事件』の調査に乗り出す。
(今はそんな時間がないし、それに───)
───彼はまだまだ化ける。評価をつけるなら、その時でいい。
そんな予感が、フィンにはあった。
その予感を肯定するかのように、彼の『親指』が疼いた。
◯アーディ・ヴァルマ
・ガネーシャ・ファミリア
・アリーゼやティオナと同じく、元気溌剌の22歳女性
・Lv5になったのは、実は最近。憲兵をしながらで、よくここまで上げたもんだ・・・(ダイス決め)
・時を渡る道化師ではヒロインだったが、今回は・・・何でしょう?決めてないことが多すぎますね。でも、ですね?魅力的なキャラに死んでいるキャラが多すぎるので、出したくなるのはしたなn────
〜ベル君の現在のステイタス(変化が無いためスキルは除く)〜
ベル・クラネル
力:I 0→G 251
耐久:I 0→E 412
器用:I 0→F 336
敏捷:I 0→E 435
魔力:I 0→D 501
尚、ミアハ様は胃のあたりをさすりながらステイタスの写しを渡した。
そういえば今更なのですが、ここのベル君は人を助けているときほど成長します。
・・・・・・・・・なのでフレイヤ・ファミリアに入っても、ダンジョンで人助けをしないと、ステイタスはここまで伸び・・・・・・いえ、殆ど伸びなくなり、最悪スキルの効力を失います。
仲間同士での殺し合いなんてできないし、それの幇助をするようなこともできないのです。
ルートによっては鬱になって、最悪の場合は『調合』で毒を作って自ら命を絶ちそう。