草喰みの白兎   作:リヴィドーカリェー

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 なんだかんだで毎日投稿してますが、多分後半になるにつれて無理が出るんだろうな・・・とか思いながら書いてます。
 まあ楽しいから書いてるので、そこは何とか頑張る方向性で。

 次回からオリオンの矢に入るんですが・・・RTAみたいな動きになりそうです。それもこれもお義祖父ちゃんが便利すぎるのが悪い。


準備

 戦闘後に行われた『おたくトーク』は、結局朝まで続いて。

 我ながら消耗していたというのに、何処にそんな体力があるのか疑問に思うほどに語り合ったにも関わらず、未だに足りない、と思う。

 アーディさん*1とティオナさん*2も同じなのか、また今度五人で話しましょう!と約束し。

 

 何処か戦慄した様子のヴァレンシュタインさんとウィリディスさんを他所に、僕はモルドさん達と一緒に、一旦中層で狩りをした。

 大きな戦いのせいで忘れそうになるけど、そもそもの目的はお金稼ぎ。

 僕の移籍が掛かったそれは、絶対に負けるわけには行かない。

 次々とモンスターを斬り伏せ、魔法で蹴散らし、かと思えば回復し。

 鬼気迫る顔でそれを行う僕に、モルドさん達は『狂暴な治療師バーサクヒーラー』と口々に言っていた。

 ───酷い。

 とにかくモルドさん達にお礼を言った僕は、たくさんお金を稼いでは換金したお金と素材を持ってファミリアへと帰り、『リヴィラの街』での出来事を振り返りながら、二人に報告した。

 ポーション類がたくさん売れたこと。

 モルドさんが僕達を手伝った理由。

 そして『事件』と『戦闘』。

 話しを聞いていた二人は頭を抱え、最後は鬱々とした表情をしている。『この天性の巻き込まれ体質が・・・』と漏らす二人に、僕は苦笑しか浮かべられなかった。

 報告を終えると、そのまま流れでステイタスの更新をすることに。

 何でも、「そんな大きな戦いがあったのならステイタスも伸びているはず、いや伸びていろ、今回に限っては。私たちのために」と何処か鬼気迫る様子のミアハ様に背中を押され。

 ステイタスの更新が終わり、写しを受け取る。

 

  ベル・クラネル

 

 Lv2

 

  力:G 251→F 321

 耐久:E 412→D 511

 器用:F 336→E 400

 敏捷:E 435→D 556

 魔力:D 501→B 696

 神秘:H

 

 

 

(・・・・・・伸びすぎなんじゃ・・・?)

 

 魔力なんてほぼ200も上がってるんだけど・・・?神秘もHになってるし・・・。

 いくら魔法ばかり打っていたとはいえ、ここまで変わるものなのかな・・・?*3

 疑問に思う僕を前に、ミアハ様は胃のあたりを押さえていた。

 

「ミアハ様?大丈夫ですか?やっぱり、胃薬を調合したほうが・・・」

 

「気にするな、ベル。少しずつ慣れてきたからな、もう痛みも薄くなってきた」

 

「何と戦っているんですか・・・?」

 

 服を着直した僕はそのまま白衣──何とお義祖父ちゃんが作ってくれた。何でも魔法を使っても破れないんだとか。怖い──を着て、調合室にて調合を開始する。

 隣ではナァーザさんも作業を進めており、目の前には数十本もの高等二属性回復薬ハイ・デュアルポーションを作成している。

 僕も頑張ろう、と気合を入れ直して素材や試験管等の調合道具に向き合う。

 

「ベル・・・どうだった?」

 

「魔力が696になってました」

 

「そう・・・・・・・・・・・・・・・ん?・・・・・・・・・?・・・??」

 

 何を言っているのか分からない、という顔をしていたナァーザさんはしばらく考えたあと、「もういいや・・・」と呟いて作業に戻った。

 どうしたんだろう?と思いながらも時間が惜しいので、作業に集中する。

 

 

 

 薬品の香りが漂う室内で、静かな時間が流れる。

 薬草や素材を粉末にする音、鍋でお湯を沸かす音、かき混ぜる音。

 もしもここにお義母さんがいれば、目を閉じて静かに読書に勤しみながら僕の頭を撫でているか、僕に膝枕を要求*4したことだろう。

 そう思えるほどにここは静謐で、穏やかで。

 ミアハ様も神室から戻ってきて作業に加わっても、それは変わらない。

 嫌なわけじゃない。むしろ、僕はこの時間が好きだ。

 静けさを冷たさと評する人もいるけれど、僕は信頼しているからこその沈黙は暖かで、穏やかで、優しいことを知っている。

 ───お義母かあさんに会いたいな。

 ふとそう考え、いけないいけない、と頭を振る。

 二人は僕の様子に怪訝な表情を浮かべるけれど、僕が「なんでもないです」「大丈夫です」というと、心配そうにしながらも作業に戻る。

 

 ホームシック、とでも言うのだろうか。

 最近は落ち着いた時間には、どうしてもお義母さんのことが思い浮かんでしまう。

 まだ1ヶ月弱しか経っていないというのに、もう会いたいだなんてまるで子ども──事実彼は14歳の子ども──みたいな考えを二人に話したら、羞恥で顔を真っ赤にしてしまうのは目に見えてる。

 羞恥を隠しながら『神月祭』に向けた準備を進める。

 

「確か、神月祭まであと十五日なんですよね?」

 

「そう、だよ・・・だから、急がなきゃ・・・・・・お金ために」

 

「こらこら、ナァーザ。そこはベルのためと言うところだろう」

 

「同じこと・・・・・・でも、大丈夫。これが全部売れれば・・・ベルも、あの性悪のところに行かなくて、済む・・・・・・」

 

「あはは・・・」

 

 性悪って、確かアミッドさんのことだよね・・・・最近お世話になりっぱなしだから、あんまり素直に頷けない・・・・・・。

 

「ひとまず、そこを目標に頑張ってはいるが・・・さて、どうなることやら」

 

「?」

 

「・・・・・・ミアハ様?」

 

 不思議なことを言うミアハ様に、僕とナァーザさんは首を傾げる。

 確かに神月祭でどれほどポーションが売れるかは分からないけれど、それでも余った分を通常通り、もしくはまた18階層まで行って売ればそれなりの額になる。

 そうすれば、あとはクエスト等を受けたりをしてお金を稼げば、ギリギリにはなるだろうけど何とかなるはず。

 

(何か気になることでもあるのかな・・・?)

 

 僕たちの様子に気付いたのか、ミアハ様は苦笑を浮かべた。

 

「なに、そこまで気にすることでもない。私たちが力を合わせれば、何とかなるはずだ。ただ・・・・・・」

 

「ただ?」

 

 一旦言葉を切ったミアハ様は、上を見上げた。

 釣られて僕たちも上を見るけれど、そこには木製の天井しか見えない。

 

「少し、嫌な予感がしてな・・・・・・・・・」

 

 何処かうわ言の様に呟くミアハ様に、僕達は何も言えなかった。

 

 

 

 

 

 

────

 

 

 

 

 

 

 

「それで?お前はそんなことを私に頼みに来たのか?」

 

「すまないとは思ってる・・・・・・でも、外界の危機なんだ。いくら君が『ダンジョン、及び三大クエストに挑むのを禁じられている』とはいえ、これはまた別件だ。流石の神々でも、大目に見るはずだ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 朝方。

 冴え渡る空の下、遮る木々が地面に光と影の絨毯を作る中。

 『本日臨時休業』の看板を扉に掛けた『紫氷の森』店内にて、店主のフォスと旅装に身を包んだ男神が対峙していた。

 その端正な顔を歪ませながら男神を睨むフォスは、次にはため息をついた。

 そして、次にはどうしょうもないものを見る目で、その男神を睨んだ。

 

「それで?その『槍』とやらを扱えるものは居るのか?居ないのなら、そもそもこの話は無しにしてもらうが」

 

 男神を拒絶するかのように言葉を紡ぐ彼の内心は、その表情と同じく『不快』一色だった。

 普段はベルに食事やプレゼント──値段?そんなの大体が買ったら数千万円〜数億ヴァリスの代物だよ言わせんな恥ずかしい──を与えて優しさや甘さを振りまく彼の姿とは似ても似つかないだろう。

 ───単純に義孫に甘い義祖父なだけかもしれないが。

 

 閑話休題とにかく

 普段の彼とは違うその姿は、何処か鬼気迫ってもいた。

 ───あるいは、嫌すぎる予感がする、というのも理由なのだろうか。

 

「それはこれから探す」

 

「悠長じゃないか?そもそも、私に来るよりも先に探すのが礼儀だと思うんだが?」

 

 怒気を撒き散らす小さなエルフの老人に、男神はたじろがない。

 死ぬ覚悟を決めたかのようにまっすぐな瞳は、まるで純粋な夢見る子どものよう。

 

「予感がするんだ」

 

「予感?・・・・・・神々の勘、か」

 

 ああ、と頷く男神から一度目線を逸らし、目を伏せる。

 

(正直に言えば、ベルと離れるのは困る・・が・・・・)

 

 義孫を溺愛する彼からすれば、今回の申し出には即刻No!を突きつけたいほどに耐え難いものだ。

 たった数日とはいえベルから目をそらすというのは、アルフィアがオッタルを見たら殴らないくらいの確率だ。

 そんな耐え難い日々か、それとも行かずに過ごせば世界が滅ぶ様をベルに見せつけることになるか。

 無言で数秒考え込んだ後、重々しく「ハァ」、とため息をつく。

 渋々──本当に渋々了承することにした。

 

「・・・・・・・・・いいだろう。その話しに乗ってやる」

 

「本当かい?いやぁ、助かるよ!これでa──」

 

「ただし」

 

 男神の言葉を遮った彼の目は、まさに猛禽類のように鋭く細められている。

 互いに座っているとはいえ、身長的に男神が見下ろす形になっているが、見上げてくる目は神の身であっても──否、彼を相手する場合は『神であるからこそ』、怖い。

 

「もしもベルを──義孫を巻き込んでみろ。お前のことをアルフィアとザルド、さらにはゼウスとヘラにも言ってやる」

 

 覚悟しろ、と敵を睨むかのような目を前に──もっと言えば話の内容に──男神の喉から「ヒュッ」という空気が抜ける音が響く。

 ややあって頷くと、ようやく彼は目を閉じた。

 男神は逆に心臓の辺りを押さえ、恐怖で早鐘を打つそれを鎮めようとしては失敗を繰り返す。

 

「それで?まず私に何をしろと?」

 

「・・・・・・先にアストレアの眷属達を送ってほしい。周辺の村にも被害が出ていてね。もう彼女達には話を通してあるから、直ぐにでも出てくれ・・・・・」

 

「こいつっ・・・・・・ハァ・・・・わかった。今日の夜には戻る」

 

「そうしてくれ・・・・・」

 

 何処か魂の抜けた顔をする男神を他所に、フォスは椅子から立ち上がり扉へと向かう。

 ───さっさと終わらせよう。

 そう考えるフォスに、男神は「ああ、そうだ」と何かを思い出したかのように呟く。

 振り返るエルフに、男神は目を細めて『願う』。

 

「もしものときは、君に『封印』を頼むかもしれない。それだけは考えておいてくれ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「頼むよ」

 

「・・・・・・・・・わかった。だが、『次はない』からな」

 

 言葉を残し、フォスは今度こそ家を出た。

 あとに残った男神は、冷め始めたお茶を飲む。

 ───何処か痛む胃と、嫌な予感がビンビンする現実から全力で目を逸らしながら。

*1
シャクティ・ヴァルマさんと被るから名前で、とのこと

*2
同じくティオネさんと被るから名前

*3
変わっているのはお前定期

*4
注意:ベル君がする側で、義母がされる側です




 一体何ルメスなんだ・・・。
 そしてお義祖父ちゃん、過保護。
 ミアハ様とナァーザさんとベル君は、ベル君がダンジョン探索に行ってないときは結構一緒にいます。だから一人でお店番してた一話が異常なんですね。
 どこぞの義母との生活のおかげ・・・おかげ?で物音をあまり立てなくなったベル君。

 ホームシック気味なベル君。
 仕方ないね、あれはまだ14歳だからねしょうがないね。
 ・・・・・・原作だと中学生くらいの子どもにあんなことしてたってマジ?皆大人げないなぁ・・・・・・
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