さて、次回からはなんとSO3巻のお話に・・・・・遅くない?と私も思いましたが、そこはご容赦を。思ったよりも長くなったので。
ただ、そこの話でベル君に新たな『家族』(?)のような意外な人物と絡ませる予定なので、頑張りたいですね。
・・・・・・・・ベル君の二つ名、どうしようかな・・・・・ホントにバーサクヒーラーしようかな・・・・・なにかいい案ありませんか?
「───────」
男神は堪えていた。
それは怒りだろうか?それとも悲しみだろうか。
いずれにしても、それは自身の眷属──ベル・クラネルを中心としたものであることには変わらないだろう───
事の始まりは、ベルの帰宅。
男神──ミアハが数日前に送り出したベルが『旅』を終え、ファミリアのホー厶へと帰還した。
言いたいこと、聞きたいことはたくさんあったが。
それでも、『現実』を前に涙を流し、悲しんだであろう少年を、男神は『慰め』ようとして───
「数日ぶり、になるのか?久しいな、ミアハ」
「───アルテ、ミス?」
───『旅』の目的が達成されたのであれば消えているはずの女神が、まるでいるのが当たり前の顔をしてやってきたのだ。
とはいえ、そこはいい。ひとまずは受け入れられたし、何となく『勘』で分かってもいたからだ。
何よりも驚いたのは、大の恋愛アンチで知られていた彼女が、『旅』を終えてもベルと共に過ごすことを選んだこと。今後はベルの義祖父のもとで寝泊まりすることになったそうだ。
眷属の全滅等も理由としていたが・・・・・女性関係に鈍いミアハでも、彼女がベルに『懸想』をしていることも理由であることは、なんとなく察しがついた。
特に口出しをするつもりはないが、果たしてかつて恋愛アンチだった彼女はどのような恋愛模様を見せるのか・・・・・「今度ヘスティアのやつに教えてやるか」、とミアハはちょっといたずらっぽく笑った。
閑話休題。
とにかく。その後、『青の薬鋪』内の神室にて、二人から事の経緯及び結末を聞いた。
心配や不安、そして悲しみと喜び。
様々な想いこそ浮かんだが、それ以上にベルが無事に帰ってきてくれたことが嬉しく。ミアハは思わずベルを抱きしめ、「よく頑張ったな」、と褒めた。
───そこまではいい。
驚きこそしたが、それは喜ぶべきことだった。
───故に今、『胃』がキリキリどころかギャリギャリ、という削れるような異音を発しているのは、やはり目の前にある『ステイタス』のせいか。
ベル・クラネル
Lv2
力:F 321→ S 1006
耐久:D 511→ SS 1203
器用:E 400→ S 1039
敏捷:D 556→SSS 1315
魔力:C 696→SSS 1506
神秘:H→G
《魔法》
【アンジェラス】
・速攻魔法
・音属性
・回復魔法
・浄化魔法
【ファイアボルト】
・速攻魔法
・付与魔法
・炎属性
・雷属性
《スキル》
【救命一筋】
・早熟する
・救命への信念が続く限り継続する
・救命への志の丈により効果向上
【草噛白兎】
・薬品の調合時、発展アビリティ『調合』を一時的に得る
・発展アビリティ『幸運』を得る
【英雄願望】
・能動的行動に対するチャージ実行権
・『英雄の一撃』消失
・蓄力可能時間、一分に制限【解除不可】
「────っ─────、─────」
ミアハは叫びたい欲求を抑え、すぐに『ランクアップ』の作業へと移る。
もはやアビリティの上昇量や『英雄願望』の変化には反応すらしないように意識を集中している様は手慣れていると言えるだろう。
そんな「これ以上は耐えられない」、という意思によって行われた『ランクアップ』は────男神の『胃』に、さらなるダメージを与えた。
ベル・クラネル
Lv3
力:I 0
耐久:I 0
器用:I 0
敏捷:I 0
魔力:I 0
神秘:G
魔導:I
《魔法》
【アンジェラス】
・速攻魔法
・音属性
・回復魔法
・浄化魔法
【ファイアボルト】
・速攻魔法
・付与魔法
・炎属性
・雷属性
"new"
【エウロギア・セリノーフォス】
・強化魔法
・精神力を込めるほどに効果範囲拡大
・範囲内の対象に全能力値へ中程度の補正
・範囲内の対象に月下状態を付与
《スキル》
【救命一筋】
・早熟する
・救命への信念が続く限り継続する
・救命への志の丈により効果向上
【草噛白兎】
・薬品の調合時、発展アビリティ『調合』を一時的に得る
・発展アビリティ『幸運』を得る
【英雄願望】
・能動的行動に対するチャージ実行権
・『英雄の一撃』の永久消失
・蓄力可能時間、一分に制限【解除不可】
"new"
【月女神の英雄】
・狩猟の加護
・弓の装備時、全能力値の超高補正
・魔法使用時、消費精神力減少
・月下条件下達成時、体力及び精神力の自動回復、異常無効
「─────ぐぼあぁっ!!?」
「ミアハ様!?」
「ミアハ!どうした、何があった!?」
突然血を吐き出したミアハに二人が悲鳴を上げる。
それを何とか片手を上げることで静止し、もう一度混沌極まる『ステイタス』を見る。
発展アビリティ『魔導』に関してはいい。
今のベルはこれしか発現しないし、何より彼の『魔法』が効率化されるのは喜ぶべきだ。
───問題は、やはり新しく発現した『スキル』と『魔法』。
【エウロギア・セリノーフォス】。
強化魔法であることは別に問題ではない。そもそもが『超長文詠唱』。むしろ控えめとも言えるだろう。
効果範囲を変化できること。これも、ギリギリ問題ではない。
───となれば、残った一つに問題がある。
月下状態の付与。
これは読んで字の如く、対象に月の下にいる時と同じ状態を付与する効果だろう。
もちろん、これ単体では効果などない、が───問題は、これが『
───狼人という種族がいる。
彼らは獣人の中の一種であるのだが・・・・・彼らには、
それは発動さえすれば、レベルが一つ上がるに等しいステイタスの上昇が約束されている。
そのため、発動さえすれば強力なのだが・・・・・問題は、
それ故に、狼人は『この世で最もダンジョン探索に向かない種族』とすら揶揄されているのだが───この『魔法』がバレてしまえば、その限りではなくなってしまう。
いつでもどこでも・・・・・それこそダンジョン内に限らず、太陽の下や曇りの日でも月下条件を達成できるのだ。
こんなものがバレてしまえば、それこそ高レベルの狼人を擁するファミリアに狙われることになるだろう。
結論としては、やはりこれはバレるわけにはいかない・・・のだが。
このような『魔法』は隠したとしても、使用する場面が来た時が一番困るだろう。
故に、伝えるしかない。とても業腹ではあるが。
『魔法』についての結論は出した。
次に『スキル』だ。
『月女神の英雄』。
これに関しては、これ単体ではそれほどでもない。
弓矢装備時に全能力値に超高補正は、ベルが弓を使ったことがないため、そもそもこれが機能する日が来るのかどうか、というレベルだ。
消費精神力の減少も・・・まあ、珍しくはあっても、そこまでではない。そのはずだ。そうだと言ってくれ。
問題は、月下条件を達成した際の効果。
体力及び精神力の自動回復、そして異常無効。
つまりは、月の下にいる時のベルは『不死』に近いほどの『回復力』を有する、ということになる。
『スキル』から伝わる感覚からも、あり得ざるほどの効果で回復することが伝わってくる。
そして、異常無効。
これは毒や魅力を含めた、あらゆる異常効果を無効化するもの。
単純ではあるが故に強力な効果の数々。
これらの発動条件が月下条件下でなければ、ダンジョン内でもゆうに活躍する強力なスキルだっただろう。
──本来であれば。
先も言った通り、ベルにはいつでも『月下状態』にできる『魔法』がある。
それさえ発動すれば、ベルは即死しなければ死なない強力な『魔導士』──いや、『魔法剣士』となるだろう。
───胃が、またギリギリとした。
もはやどのような事が待っていても抗う覚悟を決め、『ステイタス』の写しを作成しようとし──ふと、気が付く。
『スキル』の欄にある、【救命一筋】。
ぱっと見ではわからないそこに、ミアハは『違和感』を覚えた。
それこそ、先程───Lv2の時には感じなかった『違和感』。
それを探ってみると───『スキル』の力が、弱まっているように感じられた。
無論ベル自身の『想い』は消えていないし、むしろより猛く燃え盛っていることは見ればわかる。
しかし、これは───
(───これが、フォスの言う『英雄願望』以外の『代償』、ということか?)
勿論、スキルの効力自体は残っているため、今後も『アビリティ』は上がりやすいだろう。
けれど、それは以前よりは弱い・・・・・そんなことを感じ取れた。
(いずれにしても、これは引き続き隠し通さねば・・・・・)
決意を新たにし、ミアハは『修正』した『ステイタス』の写し──Lv2とLv3のもの──を渡した。
二枚渡されたことにベルは一瞬怪訝な表情になったが、すぐにランクアップしたことを理解すると、その目をキラキラとさせた、
「おめでとう、Lv3へのランクアップだ。発展アビリティは『魔導』しか発現できなかったが・・・・・その様子だと、満足したようだな」
「はい、もちろんです!『魔導』だけじゃなくて、新しい『スキル』と『魔法』が発現したんですよ!嬉しいに決まってます!」
「これは・・・・・・?」
───その時。ミアハは自分の
今この場にいるのは自身とベルだけにあらず。
ここには、ベルと共に居たがったアルテミスがおり。
彼女はベルがベッドに置いたLv2の時の『写し』を手に取っていて。
この状況で、ベルのステイタスを見たりしたら───
「───なんだ、これは?どういう、ことだ・・・・?」
食い入るかのような目で、ベルの『写し』を見る。
その顔はまさにおかしなものを見る時のような──実際おかしい──目つきで、睨んでいた。
ミアハは思わず天を仰いだ。
───ベルは、自身のステイタスがおかしなものだと気づいてない。
無論、ランクアップの速さがおかしいことはなんとなく理解してはいる。
だが、肝心のステイタスの数値の伸びは「普通はこんなものだ」、と思っている。
それはミアハやナァーザ、フォスの三人で行った情報操作によるものだ。
───それ故に、まずはアルテミスに『説明』をするしかない。
───胃が、さらに痛んだ。
それでも、愛する眷属の未来のため、ミアハはベルにギルドへ『ランクアップ』の報告へと向かうように指示し、アルテミスを神室の外へと連れ出し、詳しい事情を説明。
なんとか納得してもらい、『ベルになにかあったらすぐに知らせる』という約束を互いに結ぶことで事なきを得たが、今後はより慎重にならざるを得なくなったことを、ミアハは自覚した。
───慣れたはずの胃痛がよりひどくなったことも、一緒に自覚しながら。
────
ホームでのステイタスの更新が終わり。
僕は『ランクアップ』を伝えるために、バベルへと向かっていた。
時刻はお昼が近くなり、人々が飲食店へと次々と入っていく様子が見て取れる。
アルテミス様とミアハ様は相談することがあるみたいで、ホームに残った、んだけど・・・・・一体どんなことを話すのだろうか。
一応は僕に関することではあるんだけど、まだ僕に伝えられない話、らしい。
気にはなるけど、二人が聞かせないって決めたってことは、それは本当に知らせることができない内容なんだろう。
その時が来ることを待つことしよう、と決めて。僕は歩みを進めた。
やがて遠目からも見える程に高くそびえ立つ塔の入り口が、ようやく見えてきた。
「エイナさん、いるかなぁ・・・・・」
今回はお説教されませんように、と内心で思いながら。
僕はバベル内にあるギルド本部へと、走り出した。
────
「エイナさーん!こんにちはー!」
「・・・・・ベル君?珍しいね」
僕は入り口に入った途端、エイナさんを発見して嬉しくて大きな声を出してしまう。
たった数日前に来た時の記憶が想起されたけれど、すぐにそれを押し込めてエイナさんへと『報告』をする。
「えっと、実は報告することがあって・・・・・」
「?報告・・・・?依頼は受けてなかったはずだよね・・・・・?」
「そうなんですけど・・・・・」
前にお説教されたことを思い出して、僕は少し言葉に詰まった。
それでも、いつまでもエイナさんを引き留めるのは申し訳ないから。意を決して、言った。
「実は、『ランクアップ』の報告に来たんです」
「そっか、ランクアップ・・・・・ランク、アップ・・・らんくあっぷ?」
何度もオウム返しに呟く度に、声が弱々しくなっていくエイナさん。
・・・・・もしかして、聞こえなかったのかな?そう思った僕は、今度ははっきりと、少し大きめな声で言った。
「Lv3にランクアップしたので、報告に来ました」
「・・・・・ベル君。君、前にランクアップしたのって、いつだっけ」
「え?・・・・・十日くらい前、です?」
「そう・・・だよねぇ・・・・・」
少し俯きがちになったエイナさんは、力なく呟くと、近くにあった紙を一枚取り出した。
そしてペンを手に持つと、すぐにそれにサラサラ、と書き始めた。
(・・・何を書いてるんだろう?)
そう思っていると、エイナさんは僕を前に案内された個室へと連れて行った。
「えっと・・・うん。ベル君、今回はどんなモンスターを倒したのか、話してくれる?」
「ええ、っと」
僕は覚えてる限りのモンスターを報告する。
『怪物祭』と『リヴィラの街』に出現した食人花を数匹、今回の『旅』で出現した蠍型のモンスター。そして───『アンタレス』。
概要ではあるけど──アルテミス様が吸収されたことは流石に伏せた──倒したモンスターを報告した。
すると、エイナさんは怪訝な表情をした。
「えっと・・・・・何処か可笑しかったですか・・・・・?」
「うーん・・・・・その、流石にモンスターの討伐数が少なすぎて・・・・・ちょっと、ね」
「うーん・・・」と悩むエイナさんに、僕も困ってしまう。
つまりは、討伐数が少なすぎて真偽性を疑われている、ということ。
嘘は一切ついてないし、ランクアップもちゃんとした。
となると、どうするべきか・・・・・
・・・・・・あ。
「あの、エイナさん。確か、エイナさんは神聖文字を読めるんですよね?」
「え?うん・・・それがどうかしたの?」
「その・・・・・僕の『恩恵』、見てくれませんか。それが確実ですから」
「・・・・・いいの?」
恐る恐る、といった様子で聞いてくるエイナさんに「はい」、と答えると、僕は『恩恵』を見せた。
「うん・・・本当にLv3だね。あ、発展アビリティ・・・『魔導』?」
「はい。それしか出なかったらしいんです」
「うんうん。ベル君は治療院だもんね。『魔導』とか『回復』は必須だよね」
「はい。できれば、Lv4になれたら『回復』が欲しいんですよね・・・」
「うーん・・・このままランクアップできる保証もないし、何よりこれ以上無茶にしてほしくないし・・・・・難しい話だね」
ありがとう、と言いながら、エイナさんは離れた。
僕はすぐに上着を着て、椅子に座り直した。
「・・・・うん。取り敢えず上には言っておくけど・・・・・場合によっては正式な発表が遅れるかもしれないから、そこはごめんね」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
ひとまず用事は終えたから、僕はお辞儀をして部屋を出た。
このあとはどうしようかな、と思っていると───
「十日でLv3ってなに〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
そんな聞き覚えのある、少し籠もった声が聞こえた。
僕は申し訳なくなって、少し足早でギルドを出ていった。
ベル君に補填をあげました。ただ、それと同時に以前のような急激な成長率も消えました。
まあ、それでも一般の冒険者からしたらふざけんな!レベルの速さなんですけどね。
あんまり強すぎてもあれなので、『超長文詠唱』(まだ詠唱決めてない)であったり、あとは使用条件がちょっと限定的だったりで、咄嗟に使うことはできなくしたつもりです。
現状普段使いできるのは、『魔導』と使用精神力の減少くらいのはず。
・・・・・それでも強い?何処ぞの狼人と組ませたらヤバい?
・・・・・ははっ