前から言っていたキャラ崩壊するしかなくなった白巫女さんの本格登場回ですね。どうしてこうなった・・・・・・
それもこれもダイスさんが100とか200とかを連発するのが悪いんだ・・・・・・私は悪くないんだ・・・・・・私はTRPGプレイヤーだからダイスには逆らえないんだ、だからしょうがないネ。
何処ぞの山吹さんやワインさんに執着する彼女が好きな方々に言わせてください。
ごめんなさい。
少女──フィルヴィス・シャリアは、陰鬱として鬱々とした気持ちでいっぱいだった。
場所はロキ・ファミリアのホーム、『黄昏の館』。
【ディオニュソス・ファミリア】の団長である彼女と、その主神ディオニュソスは、極彩色のモンスター及びそれに関連するだろう事柄の情報交換のためにその地を訪れていた。
監視のためか、あるいは好奇の視線か。いたるところから視線を集めていることを自覚し、思わずため息が出そうになる。
───本来の予定であれば、フィルヴィスはこの場に来る予定ではなかったのだ。
ある人物に会うために、『とあるお店』に行く予定だった・・・のだが。 出発直前になって急に主神に呼び止められ、この場所まで連行されたのだ。
『すまないフィルヴィス、今日はロキと情報交換をしに行く。護衛を頼みたいんだが─いいかな?』
ファミリアの団長としては受けるしかないその申し出に、少々──副団長にその時の彼女の様子を尋ねれば、フィルヴィスを目の敵にしている彼女にしては珍しく、顔を青ざめさせて、恐怖に体を震わせるだろう──本当に少々不服だが従い、主神ディオニュソスと共に、ロキ・ファミリアのホームへと向かい、到着からすでに三十分ほど。
「あまり知られてないが、以前にもモンスターの大量発生があった。30階層でだ」
「それはいつの───」
現在もまだ、神ディオニュソスと神ロキの話し合いは続いている。
ぼんやりと話を頭の片隅で聞きながらも、やはり頭の中を占めるのは『探し人』のこと。
彼との出会いは『暗黒期』。
人々が恐怖に震えている中、フィルヴィスは当時のファミリアの先達から短杖──『護手のホワイトトーチ』の整備先として、『とあるお店』を勧められたのでそこに行った際の話。
当時は今以上に正義感に溢れていた彼女が、その店長であった
「お前のような存在を、私は『悪』から守ってみせる」
──と、何処か逆告白のような言葉を言ったのが、二人の出会いである。・・・言われたほうは、微笑ましいものを見るような目で彼女を見ていたが。
──そこから二人の交流は続いた。
彼の整備の腕が良かったので、それ以降も彼の元を訪ねるフィルヴィスに、そんな彼女へ、まるで『
ファミリアの先達が自分に対して明らかに子供扱いしてくる話、守りきれなかった人々の話、ランクアップをした話。
様々な話をフィルヴィスが振り、それに彼が時には相槌を打ち、時には反論しつつも彼女の話を聞いて。
ファミリアとは異なる安らかな時を過ごすフィルヴィスは、その時間が好きになっていった。
──そんな時に、『あの事件』が起こった。
およそ6年前に『とある姉妹』と、当時の【ディオニュソス・ファミリア】の交戦が発生。
そこで彼女も奮闘したのだが───彼女以外のファミリアのメンバー全員が、死亡した。
その事に絶望し、それでも果敢に立ち向かった彼女も瀕死の重傷を負い。
もはやこれまでか、と思った時に──彼女が持っていた『腕輪』が光った。
それを見た時点で彼女は気絶し、それ以降のことは知らない。
ただ、その腕輪の送り主──件のエルフが、その現象を起こしたことは理解した。
問い詰めた彼女に、エルフはこう言った。
「あれは所持者が命が尽きるほどの危機に瀕した際にしか発動せず、さらには所持者の『精神力』の殆どを吸い取ってようやく発動する、文字通りの欠陥品だ」
「たとえ発動しても、『氷の結界』が現れて所持者を護ることしかできず、傷を治すこともできない──文字通りの『お守り程度のもの』さ』」
何処か自嘲気味に、悲しみに包まれた顔でそう言う彼に、彼女は一体何を言ってやれただろうか。
兎にも角にも、何も言えなくなった彼女は空気を変えようと、自身の『左腕に残った傷跡』を見せて「これでは嫁に行くなど夢のまた夢だな」、と漏らしたのだ。
───すぐに彼女は、自分のミスを自覚した。
空気を変えようとしたのに、これではさらに空気が悪くなるだろう、と。
オロオロとし始めた彼女を見て、彼は微笑みを浮かべて。
──彼女にとって、大切な『約束』をした。
「なら、もしも君に結婚相手が現れなかったら・・・私が貰おう」
───その時だろうか。
フィルヴィスの心に、淡い恋心のようなものが芽生えたのは。
それが恋であることにその時は気付かなかったけれど、彼女は彼を明確に意識し始めた。
交流の時間は増え、関係もより濃密になるように努力した。
そうこうしているうちに、やはりもっと意識するようになり。
楽しい日々を送れている時に、また『とある事件』が起こり。
───それに怒り狂った彼が、『闇派閥』を壊滅させた。
いきなりのことに皆が混乱している中、彼はオラリオを去ることになった。
いつかは帰るが、それでも数年は帰らないという彼に、ようやく彼女は『恋心』を自覚した。
予想外の想いに自身で戸惑いつつ、それでも彼にこう尋ねたのだ。「どんな女性が、好きなんだ?」と。
それに、エルフは───
「強い女性、だな」
と、何処か寂しそうな顔をして言った。その顔には、既に居ない者への深い悲しみの影があった。
───それ以降の彼女は、まさに噂に聞く『剣姫』のように苛烈だった。
好きな人に意識されるように──強く──なるために、フィルヴィスはダンジョンにこもるようになった。
迫りくるモンスターを次々と斬り伏せ、魔法で貫き、障壁で押し潰す。
まさに鬼気迫る形相でモンスターを葬り、返り血に染まる彼女を『死妖精』と呼ぶ者も現れたが──それでも、彼女は止まらなかった。
そうして、今はLv5にランクアップ可能──アビリティを上げるために保留中──の状態となった彼女は、その『噂』を耳にしたのだ。
───件のエルフがオラリオで新しい店舗を出した、という噂を。
勿論、フィルヴィスは何度も会おうと画策し、オラリオ内を走り回ることもあった。
それでも、時には今回のように主神に妨害されたり。またある時にはお店が臨時休業中で*1会えなかったりと、中々会う機会に恵まれない。
(どうすれば、私達は会えるのだろうな)
いつまでも続く神々の話し合いに、彼女はまた思い出に浸ろうとした、その時───彼女は、
───偶然だった。
たまたま門から外の景色が見えて。
たまたま彼女が記憶を巡る時間を終えていて。
たまたま───
様々な理由こそあったが──それでも、彼女がやることは一つだった。
「───フィルヴィス?」
「────」
彼女の主神が気付いたとしても、遅い。
既にフィルヴィスはその視線の先しか見えていない。
主神が静止するために手を伸ばすも、それよりも早く彼女は飛び出した。
門番を飛び越え、エルフが消えていった方向へと走る。
───その視線の先に、黒紫色の髪を捉えながら。
────
「高年齢のエルフさん。貴方の恋人どこでしょう〜♪」
何処か上機嫌な様子のエルフの少年───否、背の低いエルフの老人は、紙袋を抱えてスキップしていた。
空はお昼頃を示すかのように日差しが真上から降り注ぎ、彼の影を地に落とす。
そんな影を踏みつつ、まるで見た目相応な仕草をする彼を見つめる目は微笑ましいものを見る目であったり、あるいは彼の年齢を知るものからは変なものを見る目で見つめている。
彼が珍しくここまで上機嫌なのは、その紙袋の中身にあった。
なんと、その中にはとある魔術師の魔導具が入っているのだ。
普段は雑用ばかり投げつけてくるかの魔術師からの思わぬ贈り物に、エルフ──フォスは上機嫌だった。
「それにしても、フェルズもこんな贈り物をしてくることがあるのだな。普段は雑用の仕事ばかり押しつけてくるくせに」
ニコニコと本当に嬉しそうに紙袋を抱える様は、まさにプレゼントを贈ってもらった子供のようで。
そんな嬉色を撒き散らす彼に、近づく影。
「───フォス!!」
「───ん?」
どこかで誰かに呼ばれた気がしたが、あたりを見回しても見当たらない。
首を傾げながら、そのまま家への道を──
「フォス!!」
「・・・誰だ?」
やはり自身の名前が呼ばれていることに気付き、辺りを見回──
「フォス!!」
「うっ!?」
──す前に、彼は人と激突した。
明らかに自身よりも高身長の存在が背中にぶつかったことにより、彼は地面へと倒れ込みそうになる。
しかし、そのぶつかった存在は彼のことを掴み、そのまま立たせた。
フォスはその犯人を見て、驚きの声を上げる。
「・・・・・・シャリア?」
「あぁ・・・やはり、フォスなんだな・・・!!」
「あ、あぁ・・・久しぶりだな。五年ぶりか?」
まさに先程のフォスと同じ程に嬉色満面な表情をした彼女は、彼の右手を左手で握りしめる。
その様子に彼は戸惑った。はて、彼女はここまで肌の接触を許すような娘だったか、と。
彼の記憶が確かなら、彼女は潔癖な気があるエルフの例に漏れず、気を許した相手しか肌の接触は許さない。
以前はここまででは無く、せいぜいがたまに人混みで触れてしまう時があった程度。
今は手袋に覆われているとはいえ、それは変わらないはず。
(それがこうまで触れてくるとは・・・一体何があったんだ・・・?)
「フォス?どうした?」
「・・・いや、何でもない。そら、もういいだろう。手を離しなさい」
「・・・断る」
「は?」
まさか拒否されるとは思わなかった彼は、思わずフィルヴィスを見上げた。
彼女の赤緋色の瞳は、彼の深緑を射抜くかのように見つめていた。
しかし、綺麗なはずのその瞳に、彼はどこかで見たことがあるような『病み』を観たようなきがした。
「離せば、次に貴方に会えるのがいつになるのか分からないだろう?もし会えなくなったら、私はこの時のことを後悔することになる。私はそうならないために、こうして貴方の手を繋いでおかないといけないんだ。だから、離すことができない・・・すまない。もしも貴方が私とこうして手を繋ぐことが嫌だというのなら・・・私のこの『左手』を切り落としてくれ。そうすれば、私は貴方のことを諦めきれる。・・・・・いや、そうでなければ諦められないんだ。だから、頼む。私を受け入───」
「まて、いったん落ち着け。・・・・ここは人通りが多い。もっと人が少ないところならいくらでも触れていい。だから、落ち着け」
どうどう、と暴れ馬にそうするようにフィルヴィスを落ち着けようと喋りかけるフォス。
フィルヴィスはそんな彼の台詞──特に人の少ないところならという部分──を聞き入れ、彼の手を掴んだまま人通りが少ないところへと向かった。
───そう、【ロキ・ファミリア】のホー厶へと。
「・・・・・は?クソガキエルフ?」
「フィルヴィス、何処に行・・・・・その子は、誰だい?」
「・・・・・久しいな、ロキ。そこな男神は初めまして。私はフォスという。この子の・・・知り合いだ」
まるで迷子の子供を連れてきたかのように手を繋いで現れた己の眷属の姿に、ディオニュソスは目を見開いた。
ロキは彼と知り合いなのか、その顔を驚愕の色に染め、普段は細められている目を見開いていた。
しかし、先程の彼の自己紹介が気に食わなかったのだろう。フィルヴィスはすぐに彼の自己紹介を『訂正』する。
「少し違います、ディオニュソス様。彼は『紫氷の森』の店主のフォス。私の────
そこで言葉を切ったフィルヴィスは、フォスのことを見た。
『紫氷の森』の店主であることがバレた事により、周りで聞き耳を立てている者──特に魔導士──の視線を集めている事に辟易した様子でいる彼は、フィルヴィスのことなど、
その事に彼女は唇を噛み締めて、こう思った。やはり、と。
「やはり、今の私でも貴方に釣り合わないのか・・・」
自身で呟いて、すぐに胸中を悲しみと怒り───そして、恐怖で埋め尽くす。
『捨てられるかもしれない』、という自身の考えに嫌だと何度も叫ぶ声に従い、彼女は『事実』(?)を口にした。
「彼は私の────
───────『恋人』です」
「─────────ん?」
彼女の言葉に、一番に反応したのはフォス。
彼は彼女の言葉がきちんと聞こえていたし、言葉の意味も・・・あくまで言葉上でだけ理解した。
フィルヴィスがフォスのことを『恋人』と言ったことを。
しかし、理解できたのはそこまでで、肝心なところが分からない。
(───はて。私とフィルヴィスは『恋人』だったか?)
───と。
どちらかが告白した記憶はない。
そもそも『でえと』なるものに出かけたことも(フォスの中では)ない。
果たして、彼女はどうしたのか・・・、とフォスが考えていると、神々は何処か納得した様子でいて。
ロキは犯罪者──否、まるで何処ぞの『光源氏』を見るような冷たい目で見てくる。
「どうした?そんな目で見てきて。一応言っておくが、私はお前のことが嫌いだぞ、ロキ」
「そんなんうちかてそうやわ。そうやなくて、『こいつマジで行くとこまで行ったな』って思っただけや」
「・・・・失礼なやつだな。そもそもの話だが、私とシャリアが『恋人』?・・・・・どう考えても
「せやなあ。お前を婿に選ぶくらいなら、普通はフィンとかガレスを選ぶわ」
「シャリアはエルフだ。子を成すなら、同胞かヒューマンの二択だろう。その二人は普通、選択肢から消えやすいはずだが」
「知っとるわ。その上で言うとるんや」
二人の会話を、フィルヴィスは聞いているようで聞いていない。
彼女は、先のフォスの発言を延々と再生していた。
───『私のほうが釣り合っていないだろう』
先程まで、フィルヴィスは自身とフォスが釣り合っていないと考えていた。
しかし、彼は自分が釣り合っていないと考えている。
───それは、つまり───
(───私とフォスは、既に『婚約者』・・・・・いや、『夫婦』?)
───ここで、彼女の心の内を説明しよう。
先程までの彼女は、
それは戦いすぎて頭がとんだのか、あるいは五年も離れている内に記憶が歪んだのか。
あるいはフォスの『相手がいなければ』という発言を、『自分には相手など現れない』と解したことで、自動的に『フォスと自身は既に恋人』としたのか。
いずれにせよ、現在の彼女は曲解に曲解を重ね、『心の底から』『彼と自分は夫婦』だと思っている。
つまり───
「彼・・・いえ、夫の言う通りなのです、神ロキ。つまり───私達は夫婦なのです」
「シャリア?どうしてそうなったんだ?」
暴走したエルフは、例え同胞だとしても止められない。
何よりもたちが悪いのが、先の『恋人』発言といいその全てが彼女が本気でそう思っているために、『下界の子の嘘を見抜ける』神には『本当のこと』だとしか思われず、フォスの言葉が尽く潰されていることか。
「・・・・・なぜ、こうなったんだ・・・・・?」
『貰う発言』で起こった現実に、フォスは疲れた声を漏らすことしかできず。
発端であるフィルヴィスは彼の手を握り、心の底から嬉しそうに顔を綻ばせていた。
よくわるフィルヴィスの心の流れ。
『フォスの恋人は私』(???)
↓
『フォスがオラリオを離れたのはフィルヴィスが強くないからだ』
↓
『強くならないといけない、フォスに相応しくなりたいから』
↓
『フォスが帰ってきた。もしかして、フィルヴィスを認めて・・・?』
↓
『でも私をフォスは見てない・・・』
↓
『フォスが私を認めてた!?つまり、先程の発言は『恋人』ではなく『婚約者』、ないし『夫婦』にしてくれ、という意味・・・!?』
↓
『私達は夫婦だ』
・・・・・・ナニコレ?
どうして私はこうも変な方向にばかり思い切りがいいんでしょうね?
ちなみにお義祖父ちゃん的には『貰う』発言は冗談──どうせ相手なんてすぐに見つかるだろう的な意味──だったんですよね。
『強い女性』発言も『これ以上知り合いが死んで欲しくない・・・』って考えからですし。
《追記》
理解出来ない、という方々。安心してください。
それが正常です。
言うなれば彼女は他作品で言うところの呪術廻戦の『東堂葵』タイプです。思い込みで思い出を捏造できるタイプです。
一応義祖父がデートと思ってないだけで、そういった思い出のような物自体はあります。それは『短編』で書こうと思ってます。本編関係ないですからね。