草喰みの白兎   作:リヴィドーカリェー

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 好きな作品が完結した時のおめでとうという気持ちと、もう少し続いて欲しかったな、という空虚な思いをまた味わいました。
 それでいて現在連載中のものは毎日投稿してくれ・・・・・・ってなる自分もいて。
 我儘ですよね?でも私はそうなのです。


決意

 

 

 食料庫バントリーの中央にそびえ立つ水晶の大柱より滴る水音に、それを吸い上げる奇妙な音等がやけに大きく聞こえる大空洞内。

 

 それらをBGMに、ディース姉妹───『妖魔』とも称される少女二人は呪詛カースを込められていた短剣を捨て、その手に騎士を救う安楽剣スティレットを新たに握る。

 意識を集中させた少年は、改めて状況を確認する。

 

 敵の数は目の前の『ディース姉妹』なるエルフの姉妹。

 能力値ステイタスはそれぞれが目算でおよそレベル6中盤〜後半程だろう。

 姉妹、ということは連携力が高いのだろう。

 食人花は生まれてきているものの、すぐに動き出す気配はない。現状は考慮に入れる必要はないだろう。

 

 現状の戦力はベート、ベル、フィルヴィス、そしてレフィーヤの四人。

 前から順に前衛一人、中衛が一人、治療師ヒーラー兼中衛が一人、後衛が一人。

 しかし、今のフィルヴィスは動揺している。先程のような雷撃や斬術による援護は期待できるか分からない。

 

 【ヘルメス・ファミリア】の面々も生きているが、武器や道具アイテムが殆ど無くなっている。それに、ベル君が狙われている現状では彼らと行動を共にすれば、彼らとともに死ぬ可能性がある。

 ここにアイズがいれば、また話は変わったのだろうが・・・・・・今の彼女は『壁の向こう側』で"何か"と戦っている。

 やはりこれ以上の増援はありえない、ということを理解し、身構える。

 

「いい加減に耳障りな兎の鐘かねを潰しちゃいましょう!」

 

「綺麗な貴方!五月蝿い貴方!今すぐに壊してあげるわ!」

 

 手を繋ぎ合いながら、何処か興奮した様子の二人が駆ける。

 目で追うのが厳しいほどに俊敏なそれを前にし、ベルは身構えた。

 逃げることはできない。

 『英雄願望スキルの反動による体力、及び精神力の減少が原因だ。

 精神力マインドは『魔導』やスキルの効果によって、体力よりは消耗が軽減されている。

 が、問題はその体力。今も疲労感は来ているし、怠さも滲み出てきている。

 例え逃げ回ったとしても、ベルよりも早い彼女たちはすぐにでも追いつくだろう。

 ターゲットが固定されている以上、ベルに取れる選択肢は一つ。

 ───迎え撃つしかない。

 覚悟を決めたベルが、ロングナイフと短杖を握る手に力を込める。

 

 彼我の距離が一瞬にして詰められる。

 移動の軌跡は、既にほとんどが目で追い切れていない。

 いくら炎雷エンチャントによって動体視力や身体能力を強化しようとも、レベルが上がったわけではないのだ。

 先程のように初動をフィルヴィスが守ってくれるとは限らない。今の彼女は心ここにあらず、と言える程に集中できていない。

 

(何で来る?脚?腕?肘?膝?短剣スティレット────?)

 

 一切視線を逸らさず、一瞬だけ見える身体の動きを捉え、次の動きを予測する。

 次々と左右に入れ替わりながら近づいてくる少女たちに翻弄されないように目を凝らし、逸らさない。

 少しでも見逃せば『終わり』が訪れることを理解している少年は、迫りくる死の気配を殺す無視するために抗う覚悟を固め、自身の身体が焦げそうになるほどに雷で強化した。

 

(前、右、左────後ろ、短剣スティレット三振り!!それに───)

 

「【喰らえ、始門───】」

 

 前衛の横を通り過ぎ、背後に回り込まれる。

 迫りくる短剣の二刀流と短剣と短杖の一刀一杖。

 三振りの短剣を振りかざしながら詠唱をしてくる目の前の存在に、ベルは恐怖を押し殺しながら受け流しを・・・・・・いや、返しの刃で切られる。なら衝撃で後方に───

 

 

 

「───おい。俺を無視してんじゃねえぞ」

 

 ───少年が生き残る術を検討していた瞬間、彼女ら二人が横へと蹴り飛ば(・・・・)される。

 驚きか、それとも衝撃によってか。魔力の操作を手放してしまったのであろうヴェナが、小規模とは言え体の内側から(・・・・)爆発した。

 生まれて始めて見た魔力暴発イグニス・ファトゥスに頬を引き攣らせながら、状況を理解した。

 

 白銀の長靴に覆われた長脚が、彼女たちを蹴り飛ばしたのだ。

 それを引き起こした張本人───灰色の毛並みをした狼人ウェアウルフは蹴り飛ばした彼女達のことも見ずに、ベルのことを見ていた。

 見られている少年は、その視線に少し萎縮しながらもお礼を言う。

 

「べ、ベート・ローガさん・・・・・・?あ、ありがとう、ございます・・・・・・!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 ベルが助けられたお礼を言うと、ベートはしばらくの間少年を見た。

 目を細め、ともすれば睨んでいるようにも見える顔には表情と呼べるものが存在していなかった。

 やがて「フン」、と鼻を鳴らして、蹴りつけた少女たちを追った。

 

「え、と・・・・・・嫌われた、のかな?」

 

「それはないと思います。むしろ、何時ものベートさんなら「ちゃんと避けろ、愚図な鈍間ノロマ」、くらいは言うはずです」

 

「・・・・・・そう、なんですか?すごい、ですね」

 

「はい。・・・・・・むしろ、認められでもしたんじゃないですか?」

 

「・・・・・・なんだか少し不機嫌になってませんか、ウィリディスさん?」

 

「そんなことはありません。貴方の気の所為です」

 

 ええ本当に。別に貴方はすぐに認められたのか私はまだなのに、なんて思ってせんよ。ええ。と呟く彼女から漂う負の気配に少し怯える。

 気まずくなったベルは、ひとまずフィルヴィスに目を向けた。

 

 彼女の目は空虚になっており、目の前で起きた出来事を認識できていないかのよう。

 唇は何事かを呟くかのように動いているが、音にも声にもなっていないそれは、とても不気味で。

 どうにかしてさっきみたいに一緒に戦ってくれないかな、とベルは思考を巡らす。

 

「あの、お義祖母ばあちゃん?大丈夫?」

 

「・・・・・・今更なんですけど、フィルヴィスさんが言っていた孫って貴方のことだったんですね」

 

「えっと・・・・・・あはは。そう、みたい・・・・・・ですね?」

 

「どうして他人事なんですか?」

 

 貴方のことですよね、と続けるレフィーヤに、ベルは何とも言えず、曖昧な笑みを浮かべることしかできない。

 ベル自身も、今はお義祖母ちゃんとは呼んでいるものの、何故彼女が自分を『義孫まご』などと呼ぶのかがわからないのだ。

 そんな彼を不思議、あるいは奇妙なものを見る目で見つめ、ややあって気を取り直した少女は、詠唱を開始した。

 

「【解き放つ一条の光、聖木の弓幹ゆがら】───」

 

 レフィーヤの詠唱を聞いて浮上した思考を、また脳内が『宇宙猫』状態になる前に止めてフィルヴィスの反応を伺う。

 ベルの声が聞こえたのか、ハッ、とした彼女はようやく意識が浮上した。

 

「すまない、義孫ベル。少し気が動転していた。もう、大丈夫だ」

 

 頭を下げる彼女に慌てながらも、なんとか宥める。

 少しバツが悪そうに視線を彷徨わせたフィルヴィスは、しばらくするとレフィーヤと同じく詠唱をし、魔法を『待機状態』にしておく。

 

「取り敢えず、ローガさんを援護───」

 

 しよう。その言葉を口にする前に、心臓を貫く悪寒に従い短杖ワンドを空中に翳す。

 瞬間、短杖を握る手に重すぎる衝撃が走り、後方へと吹き飛ばされる。

 雷や火球を飛ばしながら何度もバック転をし、衝撃を可能な限り逃がす。そして、吹き飛ばした存在の正体を見れば、騎士を救う安楽剣スティレットを振り下ろした姿勢の白妖精ホワイト・エルフ──ディース姉妹の姉の方、ディナがいた。

 

 炎雷をジグザグに避けながら近づいてくる存在を前に、ナイフと短杖をクロスさせ、いつでも迎撃できるように構える。

 

「貴方、やっぱり可愛いのね!ぐちゃぐちゃに壊し愛したいくらいに!!」

 

「物騒なことばかり言いますね!」

 

「物騒なんかじゃないわ!これこそが私達にとっての世界しんりなの!!」

 

「何を言っているのか、わかりません!」

 

 抵抗をしながらも言葉を続ける。

 少しでも隙を作れないか、と思っての行動は意味を成さず。

 むしろ、少年が自分たちに共感を示さない存在綺麗なものだと理解したことにより、ディナからの攻撃が激化した。

 

 二振りの短剣スティレットから繰り出される攻撃を、一刀と一杖で受け流そうとする。

 ───しかし。膂力が違いすぎる。

 ヴェナよりも強い力の能力値ステイタスに押し負け、そのまま壁へと叩きつけられた。

 

「アハハハ!!紙切れみたいに吹き飛んじゃったわね!とっっっても弱いカワイイわ!!兎さん!!」

 

「・・・・・・く、そ・・・【アンジェラス】!!!」

 

 壁に叩きつけられ、骨が砕ける。

 それもすぐに蓄力チャージされたことによって鳴り響く大鐘楼が癒やす──が、状況は最悪だ。

 傷こそ癒えているものの、『決定打』がない。

 回復魔法を使用した際に感じた動きからは、ベートはベルが展開した回復効果を利用して(・・・・・・・・・)ギリギリでヴェナを押さえている状況。

 フィルヴィスはこちらに駆け寄ってきているが・・・・・・それでも最初の頃に比べたら、遅い(・・)。待機中だった魔法を放つが、それも避けられ意味をなさない。

 レフィーヤも詠唱中で動けない。

 

 およそ治療師ヒーラーが陥るべきではない状況を前に、ベルは絶望しそうになる。

 ───蓄力チャージは戦闘に使えない。

 広域回復を少しでも手放せば、それこそ一瞬で『敗北』と言う名の全滅が決定づけられる。

 その証拠に、ベートは自身が傷つくことを厭わずに攻撃を続けることによって、ようやくヴェナを抑えられている。

 けれど、それもベルの体力と精神力マインドが保っているが故に成り立っている。

 

「戦闘中に考え事?余裕そうね、兎さん」

 

「───ッ!フレイム!」

 

「さっきヴェナが言わなかったかしら?そんなの、誰が食らうのかしら、って!」

 

 至近距離で放たれた両手のひらサイズの火球が軽々と、それもわざとらしく避けられる。

 大仰な動作で動き少年を馬鹿にするディナは蠱惑的な笑みを浮かべながら、ベルにさらなる傷を刻むために武器を振りかざし───

 

「ライトニング!!」

 

「────!ッ!?目が!?」

 

 雷が、一瞬の閃光を放つ。

 ベルを甚振る様を楽しむ愉しむために見続けていたことが仇となり、その光を真っ直ぐに見つめてしい───目が見えなくなる。

 

「───あああ!兎さん!何処へ行くの!?いなくならないで!!」

 

「─────!!」

 

 がむしゃらにベルを求めて短剣スティレットを振り回す彼女から距離を取り、退避する。

 錯乱したように叫ぶ彼女に恐怖を抱きながら、ベルはようやくフィルヴィスと合流する。

 

「無事か、義孫ベル

 

「・・・・・・なんとか。でも、このままだと・・・・・・」

 

 ───全滅。

 その言葉を飲み込み、ポーションを飲み込みながら考える。

 ジリ貧。疲労困憊。減り続ける精神と体力、そして道具アイテム

 浮かび上がる負の言葉を蹴り飛ばそうとするが、中々上手くいかない。

 起死回生の一手を打とうにも、ベルには決断できない(・・・・・・)

 自身に迫る『死』の感覚。

 それを短時間に何度も直で受けたことにより、その恐ろしさを身を以て知った少年はそれを他者に課すことを許せない。

 ミノタウロスやリヴィラの時とは違い、勝てる光景ビジョンが欠片も見えてこない以上、駆けギャンブルに皆を巻き込めない。

 

「どうすれば・・・・・・」

 

 勇気と蛮勇の区別ができなくなってしまい、呆然と呟くことしかできない少年に、近づく者が一人。

 山吹色を揺らす少女は、その瞳に決意を込め。少年の元へと駆ける。

 

 

────

 

 

 ───ズルい、と何度も思った。

 彼は私にないものを、何個も・・・・・・何個も持っている。

 短剣術。受け流し術。付与魔法エンチャント敏捷あし。回復魔法。そして、あのチャージをするスキルに、それらを十全に扱う能力。

 誰かが持っているもので、私が持ち合わせないもの。

 それを、彼は私が知る誰よりもたくさん持っていた。

 

 羨ましいと思わずにはいられなかった。

 隣の芝生は青い、とか、ないものねだり、だとか。

 彼と知り合ってから一ヶ月・・・・・・どころか、会った時間で言えばたった数日だ。

 そんな彼に何度も私は嫉妬したし、怒りも抱いたし・・・・・・どうして私はそれらを持ち合わせないのか、と嘆いたりもした。

 

 でも、私が何よりも彼を羨ましかったのは・・・・・・・・・彼が何時も持っていた、『勇気』。

 何時も後ろ向きなことばかりを考える私とは違って、彼はそれを持ち合わせていたのだ。

 噂に聞くミノタウロスとの戦いの時も。

 『怪物祭モンスターフィリア』の時に私を奮起させ、魔法の発動まで守ってくれた時も。

 この前のリヴィラでの戦い時に、皆を奮い立たせた時も。

 今回だって、彼は自分よりも格上の存在を前に怯まず、むしろ自ら動き回って抵抗していた。

 

 どうしてそんな事が出来るんですか?

 どうして、そんなに頑張っちゃうんですか?

 そんな事をされたら・・・・・・私も、頑張らない訳には行かないじゃないですか。

 

(だから────)

 

 そう、だから。

 私にないものを持っている貴方が。

 私のことを、いつも尊敬の目で見てくる貴方が。

 

 そんな、絶望したかのような。

 希望はあるのに、そこに踏み出す『勇気』を失ったかのような。

 

 ───そんな顔を、しないでください。

 

 

───

 

 

「クラネルさん」

 

「・・・・・・ウィリディス、さん?」

 

 どうしてここにいるのか、と思う彼を他所に、レフィーヤはベルの目を見つめる。

 彼女が見るときはいつも爛々と輝いていた深紅ルベライトの瞳が、今では輝きを失っている。

 表情は絶望、なんて大仰な言葉は当てはまらないにしても、現状から抜け出すこともできない懊悩に飲み込まれていた。

 

 そんな彼を見て、レフィーヤは服が汚れるのも気にせずにしゃがみ込み────ベルの頬をパチン、と両側から叩いた。

 突然のことに微かに瞳を見開いた少年が、少女の瞳を見つめ返す。

 彼の目に映る彼女の目は、怒っているように見えた。

 

「クラネルさん。どうして諦めているんですか」

 

「諦めてなんて・・・・・・」

 

 しばし視線を彷徨わせ、少年は目を伏せようとする。

 しかし、頬を押さえ込んだレフィーヤが少し両手に力を込めれば、彼は視線をもとに戻すしかなくなる。

 逸らせない目線の先にいる少女は、とても怒っていた。

 

「私達が頼りになりませんか?私が貴方の力になれるのは『魔法』だけですか?・・・・・・私では、貴方の手助けをできませんか?」

 

「・・・・・・違います。」

 

 少しオドオドとしながらも、答えを返す。

 見つめる先にいる少女の顔が、少し和らいだ気がした。

 

「教えてください。貴方が何をしたいのか。どんな作戦を思いついたのか」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 少し考える。

 別に『魔法』の効果を口にするのは良い。けれど、問題はその後。

 もしもこれが否定されたら?もしもこれをしても全滅したら?

 そんな嫌な予感に押しつぶされそうな少年に、レフィーヤは理解を示した。

 

「分かります」

 

「え?」

 

「私も、いつも『もしも、この魔法が失敗したら?効果がなかったら?』なんて考えちゃいます。だから、分かるんです」

 

「・・・・・・」

 

 頬を押さえていた手を、彼の処女雪のように白い髪に伸ばした。

 ふわふわという感触と、サラサラとした下手な女の子以上に恵まれた髪質に触れ、彼女の中で『乙女としての嫉妬』が出そうになるのを、既のところで引っ込めた。

 コホン、と咳払いをしながら、彼女は

 

「でも、私はそんな自分わたしの事が嫌いなんです。・・・・・・だから、そんな顔を──私と同じ顔をする貴方の事は、嫌いです」

 

「・・・・・・・・・」

 

 だから、と彼女は続ける。

 その目は覚悟に満ち、何よりも優しさも含まれたもので。とても不思議な目をしていた。

 

「だから、抗いましょう。大丈夫です、場合によっては怪物祭モンスターフィリアの時に貴方が守ってくれたように、私も貴方のことを守ってみせます」

 

 それを言われた途端、ベルは思わず苦笑いを浮かべる。

 いくら少年が治療師ヒーラー──実体は殆ど魔法剣士だが──とは言え魔導士、それも女の子に守られるというのは如何なものか。

 

「だから、頼ってください。私、これでも貴方よりも年上で、先輩冒険者なんですよ?」

 

「・・・・・・知ってます」

 

「なら頼ってください。・・・・・・そもそも!先輩以上に目立つ後輩なんて生意気です!」

 

 唐突に恥ずかしくなったのか、少女は顔を少し赤くして背けた。

 語気を強めながら言い放った言葉は、少年の心にさらなる『勇気』を灯した。

 

「僕の、『魔法』についてなんですけど・・・・・・」

 

 

────

 

 

「ウィリディス、ベルの嫁にならないか?お前にならあの子を任せられる」

 

「いきなり何を言ってるんですか?」

 

 ベルの『作戦』、というよりかは『魔法の効果』を聞き驚いたのも束の間。

 レフィーヤとフィルヴィス、そしてベルは一塊となり、フィルヴィスが二人を守る形で立っていた。

 レフィーヤは既に詠唱を済ませており、魔法を待機状態にしている。

 そうして、今は敵の視界が戻ることを警戒しつつ、ベートの援護────そして、少年の守護を行う。

 

 レフィーヤの少し後ろからは、ベルが詠唱を紡ぐ声が聞こえている。

 少し辿々しいのは、彼が言う通りにまだ習得したばかりだからなのか。

 

 そんな状況で唐突に告げられた言葉に、レフィーヤは狼狽えた。

 何を言ってるんだろうこの人。という方向で。

 

「・・・・・・どうして、そう思ったんですか?」

 

 聞くのも恐ろしいが、聞き出さなければもっとあとが怖い気がして、少女は聞いてしまう。

 

「お前なら、あの子が落ち込んだときはああやって立ち上がらせることができるだろう?それに、相性も良さそうだからな」

 

 相性?立ち上がらせる?

 少々意味のわからない理由に困惑をしながらも、少女は自身の所感を言う。

 ───その先が深淵だとも知らずに。見なければよかったのに。

 

「・・・・・・どちらかと言えば姉弟の方が合ってるんじゃないですか?」

 

 まあ、本当になんとなくですけどね?と冗談めかして漏らす少女の言葉を聞いた途端、フィルヴィスの目が見開かれる───と、同時に。それまでは目を晦まし、こちらを見失っていたディナが視力を取り戻した。

 それを見て、杖を構えながらディース姉妹の両方に視線を巡らせ、いつでも魔法を放てるように構える。

 

 ───少女は気づかない。

 同じエルフと言えど、フィルヴィス程に拗らせてはいない少女に、分かるわけもない。

 

 

 

 

「つまり、レフィーヤも私の義孫まご・・・・・・・・・?私の、守るべきもの・・・・・・?」

 

 

 

 ───フィルヴィスに、新たな火種を植え付けたことなど。




◯ライトニング

・炎雷の雷を一瞬だけ光らせて敵の目を潰す技
・発生は少し遅く、魔力の動きを読まれたら決まらなくなる初見殺しの技


 あれ・・・レフィーヤパート、思ったよりも多くなってるな・・・・・・?ってなってます。
 不味いですね、あんまり関わらせすぎると普通に仲良くなりすぎるんですよね、この二人。(1敗)
 アイズ関係のいざこざがないので余計に、なんですよね・・・・・・まずったかな・・・・・・・・・まあ、ええか。
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