皆様に朗報です。なんと、なんとですね!
友達にこのアカウントがバレました。
・特徴的な文章とキャラの改変の方向性
・灰汁を煮詰めたようなえぐ味
・オリオンの矢の時の絵
でバレたんだそうです。これでもう私は失うものはない無敵モードへと突入ですね!
───やっぱり■すしかないですかね。
短編 その2
『ベル・クラネルの朝練』
曙色が紫色を焼く明朝の時。
木々が生え並んでいる『家』の庭で、いつもよりも澄んだ空気を感じながら、僕は弓を構え、矢を番えていた。
手元は一切見ずに、獲物───木製の的に狙いを定める。
流れている空気を見定め、上半身全体に力を込めて、弦を引っ張る。
ギギギ、と張り詰められた弦の悲鳴のような音が耳へと届き、反対に自身の心臓は落ち着き払っているのを実感する。
およそ十五秒程の緊張状態を意地して───矢を、射った。
タァンッ!と甲高い音が響き、それに釣られてか周囲の木々が揺れ、葉が擦れ合う音を掻き鳴らす。
数秒ほどの残心を解いて、ようやく僕は胸にため込んでいた息を、小さく吐く。
的を注視すれば、狙っていたど真ん中が正確に打ち抜かれ、矢が突き刺さっていた。
「いいぞ、ベル。・・・・・・この調子では、私が教えられることなどすぐになくなってしまうな」
「そんなことはないですよ。まだまだ教わりたいことはたくさんありますし、一緒にいるんですから」
後ろから僕を見ていたアルテミス様が褒めてくれるを内心で喜びつつも、もう一つの本心を口にする。
未だ教わり始めてから数日しか経っていないし、何よりもこういうのは日課にしてこそ腕が落ちないもの。
ズレや歪みがあればすぐに直してくれるアルテミス様がいるからこそ、こうして自信を持って弓を扱えている。
「そろそろ朝ごはんの時間ですね。行きましょう」
「・・・・・・ああ」
言いながら差し出した手を、アルテミス様が握り返してくれる。
以前のお墓参りの日から、朝の弓の鍛錬の後はこうして家へ戻るようになった。
提案はアルテミス様だけれど、僕は嬉しく思う。
こうして手を繋いでいられるのは、この神がこうしてここにいてくれるから。もしもあの時に『殺す』選択をしていれば、この時間は無かったかもしれない。
───もしも、殺していたら。今も、僕は泣いていたのだろうか。
悲しい想像をして胸が少しチクリとして、すぐにそれを忘れるように努める。
───この時間を、もっと大切にするために。
────
『ベル・クラネル達と、弓』
轟くモンスターの咆哮、響く地鳴り。
常ならざる数を誇る怪物たちの狂宴が、冒険者達へと牙をむく。
途中途中で現れるインプたちは、手に持つ弓を鞭のように叩きつけることで吹き飛ばし、距離を稼ぐ。
『ブォ!?』
『ギギィッ!?』
レベルの違いによる圧倒的な敏捷の差によって豚頭が少年を見失い、見当違いな地面を叩く音だけが響き渡る。
中には吹き飛ばされたインプを潰してしまい、少年を殺したと勘違いを起こして嬉色の咆哮を上げるものもいる。
そんなオーク達の背後より射掛けられる、複数の矢。
それはまさに横から降り注ぐ雨の如く大量に射られ、オークとインプたちに襲いかかる。
絶叫すらも上げられずに魔石だけを射抜かれ、灰へと変わっていくオークとインプ。
正確無比なる射撃を見せた少年は、しばし構えを解かずにモンスターを見つめ。
しばらくすると小さく深呼吸をして、その手に持つ弓
「おーい、ベル!」
「ベル様!大丈夫ですか!!」
「───おーい!こっちこっち!!」
少年を探す声が響くと、弓から視線を外し、二人へと大声を上げて呼び込む。
濃い霧の中でベルを見つけた二人──ヴェルフとリリルカは、安堵の表情を浮かべながら合流する。
「全く!弓を持つなり、いきなり居なくならないでください!」
「ご、ごめん。思ったよりも能力値の上昇が大きくて・・・・・・」
「そんなに違うのか?」
「えっと、うん。感覚で言うとランクアップしてるくらい、かも?」
「へえ」
感心したような、よくわからないような様子で話題を流したヴェルフは、すぐにベルが自身の作成した弓を、背後に隠していることに気がついた。
その顔も少しバツが悪そうに眉を寄せていて、まるで隠し事をする子供のように、下手な苦笑いを浮かべていた。
「ベル。その弓、どうなった?」
「え、と・・・・・・」
少年はしばし右往左往と視線を彷徨わせ、何とか話題を逸らせないか、と考え。
やがて観念したかのように、弓──正確には弓だったものを、二人へと見せた。
弦が切れ、弓幹にも蜘蛛の巣のようなヒビが走っており。どう見ても弓としての機能を失ったとしか言えない代物が、そこにはあった。
「まじか・・・・・・ちゃんと大聖樹と、結構な純度のミスリルを使ったんだが・・・・・・もっと強度がいるのか?・・・・・・いや、でも付与魔法に耐えるにはミスリルしかないし、混ぜすぎると柔らかさがなあ・・・」
「ごめん、ヴェルフ」
「いや、これは鍛冶師の問題だ。お前の問題じゃない」
自信とは畑違いの領域についても、真剣になって考えているヴェルフに、ベルは申し訳なくなる。
事の始まりは、ベルが弓をダンジョンで使ってみよう、と思い、二人へと提案をしたのが始まり。
最初こそ順調で、次々とモンスターを貫きながら進んできたのだが・・・・・・永い時間の探索となると、状況が一変した。
───鍛錬ならまだしも。実戦になった場合に限って、ベルの『力』と『魔力』に耐えられる弓がなかったのだ。
力だけなら耐えられても、付与魔法を付け加えると溶けるか炭になり。
付与魔法に耐えられるようにするとたわみが足りなくなるし、何よりも先程のようにベルの力に耐えられずに壊れる。
中々に解決しない問題に、ベルとヴェルフ。そしてリリルカも頭を悩ませていた。
「考えていても仕方がない。俺も一応ヘファイストス様に掛け合って聞いてみる」
「ごめんね、ヴェルフ」
「だからいいって。それに、またこうして三人で素材を取りにいけてるんだからな。それで十分だ」
「そうですね。リリとしても、またこうして三人で潜れて嬉しいです」
ニッコリと笑みを浮かべる二人に釣られて、ベルも笑みを浮かべる。
───結局。
三人の『ベルの弓をどうするのか』問題は、もうしばらく経ってからでないと解決しないのだった。
────
『似た者神と人』
「・・・・・・・・・ハァ・・・・・・・・・・・・」
ナァーザ・エリスイスは呆れていた。
彼女は【ミアハ・ファミリア】所属のLv2であり、団長でもある。
彼女は、自身がファミリアの借金の原因となり、没落の原因ともなったことを気にしている。そのため、人が良く、何よりもオマケ等と称してポーションを配り歩く主神に苦労し、中々減らない借金に苦心する女性───だった。
今では、ベル・クラネルという少年をファミリアに迎え入れ、彼が自分達へともたらす素材や魔石の換金によって、ファミリアの利益率がみるみる内に上昇していった。
無論、全てが順調だったわけではない。
神ディアンケヒトによる、ベルの引き抜き危機や、そもそものベルの命の危機など、さまざまな問題があった。
それらによって発生する心労や苦労は沢山ある────が。それらが、先の呆れに繋がっているわけではない。
彼女が呆れているのは、一柱と一人の
例えば、目の前で起こっている───
「これも何かの縁だ、どうか受け取ってくれ」
「え、で、でもっ・・・・・・」
非常に整った顔を和らげ、男神───ミアハは、綺麗な青い花を目の前のヒューマンの少女へと差し出す。
遠慮する少女に、男神は優しげに目を細めながら、まるで口説くかのように言葉を連ねる。
「気にすることはない。我がファミリアの品を買ってくれた、その添物だ。私の好意でもある。───そして叶うなら、どうかまた私の店を訪れてやってくれ。そなたが来てくれれば、私も嬉しい」
添物を少女の紙へと差し、極上の笑みを浮かべながら再会を祈る男神に、少女の肌という肌は真っ赤に染まる。
少女は再会を約束しながら、大通りの奥へと逃げるかのように走り去り、男神はその背に手を振り、見送った。
───他方。
そこには、一人の少年とエルフがいた。
「すみません。もしかしたらなんですけど、肩を怪我していませんか。僕でよかったら診ましょうか?」
「・・・・・・・・・申し出はありがたいが、遠慮しておこう」
「ではな」、と去ろうとするエルフを、ベルは回り込むことで引き留める。
エルフを見るその顔は真剣そのもので、一切目を逸らさずに彼女を見ていた。
「肩を痛そうに押さえてるじゃないですか。すぐに治さないと、変な癖になっちゃいますよ」
「───っ、気にしなくていい。私は、お前に診られる必要はない」
強情な彼に、エルフは過剰に反応してしまう。
彼女は潔癖なエルフの例に漏れず、気を許したものにしか肌を許さない。
それ故に、いかに少年が善良なる医療系ファミリアの所属であろうと、彼に診て貰うことなど────
「貴女の事が心の底から心配なんです。だから、僕に診せてください」
「────ひやぁ!?」
真っ直ぐに告げられた言葉に、エルフの顔が真っ赤になる。
心の底から心配。
他の冒険者が告げたら信じられない言葉でも、目の前の白く善良なる少年が言ったのと比べれば、言葉から伝わる真剣さがまるで違う。
およそ荒くれ者ばかりの冒険者界隈では聞き及ぶことなど叶わないほどの純粋なる心配の念を前に、久しく味わっていない──主神のセクハラもあって──優しさへの耐性が緩んでいた少女が耐えられるわけもなく。
本心からの言葉であることを理解したエルフが彼に治療を依頼すれば、彼はすぐに自身の魔法で彼女の肩を治した。
それまでジワジワと蝕んでいた痛みが消えたことを喜んだ少女が贈ったお礼も何も受け取らず。彼はそのまま、何も言わずにその場を去っていった。
───彼を見送るエルフの頰が、赤く染まっていることなど欠片も知らずに。
それらを見た少女は、またため息を吐いて。
直ぐ側に帰ってきた二人を見て、ほんの少しだけ愚痴をこぼした。
「ミアハ様も、ベルも。似た者同士で、天然たらし。女の敵」
「どうした、ナァーザ。なにかあったのか?」
「女の敵・・・・・・?女性にだけかかる病気、ということですか?」
欠片も分かった様子を見せない二人に、さらに呆れ顔を浮かべる。
───やっぱり、私がしっかりしてないと・・・・・・。
どこまでも鈍感な二人に、ナァーザは決意を新たにする。
「それにしても。未だ顧客と言えるものは現れないな。冒険者たちには、こうして何度も声をかけているのだが・・・・・・」
「僕もそうですね。沢山の人に声をかけたと思うんですけど・・・・・・」
「やって来る女は、私が全部追い払ってる・・・・・・」
「なにっ」
「え?でも、僕は男性にも・・・・・・」
「それも、ベル目当てだから・・・追い払ってる・・・・・・・・・」
「なんで!?」
悲鳴を上げる二人に、ナァーザは舌を出した。
────
『アルテミスへのお礼(膝枕)』
※本当に頭の悪い内容です。頭を空っぽにしてご覧ください。
───神アルテミスは、純潔を尊ぶ女神である。
それは自身が処女神であること、貞潔を司る神であること等々。様々な理由こそあるが、それらが彼女を構成するものであり、彼女がこの世に生まれた理由でもある。
故に。彼女は異性との接触を嫌悪────
「アルテミス様。お加減はいかがですか?」
「あ・・・・・・そ、の・・・・・・」
「・・・・・・どうやら、今日はお疲れのようですね。大丈夫ですよ、僕はこうしてずっと貴女のおそばにいますから。安心して、お眠りください」
「ぁ・・・・・・ぅぅ・・・・・・・・・」
────嫌、悪───
「アルテミス様、意外とお腹ポンポンがお好きですよね。安心するのが好きなんですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・そ、そうだ。いけないか?」
「いいえ、そんなことはないです。むしろ、かわいいです」
「───〜〜〜〜〜ッ!?」
───嫌悪、しているはずだった。
数日前の『神月祭』の時。
傷心中のベルを慰め、その心の膿を吐き出させたあとのこと。
あらゆる感情を吐き出した少年は、その
───そう。膝枕、である。
お礼や恥ずかしさの誤魔化し等の理由はあれど、やることはそれだけだ。
現状のベルではアルテミスと過ごした時間が短すぎるため、彼女が何を欲しがっているのかはわからない。
そのため、こうしてベルは彼女を癒すために膝枕を決行したのだが───
「アルテミス様、目を瞑ってください。そうじゃないと眠れませんよ?」
「い、いや。今回は止めておこう。まだ日も高いし、何よりも貴方に迷惑をかけるのは私の望むところではないからな」
最初の頃に比べ、耐性でも付いたのだろうか。今日の彼女はいつもよりも意識が明瞭で、強情だ。
それは女神としての威厳、あるいは貞潔を司る女神としての──既に男女の接触を許している時点で、以前の面影はないが──意地か。
強い意志を孕んだ目線で少年を見つめる彼女に、ベルは優しく微笑んだ。
───今のアルテミスには、その笑みが自身を救い導く天使のような、あるいは自身を羞恥の地獄へと突き落とす悪魔のようなものに見えた。
「僕はいいんです。アルテミス様に満足して頂けたら、それだけで」
───ベル・クラネルは
アルテミスがこの様子であれば、
喜び勇んだベルは、それを行うことでアルテミスを癒すことに決めた。
「アルテミス様。少し失礼しますね」
「・・・・・・ぇ?」
一言断りを入れ、ベルは少し居住まいを正し。
そのまま、
「むぐッ!?」
心を癒し、離れ難くする膝枕の誘惑に抗うことにのみ意識が割かれていた彼女にとって、それはまさしく奇襲。
ベルの胸元と太ももに挟まれ、まさしくサンドイッチ状態になる。
「・・・・・・・・・大好きですよ、アルテミス様」
「────ーーーー〜〜〜〜〜ッ!!??」
耳に囁かれる愛情を込めた言葉に、嬉色い悲鳴を上げようとしたアルテミスの声は、少年の胸へと消えていく。
───これこそが、ベル・クラネルがアルフィアへの膝枕の最中に編み出せし必殺技。
ベルの匂いを嫌わない・・・・・・どころか、むしろ好ましく思っている相手であり、尚且つ相手の信頼関係が成り立っていること。また、ベルが心の底から愛情を抱いている。etc・・・。
様々な条件がクリアされたことによってようやく放たれるその必殺技*1は、文字通りに膝枕の対象の脳内をベル一色へと染め上げる。
聴覚をベルの心音と囁かれる愛情によって焼き尽くし。
視覚をベルで埋め尽くし。
触覚をベルの胸の感触で潰し、さらに彼の太ももの感触を強く感じさせ、ベルでサンドする。
無論、嗅覚はベルの匂いで埋め尽くされ、それ以外の匂いを感じさせない。
それでも、普段の彼女であれば拒否できる──拒否する『意志』があればだが──こと。
力こそ劣るが、彼女は狩猟の女神。上手く体を動かすことさえできれば、彼を跳ね除けることなど造作もない。
───けれど。ここに来るまでに、彼女は既にドロドロに溶かされている。
耐性が付いたとしても、それはあくまでも『耐えられる』だけ。
実際には無効化しているわけではないし、ベルからの膝枕を受け続けている時点で、彼女が溶かされている。
そんな彼女が、果たしてベルの『必殺技』を受け切れるのかというと────
「─────きゅう」
「アルテミス様?・・・・・・・・・アルテミス様!?」
限界を超え、ベルを過剰摂取してしまった哀れなる女神は、そのまま可愛らしい声を上げながら失神した。
愚かなる少年は、そんな彼女を見て悲鳴を上げ、彼女の容態を確認する。
特に命の別条はないことを確認したベルは、果たして彼女はいったい何が理由で気絶したのか、とウンウンと考え始めた。
「離すんだ、フォス!今からベルには、女神との距離感について小一時間ほど説いてやらねばならない・・・・・・!!」
「いいんだ!神アルテミスに関しては、『ベルニウム』が関係しているから、いいんだ!」
「何を言っている!?いいから、今すぐ私を離せ!ベルを女の敵にする気か!?!?」
───普段とは、少々ツッコミ役が変わった義祖父と義祖母が、二人について話し合っていることなど知らずに。
尚、ベルが既に女の敵であることを、義祖母は知らない。
◯ベルとアルテミス様の朝練
・こういった朝練を、毎日してます
・短剣術もこんな感じで教えてます。弓との交代制です
◯弓
・並の弓だと、作中の通りに腕力か魔法、もしくは両方が理由で壊れます
・どこかにベル君と相性がいい弓があればな・・・・・・。
◯ベル君とミアハ様は似た者同士
・子は神に似る
・ナァーザの苦心は絶えない
◯アルテミスへのお礼(膝枕)
・もはやこの作品内でのベル君の代名詞、膝枕の登場ですね(多分違う)
・ちなみに胸での押し付けなんですが、これでアルフィアさんはベル吸いしてました
・(最後の場面)実は平時だと、フィルヴィスさんのほうが常識があります。ええ、お義祖父ちゃんが変なことさえしなければ