やはり、毎日投稿をすると『日常』と言う感じがしますね。
《追記》
今更ですが、TSネタ注意です。
───『オラリオ一の美女を決めるコンテスト』は、一見順調に進んでいた。
自分の美貌に自信のある者たち。無理やりに参加させられ、乗り気でない者たち。
数々の美女美少女が、次々とステージへと並べられていく。
まるで遅れを取り戻すかのようにスムーズに並べられていく女性達に、次々と観察者達が目移りしていく。
始まりが遅れていたために少々不満げだったコンテスト参加者たちの殆どが、『早く帰れるかも』『屋台に遊びに行けるかも』と考えていたが、現実は───否、神は甘くなかった。
ロキが、全てのエルフが敬愛するハイ・エルフ───リヴェリア・リヨス・アールヴを参加させ、エルフ達の票を荒稼ぎしようと暴挙に出て。
それにカウンターを食らわせるかのように、フィルヴィスを参加させていた、ディオニュソスの謀略。
まさに子を利用した神同士の決闘のような様相を呈し始めたコンテストは、たった二柱の眷属、二人の独壇場と化していった。
「リヴェリア様────!!」
「フィルヴィスちゃ────ん!!」
「───ふむ、確かに可憐だな。人々が夢中になるのも無理はないだろう」
「あ?・・・・・・って、いない・・・・?・・・誰だったんだ・・・?」
もはやたった二人のエルフ以外の名を呼ぶ者達しか居らず、膠着状態へと化している。
美女へと声援という名の票を与える側の者達は兎も角として、待たされる美女たちは早く終わらないか、もしくは注目されていないことに対する不満の思いを募らせ、鬱憤が溜まっていった。
「速く終わんないかなー。屋台閉まっちゃうよ」
「本当よ。もうしばらくしたら、団長が闘技場で戦うってのに・・・・・・いっそ会場を破壊してやろうかしら?」
「それは不味いと思いますけど・・・・・・・・・」
ぼやく妹と、それよりも物騒なことを考えている姉のアマゾネスに、レフィーヤは苦笑いを浮かべる。
そんな彼女も、やはりエルフではあるのだ。リヴェリアが出場するというのなら、優勝は確実・・・・・・と言いたいのだが。
かといって、友人──と、レフィーヤは思っている。なお、白巫女さん──のフィルヴィスのことも応援したい。
何度も助けてくれた同胞であると同時に、とても魅力溢れる女性なのだ。
これからもこういったことで全うに注目されて、【死妖精】などと呼ばれることが無いようになって欲しい。
かといって、この場でリヴェリアが優勝しないのは許せない、けれど・・・・・と。
どちらを応援するべきか、と少女が悩んでいると───ふと、気がついた。
「────あれ?」
「?レフィーヤ、どうしたのー?」
「何か気になることでもあった?」
「いえ、大したことじゃない、と思うんですけど・・・・・・」
───フィルヴィスの次に出てくるはずだった『白』の姿が、何処にもないことにようやく気づいた。
その事に心配する気持ちも勿論有る。けれど───この空気になった以上は、もう出てこないほうがいいのではないか、と思ってしまう。
失礼ながら、正直に言えばレフィーヤは『白』が出てきたとしても、この場で人気を取れることはないだろう、と思っている。
布に覆われていながらも、『白』の顔立ちや立ち振舞いの可愛らしさはまさに今回のコンテストにふさわしく、それこそ初めの方に登場していれば、優勝候補として名を挙げていただろう程には綺麗である、とレフィーヤは確信している。
だが、会場はもうハイエルフとエルフの対決と化している。そんな場に現れても、揶揄われたり後ろ指をさされる可能性──どころか、危険性がある。
心配する気持ちと現れないことに対する安堵の気持ちが同居する、という不思議な思いを抱きつつ、レフィーヤはこの場がすぐに収まることを祈っていた───まさに、その時。
それまで黙っていた旅神が、唐突に拡声器を片手に、声を張り上げた。
「すまない皆!一人の美少女が、舞台袖で萎縮してしまっていた!」
わざとらしく慌てた様子で、ヘルメスが騒ぎ立てる。
その姿を見た神々は何をする気なのか、と身構え。
下界の子は皆、萎縮していたらしい少女を嘲ける等のことをせず、ヘルメスの言葉を待った。
「すまない、これはオレの責任だ!飛び入り参加の可能性について考えず、『一番最後』などと書き記したせいで・・・・・・!」
旅神はなおもわざとらしく、メソメソ、と目元を押さえ、涙をこらえるかのように肩を震わせている。
もはや隠す気もない大根役者っぷりに、人々も呆れの顔を貼り付ける。
『最後まで紹介するのを忘れていた』、という割と一大事な出来事に対して、その場にいる者達の殆どが重く捉えず、けれど馬鹿にしたりする必要性も感じないため、『しょうがないなぁ』と、受け入れる姿勢を自然と取るようになっていた。
───それこそが、男神の狙いだった。
「───今からでも、その娘に活躍の機会をくれないか!どうだ、紳士の諸君!!」
『オオオオオオ!!!!』
受け入れ態勢にある人々と、面白がった神々の大声が会場全体に響き渡る。
少々わざとらしい声も多々あったものの、人数の影響で空気がビリビリ、と震え、中には耳を押さえている者達すらもいる程に、声は大きかった。
「それじゃあ一番最後のトリを飾る、スペシャルな美少女を紹介しようか!」
旅神が帽子のつばを押し、お辞儀をすると、影によって彼の顔が隠れ、見えなくなる。
何時もの軽薄な雰囲気は鳴りを潜め、身体の向きを控え室の存在する方向へと向けながらお辞儀をした彼からは、真剣な空気が流れ。
これより現れる存在に対する『敬意』───否、『誠意』を表している。
「来てくれ!『純白の乙女』よ!!」
パチンッ!と指を鳴らすと共に、一人の少女が現れた。
純白の大布に覆われた身体は、顔以外の身体の情報の一切が隠されており、一目見て分かるのは背の低く、髪も肌も白い少女がその場に立っていることだけ。
異質な点を挙げればキリがないが、一番奇妙なのは『目を閉じた状態で歩いていること』だろうか。
瞳の色も目の形も一切分からず、何よりも顔から表情が抜け落ち、さながら人形のような無表情と化していた。
───実際には、緊張が臨界点に達したことでオーバーヒートしたが故なのだが。
「・・・・・・・・・なんや、あれ。あんなんするくらいなら、出さないほうが良かったんちゃうか?」
「そう言うなよ、ロキ。もしかしたら、ああ見えて彼女も喜んでいるのかもしれないよ?」
「んなわけあるか。目ぇ腐ってるお前の目には何が見えてるねん」
「・・・・・・フィルヴィスとあの少女が並んだ姿、かな?」
「うーわ、"そういう趣味"かいな・・・・・・引くわぁ・・・・・・」
「恐らく、ロキが想像していることとは違うと思うから、弁明をさせてほしいんだが・・・・・・」
ロキとディオニュソスさえも場の空気に耐えられず、思わず軽口を言い合う程度には、不味い方向へと空気が傾きつつある。
ヘルメスがあれほどまでに大袈裟な溜めや演出をしたにしては何も起こらず、またパフォーマンスの一つもする気配がない。
旅神の言う『純白の乙女』は、まるで優勝するつもりなどないかのように、瞳を瞼に隠しながら、何もせずただ突っ立っているだけ。
あわやヘルメスの大言壮語か放送事故──ここにビデオカメラはないが──か?と誰もが『事故』を疑った、その時。
「・・・・・・・・・いつまでそうしてるんだ。いい加減に覚悟を決めろ」
少女の『家族』の一員であるフィルヴィスが、モデル達の列から抜け、ため息を吐きつつ少女へと近づいていく。
こうなることが分かっていた彼女としては、やはり眼前の少女が出場をすることは反対だったのだが───こういった時ばかりは、彼女の主神がかつて言っていたように"口が上手い"ヘルメスの事が恨めしくなる。
「───仕方がない。恨むなよ、■■」
───と、少女の名前を聞こえない程度の小声で呟きながら、後で来るだろう『慰めの時間』を前に覚悟を決め。
フィルヴィスは少女が知覚できず、また気付かれない速度でもって接近し、『白』の身体を覆う大布を───人想いに、取り払った。
「────ひゃあぁっ!?」
短く可愛らしい悲鳴とともにあらわになった少女の姿は───絶句する程の可愛らしさと、ため息が出るほどの美しさが同居した、リヴェリアやフィルヴィスともまた別種の存在感を放っていた。
腰に届くほどに長く、わずかにウェーブがかった純白の髪は、舞台に振り注ぐすべての光を受けて輝き、この世のものとは思えないほどの『白』を、観客たちや美女達の視覚へと叩きつける。
肌などは遠目でわかるほどにきめ細やかで滑らか、かつすべすべな白い質感を遠くにいたとしても感じさせる程で。
何よりも、元は白かった肌は、恥ずかしさによって真っ赤に染まっており、コントラストによってより色の鮮やかさを際立たせている。
瞳は血のような深紅の色を宝石のように反射していて、髪と合わさって"何処ぞの治療師と同じように"『兎のような』印象をもたせる。
なにより人々の目を引いているのは、やはり『彼女』が纏っている純白の衣だろう。
ワンピースのようにも、ドレスのようにも見えるそれは、二の腕から首元に至るまでがシースルーになっており。
それ故に、顔立ちや背丈による『幼さ』を消すことはできずとも、『美しさ』や『可憐さ』───そして、謎の『インモラルさ』を醸し出す。
「うぅ・・・・・・恥ずかしい・・・・・・・・・」
己が肢体を守るかのように肩を抱き、身を縮こませる『白』。
しかし───その行動は、神ヘルメスにとっては『狙い通り』の動作。
その証拠に、身長の割には豊満な胸が形を変え、肌の恥じらいの色もより鮮やかとなり、それらが一級品以上の装飾品のように、彼女をより魅力的存在へと変容させていく。
この場に存在しているだけで少女の『魅力』が際限なく上昇していく様は、まるで、このステージに立つ事が約束されていたかのようで。
『・・・・・・ゴクッ』
誰かが唾を飲む音が、やけに大きく響いた。
それは会場に来ていた男衆だろうか。
それとも、コンテストに出場していた美女たちのものだろうか。
何れにしても・・・・・・・・・今現在、この場においてすべての者の視線が、彼女に釘付けなのは疑いようがないだろう。
コンテストを見に来た者達も、参加した女性達も、神々も。ロキとディオニュソスすらも、その視界の真ん中に映る『白』に夢中だった。
同性すらも引き寄せる■■の魅力に、ヘルメスすらも"予想通りに予想外"な結果に愉快げな笑みを浮かべた。
「それじゃあ、これから審査の時間だ」
人々の視線が、ヘルメスに集まる。
───ように見せかけ、その視界の端に必ず『白』を捉えて一切離さないまま、男神を見た。
「『この場で』一番魅力的だと思う子に、熱い声援を送ってほしい───できるかな?」
ヘルメスの言に釣られるように、少女の名前を叫ぼうとした人や神は、すぐに気がついた。
───少女の名前を知らないことに。
一切のパフォーマンスも何もなく、ただ服装を晒した際の『恥じらい』や『初心さ』だけで人々を魅了した少女は、ガネーシャやデメテルすらも、彼女の名前を知らないが故に教えることもできず。
どうすればいいのか困惑する者達の様子にすぐに気がついた『演技』をするヘルメスは───やはり、軽薄な笑みを浮かべた。
「おおっと、オレとしたことが!可憐な淑女の名を尋ね忘れていた!?」
わざとらしい男神の態度に慣れている神々はともかくとして、もはや人々すらも彼のオーバーリアクションに慣れ、アクションを起こしたということは、これから神ヘルメスが聴きに行くのだろう、と理解し。
『何やってんだー!』などと茶化しながらも、全ての者達が名を知れるその時が来るのを待った。
「失礼ですが、淑女?貴女の素敵なお名前をお聞かせ願えませんか?」
わざとらしいまでに恭しく跪いて名を尋ねるヘルメスに、打ち合わせも何もしていなかったのだろう。
少女の顔は真っ青となり、あわあわ、と慌てふためいていた。
どうしたらいいのか、とあたふたする少女に、助け舟を出すべくフィルヴィスが何事かを呟く。
妖精より少女のみが聞こえる声量で呟かれる言葉をおとなしく聞いていた少女は、暫く顔を赤くしたり青くしたり、かと思えば白くしたり、と。
百面相の如く勢いで移り変わる顔色に、人々の視線はやはり釘付けで。
暫くして妖精が離れれば、後に残ったのは『後ろ向きな覚悟』を決めた純白の少女一人で。
いよいよ名前を知ることができるのか、と誰も彼もが耳を立て、一文字一文字を聞き逃さない、とでもいうような鬼気迫る顔でその時を待ち。
「・・・・・・・・・
『ベル・クラネル!!!!──────???????』
少女が口にした、
脳を介さずに行われた行動は、一切の迷いも存在せず、ただただ少女の言う『名前』を馬鹿正直に言わせる結果となる。
『白』の魅力に取り憑かれ、思考能力を失っていた者達が『違和感』を感じ取り、浮かされていた熱に冷水を浴びせられたかのように正気へと強制的に戻され。
───すぐに『違和感』の正体に気づき、悲鳴に近い叫びをあげた。
「皆の熱い声援によって、早くも優勝者が決まった!優勝はしたのは────ベル・クラネル!!!!」
『ちょっと待てぇ!?!?!?』
高らかに宣言するヘルメスに、人々は困惑していた。
何故、少女の名前がベル・クラネル───先日の戦争遊戯の勝者の一人と全く同じなのか。
何よりも、名前が知らないフリをしていたのではないか。
わざとらしい態度から、少女が登場するのは既定路線で、観衆に名前を叫ばせるために、最後までずっと黙っていたのではないか。
出来レースなのではないか。
『熱』に浮かされていた時には気づかなかったボロにようやく気づき始めた者達が、次々と疑問や質問をヘルメスへと投げかけ、『真実』を聞き出そうとしていた。
───特に、男性達は『もしもあの娘が本当に【ミアハ・ファミリア】のベル・クラネルなら、俺たちは『男』に夢中になった事になる!?』などという危機感に飲まれ、誰よりも必死だった。
「・・・・・・・・・おめでとう、ベル」
「お義祖母ちゃん・・・・・・僕、家に帰りたい・・・・・・」
「我慢してくれ。───そんな顔をするな。私も可能な限り、お前に付き合う」
優勝を口だけでも祝うフィルヴィスに、涙目で『帰りたい』という願望を全身で表す少女───否、ベルに、懇願されている側の妖精は何もできない。してあげられない。
元より、この場では冒険者である前に一市民であるため、民間人を傷つけるわけにはいかないし、これは『神意』なのだ。
もはや、止める術など存在していない。
───結論から言えるのは。
───今回の『コンテスト』は、全面的にヘルメスに原因があることが人々に知れたため、彼は最終的には『真剣に臨んでいたコンテストの関係者』の男神や女神達に、文字通りボコボコにされた。
────
ベルが『美女コンテスト』に参加したのには理由がある。
無論、ヘルメスがベルを説き伏せた、というのも理由の一つなのだが。
始まりは、やはりヘルメスが『依頼』を少年に出した結果、ベルが『性別変換魔法薬』を作成したことだろうか。
これは実験の一つとして、『調合』『魔導』『神秘』の三つを取得している、ないしスキルによって発生させられるベルが、それら全てを使用して新たなポーションを作ろうとした結果生まれた薬。
そもそも、何故性別変換を目的とした薬を作ったのかといえば、ヘルメスの『依頼内容』が原因だった。
『・・・変装できる薬が欲しい?』
『ああ。ちょっと厄介な場所に行く予定があるんだが、もしも『侵入』していることがバレたら面倒なことになるんだ。だから、そういったものはないかな、と思ってね』
とある日に、ヘルメスがベルへと告げられたのは『変装』のための薬の作成依頼。
無論、『侵入』という言葉にいい顔をしなかったベルが依頼を断ろうとしたのだが───
『あの、やっぱり受けられ──『もしも受けてくれれば、アスフィが改造した回復薬やオリジナルの薬品を提供すると約束しよう』──受けます!!』
───ようは、ものに釣られた、ということだ。
【万能者】が作成した薬品を、材料や製法は分からないまでも貰えるのだ。
それを鑑定や実験等を行うことで、新たなポーションの参考になることは間違いないそれを前にしては、少年が依頼を受けない道理などなく。
結果、ベルは早速実験を開始し。
あらゆることを試し、書物も参考に作り出した結果に生み出されたのが、先の『性別変換魔法薬』。
『調合』『魔導』『神秘』の三つを使用して作成されるそれは、もはや作成方法をしっていたとしても、一般的な薬師では作れない領域の存在。
その効果は文字通り、『飲んだ対象の性別を"もしも反対の性別として生まれていたら"のifの状態へと変化させる』という、もはや人の領域ならざる程の物へと仕上がっていた。
それを受け取り、効果を直に見たヘルメスがベルに追加の依頼を出し。
何も考えずに依頼を再び受けたベルは、ヘルメスの口八丁によって『性別変換魔法薬』を飲まされ、さらには『報酬』によって釣ることで、こうしてコンテストに参加させられた、というのが事の顛末である。
「───と、言うことなんです・・・・・・」
「・・・・・・なるほど。そういうことだったんですね」
とある場所にて。
ベルは既に『解除薬』を飲み、性別をもとに戻した状態で『そこ』にいた。
回りには有名な第一級冒険者や、第二級冒険者のなかでも有名な存在が『その時』を待ちわびるかのように、ジッと立っていた。
「それにしても、貴方も災難でしたね。ヘルメス様に振り回されるとは・・・・・・」
「あははは・・・報酬を前払いとして受け取った以上、もう引き下がれなくて・・・・・・」
ベルが話していたのは、ヘルメスの言う報酬の作成者、【万能者】ことアスフィ。
彼女は時間ギリギリに遅れてきたベルに理由を尋ねたことで、己の主神の『暗躍』を知ったのだが───
「やはり、あの神は一度痛い目に遭ったほうがいいのでは・・・・・・」
感謝こそしているものの、やはり複雑な感情を持っている男神に対し、かなり物騒なことを口にしていた。
「その、もう会場の神様達にボコボコにされていたので、これ以上はしないほうが良いんじゃ・・・・・・」
少年のことを半ば騙してでもコンテストに参加させたことに一切参加させたことを恨んではいない様子のベルに、アスフィは少々呆れ。
この話を続けても不毛なので、「そういえば」と先程話の途中で感じた疑問を尋ねることにした。
「それにしても、先程の話の中でヘルメス様が『性別変換魔法薬』なる薬を飲ませた、と言いましたが理由を言っていませんでしたね。ヘルメス様は、一体何を言って貴方に薬を飲ませてコンテストに参加させたのですか?」
口八丁でベルに薬を飲ませた、という己の主神の所業を聞き出そうとするアスフィに、ベルはと言うと───
「その・・・・・・ヴァレンシュタインさんから、身を隠す方法がある、って言われちゃって・・・・・・」
「────なるほど」
アスフィはチラ、と先程から視線を感じる方へと目線を向ける。
そこには、ベルのことを凝視しつつ、アスフィに嫉妬の視線──本人は嫉妬だとは気づいていないが──を向ける、金髪金眼の少女、アイズ・ヴァレンシュタインの姿が、そこにはあった。
「ベル・・・・・・兎・・・・・・盗られる・・・・・・・・・隠さないと・・・・・・・・・連れて、帰らないと・・・・・・・・・」
虚ろな顔でブツブツと何事かを呟く彼女は、『ベル接触禁止令』を出されたことで、白兎の摂取不足となってしまい、禁断症状を起こしていた。
───それこそ、義祖父の言うベルニウム不足に陥ってしまっているかのように。
「・・・・・・・・・貴方も大変ですね」
「・・・・・・・・・はい」
攫われた時のことを思い出し、震える少年は、もう一度アイズのことを見遣る。
その瞳の色は美しい金色をしているはずなのに、なぜか真っ黒に見える事が、何よりも恐ろしい。
「・・・・・・今日、生きて帰れるのかな」
以前攫われたことで、命の危険、ないし攫われる危険を肌で感じることができるようになってしまった少年は、これより始まる催し物が始まるよりも前に感じる危機感が視線として感じられ。
やはり、先のコンテストの時と同じく『早く帰りたい』という思いを、早くも胸に抱いたのだった。
●ベル
・帰りたい
・これから始まる催し物を前にした緊張と、アイズがいることによる緊張で心臓がバクバク
●レフィーヤ
・『白』のことを綺麗、とか可愛い、とか呟いていたら、ベルだったことで脳に変な負荷がかかった
●リヴェリア
・現在、女性の時のベルがアルフィアに似ていたため、硬直中
・もしや・・・・・・と、ベルの血縁と、フォスの関係者なのではないか、と疑っている
●フィルヴィス
・ベルの保護者みたいな立ち位置にいる
・実はヘルメスがディオニュソスに手を回していたことでベルのサポートを押し付けられた
●フォス
・実は会場にいたんですよ。どれか分かりましたか?
・現在、女性のときのベル君の写真を、手紙に添えてアルフィア送るべきか検討中。たぶん送らない
●ロキ
・可愛い美少女が現れたと思ったら、ベルだったことでテンションだだ下がり
●ディオニュソス
・現在、ロキから『変態』の称号を授かっている
フレイヤ様は来ません。
理由は近寄ったら会場にいたフォスに『氷漬けにされる』ことが目に見えていたからです。
そもそもヘルメス様に誘われてないですし。