ダンジョン学園、ゲーム転生ソロ攻略中。   作:塔乃登

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お待たせしました。
投稿再開です。

前回までのあらすじ
現在13階層攻略中。
学年トップは16階層。
浜辺階層の攻略は順調だが、パリィ不可の魔法属性攻撃が増えてきてちょっと手間。


018.装飾品と金のメダル

「ただいまー」

 

 買い物を終えてギルドに帰ってくると、ちょうど通りかかった猫背が見えた。

 

「ジャックさん、おかえりなさぁい」

「ただいま、ケミー。作業は順調?」

「はい〜。あっ、これ昨日作った分のポーションですぅ」

 

 言いながらケミーがインベントリから取り出す大量のポーションを受け取る。

 

「了解、確かに受け取ったよ。今日も仕事早いね」

「ふへへ、ポーション作るのはぁ、好きですからぁ」

「ポーション以外は?」

「き、嫌いじゃないですよぉ……?」

 

 素直でよろしい。

 なお彼女のユニークスキルはポーション作成に特化しているので予想通りの答えだ。

 

「そうだ、このあとの時間ある?」

「えぇ……、またなにか無茶振りされる感じですかぁ……?」

「そんなことないよ」

 

 そんなことないよ。

 なんて否定してみてもケミーの視線は冷たいままなのであった。

 かなしい。

 いったい俺が何をしたっていうんだ……。(心当たりしかない)

 

「それでぇ、どんな用事なんですかぁ?」

「普通に錬金の仕事」

「まぁそれならぁ……」

 

 安堵するケミーに少し待っててもらうように伝える。

 

「んじゃクローネも呼んでくるからちょっと待ってて」

「普通の錬金にクローネさんは必要ないと思うんですけどぉ……」

 

 なんて困惑はスルーして、クローネを探して声をかけた。

 

「クローネ、いま時間ある?」

 

 書類仕事をしていた彼女が机から顔を上げてこちらを向く。

 

「そうですね、暇ではないですけど急用でしたら」

「急用ってほど喫緊ではないけど、重要な案件ではあるかな」

 

 俺の言葉にその程度を測って、クローネはペンを置いて腰を上げた。

 

「わかりました、そういうことでしたら」

 

 ということで俺とケミー、それにクローネで作業場に集まる。

 他の三人は別の場所で作業しているのでここには三人きりだ。

 

「それじゃあ今日はアクセサリーを作るよ」

「アクセサリーならぁ、マリーロールさんの担当じゃないですかぁ?」

 

 各人装備枠に二つまでつけられる装飾品は、ケミーの言う通り彫金師であるマリーロールの担当レシピであることが多い。

 指輪とかネックレス、イヤリングも彫金の範囲がほとんどかな。

 護符とか裁縫師の範囲な品もあるけど。

 

 あと変わり種だとリボンとかマフラーとかも装飾品の範囲。

 防具の頭、胴、腕、脚以外は全部アクセサリー枠に突っ込まれてるんだよね。

 とはいえほとんどは錬金術師と付与術師の作るレシピではない。

 

「そうなんだけど、今から作るのはアクセサリーを作るための素材だからね」

 

 刀だって素材の鉄インゴットは鉄鉱石から錬金術で合成するからそれとおんなじ。

 

「でもぉ、普通の方法じゃないんですよねぇ……?」

「そんなこともある」

「えぇ……」

「否定はしないんですね。まあ予想はしていましたが」

 

 クローネは対応力が高くていいなぁ。

 

「まあ成功するか分かんないからひとまずお試しでね」

「そういって成功しなかったところは見たことありませんが」

 

 原作から仕様変更されてなければ成功するからね。

 

「ということで今日使うのはこれ、『金のメダル』」

 

 取り出したのは名前の通り金色に輝くメダル。

 表面には鷲の姿が刻まれているけれど、製作アイテムではなくモンスターからのドロップ品だ。

 

「メダルですか?」

「それってぇ、持ってるといいことがあるっていうやつですよねぇ?」

「そうそう、それがここに6枚」

 

 俺がそれを机の上に並べると、片手に収まらない枚数を見てクローネが目を細めた。

 

「金のメダルは曖昧な効果しかないアイテムですが、入手はモンスターからのレアドロップのみで安くはないはずでしたが……」

 

 この世界では『良いことがあるかも?』という原作のアイテムテキストが噂として伝わっているだけのアイテムという扱いになっているこの金のメダル。

 実際原作では持っているだけでは何の効果も無かったのでこのまま持っていても無用の長物だ。

 

 そのわりに入手確率が低いのと、見た目がいいので高額で取引されている。

 その額……、1万オーラム!

 6枚で6万オーラムは結構な金額だ。

 

「そのお金はどこから出したんですか?」

「もちろん、俺のポケットから出したよ。実験が成功したら経費で落としてもらうけど」

 

 そして俺は自腹で無駄遣いをするつもりはもちろんない。

 

「あとこれも」

 

 テーブルに容器に入った水を置く。

 

「これもぉ、レアアイテムですかぁ?」

「いや、これは普通の水」

「えぇ……?」

 

 学校の売店でいくらでも売ってるやつ。

 

「そうしたらこの水に金のメダルを入れて、ケミーには錬金を、クローネには付与をしてもらうよ」

「錬金と同時にですか……?」

「うん、これにはちょっと特殊な手順が必要だからね」

 

 具体的に言うと、金のメダルを合成で消費する際に付与が可能になる特殊効果があるんだ。

 

「まずケミーに作ってもらうのは『錬金水』」

 

 これは錬金術に広く利用できるアイテムで、主に特殊効果を付けるときに活用される。

 例えば鉄インゴットを製作するときは、素材の鉄鉱石×2のみでも合成はできるけど、そこに錬金水を触媒として追加して合成することも可能。

 今回活用するのはこの手法だ。

 

「そもそも、金のメダルを使って錬金水を作るってレシピが聞いたことないんですけどぉ……」

「まあそれは一見すると意味のない行為だしね」

 

 というか実際に調合をする際に、原作のようなシステムの補助がなければ気付かない仕様だし。

 金のメダルを合成した時に新たに選択できる特殊効果が生えてくるだけで、元々の金のメダルに特殊効果が付いていてアイテム詳細で確認できるわけではないのでしょうがないね。

 原作だと作りたいレシピを選んだら、この素材が使う候補でどういう特殊効果がつけられて成功確率が何%かまで表示してくれるけど、この世界ではそういう補助は一切ないから。

 

「それで私は何をすれば?」

「クローネは合成と同時に付与をよろしく。付ける特殊効果は『経験値上昇【Ⅰ】』ね」

「経験値上昇……? その特殊効果はレアドロップ品に極稀についていることがある、と図書館の本に書かれているような品ですが……」

 

 付与術師であるクローネの知識の元が教科書ではなく図書館の本、という時点でこれの珍しさは想像がつくだろう。

 実際俺が商店を見て回った限りでは、『経験値上昇』の特殊効果が付いた装備は見つけることができなかった。

 ちなみに効果内容は『獲得経験値+5%』。

 なおランクは【Ⅰ】の特殊効果だけど、今のレベルでは【Ⅱ】の合成はできないのでこれが限界。

 

「少なくとも、付与できると聞いたことはないですね……」

「できるとしたら大変なことになりますよぉ……」

「まあ試しにやってみて」

 

 実際にできたらこの世界ではだいぶえらいことになるだろうけど。

 まだ確定ではないので、ふたりにそれを確認してもらうことにする。

 

「はい」

「わかりましたぁ」

「ああちなみに、経験値上昇は一枠目でも確定付与じゃないから、この精霊粉を使ってね」

 

 俺が用意していた精霊粉を渡す。

 経験値上昇みたいな通常付与とは異なる特殊効果は、一枠目でも100%成功じゃないので若干厄介だ。

 だいたい80%とかだから精霊粉が使えるならそこまで辛くはないけどね。

 

 精霊粉を受け取ったふたりは、素材を乗せた作業台を挟んで向かい合い仕事を始める。

 すぐには終わらないのでふたりの共同作業を眺めることしばらく、やっと作業が終盤にさしかかった。

 

「『錬金』」「『付与』」

 

 ふたりが同時にスキルを使い、作業台が光に包まれる。

 

「完成です」

「できましたぁ……」

「お疲れ様、ふたりとも」

 

 出来上がったのは容器に入った透明な液体。

 見た目は合成前とほとんど変わらず、唯一中に入っていたはずの金のメダルが消えている。

 今更だけど物理法則的に不可解な現象で、この世界でこの手法が気づかれなかったのはそういう所も関係しているのかもしれない。

 

「それじゃあ確認するよ」

「はい」

「はいぃ」

 

 アイテムに触れて詳細ウインドウを開く。

 

『錬金水:調合アイテム』

『特殊効果:経験値上昇【Ⅰ】』

 

 そこにははっきりと目的の効果が表示されていた。

 

「成功のようですね」

「緊張しましたぁ」

 

 特殊合成の初体験に二人が安心したように息を漏らす。

 作業時間的には普段通りだけど、やったことはかなりえらいことだしね。

 

「そうだ。先に言っておくけどこの付与に関しては他のメンバーにはしばらく秘密ね」

「どうしてですかぁ?」

「これがどれくらい大きな話になるかまだ分からないから」

 

 原作と違ってこの世界だと、経験値上昇系の特殊効果がどれくらいの価値を持つかが測りきれない。

 なので知っている人間はそもそも減らしておいた方がいい。

 他のメンバーを信用してないとか、そういう話じゃないんだけどね。

 

「直接話さなくても誘導尋問に引っかかったりって可能性もあるから、詳細を知る人は少ない方がいいかな」

 

 まあギルド内で一番引っかかりそうなメンバーは今目の前にいるんだけど。

 役割的に外せないので致し方なし。

 

「つまり三人だけの秘密ってことで」

「もし情報が漏れたら三人のうちの誰かが原因、ということですね」

 

 そうだね。

 

「ひえぇ……」

「まあ俺が集めたメダルから足がつく可能性もあるから、そこまで神経質にならなくてもいいよ」

 

 流石に市場にあるメダルを大量に買ったら、在庫が枯渇してバレてもおかしくはない。

 可能な限りタイミングをずらしてバレづらいようにはしたけれど、枚数が枚数なだけに入学直後から動いても限度があったし。

 バレたらしゃーないの精神で行こう。

 

「ということでこれをクランメンバー全員分用意してもらうんだけど……」

「なにか問題が?」

「うん、実際に作業する前にやることがあるかな」

 

 

 

 ☆★☆★☆

 

 

 

「みんな今日は集まってくれてありがとう」

 

 翌日ギルドにて、メンバー六名全員で一つのテーブルを囲んでいる。

 

「今日は何ですの? 普段の作業連絡とは違うのですわよね?」

 

 普段は販売用の装飾品を作ってもらっているマリーロールが確認する。

 

「うん、今日は会議みたいなものかな。具体的に言うとみんなに装飾品を渡したいから、その種類を選んでほしい。特殊効果を使うから装飾品は最低一個、もちろん二個でもいいよ」

「それは全員でやる必要がありますの?」

「確かに各自アクセサリーを選ぶなら集まる必要はないんだけど。ただアクセサリーには装備効果があるでしょ? 例えば耐火のアミュレットには火属性耐性上昇の効果がある」

 

 これは付与で後付けできる特殊効果と違い、装飾品が元より持っている通常効果だ。

 

「ところでシャオ、鍛冶場で作業してて熱が辛いと思ったことは?」

「もちろんあるのう。……なるほど、つまりそういうことじゃの?」

「そういうこと。火属性耐性は戦闘科向けの効果だけど、鍛冶師にも有用、かもしれない」

 

「確定ではありませんのね」

「検証してないからね。希望があるなら先に検証してもいいし、効果を一切気にせず選んでもいいよ」

「それでいいんですか?」

 

 非効率な提案にクローネが疑問の表情を浮かべる。

 

「一応筋力上昇とか体力上昇みたいに日常生活にちょっとだけ役に立つかもしれない効果もあるけど、実際にどれくらい効果があるかは不明だからね。逆にこういう効果が欲しいんだけどって物があれば相談に乗るから聞いて」

 

 実際に俺自身レベルが上がって普通に生活していても身体能力が向上しているのは感じるんだけど、装飾品の通常効果で上昇する数字はレベルアップで上がった数字よりも控えめなのでどれくらい効果があるかは不明。

 

「あのぉ……」

「はい、ケミー」

「肩こりに効く装飾品ってぇ、ありますかぁ……?」

 

「それならさっき言った筋力上昇とか体力上昇かな。猫背も筋肉をつけたら改善するって言うし肩こりも多少はマシになるかも。なるかもレベルの話だけど」

「そうですかぁ……」

 

 残念そうなケミーに、マリーロールがスッと立ち上がって背後に回る。

 

「そもそも貴女は姿勢が悪いんですわ! 背筋を伸ばしてしゃんとなさい!」

 

 彼女がケミーの両肩を掴み、ぐっと背を反らせて胸を張らせる。

 …………、確かにピンと張ってる。

 

「ひぎゃっ」

 

 ヤバそうな声を出しているけど、あれくらいならまだ健康的なマッサージの範疇なので平気だろう。

 見ると確かに姿勢は良くなったけど、ケミーがそれを維持するにはやっぱり色々疲れそうだ。

 

「そのまま肩でも揉んであげたらどう?」

「よろしいですわよ! フルール伯爵家の指遣いを味わわせてさしあげますわ!」

「ひょえぇぇぇ……」

 

 伯爵家の指遣いってなんだよ。

 って思ってたら察したクローネが顔を寄せてこっそり解説してくれる。

 

(フルール伯爵家は代々彫金師を輩出してきた家系ですので、手先の器用さには自負があるのかと)

(なるほど)

 

 彫金師ってアクセサリーを作る職だから細かい作業は得意なのかな。

 

「まあふたりはいいとして」

「助けてくださいぃぃぃ〜〜〜」

「ほら、また背筋が曲がってきてますわよ!」

 

 あれはあれで打ち解けてるみたいだからいいんじゃないかな。

 マリーロールがやりすぎたら止めるだろうし。(クローネが)

 

「装飾品の話だけど、指輪とか腕輪とかは作業に邪魔になるかもしれないからそういう点も考慮して選んでほしいかな」

 

 実際ギャングがつけてそうなゴン太指輪とかあったら道具持つのに邪魔になりそう。

 

「ジャック……」

「どうしたの、カッツェ」

 

 今日も無表情なカッツェが声量低めで呟く。

 

「ぬいぐるみ……」

「ぬいぐるみは装飾品じゃないから今日は別のものを選んでほしいかな」

「そう……」

 

 視線を落とすカッツェ。

 悪いがこればっかりはどうにもならないんだ、すまない。

 

「ちなみに装飾品に付ける特殊効果の詳細はなんですの?」

 

 肩を揉んだまま聞いてくるマリーロールに答える。

 

「それはまだ秘密。サプライズってことで」

 

 これにはちょっとした理由があるからまだ教えない方向で。

 まあ装飾品作るのは高確率でマリーロールだから完成前にバレるだろうけど。

 

「んじゃ、今のランクで作れる装飾品はここにまとまってるから、好きに選んでね」

 

 俺が本を渡すとみんながそれを見始める。

 

「わしはなにがいいかのう」

 

 シャオは作業中に長い髪を後ろで結ぶから、髪留めとかかなあ。

 

「私は……」

 

 カッツェが見本に視線を落とす。

 原作ネタのネコミミカチューシャ、はまだこのレベルだと作れないんだよな。

 まあ作れたとしても俺からつけてとは言えないけど、流石に趣味に走りすぎてて。

 

「私は特級の宝石があしらわれた物を所望しますわ!」

「じゃあ王冠でも作ろうか」

「えっ……、それはちょっと……、遠慮しておきますわ! オホホホホ!」

 

 伯爵令嬢的に王権の象徴を頭に乗せるのは流石に拒否感があった様子。

 っていうか同級生にいるしね王女様(原作メインヒロイン)。

 そこまで身分に厳しい世界観でもないんだけどそれはそれ、これはこれらしい。

 

「こういうの選ぶのはぁ、苦手ですぅ……」

 

 ケミーはヘアバンドとか使って前髪上げたら印象明るくなるんじゃないかな。

 

「ジャックさん、私はなにがいいと思いますか?」

 

 隣のクローネに聞かれて本へと視線を落とす。

 

「クローネ? んー……、眼鏡とか」

「眼鏡……、それは効果目的ではなく?」

「うん、見た目の話」

「そうでしたか」

 

 というか原作でもクローネが作業中に眼鏡をかけている姿を見ることができるんだよね。

 まあ今は性能について聞きたかったのかもしれないけど特に思いつかなかったので。

 

「そういえばジャックはどうするのかの?」

 

 シャオの言葉に俺へと視線が集まる。

 

「俺は探索用に効率優先で選ぶから選択肢はないよ」

 

 戦闘科はステータスが戦闘に直結するからね。

 みんなと違って最大効率一択だ。

 

「それはちょっともったいないのう」

 

 シャオは少し残念そうに語るけどもったいない要素あるかな?

 そんな感想とは裏腹に、なぜか他のメンバーが口々に言う。

 

「探索用でなくても作っていいのでは?」

「おしゃれ……」

「たしかにぃ、そうかもしれませんねぇ」

「そうですわね! わたくしが所属するギルドの代表なのですから、見た目もふさわしいものではなりませんわ!」

 

 なんて当人は置いてけぼりで女性陣が盛り上がり始める。

 できれば先に自分の分の装飾品を決めて欲しいんだけど……、なんて意見は通るわけもないのでしばらく俺は黙っていた。

 

 こういう時の女子は強い。

 

 

 

 ☆★☆★☆

 

 

 

 みんなでアクセサリーを選んでから更に数日後、俺の前には出来上がった装飾品が置かれていた。

 特殊効果の付与も無事に成功したのでこれで一安心。

 

「こんにちはなんじゃよー」

「あ、シャオだ。シャオー、ちょっとこっち来てくれるー?」

 

 ギルドに入ってきたシャオに呼びかけると、ひょこっとその小さい姿を見せる。

 

「どうしたのかの、ジャック」

「これ、アクセサリーできたからあげる」

 

 差し出したのは耐火のアミュレット。

 ネックレス型のお守りだ。

 

「これはありがたいのう。ちなみにどんな特殊効果が付いてるのかの」

 

 シャオがアイテムの詳細ウインドウを開く。

 

『耐火のアミュレット/火耐性+10』

『特殊効果:経験値上昇【Ⅰ】/作業速度上昇【Ⅰ】』

 

 経験値上昇は文字通り、作業速度上昇はそのまま生産にかかる時間が短縮される。

 生産速度が短縮されるのは、その分次の作業ができるようになるので経験値上昇とほぼ同義。

 両方合わせればレベルアップにかなり貢献してくれるはずだ。

 

「ジャック」

「どうしたの、シャオ」

「サプライズといってもこれはやりすぎじゃないかの」

「驚いた?」

 

 サプライズが成功して思わず笑みが漏れると、シャオが不満そうな顔でこちらを見る。

 

「口から心臓飛び出るかと思ったのう。そもそもジャックは初対面から大概だったが今回も飛び切りじゃ」

「あったなぁ、そんなことも」

 

 シャオとの初対面も他の二人とは違った形で色々あったんだけどもはや懐かしい。

 まだ一ヶ月しか経ってないけど。

 

「ジャック」

「どうしたの、シャオ」

「これ、つけてくれるかの」

「はいよ」

 

 アミュレットを手に取って彼女の前に立ち、頭の上から紐を通す。

 頭のてっぺんが俺の胸くらいまでしかないから正直すげー通しやすい。

 

「何か変なこと考えとらんかの?」

「気のせいだよ」

 

 気のせいだよ。

 あとシャオは髪が長いので、そちらを持ち上げて首の紐から抜けば完成。

 

「似合ってるかの?」

 

 シャオは一歩下がって、アミュレットをつけた姿を改めてこちらに見せる。

 

「完璧」

 

 親指をぐっと立てて答えた。

 そんな俺の言葉を聞いてシャオが笑う。

 

「ジャックがそう言うなら大丈夫そうかの」

 




・経験値上昇【Ⅰ】
鷲が描かれた金のメダルを素材アイテム経由で合成して付与できる特殊効果。
経験値上昇【Ⅰ】では獲得経験値が5%上昇する。
ランクは【Ⅰ】だが扱いが特別で、付与できるようになるのはレベル11から。
効果は有用だが特殊効果の枠を使う分、筋力上昇【Ⅱ】などのランク【Ⅱ】特殊効果とのトレードオフなので注意。
筋力があたってダメージが上がれば討伐時間も短縮できるので、火力上昇と経験値上昇でどちらが総合的に有用かは場合によるケースもある。
逆に生産科であれば他に有用な特殊効果が存在しない場合は付け得。
なお同一の効果を複数つけても適用されるのは一つだけなので注意が必要。


・作業速度上昇
火のシンボルが描かれた銅のメダルを素材アイテム経由で合成して付与できる特殊効果。
作業速度上昇【Ⅰ】では生産職と採集職の作業速度が5%上昇する。
スケジュールを完璧に詰めれば生産速度上昇=経験値上昇でもあるのでほぼ上位互換。
ただし生産計画を無駄なく立てるのもコツがいるので、上手くできないばあいは経験値上昇の方が有効になる場合もあり。


・アイテムドロップ率上昇
宝石が描かれた銀のメダルを素材アイテム経由で合成して付与できる特殊効果。
アイテムドロップ率上昇【Ⅰ】ではアイテムドロップ率が10%上昇する。
元のドロップ率が50%であれば50%×10%で55%。
2%であれば2%×10%で2.2%。
レアドロップ単品に対する効果は低いがドロップ全体に効果がかかるので1探索スパンで見れば大きな効果を発揮してくれる。
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