ダンジョン学園、ゲーム転生ソロ攻略中。 作:塔乃登
スカーレット先生に呼び出されて個人指導されました。
あと(まだ先の話だけど)夏休みの予定がふたつ入りました。
夏休み……約束がふたつ……何も起きないはずもなく……。
「転移:20階層・階層主前」
クローネ、ケミー、カッツェと四人でボス前までやってきた俺たち。
そこでみんなに戦闘が始まったあとの動きを説明していく。
「……、説明は以上かな。なにかわからない所がある人はいる?」
みんなに聞くけど特に意見は出なかったのでそのまま話を進める。
「それじゃあみんな、打ち合わせ通りに」
「はい」
皆が頷いたのを確認してから透明な仕切りを越えると、転送陣と一緒にセーフティエリアが消滅。
残ったのは円形の砂浜に立つ四人。
授業で習ったとおりに外周は海が広がっており、そこから泳いできた背ビレが大きく飛び上がって姿を見せた。
シャークサイクロン。
大きなサメのモンスターが『シャー!』と威嚇しながらこちらに牙を剥く。(シャークだけに)
それを見て俺は最初から刀を抜いた。
「『一角』」
まずはスキルの射程範囲に入り先制の突進スキル。
突いた刀がシャークサイクロンの鼻先を叩き、『バチッ』と爆ぜるような音と共に電撃のエフェクトが生まれる。
今回のボス戦のためにシャオに打ってもらった雷属性の刀だ。
アイテム名は『雷迅丸』。
そのままスキルで一気に詰まった距離をさらに詰めて、横を通り過ぎる。
『シャァ!』
シャークサイクロンの噛みつきは弾かず避けて、そのままフィールド奥まで引っ張っていく。
一番奥に俺とシャークサイクロン、入り口側の外周に三人と誘導したのは対極の位置。
「『居合』」
今度は居合で体当たりをしてきたシャークサイクロンからダウンを取って、そのまま攻撃しつつ立ち位置を入れ替えた。
図にすると大体こんな感じ。
海
─── ←海岸線
● ←シャークサイクロン
◯ ←俺
◯ ←クローネたち
─── ←海岸線
海
もちろん立ち位置を離したのには理由がある。
『シュウウウゥゥゥ…』
しばらく弾いて殴るを続けたあと、シャークサイクロンが息を吐きながらわずかに身体を高く浮かせたのが攻撃の予兆。
ヒュウ、と風を切る音とともに吐き出されたのは鋭いブレス。
分類は魔法攻撃で、残念ながらパリィ不可攻撃だ。
ビームのように細く伸びるそれはかなりの距離まで攻撃が届くうえに、それだけでは終わらない。
シャークサイクロンが頭を振るとビームがそのまま追従して横に薙ぎ払われる。
更にぐるんとその場で回り、周囲360度が全範囲、ブレスで薙ぎ払われた。
と書くと回避不可の攻撃のように聞こえるが、流石にこの階層でそこまで鬼畜な攻撃は飛んでこない。
ではどうするのかというと正解は『しゃがみ回避』。
1.5メートルほどの高さで薙ぎ払われるブレスは立ったままなら胸のあたりに被弾してしまうが、しゃがめば簡単にスルーできる。
実際原作でもこれが公式攻略本にも書いてある想定された回避方法だ。
ローリングの無敵時間でも回避できるけど、しゃがめば気力を消費しないしその後の攻撃にも早く移行できるからね。
もしくは薙ぎ払いを追いかけるように移動しても避けることはできるけど、結構引っかかったりするのでやっぱりしゃがむのが安牌。
というか今気付いたけど、シャオならこれ立ったまま回避できるな。
避ける必要がないなんて羨ましい、なんて言うと怒られそうだから胸の内にしまっておくけれど。
実際回避せずに殴り続けられるのはアドではある。
うちのギルドで次に低身長なのはカッツェだけど、彼女だとギリギリ引っかかるかな?
なお初見だとしゃがみ回避で避けるのは難しいかもしれないけど、今の立ち位置からクローネたちの場所まではギリギリブレスの範囲外になるので問題はない。
だからこの立ち位置にしておく必要があったんですね。
ちなみに俺のこの立ち位置にも被弾した時に外周の海に落とされやすいというデメリットがあるんだけど、そこは被弾しなければいいだけの話。
「『昇竜』」
俺は下から斬り上げるスキルを使いながらその場で立ち上がる。
「『居合』、『縦一文字』、『縦一文字』」
シャークサイクロンの噛みつきを居合で弾いてからスキルを打ち込んでいく。
「『居合』、『縦一文字』、ごくごくごく、ぷはー」
敵の攻撃は封殺しつつ、減ってきたSPをSPポーションで回復。
ブレスなど魔法攻撃の頻度はそこまで高くないので、しばらくは居合無双だ。
「あら」
なんて思いながら気持ちよくなっていたらシャークサイクロンが跳ねるように一旦身を引き、距離を取ってから自身の尻尾をぶんと振る。
当然俺は尻尾の間合いの範囲外、なんだけどそれは無駄行動ではなく他の攻撃の発生モーション。
シャークサイクロンの周囲に六つの竜巻が発生し、それが放射線状に外に向かって放たれた。
「右」
なおその攻撃は時計回りか反時計回りにカーブするので、その向きを見極めて避けないといけない。
弾幕シューティングでよくある避け辛いやつだね。
実際に上からエリアを俯瞰したら、縦スクロールの弾幕シューティングみたいな画面になっているだろう。
今回はカーブが時計回りなので避ける方向は向かって右。
逆だと避けた方向に追いかけるように曲がってくるので被弾する可能性が高い。
ちなみにどっち回りかはシャークサイクロンが尻尾を振った方向で判別できる。
向かって右に振ったら右回り、左に振ったらその逆だ。
「『一角』」
若干開いた距離を突進スキルで詰めて攻撃再開。
「『居合』」
今度は突進を弾いて攻撃を続けると、そろそろシャークサイクロンの残りHPが6割程度。
それをきっかけに、再び鳴き声を上げるとそのまま大きく飛び上がった。
今までと異なり近接攻撃が届かない距離まで高く昇ったシャークサイクロンは、そのままブレスを吐く。
狙いは真下の砂浜。
一旦砂浜に突き刺さったブレスは、そのまま波のように砂浜を広がっていく。
360度全方位に放たれるそれは薙ぎ払いブレスと同じ範囲だが、地面を這うように流れてくるそれはしゃがんで回避することはできない。
ならどうするかというと、答えは上。
俺は波が押し寄せるのに合わせてジャンプでそれを飛び越えた。
気分は大縄跳びだ。
なお氷のエフェクトを伴うそのブレスは、触れると凍傷の状態異常を受けるので注意が必要。
まあ今回はちゃんと避けたし、みんなには届かないから問題ないけど。
『シャッ』
ブレスを吐き終えたシャークサイクロンはそのままヘイト一位、つまり俺に対して急降下体当たりを仕掛けてくる。
ブレスに引っかかって怯みが発生すると避けられないし、そうでなくても速くて避け辛いその突進だが、逆に雑に振っても判定に引っかかるのでパリィが取りやすいんだよねこれ。
「残念」
俺が居合でシャークサイクロンをはたき落とすと、シャークサイクロンはその場でビタンと地面に落ちた。
その隙に俺は、後ろを振り返る。
「大丈夫そうー?」
離れた場所からの俺の問いかけに、クローネが両手で大きく輪っかを作った。
「じゃあ、集合!」
フィールドの中央でクローネたちと合流。
三人は俺の右手側2メートルほど後方に並んだ。
体当たりなどの物理攻撃は当たらない立ち位置で、魔法属性の遠距離攻撃だけ警戒すればOKというポジション。
「『居合』」
距離を詰めるためにフィールド中央までやってきた突進を弾くと、同時にシャークサイクロンを全員で攻撃。
以前は俺にソロで倒し切る実力があることを示すために初見時ひとりで攻撃して倒したけれど、またそれをやっても時間がかかるだけなので今回はみんなにも殴ってもらう。
ソロでも倒せるけどね。
ならなんでここまで見学してもらっていたのかというと、ブレスなどの攻撃の避け方を一通り見てもらうため。
事前に説明したとしても、未見と既知じゃ理解度が全然違うからね。
なお五人の中からクローネ、ケミー、カッツェの三人を選んだ理由は、みんな遠距離から攻撃をできるから。
SLGで高所を取った弓兵くらい一方的に攻撃できる。
「ケミー、毒よろしく」
「はぁい、わかりましたぁ。『簡易錬金:ポイズンボム』ぅ」
クローネとカッツェが直接攻撃をしているあいだにケミーが投げるのは錬金術師のスキルで魔石から合成した毒爆弾。
それを三回当てると、シャークサイクロンが毒状態になる。
「ないすー。じゃあ次は呪いで」
「はぁい。『簡易錬金:カースストーン』」
今度は黒い石を調合したケミーがそれを投げると、パリンと割れて中から黒いエフェクトが発生した。
そこから発生するのは『状態異常:呪い』。
呪いは毒と同じように継続ダメージを与える状態異常だが、毒が固定ダメージなのに対して呪いは対象の最大HPから割合でダメージが入るのでボスみたいなHPが高い敵には特に有効。
まあその代わり耐性持ちが多かったり呪いにするための手数が多く必要だったりするけど。
あと低階層の雑魚には普通に毒の方がダメージが出る。
幸いシャークサイクロンは呪いの耐性も特別高くはないので、毒と呪いの両方を入れると継続ダメージが加速していく。
状態異常を使いこなせる錬金術師は使いこなせれば実際便利だ。
まあ闇属性の魔法使いなら魔石のリソース消費無しで同じことできるんだけど。
「ブレスだ。みんなしゃがんで」
シャークサイクロンの正面ブレスを右に避けてから自分もしゃがむ。
みんなに右手側に並んでもらってたのは、時計回りに薙ぎ払われるブレスに対して時間的猶予が多く確保できるから。
RTAとかで1秒未満の時間を争うなら逆に左側に避けて早めに頭上を通過させて殴るなんて時短技術もあるけど、今やる意味は特にないしね。
「みんな、立ち上がっていいよ」
「…………」
俺の言葉にみんなが立ち上がってから、カッツェは無言ですっと腕を振る。
それから一瞬遅れて、ボスの身体に切り裂くようなエフェクトが生まれた。
これは裁縫師の通常攻撃で、目を凝らすと彼女の指先から細い糸が伸びているのがわかる。
物理的にはどうしてこうなってるのかさっぱりわかんねえ攻撃だけど。
彫金師の浮遊する金属腕と並んで謎のシステムである。
まあスキルとかある世界観だし気にしてもしょうがないよね。
なお見た目は最高な模様。(中二病的な意味で)
『キュイィ』
またしばらくして、シャークサイクロンが飛び上がる。
これは上空からのブレスの予兆。
それを見て俺は、トントントンと三歩下がった。
ブレスによるウェーブはあんまり速くないから、タイミングを正確に測るにはみんなの横に並ぶのが一番いい。
距離が離れてると『123』で飛ぶ所が『12345』でジャンプくらいのズレになったりするからね。
「それじゃあいくよ。1、2、3、ジャンプ」
発生したブレスの波に合わせて全員で飛ぶ。
きららアニメのOPみたいな絵面だ。
もしくはやっぱり体育祭の大縄跳びかな。
「ぁ……」
俺の指示のタイミングに問題はなかったけれど、それでも飛ぶのを失敗してしまったカッツェがブレスに引っかかって尻餅をついた。
ブレス後の突進のターゲットは、ヘイト一位よりも先にブレスに引っかかって転んだキャラクターが優先される。
その仕組みに従って、シャークサイクロンがカッツェを標的に上空から急降下した。
「『居合』」
まあ自分に飛んできた攻撃じゃなくてもあちらの攻撃判定にこちらの居合の判定を重ねれば弾けるから問題はないんだけど。
突進の進行方向に割り込みカッツェの前に立って、パリィ判定をカウンターで当てるとシャークサイクロンが再びビタンと地面に落ちる。
「カッツェ、大丈夫?」
「ごめんなさい……」
申し訳なさそうにする彼女に笑いかける。
「みんな生産科なんだから気にしなくていいよ。それに初見で上手くできる方が珍しいしね、『居合』」
実際みんながボス戦で戦っているのは専門外の仕事なので気にしなくていい。
それで失敗して問題になるなら引っ張り出した奴が悪いし。
「うん……、ありがとジャック……」
「どういたしまして『居合』、飛び越えるときは真上じゃなくて前にジャンプするといいよ」
会話の最中も空気を読まずに噛み付いてくるシャークサイクロンくんを再び弾き落とす。
人が話をしているのに割り込んでくるなんてなんて空気が読めないやつなんだ。
なんて冗談を言っている(言ってないけど)横で、クローネが短剣を構える。
「『エレメンタルリリース』」
彼女がスキルを発動させると、短剣が発光し、そのあとシャークサイクロンの頭上に落雷が落ちる。
エレメンタルリリースは付与術師の戦闘用スキル。
効果は武器を触媒として発動し、武器の属性と付与された特殊効果に応じて様々な効果を発生させる。
落雷を発生させたのは雷属性武器の効果。
雷属性攻撃強化【Ⅲ】とスキル強化【Ⅲ】を付与しているので中々のダメージだ。
なお武器自体の攻撃力は参照されないので、一番軽い短剣を握ってもらっている。
属性を使い分けられるのはケミーと同じ方向性で実際便利。
ただし流石に本業よりは火力で劣るのと、単体と範囲を自由に使い分けられないこと、ダメージ出すには専用の武器が必要になるのでコストがかかるなど制限はある。
あと自分でやると弱点属性に武器を持ち替えるのが結構手間かな。
原作だと装備変更のためにわざわざメニュー開く必要があったしね。
「『エレメンタルリリース』」
『キシャアアア!』
クローネのスキルでもう何度目かの雷が落ちる。
真上から落ちる落雷はシャークサイクロン相手に都合がよく、背ビレにダメージを蓄積して部位破壊ダウンを達成。
追加報酬ゲットだぜ。(まだ確定ではない)
ドロップ率アップのアクセサリーはつけてきているけれど、それでも元の確率がそこまで高くないからね。
「『挑発』、『居合』」
三人が攻撃に参加し始めてから削り速度も加速して、シャークサイクロンの残りHPはもう3割。
ちょいちょい挑発を挟んでヘイトを稼がないとターゲットが移りそうなくらいには火力が出ている。
今回のパーティーは俺以外全員ボスの間合いの外から攻撃できるから、殴り放題なんだよね。
まあそれでも本業の遠距離職よりは火力控え目ではあるけど。
「竜巻来るよー」
シャークサイクロンがワンステップ距離を取り、そのまま自身の右側に尻尾を振る。
「左」
来たのは反時計回りの竜巻なので、回避方向は左。
DPSを出すなら竜巻の隙間を縫って横ではなく前に出て、突進スキルで殴りに行くみたいな戦法もあるけど結構難しいし今はやる必要はないかな。
カーブしてくるから結構感覚的に避けづらいんだよね、なんて思っていたら後ろから悲鳴が聞こえた。
「ひゃあああぁぁぁ………!」
声の主のケミーが竜巻に引っかかって、そのまま打ち上げられた影響で声が遠くなる。
格ゲーの壁際コンボくらい盛大に打ち上げられていて、あのまま落ちたら痛そうだ。
「きゃんっ」
重力に従って自由落下をしてきたケミーを、落下地点に立っていたクローネがそのまま抱き留めた。
「大丈夫ですか、ケミーさん」
「ありがとうございますぅぅぅ」
尻を強打するのを免れたケミーは、お姫様抱っこの状態から地面に降ろされる。
「クローネないすー」
通常なら地面に落ちてダウン硬直が入るんだけど、救助されるとそれが発生しないらしい。
原作にはなかったこの世界独自の仕様だ。
そんなことより助けに入れよって?
クローネの方が近いし先に落下地点に入るのが見えたんだから問題ない。
むしろ割って入ってフライを捕ろうとして交錯する外野手みたいになった方が危ないしね。
「『居合』、ケミー大丈夫? 一旦休憩する?」
今からでもボスを端に寄せて安置を作ることはできるので、そうしようかと提案したけれどケミーは首を横に振った。
「へ、平気ですから続けてくださぁい」
「りょーかい」
ではではこのままで。
ということでフィールド中央に陣取ったまま、討伐を続ける。
二度目以降の遠距離攻撃はみんな無事に避けられるようになり、このままならそう時間もかからずに倒せそうだ。
「おっ」
シャークサイクロンが再びふわっと浮かび上がる。
それを見て俺は三人と横に並ぶように後ろに下がった。
ジャンプ回避の準備ヨシ!
「『エレメンタルリリース』」
既に俺の攻撃は届かない高さだけれど、落雷は当たるのでブレス発生までのわずかな猶予にクローネがスキルを放つ。
こういう合間に攻撃を挟んでいくのはダメージを稼ぐうえで重要、まあ生産科に求めることじゃないけど。
あとあんまり欲張るとブレスまでにスキル硬直が解けるのが間に合わなくて被弾、なんてこともあるけどクローネは問題なさそう。
『シャアアアァァァ』
ベチーン。
「あ、落っこちた」
ダメージ蓄積でダウンすることはあるけれど、空中にいる短い時間の中で起こるのはそこそこ珍しい。
全員並んでブレスに備えていたので、一瞬俺たちのあいだに気まずい空気が流れた。
「……、なにかすみません」
「気にしなくていいよ。全員のりこめー」
折角の大ダウンなのでみんなで殴る。
といってもみんなはその場から攻撃するから殴りに行くのは俺だけだけど。
それから少しして、問題が起きることもなくシャークサイクロンのHPは0になり光の粒子となって消えた。
戦闘時間は15分ほど。
まあこんなものかな。
「みんなお疲れ様」
「お疲れ様です」
「疲れましたぁ」
「うん……」
俺が攻撃を完封できたゴールドライオンと違って、シャークサイクロンは全員が動く必要があったのでみんなは余計に疲れただろう。
ケミーとカッツェは明確にお疲れムード。
クローネは平気な顔をしているけど、あまりそういうのを表に出さないから実際のところはわからない。
もう片方のシャオ・マリーロール組はこちらよりは体力に自信ありそうなんだけどね。
あっちはあっちで近寄って殴らなきゃいけないっていう別の苦労はあるけど。
「んじゃ帰ろうか」
俺はドロップアイテムを拾って、みんなと一緒にダンジョンを出た。
ちなみに宝箱はなかったよ、残念。
ともあれこれで20階層はクリア完了。
それから俺はシャオとマリーロールと共にボス戦をクリアし、さらに全員のレベルを上げるために周回を繰り返した。
☆★☆★☆
20階層のボス討伐も無事に終わり、ギルドメンバーのスキルレベルも全員21を超えたのが先日のこと。
装備の製作をランク2からランク3に切り替えて活動しているうちのギルドに、シャオが人を連れてきてた。
その人物というのはシャオのクラスメイトで友人の木工師。
名前を聞く限り原作キャラではないようだけど、専攻はちゃんと木工だというし、シャオの紹介なら問題もないだろう。
原作に存在しないキャラということは前提知識が存在しないということで、例の手紙の犯人が紛れ込むのに最適な立ち位置かも、とか思ったりはするけれど。
原作キャラなら元のキャラからかけ離れた行動をしたら怪しいのがわかるけど、オリキャラはそうじゃないからね。
まあ手を見れば犯人かはわかるから、同じギルドにいればそのうち確認する機会は訪れるだろうけど。
コンコン。
「どうぞ」
そんなことを考えているとちょうど部屋がノックされたので入室を促す。
「こんにちはー」
「連れてきたんじゃよ〜」
シャオと共に現れた彼女に俺は思わず目を奪われる。
「っ……」
連れてこられた女子は確かに原作キャラではなく初対面の相手。
制服は当然、生産科のもの。
髪は左右に結んだ緑色。
肌は小麦色に日焼けしている。
自然な笑顔は人当たりの良さが伝わってくる。
身長、体型共に平均的で目立つような特徴はない。
確かにかわいいけれど、廊下ですれ違っても特に記憶には残らない、そんな相手。
「ボクはグレイ! よろしくね!」
ただし、元気よく挨拶をした彼女の手には、真っ白な手袋が着けられていた。
そ……ッッ、そうきたかァ〜~〜ッッッ。
*ここまで読んでいただきありがとうございます。
これにて二章完結です。
良ければ評価感想よろしくお願いします。
あと誤字報告いつもありがとうございます。(マジで)
またストックを貯めるために少し休みをもらいますのでしばらくお待ちください。
・錬金術師の戦闘スキル
錬金術師は魔石を消費しアイテムを合成して、それを使用することができる。
合成できるアイテムは単純な爆弾から状態異常付与アイテム、ポーションなど効果は様々。
できることは幅広いが、やはりネックなのはアイテム消費だろう。
加えてスキルの多くは錬金術師が製作するアイテムでも代用可能なので、わざわざパーティーに入れる戦力として有力かと言われると微妙なところ。
スキルの威力は自身の魔力参照。
・付与術師の戦闘スキル
付与術師の『エレメンタルリリース』は武器の属性と付与によって効果が変わる戦闘スキル。
武器を持ち替えることができれば自由に弱点を突けるのは強力。
ただし威力自体は本職より控えめ。
なお武器の属性だけでなく特殊効果の種類でも発生する効果が変化するので応用は幅広く難しい。
加えて対応する武器が必要なので錬金術師と同じように別のリソースが求められるので、主力として運用しようと思うと苦労するだろう。
スキルの威力は自身の魔力参照。
・裁縫師の戦闘スキル
裁縫師は糸を使い攻撃することができる。
射程は近接武器より遠く遠距離武器よりは狭いので中距離武器というのが適切だろうか。
ダメージは物理で属性は斬撃。
攻撃用のアクティブスキルもあるので見た目よりはダメージが出るがそれでも相対的には火力控えめ。
近接でない斬撃属性というのは珍しいのでピンポイントで活躍することがある、かもしれない。
スキルの威力は自身の筋力参照。