ダンジョン学園、ゲーム転生ソロ攻略中。   作:塔乃登

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前回のあらすじ
ギルドに新メンバー(木工師)が増えました。
ガードが鉄壁(手袋的な意味で)なオリキャラだけど、まあなんとかなるんじゃないかな。


026.付与合成(三枠)

 今日は六月の第三週。

 俺は放課後にギルドハウスに来ていた。

 

 ちなみに先月末の売り上げでお引っ越ししたので、ギルドハウスは以前よりも広くなっている。

 具体的に言うと全員に個別の作業場と俺用の執務室、応接室とリビングに空き部屋が少々。

 

 表の店舗も少しだけ広くなったけど、あちらのスペースはあまり必要ないので裏ほど大きくは変わっていない。

 店内は見本の展示に装備を並べるだけで、実際の販売日は外に人を並べて店内は会計するだけだからね。

 そこまで広さはいらないのだ。

 

 とはいえギルドハウス自体の広さは前まで使っていた場所の二倍近く、当然賃貸料は跳ね上がる。

 月々の家賃もかかるからね、ちゃんと毎月稼がないと。

 

 まあ全員に個別の作業スペースを用意することで得られる作業効率の上昇を考えれば相対的には高くはない出費ではある。

 絶対的には高いけど。

 というわけで今日は新ギルドハウスで、ケミー用の作業スペースに集まっていた。

 

「それじゃあ今日は付与合成をするよ」

 

 部屋にいるのは俺とケミー、クローネ、シャオの合計四人。

 

「付与合成ってぇ、いつもと違うんですかぁ?」

 

 ケミーのもっともな質問に俺が頷く。

 普段の作業ならわざわざ集まってやる必要はないからね。

 

「うん、今日はこれまでとはちょっと変わった方法で付与合成をするよ。具体的には付与合成する特殊効果の数が三つになるからよろしくね」

 

 21階層、つまりランク3からの装備は特殊効果を二枠ではなく三枠付けられるようになる。

 あと合成でない通常の付与も【Ⅲ】がそのまま付けられるようになるかな。

 当然それだけ装備は強力なものになるし、一枠しか付与されていない装備との差が広がるぞ。

 

「それで、具体的にはどうやってやるのかの?」

「うん、このランクからは一番最初の素材が6つになるから、そこにそれぞれ付与してから合成していく形だね。具体的には真鉄鉱石Aに攻撃力強化【Ⅲ】、真鉄鉱石Bに斬撃属性強化【Ⅲ】をつけて、攻撃力強化【Ⅲ】と斬撃属性強化【Ⅲ】のついた真鉄インゴットAを作るよ」

 

「攻撃力強化【Ⅲ】と攻撃力強化【Ⅲ】を合わせてぇ、攻撃力強化【Ⅳ】にはしないんですかぁ?」

「合成した【Ⅳ】を完成品の装備に引き継ぐよりも、【Ⅲ】と【Ⅲ】を完成品の製作時に合成した方が確率が高いからね」

「なるほどぉ」

「それから真鉄インゴットBとハード材Aも作るよ。三つで武器の素材だね」

 

 真鉄鉱石A/攻撃力強化【Ⅲ】+真鉄鉱石B/斬撃属性強化【Ⅲ】

 =真鉄インゴットA/攻撃力強化【Ⅲ】/斬撃属性強化【Ⅲ】

 

 真鉄鉱石C/斬撃属性強化【Ⅲ】+真鉄鉱石D/スキル強化【Ⅲ】

 =真鉄インゴットB/斬撃属性強化【Ⅲ】/スキル強化【Ⅲ】

 

 ハードウッドA/スキル強化【Ⅲ】+ハードウッドB/攻撃力強化【Ⅲ】

 =ハード材A/スキル強化【Ⅲ】/攻撃力強化【Ⅲ】

 

 頭こんがらがりそうって思った?

 俺もだ。

 ちなみに素材二つにそれぞれ三枠ずつ付与するよりも、素材三つに二枠ずつ付与する方が費用は抑えられる。

 

「その三つを合成して攻撃力強化【Ⅳ】斬撃属性強化【Ⅳ】スキル強化【Ⅳ】の装備を作るんですね」

「正解」

 

 真鉄インゴットA/攻撃力強化【Ⅲ】/斬撃属性強化【Ⅲ】

 +

 真鉄インゴットB/斬撃属性強化【Ⅲ】/スキル強化【Ⅲ】

 +

 ハード材A/スキル強化【Ⅲ】/攻撃力強化【Ⅲ】

 =

 真鉄斬刀/攻撃力強化【Ⅳ】/斬撃属性強化【Ⅳ】/スキル強化【Ⅳ】

 で完成品。

 

 原作でゲームシステムの補助あってもめんどくさいのにこの世界だと自分たちで全部管理しなきゃいけないとか今から考えてもうんざりするね。

 管理してくれるクローネがいなかったらもう諦めてたかも。

 なお触媒を用いた特殊効果の引き継ぎはまたちょっと仕様が変わってくるんだけど長くなるのでここでは割愛。

 

「ちなみに完成品はどれくらい強くなるのかの?」

「これから作る真鉄斬刀が特殊効果で合計52%。普通のスキル強化【Ⅲ】とかだと15%だから差は37%かな」

 

 まあ一枠目確定なのを利用して二枠目をゴリ押しで付与することも金はかかるけど不可能ではないから、実際には斬撃属性強化【Ⅲ】+スキル強化【Ⅲ】の合計30%で差は22%とかだろうか。

 ちなみに付与合成でなく一枠ずつ付与していく場合、新しい三枠目の確率は二枠目よりさらに低くなるので、二枠目が付与成功率100%でないのもあって両方とも成功させるのは困難だ。

 合成する度に魔石も消費するしね。

 

「どっちにしてもぉ、結構な差ですねぇ……」

「全ての攻撃に適用されるわけではないとはいえ、22%は明確に差が生まれる数値かと。さらに防具とアクセサリーによってそのほかの部分にも差が生まれますから」

 

 ボス討伐に30分かかる所が24分になると考えると結構な差である。

 スキル適性100%のやつが使ってやっと120%のやつと同じくらいのレベル上げ効率になると考えるとちょっとアレだけど。

 ともあれ。

 

「精霊粉も用意してあるから、これを使ってね」

 

 用意してきた精霊粉は四つ。

 対応するスキルによって配合が違うので正直めんどくさかった。

 同じ箇所に同じスキルの【Ⅲ】を二つつけることはできないから、インゴットの時点で全部中身が異なるんだよね。

 攻撃力強化【Ⅲ】と攻撃力強化【Ⅲ】を一箇所に付けられたらもっと楽だったのに。

 

「それじゃぁ、やりますねぇ」

 

 真鉄鉱石への付与は既にクローネによって済んでいるので、今日の手順はケミーから。

 この作業にもしばらく時間がかかるので、作業する様子を見守る。

 

「なんだか懐かしいのう」

「そうですね」

「まだ二ヶ月と半分くらいしか経ってないけどね」

 

 そんな話をしながらみんなで笑う。

 初期メンバーがこの四人で、初めて付与合成に成功した時も同じメンツだった。

 まあ今回はこの四人でやってるのは、全員集めるほどのことでもないから必要最低限の人数を集めただけなんだけど。

 

 ケミーとクローネは最初から必須で、シャオを呼んだのは武器を一番最初に作りたいから。

 あとマリーロール担当の装飾品は若干手順が変わる部分があるし、グレイは主に弓とか杖担当だからね。

 

「気付けばメンバーもずいぶん増えたのう」

「初期から見ると倍近くだからそうかもね」

 

 初期のメンバーが四人。

 追加がカッツェとマリーロール、あとグレイで三人。

 倍近くは言いすぎたかも。

 でも増加率75%は、増えたと実感するには十分だと思う。

 

 マリーロールとグレイは他のメンバーより元気がある(配慮した表現)しね。

 二人でカッツェ十人分くらいの存在感がある。

 

「これからさらに人を増やす予定はありますか?」

「とりあえずその予定はないかな」

 

 もしかしたらもう一人、勧誘するかもしれないけど今の時点でする話ではない。

 まだ入ってもらう理由がないし、そもそもこの世界では接点すらない人だから。

 

「なら今のメンバーで頑張っていくことになるのう」

「うん、今のメンバーならきっと大丈夫」

 

 レベル上げは順調だし、メンバーの関係も良好。

 俺以外全員女子メンバーだから恋愛絡みの問題も起きないだろうし。

 恋愛沙汰からのギルド崩壊はネトゲで遊んでた頃によく見たので、マジでそこだけは勘弁してほしい……。

 姫chanはもうこりごりだよ〜~〜。(ギルドN敗)

 

 そもそも恋愛沙汰が嫌なら全員男で集めればいいだろって?

 …………、その発想はなかった。

 原作の優秀なキャラってメインヒロインを筆頭に女性キャラが多いし、自然とそっちが集まりやすいんだよね。

 まあ仲間にするなら美少女の方が嬉しいっていうオタク脳もあるんだけど。

 

 なのでこの世界に来ても自然に女子を勧誘してた。(そもそも原作の生産科キャラに女子が多いっていうのもあるけど)

 あとクローネはピンポイントで勧誘するつもりだったし。

 予算管理するにも製作計画立てるにもクローネがいなかったらと思うとぞっとするから、その点では慧眼ではあったな。(自画自賛)

 

 そんな話をしているとケミーの手元が発光して、少ししてからおさまる。

 

「できましたぁ〜」

 

 彼女の手元には完成したインゴット。

 特殊効果もちゃんと二つ引き継がれている。

 

「お疲れ様ケミー」

「はぁい、緊張しましたぁ」

 

 彼女が前髪の下に浮かんでいた額の汗を拭く。

 特殊効果【Ⅲ】が二つの合成は初めてだから失敗しないか心配だったんだろう。

 まあ失敗したらほぼ俺の責任なんだけどさ。

 

「じゃああと二つよろしくね」

「わかりましたぁ」

 

 一度成功したなら二度目もたぶん大丈夫、ということでそのケミーに仕事を任せた。

 

 

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

 

 それからしばらくのあと、ケミーの合成はすべて成功したので今度はシャオに武器を打ってもらっている。

 

「大変そうだなぁ」

「そうですねぇ……」

 

 鉄を打つための作業場は炉の影響でかなり熱く、シャオは制服を脱ぎシャツ一枚になってもなお汗だくだ。

 髪の長い彼女は作業中、後ろ髪を縛っているのでうなじにも汗が浮かんでいるのがここからでも見える。

 うなじの見える髪型って、いいよね。

 

 ちなみに首からは耐火のアミュレットを下げているけれど、それでも熱を相殺はできていない。

 本人は今でも効果があるって言ってたけど、耐火装備のランクが上がったらもっとマシになるのかな。

 

「それにしてもぉ、あっついですねぇ……」

「鉄を叩くための温度は1000度を超えるそうですから」

「ひえぇ……」

「離れたここでも暑いんだから、炉のすぐ近くは相当だろうね」

「そうですね」

 

 当然のように汗をダラダラと流して溶けそうになっているケミーだけでなく、表情は平静を保とうとしているクローネも顔に汗が浮かんでいる。

 完成間際の最終工程で付与合成を行うクローネも、そのタイミングでは今ほど熱くないので普通に辛いらしい。

 

「退散しようか」

「ええ」

「賛成ですぅ……」

 

 ということで三人で居間に退散。

 クローネの最終工程まで数時間、やることもないしね。

 ならなんであそこに集まってたのかって?

 なんか……、ノリで……。

 

「ふーっ、暑かったですぅ」

「ほんとにね」

 

 あの環境で仕事をしているシャオには素直に尊敬である。

 

「紅茶でも淹れましょうか」

 

 俺とケミーが椅子に座る中、クローネはそのままアイスティーを入れてくれる。

 

「どうぞ、ジャックさん」

「ありがと、クローネ」

「はあぁ……、生き返りますぅ……」

 

 冷たい飲み物を飲んで、ケミーは生き返ったように深く言葉を漏らす。

 

「あっ、美味しい」

「そうですか? お口に合ったならよかったです。ケミーさん、もう一杯どうぞ」

「ありがとうございますぅ」

 

 クローネは早速一杯目を飲み干したケミーに対して二杯目を注ぎ、そのまま自分の分も用意して腰を下ろした。

 まだ作業中のシャオには悪いけど、これも分業ということで。

 

「あれ、みんな何してるの?」

 

 仕事もせずに三人でゆっくりしていると、顔を見せたのは通りかかったグレイ。

 今日は木製の小盾の製作を頼んでいたんだけどちょうど終わったところのようだ。

 

「シャオの作業を見学してたんだけど、暑くて退散してきた」

「だからケミーが溶けそうな顔してるんだ!」

 

 納得したグレイが、そのままケミーに近付いてきて顔を寄せる。

 

「くんくん」

「嗅がないでくださいぃ……」

「あはは、ごめん! でも大丈夫! そんなに匂わないよ!」

「うぅぅ……」

 

 流石に今のフォローが不適切なのは俺にもわかる。

 グレイは女子なのに俺より女心がわかっていないんじゃないだろうか。

 失礼ながらそんなことを思ってしまった。

 

「んー、ジャックはそんなに匂わないね!」

 

 くんくんと俺の首筋あたりに顔を寄せてからグレイが言う。

 

「俺はいつも汗流してるからじゃない?」

 

 戦闘職だから当然日常が肉体労働だし、普段から汗をかいている人の汗はそんなに匂わないらしいよ。

 

「クローネはー……」

「私は遠慮しておきます」

「そう? ならやめとこうかなー」

 

 …………。

 

「なんですか、ジャックさん?」

「ナンデモナイヨ」

 

 クローネへの感想がちょっと聞きたかったなんてオモッテナイヨ。

 

「ところでジャックさんとグレイさんはぁ、なんだか距離が近くないですかぁ……?」

 

 まあ顔を近づけて匂いを嗅ぐのは普通ではないかな……。

 彼女がそういうのを気にしないだけで他意はないけど。

 

「そう? この前ダンジョン行ったときはもっと近かったけど?」

 

 そんな他意のないグレイの言葉にクローネの目が光る。

 

「ジャックさん、今のグレイさんの発言はどういう意味でしょうか?」

 

 ク、クローネの視線が怖い。

 

 ちがくてぇ……、これには事情があってぇ……、もう疲れちゃってぇ(グレイが)……、全然動けなくってェ(グレイが)……。

 …………、嘘は言ってないよ?

 

「なるほど、そういうことでしたか」

 

 俺の完璧な弁護に対し、クローネ裁判長の判決は……?

 

「必要だったのでしたら、仕方ありませんね」

 

 無罪! 圧倒的無罪!

 

「ですが誤解を招くようなことは控えた方がいいかと」

「はい……」

 

 すみませんでした……。

 風紀の乱れはよくないからね。

 

「?」

 

 不思議そうな顔をしているグレイは、まあいいか。

 

「グレイも紅茶飲む?」

「うん!」

 

 元気な返事とともに彼女も席に着く。

 

「グレイの方は作業は問題なさそう?」

「うん! ちょっと驚いたけどもう慣れたよ!」

「ならよかった」

 

 最後に付与合成するやり方は学園じゃ誰もやってないだろうからね。

 授業では習うかもしれないけど実際にやるとビックリすることもあるだろう。

 

「でも凄いね! あれってどういう仕組みなの!?」

「それは秘密」

「えー、教えてよー!」

 

 と言っても特別なことはしてないんだけど。

 ただ生産職のレベルと付与の基礎確率とそれを100%にするための精霊粉の数と付与の種類に対応した色が頭の中に入ってるだけで。

 説明するには長くなるし、そもそも細かい説明は初期の三人にして以降は誰にもしていない。

 

 その三人だって今のランクの付与成功率は知らないし。

 みんなのレベルと装備のランクと枠の数と特殊効果の種類によって確率は変動するからね。

 同時にその辺は他の学園生がやり方をパクれない要因にもなっている。

 

「むー、ジャックのケチ!」

 

 なんて頬を膨らませるグレイは放っておいて、紅茶を飲んでいるとまた新しい顔が現れた。

 

「あら、ここに集まっていましたの」

「…………」

 

 現れたのはマリーロールとカッツェ。

 これで作業をしているシャオ以外は全員集合だ。

 

「お疲れ様、二人とも。今日の作業終わった?」

「もちろん、終わりましてよ!」

「……、うん」

 

 ならこれでシャオが終わればギルドハウスは閉じて帰宅できるかな。

 

「カッツェ、ここ座る?」

「座る……」

 

 俺が隣の席を促すと、彼女はそこにちょこんと腰かける。

 七人で囲めるテーブルに最初三人で座ってたから、自然と両隣が空いていたのだ。

 他意はないよ。

 

「あら、わたくしはエスコートしてくれませんの?」

「これは失礼しました、お嬢様。こちらの席へどうぞ」

「あら、なかなかよろしくってよ」

 

 俺が椅子を引くと、彼女は普段の様子からは想像できない優雅な仕草で腰掛ける。

 普段はいじられキャラなのにね。

 

「なんですの?」

「マリーロールはお嬢様なんだなあと思って」

「そんなの当たり前ですわ! オーッホッホッホッ」

 

 高らかに笑う彼女は放っておいて、俺も自分の席に戻る。

 

「それで皆で集まってなにをしていましたの?」

「特になにも。一応シャオに頼んだ仕事を待ってる最中だけど」

 

 待っている間はお茶をしていただけである。

 

「そのシャオはなにを?」

「新しい装備を作ってもらってるよ。成功したらみんなにも伝えようと思ってたけど全員集まってるからちょうどいいね」

「なるほど、それは期待しておきますわ」

「マリーロールさん、紅茶をどうぞ」

「感謝しますわ、クローネ」

 

 注がれた紅茶を飲む姿もやっぱり所作が洗練されているのがわかる。

 

「カッツェさんもどうぞ」

「ありがと……」

 

 カップを貰ったカッツェが両手でそれを包み込むように持って顔を寄せる仕草は、なんだかちょっと猫のよう。

 マリーロールのようにマナー満点の動きではないけれど、私はいいと思う。

 

 それからまた雑談が始まるんだけど、流石に六人いると騒がしく、俺が口を開かなくても勝手に話題が転がっていく。

 こういう場になると積極的に喋る人間とそうでない人間に自然と分かれるよね。

 ちなみに俺は後者だ。

 

 なんてことを思いながら話に耳を傾けていると、クローネが自分の椅子を引いた。

 

「そろそろ頃合いですから、シャオさんのところに行きますね」

「うん、よろしくね」

「はい」

 

 装備製作の最後の仕上げ、付与合成によるエンチャントだ。

 まあここまでの手順が問題なかったし、最後の部分も心配してないけど。

 とはいえ他のメンバーは気になっているようでいくつか新武器に関する話題がでた。

 

「おつかれさまなんじゃよー。おっ、みんな揃っておったのかの」

「ただいま戻りました」

「おかえりふたりとも」

「おかえりなさーい!」

 

 作業場から出てきたシャオとクローネ。

 シャオは着衣水泳でもしてきたかのようにシャツを濡らし、クローネも首筋に汗がこぼれている。

 そして手には一振りの刀が握られていた。

 

「シャオ、紅茶飲む?」

「これはありがたいの」

 

 空いている席に腰を下ろしたシャオにアイスティーを差し出す。

 彼女はそれを一口で飲み干した。

 

「クローネもどうぞ」

「ありがとうございます」

「シャオももう一杯いる?」

「それじゃあもらおうかの」

 

 シャオが注がれた二杯目を、今度は一口だけ飲んで一息つく。

 

「それで、新しい武器はどうですの?」

 

 テーブルの中央に置かれたそれに対してみんなの視線が集まる。

 シャオに視線を向けるとニヤッと笑ったので俺は頷いた。

 

「詳細見ていいよ」

 

 武器を打った本人と付与合成したクローネはもう結果を知っているだろうし、残りのメンバーから自然とマリーロールがウィンドウを開いた。

 

『真鉄斬刀/刀武器ランク3』

『攻撃力強化【Ⅳ】/斬撃属性強化【Ⅳ】/スキル強化【Ⅳ】』

 

「これは……」

「おおー」

 

 全員から驚きと感心が混ざったような声が漏れる。

 枠が増えること自体は隠されているわけでもないんだけど、流石に付与合成した特殊効果で三枠埋まっているのは予想しててもビックリだったんだろうか。

 

 ともあれ最後まで成功して、俺もひとまず一安心。

 付与合成の枠が増えても、原作からの仕様は変更されていなかったようだ。

 加えて言えば、今後枠が増えたとしても仕様変更されている可能性が低い、かもしれない。

 二枠から三枠に変わった時に仕様変更されていなかったなら、三枠から四枠に変わる時も仕様変更されてない可能性が高いだろう。

 

「ねえ! お祝いにみんなでパーティーしようよ!」

「では今日はもう遅いですし、明日にしましょうか。予算はギルドから出しますよ」

「やったー!」

 

 グレイの提案にクローネが乗って、みんなからも喜びの声が聞こえる。

 クローネはこういうのに積極的に乗る方じゃないと思ってたからちょっと意外。

 まあ意外なだけで問題はないけど。

 みんなが明日用意するものを相談するなかで、クローネが隣に来て声のトーンを落としつつ確認してくる。

 

「勝手に決めてしまいましたが、よかったですか?」

「うん、みんな喜んでるしいいんじゃないかな」

「そうですね」

 

 グレイの歓迎も兼ねて懇親になるならいいんじゃないかなと、俺はそんなふうに思った。

 




・ギルドメンバーが一旦揃ったので分かりやすい特徴比較

・身長
シャオ(極小)<カッツェ(低)<グレイ(普)<ケミー(普)<クローネ(高)<マリーロール(高)≒ジャック(男基準で普/女性陣基準だと高)

・体重
シャオ≒カッツェ<グレイ<クローネ<ジャック≒マリーロール<ケミー

・胸
シャオ(無)<カッツェ(小)<グレイ(普)≒ジャック(胸板)<クローネ(大)<マリーロール(豊)<ケミー(巨)

・腰
カッツェ<シャオ<グレイ<クローネ<マリーロール<ジャック<ケミー

・尻
シャオ≒カッツェ<グレイ<ジャック<クローネ<マリーロール≒ケミー

・握力
カッツェ<ケミー<クローネ<マリーロール<グレイ<シャオ<ジャック

・前屈(←できない/できる→)
ケミー<ジャック<マリーロール<クローネ<シャオ<グレイ<カッツェ

・スキル適性
ジャック(刀ほか/100%)<ケミー(錬金/125%)<カッツェ(裁縫/130%)<クローネ(付与術/135%)=シャオ(鍛冶/135%)<グレイ(木工/140%)<マリーロール(彫金/150%)
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