機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第6巻 第6章 「観測者」

■アマテラス・第一カタパルトデッキ

 

警報が鳴り続けている。

 

 

赤い警告灯。

 

 

張り詰めた空気。

 

 

■オペレーター

 

「敵性反応、接近!」

 

 

「外縁宙域より侵入!」

 

 

モニターに映る二つの機影。

 

 

白銀。

 

 

そして、

漆黒の赤。

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「距離は」

 

 

■オペレーター

 

「第一警戒ライン突破!」

 

 

「このままではアマテラスへ接触します!」

 

 

短い沈黙。

 

 

その時。

 

 

後方から足音。

 

 

■アムロ・レイ

 

パイロットスーツ姿。

 

 

その隣。

 

 

■シャア・アズナブル

 

静かな赤。

 

 

艦橋の空気が止まる。

 

 

本当に出るのだ。

 

 

“あの二人”が。

 

 

■ブライト

 

振り返らない。

 

 

「行けるのか」

 

 

■アムロ

 

「ああ」

 

 

■シャア

 

「今更聞くな」

 

 

■ブライト

 

「……総員、戦闘配置」

 

 

「アムロを発進させる」

 

 

 

■カタパルトデッキ

 

Hi-νガンダム。

 

 

白い光。

 

 

その隣。

 

 

巨大な赤。

 

 

■ナイチンゲール

 

圧倒的な質量感。

 

 

完全ではない。

 

 

だが確かに、

ここに存在していた。

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

見上げる。

 

 

「本当にまた見る事になるとはな」

 

 

■アムロ

 

「ジョブ」

 

 

■ジョブ

 

「あ?」

 

 

■アムロ

 

少し笑う。

 

 

「まだ現役なんだな」

 

 

■ジョブ

 

鼻で笑う。

 

 

「そっちこそ、

幽霊のくせに働かせやがって」

 

 

アムロが笑う。

 

 

ほんの少しだけ、

昔の空気が戻る。

 

 

 

■ブライト

 

「アムロ」

 

 

短い沈黙。

 

 

「……行ってこい」

 

 

■アムロ

 

「ああ!」

 

 

白い閃光。

 

 

Hi-νガンダム発進。

 

 

その直後。

 

 

■シャア

 

「命令される筋合いはないがな」

 

 

■ブライト

 

「勝手にしろ」

 

 

■シャア

 

「最初からそのつもりだ」

 

 

赤い巨影が宇宙へ飛び出す。

 

 

 

■外縁宙域

 

Hi-νガンダム。

 

 

ナイチンゲール。

 

 

白と赤が並ぶ。

 

 

■シャア

 

「妙な気分だな」

 

 

■アムロ

 

「何がだ」

 

 

■シャア

 

「ついさっきまで、

お前と殴り合っていた気がする」

 

 

■アムロ

 

苦く笑う。

 

 

「実際そうだったんだろ」

 

 

■シャア

 

「それが今では共闘か」

 

 

■アムロ

 

「終わってないから、

俺達がここにいる」

 

 

■シャア

 

小さく笑う。

 

 

「違いない」

 

 

 

前方。

 

 

二つの影。

 

 

白銀。

 

 

漆黒。

 

 

 

■アムロ

 

「……違う」

 

 

ノーネームを見る。

 

 

「これは俺じゃない」

 

 

ノーネームが加速する。

 

 

速い。

 

 

だが。

 

 

■アムロ

 

「迷いがない」

 

 

光が交差する。

 

 

 

■シャア

 

オブリヴィオンを見る。

 

 

同じ軌道。

 

同じ残像。

 

 

だが。

 

何かが欠けている。

 

 

■シャア

 

「空虚だな」

 

 

「私から、

人だけを抜き取ったか」

 

 

 

その時。

 

 

ノーネームが停止する。

 

 

偏光装甲が揺れる。

 

 

■コルヴス・クロウ

 

「検出」

 

 

「接続反応確認」

 

 

アムロの目が細くなる。

 

 

 

■オブリヴィオン

 

漆黒の装甲が揺らぐ。

 

 

その奥。

 

 

誰かがいる。

 

 

■シャル・ルージュ

 

「確認開始」

 

 

静かな声。

 

 

「対象」

 

 

短い沈黙。

 

 

「レイジ・イルマ」

 

 

 

■アマテラス

 

レイジが足を止める。

 

 

頭痛。

 

 

耳鳴り。

 

 

波の音。

 

 

深海。

 

 

誰かに見られている。

 

 

■レイジ

 

「っ……!」

 

 

 

■コルヴス

 

「対象確認」

 

 

■シャル

 

「観測開始」

 

 

 

その瞬間。

 

 

白銀と漆黒。

 

 

二機が同時に、

レイジのいる方向へ機首を向ける。

 

 

宇宙が歪む。

 

 

世界そのものが、

レイジへ焦点を合わせたように。

 

 

 

■アムロ

 

「まずい!!」

 

 

Hi-νガンダムが加速する。

 

 

白い光が、

未来へ向かって駆け抜けた。

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