■アマテラス
艦内の空気が変わっていた。
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温度ではない。
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音でもない。
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ただ。
情報の重さだけが増している。
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誰も口にはしない。
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だが。
誰もが無意識に呼吸を浅くしていた。
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何かが近づいている。
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理由は分からない。
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それでも。
艦全体がそれを感じていた。
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■医療区画
レイジ・イルマ。
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目を閉じたまま、
ベッドへ横たわっている。
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眠っているわけではない。
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意識だけが遠い。
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指先に、
深蒼の残光が微かに揺れる。
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■レイジ
「……触れてる」
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誰もいない。
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だが。
何かが触れ返してくる。
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白い残光。
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赤い揺らぎ。
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深蒼の海。
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それらが感覚の奥で交差する。
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■レイジ
「なんなんだよ……」
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返事はない。
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だが。
向こう側だけは、
確実に近づいていた。
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■アナハイム極秘工廠
深蒼フレーム。
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リヴァイブ・ガンダム。
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未完成の機体が、
静かに脈動している。
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■セイラ・マス
モニターを見つめる。
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■セイラ
「起動じゃない……」
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短い沈黙。
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■セイラ
「応答よ」
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■エリシア・マス
「誰に……?」
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その瞬間。
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外部センサーが一斉に揺れる。
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深蒼フレームが、
海鳴りのように明滅した。
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■エリシア
「空間干渉!?」
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■セイラ
静かに目を細める。
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■セイラ
「……見つけ始めたのね」
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■外縁宙域
戦闘は続いている。
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だが。
異変は確実に広がっていた。
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■Hi-νガンダム
白い機体が加速する。
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その周囲へ、
遅れた軌跡が残る。
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■アムロ・レイ
「……今のは」
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■ナイチンゲール
赤い巨影が回避する。
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だが。
その動きが一瞬だけズレる。
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■シャア・アズナブル
「来ているな」
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次の瞬間。
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白と赤が同時に加速する。
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ビーム。
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回避。
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再加速。
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通常なら噛み合わない軌道。
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だが。
二人は互いの動きを知っているように交差する。
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■アムロ
「右!」
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■シャア
「分かっている!」
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ナイチンゲールが踏み込む。
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その死角を使い、
Hi-νが反転加速する。
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二機の軌道が、
一つの戦術になる。
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■アムロ
「チィ……!」
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舌打ち。
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だが次の瞬間には、
もう立て直している。
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■シャア
「今のは危なかったな」
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■アムロ
「お前が遅い」
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■シャア
「貴様が速すぎるのだ」
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ほんの一瞬。
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笑うような空気。
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だが次の瞬間には、
再び戦場へ沈む。
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白と赤。
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本来なら、
決して並ばなかった残光。
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それが今。
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同じ方向を見ている。
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■ノーネームガンダム
白銀の機体。
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コルヴス・クロウが、
異常波形を見つめている。
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■コルヴス・クロウ
「干渉圏突入」
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「戦闘領域外からの影響を確認」
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コルヴスは沈黙する。
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観測波形が揺れる。
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本来存在しないはずの誤差。
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本来成立しないはずの接続。
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■コルヴス
「……始まったか」
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■アムロ
「時間じゃない……」
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■シャア
「ああ」
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少し間。
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■シャア
「向こう側が触れてきた」
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次の瞬間。
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世界が揺れる。
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空間そのものが、
わずかに軋む。
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ビームが遅れる。
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爆発が先に起きる。
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距離感覚が崩れる。
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敵が動いたのではない。
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戦場が変質していた。
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現実そのものが、
揺らぎ始めている。
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■アムロ
「……っ!」
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一瞬だけ呼吸が止まる。
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だが。
身体だけが先に動く。
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■シャア
「止まるな、アムロ!」
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■アムロ
「分かってる!」
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白と赤が再び加速する。
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戦場は、
まだ崩れていない。
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だが。
確実に。
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戦争の形だけが、
失われ始めていた。