アマテラス。
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静かな艦内。
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誰も動かない。
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だが、
昨日までとは違っていた。
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わずかにズレていた空気が、
今はゆっくりと、
揃い始めている。
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昨日まで聞こえていた、
微妙なノイズ。
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照明の遅延。
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音のズレ。
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それらが、
少しずつ消えている。
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それは安定ではない。
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むしろ。
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“何かが近づいている静けさ”だった。
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■ブリーフィングルーム
アムロが窓の外を見ている。
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外縁宙域。
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何もない宇宙。
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だが。
その奥で、
何かが揃い始めている。
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■アムロ
「追撃は?」
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■シャア
壁にもたれたまま答える。
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■シャア
「来ない」
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■アムロ
「妙だな」
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■シャア
「あちらも測っている」
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少し間。
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■シャア
「不用意に動けば、
飲まれる」
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沈黙。
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誰も反論しない。
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戦闘ではない。
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“接続”そのものが、
危険になり始めている。
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■ベルトーチカ
小さく眉を寄せる。
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■ベルトーチカ
「……空気が違う」
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■アムロ
「ああ」
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■ベルトーチカ
「昨日より静か」
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■シャア
「違うな」
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全員の視線が向く。
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■シャア
「揃い始めたんだ」
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沈黙。
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その言葉だけが、
妙に自然に落ちる。
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昨日まで感じていた:
・ズレ
・誤差
・不一致
それらが、
少しずつ消えている。
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代わりに。
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“同じものを見始めている感覚”
だけが残る。
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■アムロ
「……近いな」
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■シャア
「感じるか」
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■アムロ
「ああ」
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少し間。
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アムロは窓の外を見る。
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宇宙は静かだ。
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静かすぎる。
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■アムロ
「嫌な感じだ」
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■シャア
「怖いか」
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アムロは、
すぐには答えない。
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■アムロ
「……分からない」
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「でもこれは、
もう戦争じゃない」
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沈黙。
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■アムロ
「撃って、
避けて、
勝って負ける」
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「そんな話じゃなくなっていく」
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拳を握る。
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■アムロ
「人が戦ってる感じが、
薄れていくんだ」
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シャアは静かに聞いている。
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否定しない。
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怒らない。
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ただ、
少しだけ目を細める。
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■シャア
「……そうかもしれんな」
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その声には、
妙な静けさがあった。
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まるで。
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“既に半分理解している者”
のように。
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■アマテラス・医療ブロック
簡易隔離区画。
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消灯された室内。
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レイジはベッドに座ったまま、
天井を見ている。
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昨日まで感じていた違和感。
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だが今日は違う。
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■レイジ
「……遠くない」
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拳をゆっくり開く。
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何かが近づいている。
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いや。
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“自分が近づいている”。
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■レヴナント領域
暗い観測空間。
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無数の波形。
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だが、
どれも安定していない。
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■オペレーター
「同期率上昇」
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「ですが、
固定できません」
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■コルヴス・クロウ
波形を見つめる。
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■コルヴス
「当然だ」
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少し間。
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■コルヴス
「今はまだ触れるな」
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■オペレーター
「ですが——」
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■コルヴス
「位相が定まっていない」
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空間が微かに揺れる。
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■オペレーター
「ラプラス・コア反応増大」
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■コルヴス
目を細める。
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■コルヴス
「……模写では追いつかないか」
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その声には、
以前存在しなかった“思考”がある。
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■アナハイム極秘工廠
■リヴァイブ・ガンダム
深蒼フレーム。
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わずかな発光。
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昨日より長い。
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■エリシア
「反応継続」
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■セイラ
無言。
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ただ、
機体を見つめている。
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■エリシア
「まだ起動しません」
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■セイラ
「ええ」
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少し間。
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■セイラ
「でも、“待ってる”」
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その言葉で、
空気が少し変わる。
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兵器ではない。
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まるで。
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“誰かを待っている存在”。
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■レイジ
静かに目を閉じる。
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昨日までは、
“引っ張られている”感覚だった。
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だが今は違う。
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向こうも、
こちらを見ている。
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■レイジ
「……来る」
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その瞬間。
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■リヴァイブ・ガンダム
深蒼フレームが、
一瞬だけ強く発光する。
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■エリシア
「反応上昇!」
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■セイラ
「まだ触らないで」
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エリシアが息を呑む。
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機体が動いた訳ではない。
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だが。
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“視線だけ”が合った感覚。
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■アムロ
ブリーフィングルームで、
足を止める。
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■アムロ
「……来たな」
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■シャア
ゆっくり目を細める。
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■シャア
「ああ」
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昨日までのズレが消えている。
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代わりに。
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“接続直前の静けさ”だけが残る。