■アマテラス・ブリッジ
警報は、
すでに“日常”になりつつあった。
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赤い警告灯。
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断続的に鳴るアラート。
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だが、
誰も慌ててはいない。
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それは異常ではなく、
戦局変化として処理されていた。
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■ブライト・ノア
メインモニターを見つめたまま、
低く言う。
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■ブライト
「……来る」
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その瞬間。
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ブリッジ後方ハッチが開く。
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■アムロ・レイ
「ブライト」
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■シャア・アズナブル
「状況は?」
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ブライトは一度だけ二人を見る。
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そして即座に、
再びモニターへ視線を戻した。
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■ブライト
「変化は三点だ」
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指を動かす。
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モニター上に、
複数波形が浮かび上がる。
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■ブライト
「一つ、アナハイム極秘工廠の起動反応」
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深蒼波形。
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脈打つような反応。
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■ブライト
「二つ、干渉波の再拡大」
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外縁宙域。
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歪む空間。
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不安定化する位相層。
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■ブライト
「三つ——」
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少し間。
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■ブライト
「この艦そのものが“同期対象”に入った」
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沈黙。
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ブリッジの空気が、
一段階重くなる。
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■レイジ
「……艦が?」
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ブライトは否定しない。
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■ブライト
「外から見ているつもりでいるな」
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ゆっくり視線を上げる。
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■ブライト
「もう“中”だ」
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短い沈黙。
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誰も、
その言葉を否定できない。
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■アムロ
目を細める。
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■アムロ
「……まだ繋がってる」
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■シャア
壁にもたれたまま、
静かに息を吐く。
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■シャア
「やはり切れてはいないか」
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その声に焦りはない。
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むしろ。
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理解してしまった者だけが持つ、
静かな落ち着きだった。
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■シャア
「人類はいつもそうだ」
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少し間。
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■シャア
「境界を越えた瞬間から、
戻れなくなる」
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■アマテラス・ブリッジ
その瞬間。
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空間が、
わずかに揺れる。
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“あの感覚”が戻ってくる。
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耳鳴り。
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潮騒。
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深海のような圧迫感。
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レイジが顔を上げる。
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■レイジ
「っ……!」
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呼吸が止まる。
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■レイジ
「……また来てる!」
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■アナハイム極秘工廠
海上プラント。
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深蒼の光が、
再び強く脈動する。
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■技術主任
「同期率上昇!」
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■技術主任
「制御限界突破します!」
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■エリシア・マス
「位相固定できません!」
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だが。
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誰も止めようとしない。
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いや。
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止めるという発想自体が、
すでに存在しなかった。
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その中心。
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■セイラ・マス
深蒼フレームを見つめている。
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その光は、
まるで海の鼓動のようだった。
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■セイラ
「……いい」
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静かな声。
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■セイラ
「そのまま」
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コンテナ内部。
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蒼い機体が、
呼吸するように応える。
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■アマテラス・ブリッジ
ブライトが短く告げる。
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■ブライト
「全員、警戒態勢」
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だがそれは、
戦闘命令ではない。
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“適応”の宣告だった。
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■アムロ
小さく息を吐く。
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■アムロ
「戦闘じゃない」
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少し間。
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■アムロ
「……始まりだ」
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■シャア
目を細める。
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■シャア
「ならば、なお厄介だな」
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次の瞬間。
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アマテラス全域から、
一斉にノイズが走る。
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警報が消える。
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音が消える。
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呼吸音だけが残る。
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そして——
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世界は完全に“繋がった”。