機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第6巻 第22章 「開門」

■アマテラス・ブリッジ

 

警戒レベルは最大値を維持している。

 

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だが艦内に混乱はない。

 

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それはすでに“異常”ではなく、

“現象の進行”として扱われていた。

 

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■オペレーター

 

「外部センサー……誤差増大!」

 

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■オペレーター

 

「距離測定不能!」

 

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■オペレーター

 

「空間座標、安定しません!」

 

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空気が一瞬だけ沈黙する。

 

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■ブライト・ノア

 

「……揺れているのか」

 

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低い声。

 

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■ブライト

 

「空間そのものがか」

 

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■オペレーター

 

「はい……異常というより……」

 

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言葉を選ぶように続ける。

 

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■オペレーター

 

「“ずれ”です」

 

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■アムロ・レイ

 

静かに目を閉じる。

 

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耳鳴り。

 

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潮騒。

 

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深海のような圧迫感。

 

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■アムロ

 

「来てるな」

 

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■シャア・アズナブル

 

壁際で静かに言う。

 

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■シャア

 

「現象が、現実に触れている」

 

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■レイジ・イルマ

 

小さく息を呑む。

 

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■レイジ

 

「……まただ」

 

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震える声。

 

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■レイジ

 

「また、あれが来てる」

 

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■アナハイム極秘工廠

 

海上プラント。

 

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蒼い機体の周囲で、

空間が歪み始めていた。

 

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■技術主任

 

「干渉値、臨界突破!」

 

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■技術主任

 

「境界が崩壊します!」

 

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■技術主任

 

「これは制御じゃない……!」

 

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■技術主任

 

「“開放”です!」

 

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■セイラ・マス

 

その中心に立つ。

 

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揺らぎの中でも、

視線はぶれない。

 

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■セイラ

 

「崩れているんじゃない」

 

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静かな声。

 

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■セイラ

 

「開いているのよ」

 

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■アマテラス・ブリッジ

 

空間が揺れる。

 

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艦全体が、

海鳴りのように軋み始める。

 

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照明が一瞬だけ明滅。

 

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通信波形が乱れる。

 

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誰も叫ばない。

 

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だが全員が理解していた。

 

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もう後戻りは出来ない。

 

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■ブライト

 

「総員、第一戦闘配置維持」

 

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静かな声。

 

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だがそれは命令ではない。

 

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“出航宣言”だった。

 

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■アムロ

 

ブライトを見る。

 

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■ブライト

 

「無茶はするなよ」

 

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短い沈黙。

 

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■アムロ

 

少しだけ笑う。

 

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■アムロ

 

「今さらだろ」

 

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■シャア

 

小さく鼻で笑う。

 

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■シャア

 

「貴様は昔から、

そういう男だったな」

 

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■レイジ

 

裂け目を見つめたまま呟く。

 

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■レイジ

 

「……親父」

 

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アムロが見る。

 

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■レイジ

 

「直ぐに俺も出れると思う」

 

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少し間。

 

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拳を握る。

 

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■レイジ

 

「それまで持たせてくれよ」

 

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沈黙。

 

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アムロの表情が、

ほんの少しだけ和らぐ。

 

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■アムロ

 

「生意気言うな」

 

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だがその声は、

どこか嬉しそうだった。

 

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ドア横。

 

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シャアが静かに目を細める。

 

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白と赤。

 

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かつて殺し合った二人が、

今は同じ方向を見ている。

 

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■シャア

 

「人類はいつもそうだ」

 

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裂け目を見る。

 

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■シャア

 

「境界を越えてから、

ようやく理解する」

 

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■空間

 

一瞬、

ノイズのように揺れる。

 

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そして——

 

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“向こう側”が見えた。

 

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白い残光。

 

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赤い揺らぎ。

 

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深蒼の海。

 

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■レイジ

 

「見えた……!」

 

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■ブライト

 

即座に断じる。

 

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■ブライト

 

「映像ではない」

 

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■ブライト

 

「実体だ」

 

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■アムロ

 

低く言う。

 

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■アムロ

 

「向こうも見てる」

 

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■シャア

 

目を細める。

 

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■シャア

 

「双方向か」

 

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短い間。

 

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■シャア

 

「厄介だな」

 

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■空間の裂け目

 

蒼と赤の光が交錯する。

 

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そこへ、

“意思”が流れ込んでくる。

 

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■アムロ

 

裂け目を見据えたまま叫ぶ。

 

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■アムロ

 

「シャア!」

 

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一瞬の間。

 

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■シャア

 

「……ああ」

 

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低い声。

 

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■シャア

 

「行くか」

 

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■アナハイム極秘工廠

 

深蒼フレーム。

 

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脈動。

 

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そして。

 

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■システム

 

「境界固定解除」

 

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■アマテラス

 

裂け目が、

海面のように揺れながら広がっていく。

 

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世界は、

完全に“繋がった”。

 

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■ 機動戦士ガンダム:残響

 

第6巻『深蒼接続』 完

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