■アマテラス・ブリッジ
警戒レベルは最大値を維持している。
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だが艦内に混乱はない。
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それはすでに“異常”ではなく、
“現象の進行”として扱われていた。
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■オペレーター
「外部センサー……誤差増大!」
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■オペレーター
「距離測定不能!」
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■オペレーター
「空間座標、安定しません!」
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空気が一瞬だけ沈黙する。
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■ブライト・ノア
「……揺れているのか」
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低い声。
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■ブライト
「空間そのものがか」
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■オペレーター
「はい……異常というより……」
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言葉を選ぶように続ける。
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■オペレーター
「“ずれ”です」
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■アムロ・レイ
静かに目を閉じる。
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耳鳴り。
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潮騒。
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深海のような圧迫感。
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■アムロ
「来てるな」
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■シャア・アズナブル
壁際で静かに言う。
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■シャア
「現象が、現実に触れている」
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■レイジ・イルマ
小さく息を呑む。
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■レイジ
「……まただ」
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震える声。
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■レイジ
「また、あれが来てる」
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■アナハイム極秘工廠
海上プラント。
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蒼い機体の周囲で、
空間が歪み始めていた。
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■技術主任
「干渉値、臨界突破!」
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■技術主任
「境界が崩壊します!」
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■技術主任
「これは制御じゃない……!」
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■技術主任
「“開放”です!」
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■セイラ・マス
その中心に立つ。
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揺らぎの中でも、
視線はぶれない。
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■セイラ
「崩れているんじゃない」
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静かな声。
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■セイラ
「開いているのよ」
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■アマテラス・ブリッジ
空間が揺れる。
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艦全体が、
海鳴りのように軋み始める。
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照明が一瞬だけ明滅。
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通信波形が乱れる。
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誰も叫ばない。
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だが全員が理解していた。
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もう後戻りは出来ない。
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■ブライト
「総員、第一戦闘配置維持」
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静かな声。
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だがそれは命令ではない。
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“出航宣言”だった。
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■アムロ
ブライトを見る。
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■ブライト
「無茶はするなよ」
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短い沈黙。
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■アムロ
少しだけ笑う。
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■アムロ
「今さらだろ」
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■シャア
小さく鼻で笑う。
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■シャア
「貴様は昔から、
そういう男だったな」
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■レイジ
裂け目を見つめたまま呟く。
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■レイジ
「……親父」
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アムロが見る。
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■レイジ
「直ぐに俺も出れると思う」
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少し間。
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拳を握る。
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■レイジ
「それまで持たせてくれよ」
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沈黙。
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アムロの表情が、
ほんの少しだけ和らぐ。
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■アムロ
「生意気言うな」
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だがその声は、
どこか嬉しそうだった。
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ドア横。
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シャアが静かに目を細める。
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白と赤。
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かつて殺し合った二人が、
今は同じ方向を見ている。
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■シャア
「人類はいつもそうだ」
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裂け目を見る。
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■シャア
「境界を越えてから、
ようやく理解する」
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■空間
一瞬、
ノイズのように揺れる。
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そして——
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“向こう側”が見えた。
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白い残光。
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赤い揺らぎ。
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深蒼の海。
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■レイジ
「見えた……!」
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■ブライト
即座に断じる。
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■ブライト
「映像ではない」
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■ブライト
「実体だ」
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■アムロ
低く言う。
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■アムロ
「向こうも見てる」
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■シャア
目を細める。
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■シャア
「双方向か」
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短い間。
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■シャア
「厄介だな」
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■空間の裂け目
蒼と赤の光が交錯する。
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そこへ、
“意思”が流れ込んでくる。
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■アムロ
裂け目を見据えたまま叫ぶ。
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■アムロ
「シャア!」
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一瞬の間。
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■シャア
「……ああ」
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低い声。
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■シャア
「行くか」
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■アナハイム極秘工廠
深蒼フレーム。
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脈動。
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そして。
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■システム
「境界固定解除」
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■アマテラス
裂け目が、
海面のように揺れながら広がっていく。
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世界は、
完全に“繋がった”。
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■ 機動戦士ガンダム:残響
第6巻『深蒼接続』 完