フィロメラは静かだった。
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白い巨体。
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赤く脈打つ胸部サイコフレーム。
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まるで。
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長い眠りから、
ゆっくり呼吸を始めた生き物のように。
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セイラはコックピットの中で、
その鼓動を聞いていた。
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聞き慣れた音ではない。
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だが。
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忘れた事のない音だった。
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サイコフレーム。
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アクシズ。
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あの日の光。
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セイラは小さく目を閉じる。
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フィロメラは、
最初から自分のために作らせた機体だった。
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誰かのためではない。
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いつか。
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本当に必要になった時。
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自分自身が乗るための機体。
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兄の残したもの。
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アムロの残したもの。
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その両方を抱えたまま、
前へ進むための機体。
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だからこそ。
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使わずに済めば、
それが一番良かった。
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必要にならない未来を、
ずっと願っていた。
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孤児院を作った。
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支援施設を作った。
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帰る場所を作った。
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戦わなくて済む世界を、
少しでも残したかった。
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だが。
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願いだけでは、
守れない日が来る。
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その事を。
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セイラは誰より知っていた。
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警報が鳴る。
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モニターには、
崩壊する沿岸防衛線。
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消えていく施設。
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そして。
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海の向こうに浮かぶ黒い影。
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目的は分からない。
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正体も分からない。
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だが。
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危険だけは分かった。
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ミライ。
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マルク。
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基地職員。
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孤児達。
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守るべき人達の顔が、
次々と脳裏をよぎる。
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その瞬間。
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セイラは気付いていた。
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もう。
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操縦桿へ手を伸ばしている事に。
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自分で考えるより先に。
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身体が動いていた。
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指先が震える。
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怖かった。
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敵が。
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戦場が。
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ではない。
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自分自身が。
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忘れたと思っていた。
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遠ざかったと思っていた。
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それでも。
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あの日の自分は、
まだどこかに残っている。
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「本当に……」
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小さな呟き。
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「使わずに済めば良かったのだけれど」
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返事はない。
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だが。
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フィロメラの胸部フレームが、
一度だけ静かに脈動した。
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まるで。
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それで良かったと言うように。
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その時。
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モニターの一角へ、
海上監視映像が映し出される。
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荒れる海。
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崩壊した沿岸防衛施設。
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そして。
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海上に浮かぶ黒い影。
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艦に見える。
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だが。
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見ていると、
輪郭が揺らぐ。
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大きさすら分からない。
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距離感も狂う。
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まるで。
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そこだけ現実と噛み合っていない。
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セイラの胸がざわつく。
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敵。
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そう呼ぶには違和感があった。
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兵器とも違う。
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艦とも違う。
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もっと曖昧で。
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もっと理解の外側にある何か。
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ニュータイプとしての感覚が、
警鐘を鳴らしていた。
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近付いてはいけない。
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見てはいけない。
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そんな感覚。
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だが同時に。
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目を逸らしてはいけないとも感じる。
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「……何なの」
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答える者はいない。
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その時。
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通信回線が開く。
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■マルク
「セイラ様」
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■セイラ
「何かしら」
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■マルク
「発進準備が整いました」
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短い報告。
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そして。
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わずかな沈黙。
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■マルク
「お気を付けて」
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それだけだった。
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セイラは少しだけ微笑む。
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■セイラ
「ありがとう」
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通信が切れる。
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『海上ルート確保』
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『全隔壁開放』
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『フィロメラ発進準備完了』
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格納庫全体が低く振動する。
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海底ドック。
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巨大隔壁が、
ゆっくりと開き始めた。
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深い蒼。
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長い年月、
誰にも知られる事なく眠っていた海。
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白い泡が舞う。
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海流が流れ込む。
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そして。
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フィロメラが前へ出る。
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静かな足取り。
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まるで。
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最初からそこへ向かう事が決まっていたように。
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次の瞬間。
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海面が割れた。
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轟音。
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白い飛沫が空へ舞い上がる。
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朝日。
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蒼い海。
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白い機体。
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そして。
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赤い燐光。
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フィロメラは、
十七年ぶりの空へ姿を現した。
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警報。
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海上モニターへ、
複数の敵影が表示される。
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黒い特殊部隊MS。
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既に基地周辺へ侵入している。
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■管制
『敵機接近!』
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『迎撃距離到達!』
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セイラは操縦桿を握る。
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嫌な感覚だった。
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手が覚えている。
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身体が覚えている。
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忘れたはずなのに。
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フィロメラが旋回する。
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照準が合う。
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敵機の動きが見える。
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自然だった。
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自然過ぎた。
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■セイラ
「……嫌ね」
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小さな呟き。
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その時。
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敵機が発砲した。
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紫色の閃光。
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フィロメラが動く。
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白い機体が横へ滑る。
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攻撃回避。
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続いて二射。
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三射。
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全て外れる。
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■敵通信
『馬鹿な……!』
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『何だあの機体は!?』
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セイラは答えない。
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ただ。
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海の向こう。
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黒い影だけを見ていた。
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何かが始まっている。
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それだけは確かだった。
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フィロメラの胸部フレームが、
静かに脈動する。
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白い機体は前へ出る。
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まるで。
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その答えを探すように。
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