機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■ 第7巻 プロローグ前

■観測補助記録

これまでの記録

U.C.0112。

第二次ネオ・ジオン抗争終結から、
長い時間が流れた。

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人類は、
幾度も戦争を繰り返しながら、
それでも宇宙へ生き続けている。

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だが現在、
外縁宙域にて発生している現象は、
既存の戦争理論では説明不能とされている。

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確認されているのは:

・観測不能領域の拡大
・現実構造の揺らぎ
・記録干渉現象
・存在同期
・深蒼領域の出現

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そして現在。

外縁宙域では、
“向こう側”からの干渉が始まっている。

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それは侵略ではない。

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接続である。

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地球連邦軍独立艦隊
《アマテラス》は、
その最前線に存在している。

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搭載されるREVIVEガンダムは、
通常MSとは根本構造が異なる。

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深蒼フレームを核とするそれは、
兵器というより:

“接続構造体”

に近い。

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起動とは、
出力上昇ではない。

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“接続先が開く”

現象そのものである。

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そして今。

誰もが理解していた。

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もう、
後戻りは出来ないと。

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海鳴りのような深蒼は、
既にこちら側へ届き始めている。


第7巻『海鳴りの停泊地』
■第7巻 プロローグ 「潮騒(しおさい)のインターフェース」


■アナハイム極秘工廠

 

海上プラント。

 

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潮騒が絶え間なく響いている。

 

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だがそれは、

単なる波音ではない。

 

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構造体を伝う振動と、

海そのものの圧力。

 

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さらにその奥。

 

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何か別の“呼吸”が、

微かに混ざっている。

 

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まるで世界そのものが、

ゆっくり脈動しているようだった。

 

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■制御デッキ

 

薄暗い空間。

 

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中央に置かれているのは、

小型球体ユニット。

 

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丸いフォルムは、

かつてのハロに酷似している。

 

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だが内部構造は別物だった。

 

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配線ではない。

 

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神経。

 

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そう表現した方が近い。

 

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光が、

まるで生体反応のように脈打っている。

 

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■技術主任

 

「これ……」

 

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喉が乾く。

 

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■技術主任

 

「本当に制御できるんですか?」

 

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■エリシア・マス

 

モニターから目を離さない。

 

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■エリシア

 

「制御という概念ではありません」

 

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短い沈黙。

 

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■エリシア

 

「すでに“応答”しています」

 

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空間が、

微かに震える。

 

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誰も機械音を聞いていない。

 

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だが全員が理解していた。

 

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今、

何かが“こちら”を認識した。

 

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■マルク

 

制御デッキ後方。

 

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いつもの執事服のまま、

静かに立っている。

 

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場違いなはずなのに、

不思議と違和感がない。

 

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年老いた指先が、

僅かに震えていた。

 

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■マルク

 

「……潮の匂いがしますな」

 

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誰に向けた言葉でもない。

 

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■マルク

 

「まるで、

海そのものが近付いて来ているようです」

 

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技術員達は意味を理解できない。

 

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だがエリシアだけは、

ゆっくり視線を向ける。

 

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■エリシア

 

「感じるんですか」

 

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■マルク

 

小さく頷く。

 

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■マルク

 

「長くマス家に仕えておりますと」

 

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微笑む。

 

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■マルク

 

「こういう“気配”には、

少々慣れてしまいましてな」

 

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■セイラ・マス

 

モニター越しに、

その全てを見ている。

 

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揺らぎはない。

 

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覚悟だけが存在している。

 

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■セイラ

 

「あなたは翻訳機になる」

 

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静かな声。

 

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■セイラ

 

「境界の向こうを、

人間の言葉へ変換するために」

 

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小型ユニットが、

ゆっくりと光る。

 

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■ハロ

 

「ハロ」

 

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沈黙。

 

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だが確かに、

“起動”とは違う音がした。

 

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開いた。

 

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そんな感覚だけが残る。

 

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■ハロ

 

「セツゾク……ジュンビカンリョウ」

 

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■アマテラス・ブリッジ(同時刻)

 

静かな警報。

 

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だが誰も、

それを“異常”として処理していない。

 

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違和感。

 

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あるいは、

気配。

 

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それに近い。

 

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■オペレーター

 

「外部干渉波、微弱検知……」

 

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■オペレーター

 

「発生座標、不明……ですが継続しています」

 

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■レイジ・イルマ

 

モニターを見つめる。

 

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耳鳴りに近い。

 

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だが違う。

 

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これはもっと、

深い場所から響いている。

 

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■レイジ

 

「……またか」

 

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空気がわずかに揺れる。

 

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まだ“見えない何か”が、

こちら側へ触れ始めている。

 

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■ブライト・ノア

 

静かに前を見る。

 

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戦争前夜の顔ではない。

 

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もっと古い何かを知る人間の顔だった。

 

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■ブライト

 

「来ているな」

 

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誰も返答しない。

 

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だが、

全員が理解していた。

 

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もう始まっている。

 

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戦争ではない。

 

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“接続”が。

 

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■第7巻 プロローグ

 

「潮騒(しおさい)のインターフェース」終

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