■アマテラス・ドック
赤い警告灯が静かに回転している。
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その光は、
機体だけではなく、
空間そのものを染めていた。
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深蒼の揺らぎ。
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まるで海底へ沈められたような圧迫感が、
艦全体を包み込んでいる。
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■整備デッキ
各機の固定ロックが、
順次解除されていく。
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■整備主任
「各機最終チェック終了!」
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■整備主任
「境界干渉域突入シークエンスへ移行!」
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■第1カタパルト
Hi-νガンダム
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蒼白の機体表面へ、
深蒼の光が淡く流れている。
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まるで空間そのものと、
共鳴しているようだった。
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■コクピット内部
アムロ・レイが、
静かに目を開く。
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呼吸は乱れていない。
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恐怖も。
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迷いも。
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存在していなかった。
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ただ——
“行く”
という覚悟だけがある。
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■システム
『サイコミュ同期安定』
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■システム
『境界認識固定完了』
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■アムロ
静かに前を見る。
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■アムロ
「Hi-νガンダム、アムロ出る」
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■カタパルト
ロック解除。
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Hi-νが、
蒼い残光を引きながら、
深蒼空間へ射出される。
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その瞬間。
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空間が“沈む”。
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推進ではない。
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深い海へ落ちていく感覚。
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重力ではなく、
世界そのものが下へ流れていく。
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■第2カタパルト
ナイチンゲール
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巨大な紅い機体。
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その輪郭だけが、
時折ノイズのように揺れる。
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完全には、
この世界へ固定されていない。
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■コクピット内部
シャア・アズナブルが、
静かに目を細める。
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モニターの外。
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宇宙ではない。
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深蒼の海が広がっている。
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■シャア
「ララァ……」
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短い沈黙。
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■シャア
「まだ、
お前はそこにいるのか」
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ナイチンゲールが、
微かに発光する。
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まるで応えるように。
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■シャア
静かに操縦桿を握る。
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■シャア
「ナイチンゲール、
シャア・アズナブル出る」
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■カタパルト
紅い巨体が射出。
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深蒼空間を、
紅い残光が切り裂く。
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■第3カタパルト
フィロメラガンダム
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白と蒼を基調とした機体。
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白い装甲奥で、
赤い燐光が微かに脈動している。
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だがその周囲だけ、
空間が不安定に歪んでいた。
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まだ完全には、
この領域へ適応し切れていない。
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■コクピット内部
レイジ・イルマが、
深く息を吸う。
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額には汗。
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指先も震えている。
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それでも、
視線だけは前を向いていた。
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■通信回線
ブライト・ノアの声。
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■ブライト・ノア
「各機、聞け」
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ドック全体が静まり返る。
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誰も喋らない。
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警報音だけが、
海鳴りのように響いている。
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■ブライト
「この先は通常宙域ではない」
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■ブライト
「常識も、
距離も、
時間も保証されん」
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短い沈黙。
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■ブライト
「だが——」
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低い声が続く。
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■ブライト
「必ず帰還しろ」
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■ジェガン隊
次々と返答。
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■ジェガン隊
「ジェガン1、了解!」
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■ジェガン隊
「2番機、出るぞ!」
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■ジェガン隊
「死ぬなよ、お前ら!」
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笑う声。
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だが誰も、
本当に笑ってはいない。
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その笑いは、
恐怖をごまかすためのものだった。
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■レイジ
震える手で操縦桿を握る。
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モニターへ映る深蒼。
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怖い。
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本能が拒絶している。
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だが——
逃げない。
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■レイジ
「フィロメラ——」
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一瞬だけ息が止まる。
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だが次の瞬間。
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その目が、
真っ直ぐ前を向く。
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■レイジ
「レイジ・イルマ……
出ます!!」
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■フィロメラガンダム
白蒼の軌跡を描き、
深蒼空間へ飛び込む。
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その瞬間。
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レイジの視界から、
“上下”が消える。
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呼吸だけが残る。
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世界の輪郭が、
ゆっくり溶けていく。
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■深蒼空間
三機。
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そしてジェガン隊が、
ついに境界海域へ踏み込む。
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その瞬間——
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海の奥。
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無数の赤い光が、
一斉に開眼する。