地球降下。
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大気圏突入の振動が、
降下艇全体を軋ませていた。
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警報。
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火花。
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機体フレームの悲鳴。
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古い降下艇だった。
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本来なら、
まともに地球へ降りられる状態ではない。
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だが。
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レイジは操縦桿を離さなかった。
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「くそっ……!」
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激しい揺れ。
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視界を埋める炎。
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窓の外では、
大気との摩擦光が流れている。
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失速すれば終わり。
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操縦を誤っても終わり。
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それでも。
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レイジは前だけを見ていた。
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頭の中では、
一つの言葉が繰り返されている。
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あなたの出生の事でもあるの。
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あの女の声。
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落ち着いた声。
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だが。
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どこか必死だった。
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出生。
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その言葉だけが、
胸の奥へ引っ掛かっている。
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親の顔を知らない。
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名前も知らない。
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何故捨てられたのかも知らない。
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知っているのは。
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孤児院で育った事だけ。
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だから。
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無視できなかった。
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「あの女……」
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「何者なんだよ……」
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返事はない。
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あるのは。
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機体を揺らし続ける振動だけ。
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その時だった。
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雲の切れ間。
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青い光が見えた。
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海。
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どこまでも続く蒼。
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その景色を見た瞬間。
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レイジの胸がざわつく。
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初めて見るはずだった。
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それなのに。
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懐かしい。
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理由は分からない。
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説明も出来ない。
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だが。
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胸の奥だけが知っていた。
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帰ってきた。
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そんな感覚だった。
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レイジは眉をしかめる。
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「……意味分かんねぇ」
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自分で言いながら。
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視線だけは、
海から離せなかった。
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降下艇は雲を突き抜ける。
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蒼い海。
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白い波。
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光る水平線。
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宇宙から見た地球とは違う。
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生きている星だった。
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レイジは小さく息を吐く。
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答えはまだ分からない。
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ヘカテーで何が起きたのか。
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あの白い機体は何なのか。
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黒い存在は何だったのか。
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そして。
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自分は何者なのか。
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何一つ。
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分からない。
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それでも。
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進むしかなかった。
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降下艇は、
海沿いの空へ向かって落ちていく。
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■海辺の基地
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戦闘は終わっていた。
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海は静かだった。
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数時間前までの戦闘が、
嘘のように。
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波だけが、
静かに岸へ打ち寄せている。
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■格納庫
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フィロメラガンダムは、
沈黙していた。
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白い装甲。
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傷一つない巨体。
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まるで。
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最初から動いていなかったみたいに。
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だが。
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胸部奥。
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サイコフレームだけは、
微かに脈動を続けている。
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一度。
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二度。
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三度。
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鼓動のように。
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まるで。
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何かを待つように。
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■格納庫上層
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セイラは海を見ていた。
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風が強い。
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長い金髪が、
静かに揺れる。
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海の向こう。
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水平線。
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何も見えない。
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だが。
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視線だけは、
そこから離れなかった。
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背後で足音。
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ミライだった。
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「まだ見ているの?」
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セイラは小さく笑う。
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「そうみたい」
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自分でも、
理由は分からなかった。
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黒い艦。
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フィロメラ。
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あの異常現象。
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何一つ説明できない。
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だが。
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胸の奥だけが、
落ち着かなかった。
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ミライが隣へ並ぶ。
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しばらく。
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二人とも何も言わない。
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波音だけが響く。
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やがて。
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ミライが口を開いた。
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「本当に来るの?」
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セイラは答えない。
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少しだけ目を閉じる。
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そして。
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ゆっくり息を吐いた。
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「分からないわ」
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ミライが驚く。
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「分からないの?」
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セイラは頷く。
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「ええ」
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「何も分からない」
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正直な言葉だった。
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黒い艦の正体。
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フィロメラの反応。
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何故今なのか。
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何一つ。
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分からない。
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だが。
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「それでも」
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一拍。
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「来る気がするの」
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ミライは何も言わなかった。
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その言葉の意味を、
理解していたから。
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説明できない確信。
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一年戦争の頃から。
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彼女達は、
何度もそれを見てきた。
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その時だった。
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基地全域へ警報が鳴り響く。
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『所属不明機接近』
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『大気圏降下反応確認』
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オペレーター達の声が重なる。
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『降下コース解析中!』
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『海岸線へ接近!』
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『着弾予測地点算出!』
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セイラの瞳が揺れる。
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来た。
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理由はない。
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根拠もない。
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だが。
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そう思った。
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同時に。
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格納庫内部。
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フィロメラガンダムのツインアイが、
独りでに発光する。
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赤い光。
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静かな脈動。
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誰も触れていない。
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誰も起動していない。
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それでも。
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フィロメラは、
確かに反応していた。
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セイラは振り返る。
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赤く輝くツインアイ。
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その光を見つめながら。
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小さく呟く。
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「……来たのね」
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海風だけが、
静かに吹いていた。
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