宇宙世紀0112年。
第七拘束軌道ステーション。
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そこには、
昼も夜もなかった。
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時間だけがある。
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止まることもなく。
進むこともなく。
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ただ、
積み重なっていく。
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■拘束ブロック
白い部屋。
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窓はない。
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景色もない。
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静かな空間。
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その中央に、
ひとりの男が座っていた。
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ブライト・ノア。
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かつて、
多くの人間を送り出した男。
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そして。
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多くの人間を、
帰せなかった男。
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目は閉じている。
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だが。
眠ってはいない。
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彼は、
ただ考えていた。
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何度も。
何度も。
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終わったはずの戦争を。
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帰れなかった者達を。
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そして。
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あの日の光を。
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ブライトが静かに目を開く。
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「……海が鳴っているな」
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誰もいない部屋。
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返事はない。
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それでも。
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彼には聞こえていた。
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遠く。
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とても遠く。
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地球の海が。
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■アマテラス艦橋
艦橋は慌ただしかった。
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被害確認。
救助活動。
機体点検。
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誰も休めていない。
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その中で。
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ミライだけが、
海を見ていた。
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窓の向こう。
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夜の海。
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静かな海。
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その時だった。
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通信パネルが点灯する。
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誰も触っていない。
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誰も呼んでいない。
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それでも。
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静かに回線が開く。
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オペレーターが顔を上げた。
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「艦長……」
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「これ……」
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言葉が続かない。
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ミライは立ち上がる。
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そして。
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通信画面を見る。
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ノイズ。
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長い沈黙。
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そして。
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声が聞こえた。
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『……ミライか』
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艦橋の空気が止まる。
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誰も動けない。
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ミライの指先が、
わずかに震えた。
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「ブライト……?」
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二年。
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いや。
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もっと長く感じる時間だった。
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再び沈黙。
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そして。
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ブライトが静かに言う。
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『海はどうだ』
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ミライの目が揺れる。
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思わず笑いそうになる。
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泣きそうにもなる。
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久しぶりに聞いた。
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あまりにも、
ブライトらしい言葉だった。
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「相変わらずよ」
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「静かじゃないわ」
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ブライトが小さく笑う。
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本当に小さく。
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『そうか』
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その一言だけで。
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ミライは理解してしまう。
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帰りたいのだ。
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この人は。
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ずっと。
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帰りたいまま、
そこにいる。
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■拘束ブロック
ブライトは目を閉じる。
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海を思い出していた。
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アマテラス。
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艦橋。
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仲間達。
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そして。
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帰る場所。
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『ミライ』
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「なに?」
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長い間。
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ブライトは答えない。
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言葉を探している。
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そんな沈黙だった。
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やがて。
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『……すまんな』
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ミライが息を止める。
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『また待たせている』
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その瞬間。
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ミライは目を伏せた。
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怒りたかった。
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笑いたかった。
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泣きたかった。
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全部混ざっていた。
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「本当よ」
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小さく答える。
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「帰ってきたら、
ちゃんと文句言うから」
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ブライトが少しだけ笑う。
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『それは怖いな』
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■通信回線
だが。
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そこへ別の声が入る。
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静かな声。
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けれど。
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どこか怒っている声。
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『ブライト』
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ミライが顔を上げる。
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その声を知っていた。
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『あなた、
また抱え込んでる』
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■ベルトーチカ
声だけだった。
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だが。
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そこにいる気がした。
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『何でも自分で背負おうとする』
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『昔から変わらないのね』
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ブライトは黙る。
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否定できなかった。
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『レイジを巻き込まないで』
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その声だけが強い。
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母の声だった。
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『あの子は、
あの子なの』
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『誰かの代わりじゃない』
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ブライトは静かに目を閉じる。
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「分かっている」
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小さく呟く。
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それは反論じゃない。
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理解だった。
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痛いほど。
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理解している。
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だからこそ苦しい。
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『……ならいいの』
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ベルトーチカの声が少しだけ柔らかくなる。
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『あの子を、
アムロにしないで』
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通信が途切れる。
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静寂。
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■拘束ブロック
ブライトは天井を見上げる。
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白い天井。
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何もない空間。
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だが。
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その目だけは遠くを見ていた。
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地球。
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海。
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そして。
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まだ会えていない少年。
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「レイジか……」
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その名を呟く。
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会ったこともない。
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それでも。
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どこか気になってしまう。
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■アマテラス艦橋
通信は終わった。
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だが。
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誰も動けなかった。
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ミライだけが、
静かに海を見ている。
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帰ってくる。
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必ず。
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そう思いたかった。
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海が鳴る。
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低く。
深く。
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まるで。
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帰る場所を忘れるなと、
誰かが囁いているように。