機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第1巻 第1章後 ■観測補助記録

この時代の地球圏では、

人類は百年以上に渡って戦争を繰り返している。

 

国家。

 

思想。

 

資源。

 

独立。

 

自由。

 

理由は様々だった。

 

だが結果だけは同じだった。

 

多くの命が失われ、

多くの人々が帰る場所を失った。

 

 

【一年戦争】

 

U.C.0079。

 

地球連邦政府とジオン公国による大規模戦争。

 

人類史上最大級の被害を生み、

人口の半数近くが失われた。

 

後に多くの英雄と悲劇を生んだ戦争として記録されている。

 

 

【グリプス戦役】

 

U.C.0087。

 

地球連邦内部組織ティターンズと、

反地球連邦組織エゥーゴによる内戦。

 

戦争は地球圏全域へ拡大し、

コロニーレーザー使用など、

甚大な被害をもたらした。

 

 

【第一次ネオ・ジオン抗争】

 

U.C.0088。

 

ハマーン・カーン率いるネオ・ジオン軍による戦争。

 

ジオン残党問題は解決されず、

後の第二次ネオ・ジオン抗争へ繋がる要因となった。

 

 

【第二次ネオ・ジオン抗争】

 

U.C.0093。

 

シャア・アズナブルによるアクシズ落下作戦が実行された戦争。

 

落下そのものは阻止された。

 

しかし。

 

その最終局面で発生したアクシズ・ショックは、

現在に至るまで説明不能現象として扱われている。

 

 

【マフティー動乱】

 

U.C.0105。

 

反地球連邦組織「マフティー」による武装蜂起。

 

連邦政府の腐敗に対する抵抗運動として始まったが、

結果として地球圏へさらなる混乱を残した。

 

 

そして現在。

 

U.C.0110。

 

戦争は終わったはずだった。

 

だが。

 

空間欠落。

 

存在消失。

 

感応暴走。

 

記録齟齬。

 

説明不能現象は増加し続けている。

 

 

人類はまだ知らない。

 

あの日。

 

アクシズで起きた出来事が、

本当は終わっていなかったことを。

 

 

海の底では。

 

今もなお、

静かな残響が鳴り続けている。

 

■追加記録

 

百年以上続いた戦争は、

単に人々の命だけを奪ったわけではない。

 

 

記録。

 

歴史。

 

家族。

 

故郷。

 

帰る場所。

 

 

多くのものが失われた。

 

 

戦争が終わるたびに、

人類は復興を繰り返した。

 

 

新しいコロニーが作られ。

 

新しい街が生まれ。

 

新しい世代が育っていく。

 

 

だが。

 

 

失われた人々は戻らない。

 

 

名前だけが残る。

 

 

あるいは。

 

 

名前すら残らない。

 

 

U.C.0110現在。

 

地球圏各地には、

数多くの慰霊施設が存在している。

 

 

それは戦争を忘れないための場所であり。

 

帰らなかった者達を記憶するための場所でもある。

 

 

しかし近年。

 

一部観測領域において、

説明不能な現象が報告されている。

 

 

存在しないはずの記録。

 

思い出せないはずの記憶。

 

誰も知らないはずの名前。

 

 

それらは僅かではあるが、

確かに確認され続けている。

 

 

連邦政府は、

これらを観測障害として処理している。

 

 

だが。

 

 

一部研究機関は、

別の可能性を指摘している。

 

 

もし。

 

 

失われたものが、

完全には消えていないのだとしたら。

 

 

もし。

 

 

人の想いが、

今もどこかに残り続けているのだとしたら。

 

 

海鳴りのように。

 

 

静かに。

 

 

誰にも気付かれないまま。

 

 

それは今も、

どこかで鳴り続けているのかもしれない。

 

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