シャトルは静かに減速していた。
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ジョブ・ジョンは窓の外を見る。
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宇宙は変わらない。
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そのはずだった。
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だが。
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どこか落ち着かない。
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星の位置がおかしい訳じゃない。
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機器が故障している訳でもない。
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それでも。
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何かがおかしかった。
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■ジョブ
「……気持ち悪ぃな」
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答える者はいない。
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シャトルは静かに接近を続ける。
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■ドッキング
接続完了。
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衝撃はない。
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音もない。
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ただ。
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到着した。
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それだけだった。
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■アマテラス艦内
扉が開く。
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ジョブはゆっくり艦内へ足を踏み入れる。
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床はある。
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重力も正常。
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空気も問題ない。
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だが。
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■ジョブ
「なんだこの艦……」
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静かだった。
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静か過ぎる。
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誰もいない訳ではない。
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気配はある。
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それなのに。
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どこか現実感が薄い。
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ジョブは眉をひそめた。
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■ジョブ
「嫌な感じだな」
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■アマテラス艦橋
扉が開く。
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ミライが振り返った。
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一瞬。
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驚いたような顔をする。
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そして。
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少しだけ笑った。
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■ミライ
「久しぶりね」
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ジョブは肩をすくめる。
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■ジョブ
「そうだな」
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短い返事。
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だが。
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それだけで十分だった。
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一年戦争。
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ホワイトベース。
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ブライト。
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アムロ。
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数え切れない時間が、
一瞬だけ胸を過ぎる。
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■ミライ
「相変わらずね」
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■ジョブ
「そっちもな」
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後ろから声が飛ぶ。
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■レイジ
「なんだよその空気」
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ミライが苦笑する。
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ジョブは振り返る。
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若い。
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まだ子供だ。
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そう思った。
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だが。
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何か引っ掛かる。
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■ジョブ
(……なんだこいつ)
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妙な感覚だった。
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初めて会った気がしない。
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だが。
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会った事もない。
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その少し後ろ。
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セラーナが端末を見ている。
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何かを確認しているようだった。
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だが何も言わない。
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ジョブはそれを横目で見た。
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■ジョブ
(こっちもか)
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■ミライ
「状況は?」
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■オペレーター
「外縁宙域レヴナント反応継続中」
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「戦闘領域への移行は確認されていません」
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ミライは小さく息を吐く。
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■ミライ
「まだなのね」
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セラーナが静かに呟く。
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■セラーナ
「ええ」
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それ以上は言わなかった。
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ジョブは艦橋を見渡す。
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誰も慌てていない。
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だが。
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誰も安心していない。
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その空気だけは分かった。
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■ジョブ
「ここは艦じゃないな」
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ミライが視線を向ける。
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■ミライ
「そうかもしれないわね」
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ジョブは鼻で笑う。
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■ジョブ
「現場に来ると分かる」
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一拍。
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「普通じゃない」
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誰も否定しなかった。
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艦橋の向こう。
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誰もいないはずの宇宙が広がっている。
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ジョブはその闇を見つめた。
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そして。
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もう一度だけ思う。
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■ジョブ
(……厄介事だな)
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その予感だけは、
到着してからずっと消えなかった。