機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

51 / 53
■第3巻 第7章 「起動」

静かだった。

 

 

誰も口を開かない。

 

 

モニターだけが光っている。

 

 

外縁宙域。

 

 

何もない。

 

 

そのはずだった。

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

■ミライ

 

「状況は?」

 

 

■オペレーター

 

「レヴナント反応継続中」

 

 

一拍。

 

 

「変化ありません」

 

 

誰も安心しない。

 

 

変化がない事が、

 

むしろ不自然だった。

 

 

 

■レイジ

 

「……気味悪ぃな」

 

 

誰も否定しない。

 

 

 

■ジョブ

 

モニターを見つめる。

 

 

静か過ぎる。

 

 

嫌な静けさだった。

 

 

■ジョブ

 

「来るな」

 

 

■ミライ

 

「何が?」

 

 

ジョブは答えない。

 

 

ただ宇宙を見ている。

 

 

 

■ジョブ

 

「開くんじゃない」

 

 

一拍。

 

 

「押し開かれる」

 

 

 

その瞬間だった。

 

 

空間が揺れる。

 

 

音はない。

 

 

光もない。

 

 

だが。

 

 

誰もが感じた。

 

 

何かが来る。

 

 

 

■ミライ

 

「来るわ」

 

 

 

宇宙が歪む。

 

 

遠く。

 

 

何もなかった場所が揺れる。

 

 

揺れは広がる。

 

 

ゆっくりと。

 

 

確実に。

 

 

 

そして。

 

 

そこにいた。

 

 

 

■レヴナント

 

輪郭は定まらない。

 

 

形も分からない。

 

 

艦なのか。

 

 

機体なのか。

 

 

生き物なのか。

 

 

誰にも分からない。

 

 

だが。

 

 

そこにいた。

 

 

それだけは確かだった。

 

 

 

■アマテラス格納庫

 

低い音が響く。

 

 

フィロメラ。

 

 

誰も触れていない。

 

 

誰も起動していない。

 

 

それでも。

 

 

機体が脈動する。

 

 

白い光。

 

 

そして。

 

 

一瞬だけ赤。

 

 

 

■セラーナ

 

息を呑む。

 

 

■セラーナ

 

「……反応した」

 

 

 

■レイジ

 

背筋が冷える。

 

 

見たわけじゃない。

 

 

聞いたわけでもない。

 

 

それでも。

 

 

何かがいた。

 

 

 

白。

 

 

そして赤。

 

 

脳裏を残光が走る。

 

 

■レイジ

 

「……出やがった」

 

 

拳を握る。

 

 

だが動けない。

 

 

何を見ているのか。

 

 

何が現れたのか。

 

 

まだ分からない。

 

 

 

■セラーナ

 

宇宙を見つめる。

 

 

■セラーナ

 

「起動した」

 

 

 

■ミライ

 

「戦闘態勢!」

 

 

艦橋が動き出す。

 

 

だが。

 

 

誰も確信できない。

 

 

本当に戦闘なのか。

 

 

相手は敵なのか。

 

 

 

■ジョブ

 

小さく息を吐く。

 

 

■ジョブ

 

「厄介だな」

 

 

一拍。

 

 

「戦場なら、

まだ分かりやすかった」

 

 

 

■レヴナント

 

揺れる。

 

 

ただそれだけ。

 

 

攻撃はない。

 

 

動きもない。

 

 

それでも。

 

 

誰も目を離せなかった。

 

 

 

■最後

 

沈黙。

 

 

そして。

 

 

宇宙の奥から、

 

確かに視線だけが返ってきた。

 

 

誰も知らない。

 

 

だが。

 

 

それはもう、

 

こちらを見ていた。

 

 

 

誰も知らない。

 

 

だが。

 

 

それはもう、

 

こちらを見ていた。

 

 

レイジは無意識に息を止める。

 

 

見られている。

 

 

そんな感覚ではない。

 

 

もっと深い。

 

 

"認識された"

 

 

その瞬間から。

 

 

人類とレヴナントの接触は、

静かに始まっていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。