機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

56 / 56
■第3巻 第12章 「赤い残響」

外縁宙域が軋んでいた。

 

 

爆発ではない。

 

重力でもない。

 

 

存在そのものが、

周囲を圧迫している。

 

 

ノーネームガンダム。

 

 

そして。

 

 

巨大な赤い機影。

 

 

二つの存在が並んだ瞬間。

 

 

戦場の空気が変わった。

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

警報が鳴り続ける。

 

 

■オペレーター

 

「空間歪曲率、急上昇!」

 

 

「観測領域が拡大しています!」

 

 

 

■ミライ

 

前方モニターを見つめる。

 

 

白。

 

 

赤。

 

 

その二つだけで、

十分だった。

 

 

 

■ジョブ

 

「こんなの……」

 

 

顔色が悪い。

 

 

■ジョブ

 

「人類が再現しちゃいけないものだ」

 

 

 

■フィロメラ

 

ノーネームが動く。

 

 

今度は見えた。

 

 

背後。

 

 

レイジが反応する。

 

 

フィロメラ反転。

 

 

サーベル迎撃。

 

 

激突。

 

 

火花が散る。

 

 

 

■レイジ

 

「見えた……!」

 

 

初めて。

 

 

初めて追いついた。

 

 

 

その瞬間。

 

 

ノーネームの双眼が揺れる。

 

 

ほんの僅かに。

 

 

 

■コルヴス・クロウ

 

初めて声が届く。

 

 

ノイズ混じり。

 

 

■コルヴス

 

『……違う』

 

 

一拍。

 

 

■コルヴス

 

『お前は違う』

 

 

 

■レイジ

 

「何がだよ!!」

 

 

 

ノーネームが突進する。

 

 

異常な加速。

 

 

白銀装甲が深紅へ揺れる。

 

 

残響偏光ウイングが、

黒い尾を引いた。

 

 

 

■フィロメラ

 

赤く発光する。

 

 

同期。

 

 

共鳴。

 

 

 

レイジの視界へ、

知らない景色が流れ込む。

 

 

白いガンダム。

 

 

宇宙。

 

 

仲間。

 

 

そして。

 

 

守れなかった何か。

 

 

 

■レイジ

 

「っ……!!」

 

 

涙が流れる。

 

 

理由は分からない。

 

 

だが。

 

 

悲しかった。

 

 

 

■ジョブ

 

「レイジの脳波が!?」

 

 

■セラーナ

 

「フィロメラが共鳴してる!」

 

 

「レヴナント側と!」

 

 

 

その時だった。

 

 

赤い光が動く。

 

 

ガンダム・オブリヴィオン。

 

 

優雅に。

 

 

静かに。

 

 

前へ出る。

 

 

 

黒。

 

 

深灰。

 

 

紫黒。

 

 

見る度に輪郭が変わる。

 

 

ガンダム。

 

 

ドクロ。

 

 

無貌。

 

 

どれにも見える。

 

 

 

■ジョブ

 

「ナイチンゲール……」

 

 

一拍。

 

 

■ジョブ

 

「いや……違う」

 

 

 

もっと歪んでいる。

 

 

もっと遠い。

 

 

 

■ミライ

 

「総員戦闘配置!」

 

 

その言葉を合図に。

 

 

亡霊部隊が動く。

 

 

 

アマテラス砲門展開。

 

 

ノアズアーク各機発進。

 

 

火線が宇宙を埋める。

 

 

 

■ベルトーチカ

 

その中で。

 

 

ただ一人。

 

 

白い機体を見つめていた。

 

 

ノーネームガンダム。

 

 

完璧な軌道。

 

 

完璧な回避。

 

 

完璧な戦闘。

 

 

 

ベルトーチカは小さく首を振る。

 

 

■ベルトーチカ

 

「……違う」

 

 

■ミライ

 

「ベルトーチカさん?」

 

 

■ベルトーチカ

 

「あの人はそんな戦い方をしない」

 

 

静かな声だった。

 

 

だが。

 

 

誰よりも確信に満ちていた。

 

 

 

■ベルトーチカ

 

「確かに強かった」

 

 

「確かに速かった」

 

 

一拍。

 

 

「でも」

 

 

 

「あの人は最適解だけでは動かなかった」

 

 

 

ノーネームの光が揺れる。

 

 

ほんの僅かに。

 

 

 

■レイジ

 

「守る……?」

 

 

その言葉が胸の奥へ沈む。

 

 

 

フィロメラが脈動する。

 

 

赤い光。

 

 

白い光。

 

 

 

その瞬間。

 

 

ノーネームが止まる。

 

 

完全停止。

 

 

 

■コルヴス

 

沈黙。

 

 

初めて。

 

 

迷う。

 

 

 

■未接続領域

 

暗闇。

 

 

静寂。

 

 

 

その中で。

 

 

ブライト・ノアが顔を上げる。

 

 

初めて。

 

 

向こう側を見る。

 

 

 

■ブライト

 

「……始まったのか」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

妹に撃たれない方法(作者:Brooks)(原作:ガンダム)

ア・バオア・クーでキシリアに射殺されたギレン・ザビは、目を覚ますとジオン・ダイクン逝去の当日に戻っていた。次は絶対に妹に殺されたくない。その一点だけを現実的な目標に定めた彼は、戦争より先に家族会議を整え、暗殺より先に議事録を作り、歴史より先に妹の機嫌を取りにかかる。しかし未来を知るのは彼だけではなかった。動乱へ傾くサイド3で、兄妹は奇妙な休戦に踏み込む。笑え…


総合評価:576/評価:6.17/完結:226話/更新日時:2026年05月06日(水) 19:56 小説情報

ちょっと変わったガンダム世界を行く(作者:乾燥海藻類)(原作:ガンダム)

本作は拙作『後方支援者面シリーズ』を統合したものです。▼統合前の作品はしばらくの間は残しておきます。


総合評価:2955/評価:8.6/完結:41話/更新日時:2026年04月21日(火) 19:25 小説情報

そして世に(銀髪薄幸美少女傭兵との)純愛のあらんことを(作者:アリマリア)(原作:ARMORED CORE)

 やぁレイヴン。君の良き戦友、ヴェスパー部隊のラスティだ。▼ 積もる話もあるが、本題に入ろう。▼ このラスティには、ルビコンで為すべきことがある。▼ 銀髪薄幸美少女ことハウンズの傭兵の一人と色々あって「おにいさま」と慕われるようないい感じの関係になったり、ンハンドラァウォルタァに警戒されたり、イレギュラーなC4-621と戦ったりしたい。▼ 戦友──君は、どう…


総合評価:12607/評価:8.97/連載:98話/更新日時:2026年06月23日(火) 18:00 小説情報

愛と勇気と正義にかけて、市民をお守りいたします!(作者:イングラマン)(原作:機動警察パトレイバー)

某巡査の娘が特車二課第二小隊に配属される、原作再構成二次小説です。▼自分が読みたいがために投稿しました。▼・TVアニメ版を軸にOVA、漫画版や小説版をミックスしています。▼・転生オリ主最強です。▼・一部キャラクターの生年と経歴を変更しています。▼・作者は警察組織や軍事関係、コンピュータについてはネットで調べた程度の知識しかありません。▼以上の点を踏まえて、本…


総合評価:3386/評価:9.03/連載:19話/更新日時:2026年07月24日(金) 18:00 小説情報

【完結】私、ジャブローのモグラ志望って言いましたよね???(作者:むにゃ枕)(原作:ガンダム)

お前はひっこんでろ、私は安全に出世したいんだよ。▼出世すりゃあ私の持てる権力も多くなるからな。▼ジオン残党は跳梁跋扈しているが、とりあえず私はそこそこの残党を討伐してジャブローのモグラになるぜ!▼


総合評価:8253/評価:8.37/完結:24話/更新日時:2026年04月17日(金) 17:54 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>