機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第3巻 第13章 「未接続領域」

外縁宙域。

 

 

火線が宇宙を裂いていた。

 

 

レヴナント群。

 

ノアズアーク部隊。

 

 

互いに撃ち合っている。

 

 

だが。

 

 

どこか現実感が薄い。

 

 

撃墜されても、

終わった感覚がない。

 

 

まるで。

 

 

この戦場そのものが、

まだ確定していない。

 

 

■フィロメラ

 

赤い発光。

 

 

脈動。

 

 

レイジの呼吸と同期している。

 

 

■レイジ

 

「くそっ……!」

 

 

ノーネームの動きが読めない。

 

 

違う。

 

 

読まれている。

 

 

回避。

 

迎撃。

 

フェイント。

 

 

全部。

 

 

先に潰される。

 

 

■コルヴス・クロウ

 

無言。

 

 

白い機体が滑る。

 

 

最小動作。

 

最短距離。

 

 

完璧。

 

 

だからこそ怖い。

 

 

■レイジ

 

「なんなんだよお前!!」

 

 

ビームが交差する。

 

 

フィロメラ左肩被弾。

 

 

警告音。

 

 

だが。

 

 

痛みより先に、

別の感覚が流れ込む。

 

 

知らない記憶。

 

 

白いモビルスーツ。

 

 

振り返る誰か。

 

 

優しい声。

 

 

届かなかった叫び。

 

 

■レイジ

 

「っ……ぁ……!」

 

 

頭を押さえる。

 

 

■セラーナ(通信)

 

『レイジ!』

 

 

『切って!!』

 

 

『同期率が危険域を超えてる!!』

 

 

■レイジ

 

「切れるかよ!!」

 

 

その瞬間。

 

 

ノーネームの動きが止まる。

 

 

ほんの一瞬。

 

 

白い双眼が、

レイジを見ている。

 

 

違う。

 

 

誰かを見ている。

 

 

■コルヴス

 

『……なぜだ』

 

 

初めて。

 

 

迷いが生まれる。

 

 

■戦場奥

 

赤い巨影。

 

 

ガンダム・オブリヴィオン。

 

 

ゆっくり前へ出る。

 

 

黒い装甲。

 

 

深紅の亀裂発光。

 

 

顔の存在しない頭部。

 

 

見ているだけで。

 

 

何かを忘れていく。

 

 

■シャル・ルージュ

 

通信回線が軋む。

 

 

白い仮面。

 

 

■シャル

 

『まだ未完成だね♪』

 

 

それだけだった。

 

 

オブリヴィオン周囲に、

赤い波紋が広がる。

 

 

空間が変質していく。

 

 

■アマテラス艦橋

 

警報。

 

 

『深層干渉反応!!』

 

 

『観測領域が変質しています!!』

 

 

■ジョブ

 

顔を上げる。

 

 

「まずい……!」

 

 

「奴ら、“向こう側”を開く気だ!」

 

 

■ミライ

 

「向こう側……?」

 

 

■ジョブ

 

「未接続領域だ」

 

 

「ブライト艦長がいる場所……!」

 

 

艦橋が凍る。

 

 

■戦場

 

オブリヴィオンが腕を広げる。

 

 

その瞬間。

 

 

宇宙が割れる。

 

 

違う。

 

 

観測の膜が剥がれ落ちる。

 

 

黒。

 

 

深すぎる暗黒。

 

 

星もない。

 

 

時間もない。

 

 

ただ。

 

 

止まった存在だけがある。

 

 

■レイジ

 

息を呑む。

 

 

見える。

 

 

ラーカイラム。

 

 

静止した艦。

 

 

そして。

 

 

艦橋。

 

 

ひとりの男。

 

 

■ブライト・ノア

 

こちらを見ていた。

 

 

■レイジ

 

「ブライト!!」

 

 

叫ぶ。

 

 

今度は違う。

 

 

声が届く。

 

 

ブライトの目が動く。

 

 

確かに。

 

 

こちらを認識した。

 

 

■ブライト

 

口が動く。

 

 

『来るな』

 

 

その瞬間。

 

 

未接続領域全域に、

赤い光が走る。

 

 

■ジョブ

 

「……誰かいる」

 

 

暗黒の奥。

 

 

赤い光。

 

 

巨大な残影。

 

 

そして。

 

 

もう一つ。

 

 

白い光。

 

 

並んでいた。

 

 

■レイジ

 

震える。

 

 

理由も分からず。

 

 

涙だけが流れる。

 

 

■ベルトーチカ

 

静かに前へ出る。

 

 

誰よりも強い目で、

その白い光を見る。

 

 

「……やっと届いた」

 

 

瞳は揺れていない。

 

 

確信だけがあった。

 

 

■ベルトーチカ

 

「アムロ」

 

 

その名が落ちる。

 

 

白い光が、

わずかに脈動する。

 

 

■コルヴス

 

白い双眼が揺れる。

 

 

最適だった動きが、

初めて乱れる。

 

 

■シャル

 

仮面の奥で目を細める。

 

 

『……まだ残るの?』

 

 

確認するように。

 

 

静かに。

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