機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第3巻 第16章 「記録の胎動」

外縁宙域。

 

 

未接続領域は、

まだ閉じていない。

 

 

黒い裂け目。

 

 

その奥から。

 

 

無数の機影が現れる。

 

 

年代も。

 

勢力も。

 

関係なかった。

 

 

ただ。

 

 

人類が積み上げた戦争だけが、

そこに存在していた。

 

 

 

■レイジ

 

「……来るぞ」

 

 

フィロメラが脈動する。

 

 

赤いサイコフレーム。

 

 

鼓動のような光。

 

 

だが。

 

 

恐怖ではない。

 

 

前へ進めと。

 

 

そう告げているようだった。

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

警報が鳴り響く。

 

 

■ミライ

 

「レヴナント反応急上昇!」

 

 

■セラーナ

 

静かに首を振る。

 

 

「違う……」

 

 

「反応じゃない」

 

 

「戦場そのものが形になってる」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「起動は終わった」

 

 

一拍。

 

 

「ここからが本番だ」

 

 

 

■外縁宙域

 

機影が迫る。

 

 

ビーム。

 

爆発。

 

 

しかし。

 

 

終わらない。

 

 

撃墜された機体が、

ノイズを撒き散らしながら再形成される。

 

 

残骸が別の輪郭へ変わる。

 

 

戦争だけが。

 

 

延々と続いていく。

 

 

 

■レイジ

 

「なんなんだよこれ……!」

 

 

フィロメラが加速する。

 

 

撃っても終わらない。

 

 

壊しても消えない。

 

 

だから。

 

 

進むしかない。

 

 

 

その瞬間。

 

 

白い閃光。

 

 

ノーネームガンダム。

 

 

戦場を横切る。

 

 

位相が揺れる。

 

 

観測位置そのものを書き換えるような機動。

 

 

■レイジ

 

「っ!!」

 

 

激突。

 

 

衝撃。

 

 

だが。

 

 

以前と違う。

 

 

ノーネームは迷っていた。

 

 

ほんの僅かに。

 

 

だが確実に。

 

 

 

■コルヴス・クロウ

 

沈黙。

 

 

白い双眼が揺れる。

 

 

最適。

 

 

完全。

 

 

絶対。

 

 

そのはずだった。

 

 

だが。

 

 

ベルトーチカの声。

 

 

白い光。

 

 

アムロという残響。

 

 

その全てが。

 

 

コルヴスの内部で、

消せないノイズになっていた。

 

 

■コルヴス

 

『……なぜだ』

 

 

再び漏れる。

 

 

誰へ向けた言葉でもない。

 

 

自分自身への問い。

 

 

 

■シャル・ルージュ

 

オブリヴィオンの中。

 

 

静かに見ている。

 

 

コルヴスを。

 

 

レイジを。

 

 

そして。

 

 

未接続領域の奥を。

 

 

■シャル

 

『そう』

 

 

小さく呟く。

 

 

『そこなんだ』

 

 

怒りではない。

 

 

失望でもない。

 

 

純粋な観測。

 

 

理解しようとしている。

 

 

守る理由を。

 

 

信じる理由を。

 

 

 

その瞬間。

 

 

戦場の奥が歪む。

 

 

ズレ。

 

 

継ぎ目。

 

 

現実の裂け目。

 

 

■レイジ

 

息を呑む。

 

 

「……あそこか」

 

 

フィロメラの発光が変わる。

 

 

赤。

 

 

そして白。

 

 

二つの光が混ざり始める。

 

 

 

■アムロ残響

 

『見ろ』

 

 

■シャア残響

 

『その先だ』

 

 

 

戦場最深部。

 

 

歪みの中心。

 

 

そこに。

 

 

何かがある。

 

 

まだ見えない。

 

 

だが確実に存在している。

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

短く言う。

 

 

「行け」

 

 

■レイジ

 

「言われなくても!!」

 

 

 

推力最大。

 

 

フィロメラ加速。

 

 

戦争の中心へ。

 

 

記録の胎動へ。

 

 

まだ誰も観測していない場所へ。

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