機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第4巻 第1章 「核」

外縁宙域。

 

 

未接続領域の“中心”は、まだ崩れていない。

 

 

だがそれは安定ではなかった。

 

 

“意味だけが固定された空間”。

 

 

■外縁宙域・中心層

 

フィロメラが静止する。

 

 

いや。

 

 

“進行という概念を失っている”。

 

 

推進は続いている。

 

熱量も正常。

 

だが距離だけが変化しない。

 

 

レイジは息を呑む。

 

「……ここだ」

 

 

コックピットの視界が揺れる。

 

宇宙ではない。

 

戦場でもない。

 

 

“意味”だけが積層した空間。

 

 

■アマテラス艦橋

 

ミライがモニターを睨む。

 

「レイジの座標が消えていく……!」

 

 

セラーナは即座に否定する。

 

「消えてない」

 

 

「“別層固定”されてる」

 

 

ジョブ・ジョンが低く呟く。

 

「来たな……」

 

 

一拍。

 

 

「核だ」

 

 

■干渉通信

 

ノイズ。

 

 

だが今までと違う。

 

これは戦場の声じゃない。

 

 

“現実側”から届いている。

 

 

■ベルトーチカ

 

『アムロ!!』

 

 

空間が揺れる。

 

 

未接続領域の奥。

 

白い残響が微かに反応する。

 

 

■レイジ

 

「……今の声は?」

 

 

ジョブが答える。

 

「現実側だ」

 

 

ミライが振り向く。

 

「現実……?」

 

 

ジョブは目を離さない。

 

「戦場に飲まれてる“人間側の声”だ」

 

 

■中心領域

 

モビルスーツ群。

 

 

何かがおかしい。

 

 

レイジは直感した。

 

 

フィロメラがビームを放つ。

 

光が戦場を貫く。

 

 

爆発。

 

撃墜。

 

 

だが。

 

 

次の瞬間には、

同じ場所へ“再配置”されている。

 

 

■レイジ

 

「減ってねぇ!!」

 

 

セラーナが叫ぶ。

 

「記録が戦場として固定されてる!!」

 

 

ジョブが首を振る。

 

「違う」

 

 

「戦場が“必要な記録を選んでる”」

 

 

■核

 

その瞬間。

 

 

空間中心が脈動する。

 

 

まるで。

 

 

“呼吸”。

 

 

■アムロ残響

 

『ここへ入るな』

 

 

ベルトーチカが即座に叫ぶ。

 

『アムロ!!』

 

 

声が重なる。

 

 

現実。

 

戦場。

 

記録。

 

残響。

 

 

全てが同じ場所へ流れ込んでいる。

 

 

■レイジ

 

「なんなんだよこれ……!」

 

 

「声が多すぎる……!」

 

 

ジョブが低く言う。

 

「それが“核”だ」

 

 

■ベルトーチカ

 

『戻ってきて!!』

 

 

『そこはあなたの場所じゃない!!』

 

 

白い残響が揺れる。

 

 

■アムロ残響

 

『……違う』

 

 

ベルトーチカの声が震える。

 

『違わない!!』

 

 

『あなたはまだ“人間”よ!!』

 

 

■変化

 

核が揺れる。

 

 

その瞬間。

 

 

戦場全体の構造が乱れる。

 

 

機体が止まり。

 

歪み。

 

ノイズ化する。

 

 

■セラーナ

 

「外部認識が干渉してる!」

 

 

「“戦場の定義”そのものが揺れてる!!」

 

 

■レイジ

 

息を呑む。

 

 

ここは戦場じゃない。

 

 

“戦争を成立させている意味の中心”。

 

 

■アムロ残響

 

『まだ終わっていない』

 

 

■ベルトーチカ

 

『終わらせなくていい!!』

 

 

『戻ってきて!!』

 

 

■レイジ

 

「……戻る?」

 

 

ジョブが短く言う。

 

「選べ」

 

 

レイジが振り返る。

 

「何をだよ……」

 

 

■核

 

初めて“応答”する。

 

 

言葉ではない。

 

 

だが確かに伝わる。

 

 

“戦い続ける理由”。

 

 

■レイジ

 

「……くそ」

 

 

「こんなの……終わらねぇじゃねぇか」

 

 

白い残響が揺れる。

 

 

■アムロ残響

 

『だからだ』

 

 

■ベルトーチカ

 

『だからじゃない!!』

 

 

『戻ってきて!!』

 

 

■レイジ

 

「……っ」

 

 

フィロメラのサイコフレームが脈動する。

 

 

赤い光が、

線となって核へ伸びる。

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「行くぞ……レイジ」

 

 

■レイジ

 

静かに頷く。

 

 

「……ああ」

 

 

フィロメラが前へ出る。

 

 

戦場ではなく。

 

 

“意味の中心”へ。

 

 

■終端ログ

 

『接触点:安定化』

 

『記録核:認識干渉開始』

 

『レヴナント:意味層変動』

 

『未接続領域:深層移行開始』

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