機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第4巻 第2章 「割れる基準」

外縁宙域・核接触領域。

 

 

沈黙は続いている。

 

 

だがそれは静寂ではない。

 

 

“選ばれる前の保留状態”。

 

 

■外縁宙域・中心層

 

フィロメラは停止していた。

 

 

いや。

 

 

“進行という意味を保留されている”。

 

 

推進は続いている。

 

熱量も正常。

 

 

だが空間が、

前進を“判断していない”。

 

 

■レイジ

 

「……まだ終わってねぇのかよ」

 

 

コックピットの景色は揺れ続けている。

 

 

戦場。

 

記録。

 

残響。

 

 

全てが半端なまま、

固定されずに重なっている。

 

 

■アマテラス艦橋

 

ミライがモニターを見る。

 

「空間安定……してる?」

 

 

セラーナが即座に否定する。

 

「違う」

 

 

「“決めかねてる”状態よ」

 

 

ジョブ・ジョンが低く呟く。

 

「核が揺れてるな」

 

 

■核

 

そこに“在る”。

 

 

だが形はない。

 

 

存在しているのは、

戦争の意味だけ。

 

 

記録群が脈動し、

空間そのものを呼吸させている。

 

 

■レイジ

 

「こいつ……何考えてんだ?」

 

 

■干渉通信

 

ノイズ。

 

 

今度は重い。

 

 

“感情”ではない。

 

 

“思想”が流れ込む。

 

 

■シャア残響

 

『まだ迷っているのか』

 

 

空間が冷える。

 

 

レイジが顔を上げる。

 

「また出たな……!!」

 

 

白い残響が微かに揺れる。

 

 

■アムロ残響

 

『……違う』

 

 

■シャア残響

 

『これは“問い”だ』

 

 

■レイジ

 

「問い?」

 

 

赤い残響が静かに脈動する。

 

 

■シャア残響

 

『戦争は終わるべきか』

 

 

『それとも続くべきか』

 

 

■レイジ

 

「ふざけんな!!」

 

 

「そんなもん決まってるだろ!!」

 

 

その瞬間。

 

 

核が揺れる。

 

 

空間全体へ、

波紋のような干渉が広がる。

 

 

■セラーナ

 

「反応してる……!」

 

 

ジョブが静かに言う。

 

「まだ“答えが固定されてない”」

 

 

■外縁宙域

 

戦場ログが乱れる。

 

モビルスーツ群が揺れる。

 

 

互いへ銃口を向けている。

 

 

だが撃たない。

 

 

撃てないのか。

 

 

撃ちたくないのか。

 

 

レイジには分からない。

 

 

 

まるで。

 

 

“次の意味”を待っている。

 

 

■レイジ

 

「……なんだこれ」

 

 

「敵が止まってる?」

 

 

■アマテラス艦橋

 

ミライが息を呑む。

 

「戦闘が……成立してない」

 

 

■核

 

再び“声なき声”。

 

 

今度は圧ではない。

 

 

“揺らぎ”。

 

 

■シャア残響

 

『決めろ』

 

 

■アムロ残響

 

『逃げるな』

 

 

■レイジ

 

「どっちだよ!!」

 

 

■セラーナ

 

「違う……!」

 

 

「これ、“二択”じゃない!!」

 

 

ジョブが頷く。

 

「そうだ」

 

 

「“基準そのものが割れてる”」

 

 

■変化

 

戦争ログが二つへ分岐する。

 

 

• 続行される戦争

• 終了される戦争

 

 

どちらも本物。

 

どちらも記録。

 

 

そして。

 

 

どちらも“人類”。

 

 

■レイジ

 

「……割れてる?」

 

 

その瞬間。

 

 

空間奥で、

もう一つの気配が動く。

 

 

■未接続領域・深層

 

微弱干渉。

 

 

まだ声にはならない。

 

 

だが確かに“意志”がある。

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「来るぞ……」

 

 

一拍。

 

 

「“奪還側”が」

 

 

■レイジ

 

「ブライト……?」

 

 

■核

 

揺れる。

 

 

今度は明確に。

 

 

“決断を拒否する揺れ”。

 

 

■シャア残響

 

『これが人間だ』

 

 

■アムロ残響

 

『だから迷う』

 

 

■レイジ

 

「迷ってる場合かよ……!」

 

 

フィロメラのサイコフレームが発光する。

 

 

赤い光が、

線ではなく“亀裂”になる。

 

 

■レイジ

 

「……俺が決める」

 

 

ジョブが低く言う。

 

「そのためにここへ来た」

 

 

レイジが前を見る。

 

 

戦場。

 

残響。

 

核。

 

 

全てを見据えながら。

 

 

■レイジ

 

「終わらせるか……続けるかじゃねぇ」

 

 

一拍。

 

 

「“意味を変える”」

 

 

その瞬間。

 

 

核が静止する。

 

 

まるで。

 

 

初めて“答え以外の可能性”を観測したように。

 

 

■終端ログ

 

『基準分岐:発生』

 

『記録核:二層化』

 

『レヴナント:選択待機状態』

 

『未接続領域:深層変動開始』

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