機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第4巻 第3章 「奪還」

外縁宙域。

 

 

未接続領域の“中心”は、

まだ消えていない。

 

 

だが、

それは安定ではなかった。

 

 

■“意味の選択待ち空間”

 

 

 

フィロメラガンダムが停止する。

 

 

推力は生きている。

 

 

だが、

進んでいる感覚がない。

 

 

空間そのものが、

“判断”を拒否していた。

 

 

 

■レイジ

 

「……ここだ」

 

 

額に汗が滲む。

 

 

呼吸が重い。

 

 

まるで宇宙そのものが、

こちらを“保留”している。

 

 

そんな感覚。

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

警報音。

 

 

モニター上で、

レイジの座標が不規則に明滅している。

 

 

 

■ミライ・ノア

 

「レイジの座標……

不安定化してます!」

 

 

■セラーナ・カーン

 

「違う」

 

 

「不安定じゃない」

 

 

一拍。

 

 

■セラーナ・カーン

 

「“保留されてる”」

 

 

 

ジョブ・ジョンが、

静かにモニターを見つめる。

 

 

その顔には、

わずかな緊張が浮かんでいた。

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「来たな……」

 

 

「核の“分岐領域”だ」

 

 

 

外縁宙域・深層。

 

 

微かな通信波が流れる。

 

 

ノイズではない。

 

 

そこには、

“人間の重さ”があった。

 

 

 

■レイジ

 

「……これ」

 

 

一瞬、

フィロメラの動きが止まる。

 

 

 

■レイジ

 

「ブライトさん……?」

 

 

 

空間がわずかに反応する。

 

 

■核

 

“揺れ”が走る。

 

 

 

■シャア残響

 

『それが錨だ』

 

 

 

■アムロ残響

 

『人間側の基準点』

 

 

 

その瞬間。

 

 

干渉通信が割り込む。

 

 

ノイズではない。

 

 

“現実側の声”。

 

 

 

■ベルトーチカ

 

「アムロ!!」

 

 

 

一瞬、

戦場構造が揺らぐ。

 

 

撃墜された残骸が、

微かに停止する。

 

 

 

■レイジ

 

「……今のは?」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「現実側だ」

 

 

 

■ミライ・ノア

 

「現実……?」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「戦場へ飲まれてる

“人間の声”だ」

 

 

 

外縁宙域。

 

 

空間が裂ける。

 

 

黒い亀裂。

 

 

その奥。

 

 

“拘束された艦影”が浮かんでいた。

 

 

空間そのものへ

縫い付けられたように停止している。

 

 

そして。

 

 

その中央。

 

 

ひとりの男が、

静かにこちらを見ていた。

 

 

 

■ブライト・ノア

 

拘束状態。

 

 

だが、

意識ははっきりしている。

 

 

 

■ブライト

 

「……遅いな」

 

 

 

その声だけで、

戦場の空気がわずかに変わる。

 

 

 

■レイジ

 

「ブライトさん!!」

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

■ミライ・ノア

 

「生体反応、完全一致!」

 

 

■セラーナ・カーン

 

「干渉は受けていない……」

 

 

「むしろ、

“中心に固定されてる”」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「やっぱりな」

 

 

「こいつが“錨”だ」

 

 

 

■レイジ

 

「ブライトさん……

無事なんですか!!」

 

 

 

■ブライト

 

「無事かどうかは問題じゃない」

 

 

一拍。

 

 

■ブライト

 

「“ここにいる”かどうかだ」

 

 

 

その言葉だけで、

空間の軋みがわずかに止まる。

 

 

 

■核

 

強く揺れる。

 

 

戦争ログが乱れる。

 

 

撃墜機群が、

一瞬だけ停止する。

 

 

 

■シャア残響

 

『奪え』

 

 

 

■アムロ残響

 

『戻せ』

 

 

 

■レイジ

 

「奪う……?」

 

 

 

■ブライト

 

「違う」

 

 

沈黙。

 

 

そして。

 

 

■ブライト

 

「奪還だ」

 

 

 

■レイジ

 

「……」

 

 

 

■ブライト

 

「これは誰のものでもない」

 

 

「“人間が立つ場所”だ」

 

 

 

レイジの瞳が揺れる。

 

 

フィロメラのサイコフレームが、

静かに脈動する。

 

 

白。

 

 

そして。

 

 

微かに赤。

 

 

 

■核

 

沈黙。

 

 

だが、

それは終わりではない。

 

 

■“選択待機状態”

 

 

 

■レイジ

 

「……わかった」

 

 

一拍。

 

 

 

■レイジ

 

「奪還する」

 

 

 

フィロメラの光が強くなる。

 

 

白。

 

 

赤。

 

 

その境界で、

核が初めて“迷う”。

 

 

『基準点:確認』

 

『戦場層:二分維持』

 

『レヴナント:選択待機』

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