機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第4巻 第5章 「反証」

外縁宙域。

 

 

二つの現実は、

まだ同時に存在している。

 

 

だが、

それは“安定”ではなかった。

 

 

■均衡しているだけの爆弾

 

 

 

フィロメラガンダムが震える。

 

 

サイコフレームの輝きが、

安定しない。

 

 

白。

 

 

赤。

 

 

二つの光が、

互いを侵食し合っていた。

 

 

 

■レイジ

 

「……まだ、続いてる」

 

 

コクピット内へ、

異常な負荷が流れ込む。

 

 

終わる戦争。

 

 

終わらない戦争。

 

 

両方の感情が、

同時に頭へ流れ込んでいた。

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

警報が強くなる。

 

 

空間波形が、

限界値を超え始めていた。

 

 

 

■ミライ・ノア

 

「空間安定率、下降!」

 

 

■セラーナ・カーン

 

「違う……」

 

 

モニターを睨みながら、

低く呟く。

 

 

■セラーナ・カーン

 

「これは統合じゃない」

 

 

一拍。

 

 

■セラーナ・カーン

 

「“衝突の固定化”よ」

 

 

 

ジョブ・ジョンが、

小さく息を吐く。

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「来るな」

 

 

 

■ミライ・ノア

 

「何がです!?」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「反証だ」

 

 

 

ブライト領域。

 

 

拘束状態のまま、

ブライト・ノアが目を閉じる。

 

 

わずかに。

 

 

諦めにも似た沈黙。

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「……やっぱり、

そうなるか」

 

 

 

■レイジ

 

「ブライトさん……?」

 

 

 

■核

 

揺れが変質する。

 

 

先ほどまでの

“迷い”ではない。

 

 

■拒絶

 

 

 

■シャア残響

 

『無理だ』

 

 

 

■アムロ残響

 

『成立しない』

 

 

 

■レイジ

 

「何がだよ!!」

 

 

 

その瞬間。

 

 

核が初めて、

“言語”として応答する。

 

 

■核

 

“同時に存在する二つの現実は、

互いを否定する”

 

 

一拍。

 

 

■核

 

“矛盾は、

世界を固定できない”

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「……来た」

 

 

顔色が変わる。

 

 

■セラーナ・カーン

 

「自己矛盾の開始よ」

 

 

 

外縁宙域。

 

 

戦場ログが、

ゆっくり“割れ始める”。

 

 

継続する戦争。

 

 

終わる戦争。

 

 

二つの現実が、

互いを侵食し始めていた。

 

 

終結層の静寂へ、

戦闘ログが流れ込む。

 

 

継続層の機体群が、

突然停止する。

 

 

どちらも、

正常な状態ではない。

 

 

 

■レイジ

 

「おい……嘘だろ」

 

 

「さっきまで、

両方あったのに……!」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「それが“反証”だ」

 

 

 

■レイジ

 

「反証……?」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「現実は、

理想だけじゃ固定できねぇ」

 

 

 

ブライトが、

静かに言う。

 

 

■ブライト・ノア

 

「人間は、

矛盾を持ち続けられない」

 

 

 

■レイジ

 

「でも俺は……」

 

 

 

■核

 

圧が増す。

 

 

二つの現実が、

激しく押し合う。

 

 

空間そのものが軋み始める。

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

■ミライ・ノア

 

「どっちかが消える……!」

 

 

■セラーナ・カーン

 

「違う……!」

 

 

 

モニターへ走る亀裂。

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「このままじゃ、

両方“破綻する”!」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「選択の代償だ」

 

 

 

■レイジ

 

「ふざけんな……!!」

 

 

 

■シャア残響

 

『だから言った』

 

 

 

■アムロ残響

 

『どちらかを選べと』

 

 

 

■レイジ

 

「選んでねぇ!!」

 

 

 

フィロメラが強く発光する。

 

 

 

■レイジ

 

「残すって、

言っただろ!!」

 

 

 

■核

 

“拒絶”が最大化する。

 

 

空間全域へ、

崩壊音が走る。

 

 

戦場構造が、

軋みながら崩れ始める。

 

 

 

■ブライト

 

「レイジ」

 

 

 

■レイジ

 

「ブライトさん……!」

 

 

 

■ブライト

 

「いいか」

 

 

一拍。

 

 

 

■ブライト

 

「現実は、

優しくない」

 

 

 

レイジの呼吸が止まる。

 

 

 

■ブライト

 

「“残す”という選択は」

 

 

「“どちらも壊れる可能性”を含んでる」

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「そういうこと……」

 

 

「統合は、

安定じゃない」

 

 

 

■核

 

揺れが、

崩壊寸前へ達する。

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「来るぞ……」

 

 

 

空間の裂け目が広がる。

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「分岐崩壊だ」

 

 

 

■レイジ

 

「……だったら」

 

 

一拍。

 

 

 

■レイジ

 

「それでも残す」

 

 

 

空間反応。

 

 

一瞬だけ停止。

 

 

だが。

 

 

崩壊は止まらない。

 

 

 

■シャア残響

 

『甘いな』

 

 

 

■アムロ残響

 

『それでは救えない』

 

 

 

フィロメラの光が揺らぐ。

 

 

白。

 

 

赤。

 

 

そして。

 

 

その境界へ、

黒い亀裂が混ざり始める。

 

 

『反証フェーズ:開始』

 

『統合構造:負荷限界』

 

『レヴナント:自己矛盾進行』

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