機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第4巻 第8章 「反応」

外縁宙域。

 

 

二つの現実は、

まだ壊れていない。

 

 

だが、

それは“維持”ではなかった。

 

 

■削除と保存が同時進行する空間

 

 

 

フィロメラガンダムが揺れる。

 

 

サイコフレームは、

赤と白を同時維持していた。

 

 

だが。

 

 

その境界は、

すでに“薄い膜”になっている。

 

 

少し触れれば、

崩れてしまいそうなほどに。

 

 

 

■レイジ

 

「……まだ残ってる」

 

 

戦場は消えていない。

 

 

だが。

 

 

消される側と、

残される側が分かれ始めていた。

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

空間波形が、

不規則に明滅する。

 

 

 

■ミライ・ノア

 

「削除ログ……

止まってます」

 

 

一拍。

 

 

■ミライ・ノア

 

「でも、

消えたまま戻らない領域もある!」

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「違う」

 

 

モニターを見つめたまま、

静かに言う。

 

 

■セラーナ・カーン

 

「停止じゃない」

 

 

■セラーナ・カーン

 

「“反応待ち”よ」

 

 

 

ジョブ・ジョンが、

ゆっくり目を細める。

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「来たな」

 

 

一拍。

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「反応フェーズだ」

 

 

 

外縁宙域。

 

 

空間が、

静かに整列していく。

 

 

敵でもない。

 

味方でもない。

 

 

戦場そのものが、

“判定待ち”へ移行していた。

 

 

 

■“観測される存在だけが残る構造”

 

 

 

■レイジ

 

「なんだよこれ……」

 

 

■レイジ

 

「戦闘じゃねぇだろ……」

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「戦闘じゃない」

 

 

一拍。

 

 

■セラーナ・カーン

 

「“存在の試験”よ」

 

 

 

ブライト領域。

 

 

拘束艦体が、

ゆっくり軋む。

 

 

空間負荷が、

限界へ近づいていた。

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「……来る」

 

 

 

■レイジ

 

「何がだよ……!」

 

 

 

■核

 

沈黙。

 

 

だが。

 

 

それは空白ではない。

 

 

■“判断の直前”

 

 

 

■シャア残響

 

『続けろ』

 

 

 

■アムロ残響

 

『終わらせろ』

 

 

 

■レイジ

 

「うるせぇ……!」

 

 

その瞬間。

 

 

通信ノイズ。

 

 

だが、

それは戦場側ではない。

 

 

■現実側

 

 

 

「アムロ!!」

 

 

空間が、

一瞬だけ揺れる。

 

 

 

■ベルトーチカ・イルマ

 

「戻ってきて!!」

 

 

 

■レイジ

 

「……今の誰だ」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「現実側だ」

 

 

 

■ミライ・ノア

 

「現実……?」

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「違う」

 

 

一拍。

 

 

■セラーナ・カーン

 

「“外部”じゃない」

 

 

■セラーナ・カーン

 

「“人間側の干渉”よ」

 

 

 

再び、

ノイズ。

 

 

 

■ベルトーチカ・イルマ

 

「そこは戦う場所じゃない!!」

 

 

■ベルトーチカ・イルマ

 

「アムロ!!

聞いて!!」

 

 

 

空間反応。

 

 

核が、

わずかに揺れる。

 

 

 

■アムロ残響

 

『……黙れ』

 

 

 

だが。

 

 

その声は、

いつもより“遅い”。

 

 

まるで。

 

 

“揺らいでいる”。

 

 

 

■レイジ

 

「……なんだこれ」

 

 

■レイジ

 

「声が割れてる……」

 

 

 

ブライトが、

静かに言う。

 

 

■ブライト・ノア

 

「錨だ」

 

 

 

■レイジ

 

「錨……?」

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「戦場を引き戻す」

 

 

一拍。

 

 

■ブライト・ノア

 

「“人間側の重さ”だ」

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「干渉じゃない」

 

 

■セラーナ・カーン

 

「“現実の押し返し”よ」

 

 

 

■核

 

停止。

 

 

いや。

 

 

“判断不能”。

 

 

選別構造が、

一瞬だけ遅延する。

 

 

 

■シャア残響

 

『余計なものが入ったな』

 

 

 

■アムロ残響

 

『だが……

無視できない』

 

 

 

再び。

 

 

ベルトーチカの声。

 

 

 

■ベルトーチカ・イルマ

 

「アムロ!!」

 

 

■ベルトーチカ・イルマ

 

「あなたはまだ“人間”よ!!」

 

 

 

その瞬間。

 

 

フィロメラの白層が、

強く発光する。

 

 

 

■レイジ

 

「……人間?」

 

 

 

■核

 

反応停止。

 

 

ではない。

 

 

■“再評価”

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「今の……」

 

 

息を呑む。

 

 

■セラーナ・カーン

 

「判断が揺れた」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「人間側が、

“評価”へ割り込んだ」

 

 

 

ブライトが、

静かに目を閉じる。

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「それでいい」

 

 

 

■レイジ

 

「何がいいんだよ……」

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「まだ終わってない証拠だ」

 

 

 

■核

 

静かに脈動。

 

 

まるで。

 

 

“考え直している”。

 

 

 

フィロメラのサイコフレームが、

微かに揺れる。

 

 

赤。

 

 

白。

 

 

その境界へ、

淡い金色が混ざり始める。

 

 

『削除プロセス:遅延』

 

『外部人間干渉:確認』

 

『反応フェーズ:揺らぎ発生』

 

『レヴナント:再評価状態』

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