機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第4巻 第10章 「静止の残響」

外縁宙域。

 

 

戦場は、まだ存在している。

 

 

だが。

 

 

■誰も戦っていない

 

 

 

静かだった。

 

 

爆発音がない。

 

ビーム音もない。

 

警報すら、

どこか遠い。

 

 

レイジは、

コクピットの中で浅く息を吐く。

 

 

■レイジ・イルマ

 

「……なんだよ、これ」

 

 

フィロメラが漂っている。

 

 

赤でも白でもない。

 

サイコフレームは、

曖昧な中間光を保ったまま、

脈打つ事すらやめかけていた。

 

 

 

■外縁宙域

 

ジム。

 

ザク。

 

ギラ・ドーガ。

 

 

敵も味方も存在している。

 

 

だが。

 

 

■撃たない

 

■狙わない

 

■近づかない

 

 

まるで。

 

 

■“戦う理由”だけが失われていた

 

 

 

■レイジ

 

「ふざけんなよ……」

 

 

「戦場だろ、ここ……!」

 

 

 

その声すら、

空間に吸われる。

 

 

返事がない。

 

 

いや。

 

 

■“返す必要がない”

 

 

そんな静けさだった。

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

誰も動けない。

 

 

オペレーター達が、

モニターを見たまま固まっている。

 

 

■ミライ・ノア

 

「戦闘ログ……停止……?」

 

 

だが。

 

 

■セラーナ

 

「違う」

 

 

一拍。

 

 

■セラーナ

 

「停止じゃない」

 

 

「“記録されていない”」

 

 

 

艦橋に沈黙が落ちる。

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「来たな」

 

 

低く呟く。

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「これが“空白の戦場”だ」

 

 

 

■レイジ

 

「空白……?」

 

 

 

返事はない。

 

 

その代わり。

 

 

通信ノイズが混ざる。

 

 

声ではない。

 

 

だが、

確かに“誰か”がいる。

 

 

 

■コルヴス領域(未確定)

 

『…………』

 

 

■シャル領域(未確定)

 

『…………』

 

 

 

■レイジ

 

「今の……誰だ」

 

 

 

■セラーナ

 

「誰でもない」

 

 

■セラーナ

 

「まだ“認識されてない存在”よ」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「ブライトが抜けた影響だ」

 

 

「戦場の“錨”が消えた」

 

 

「だから全部が曖昧になってる」

 

 

 

レイジは、

ゆっくり周囲を見る。

 

 

戦場は存在している。

 

 

なのに。

 

 

■怖いほど静かだった

 

 

 

その瞬間。

 

 

フィロメラのモニターが、

わずかに遅れる。

 

 

レイジが視線を動かした後で、

映像が追いつく。

 

 

■レイジ

 

「……っ」

 

 

背筋が冷える。

 

 

■自分の存在だけ、

空間からズレ始めている

 

 

 

■ミライ

 

「レイジ周辺の戦闘データ、

 消失しています!」

 

 

■セラーナ

 

「違う……」

 

 

「欠損じゃない」

 

 

「“意味の未割り当て領域”へ

 落ちてる」

 

 

 

■レイジ

 

「じゃあ俺は何なんだよ……!」

 

 

 

沈黙。

 

 

そして。

 

 

■シャア残響

 

『敵はいる』

 

 

■アムロ残響

 

『だが戦えない』

 

 

 

■レイジ

 

「意味わかんねぇよ……!」

 

 

 

その瞬間。

 

 

フィロメラの“影”が浮く。

 

 

赤でも白でもない。

 

 

■第三の揺れ

 

 

 

だが。

 

 

それは一瞬で消える。

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「来るぞ」

 

 

「次の“再定義”が」

 

 

 

■レイジ

 

「再定義ってなんだよ……」

 

 

 

■セラーナ

 

静かに言う。

 

 

■セラーナ

 

「戦場がまだ、

 終わってない証拠よ」

 

 

 

■終端ログ

 

『戦闘行為:未定義化』

 

『認識層:欠損発生』

 

『コルヴス/シャル:観測未確定』

 

『レヴナント:静止残響状態』

 

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