機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第4巻 第15章 「干渉者たち」

外縁宙域。

 

 

欠損領域は、

まだ維持されている。

 

 

だが。

 

 

それはもう、

“空間”ではなかった。

 

 

■維持された矛盾

 

 

 

■レイジ・イルマ

 

「……重いな、ここ」

 

 

フィロメラのサイコフレームが、

低く唸る。

 

 

赤でも白でもない。

 

 

曖昧な中間色。

 

 

その光の奥で、

何かが“待っていた”。

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

モニター群へ、

断続的なノイズ。

 

 

通常の戦場ログではない。

 

 

■観測波形そのものが乱れている

 

 

 

■ミライ・ノア

 

「欠損領域、

 外圧急上昇!!」

 

 

■セラーナ・カーン

 

「違う……!」

 

 

モニターを睨む。

 

 

■セラーナ・カーン

 

「これ、“観測”そのものが増えてる!」

 

 

 

艦橋の空気が張り詰める。

 

 

まるで。

 

 

■“誰かが見始めた”

 

 

そんな感覚だった。

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「来たか」

 

 

低く息を吐く。

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「上の連中が動いたな」

 

 

 

■欠損領域・外縁

 

空間が薄く割れる。

 

 

その裂け目から、

二つの気配が重なる。

 

 

■アムロ残響

 

『……まだ維持しているのか』

 

 

■シャア残響

 

『興味深いな』

 

 

 

■レイジ

 

「……またお前らかよ」

 

 

 

だが。

 

 

今までとは違った。

 

 

“近い”。

 

 

存在感が濃すぎる。

 

 

コクピット温度が、

わずかに下がる。

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「本体じゃない」

 

 

静かに言う。

 

 

■ブライト・ノア

 

「“干渉投影”だ」

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「でも出力が違う……!」

 

 

■セラーナ・カーン

 

「今までの残響より、

 ずっと“意思”が強い!」

 

 

 

その瞬間。

 

 

欠損領域へ、

別の圧力が流れ込む。

 

 

■コルヴス領域

 

『観測強制更新』

 

 

■シャル領域

 

『記録優先度上昇』

 

 

 

空間が軋む。

 

 

コルヴスとシャルが、

欠損領域そのものを

上書きしようとしていた。

 

 

だが。

 

 

■観測が“割れる”

 

 

 

■アムロ残響

 

『そこだ』

 

 

■シャア残響

 

『まだ早い』

 

 

 

■レイジ

 

「何がだよ!!」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「“観測の観測”が始まってる」

 

 

 

■レイジ

 

「はぁ!?」

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「今のは……!」

 

 

声が震える。

 

 

■セラーナ・カーン

 

「コルヴスとシャルを

 “見てる存在”が割り込んだ!」

 

 

 

欠損領域が脈動する。

 

 

その中心へ。

 

 

■アムロ残響

■シャア残響

 

が重なる。

 

 

空間温度が変わる。

 

 

まるで。

 

 

■戦場そのものが

 息を止めた

 

 

 

■アムロ残響

 

『このままでは、

 また繰り返す』

 

 

■シャア残響

 

『だから試す必要がある』

 

 

 

■レイジ

 

「試す……?」

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「奴らは今」

 

 

ゆっくり言う。

 

 

■ブライト・ノア

 

「“観測”を使って

 実験している」

 

 

 

■コルヴス

 

『対象:欠損維持者』

 

 

■シャル

 

『対象:戦場構造』

 

 

 

■アムロ残響

 

『レイジ』

 

 

■シャア残響

 

『お前は今、

 実験場の中心だ』

 

 

 

その瞬間。

 

 

フィロメラが軋む。

 

 

サイコフレームが、

悲鳴のように発光する。

 

 

赤。

 

白。

 

影。

 

 

三層が引き裂かれる。

 

 

だが今までと違う。

 

 

■その裂け目へ、

 “視線”が入り込んでくる

 

 

 

■レイジ

 

「っ……!」

 

 

頭痛。

 

 

自分の思考へ、

誰かが触れてくる感覚。

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「来てる……!」

 

 

■セラーナ・カーン

 

「コルヴスとシャルが、

 直接観測へ入った!!」

 

 

 

■アムロ残響

 

『レイジ』

 

 

■シャア残響

 

『選べ』

 

 

 

■レイジ

 

「またそれかよ!!」

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「違う」

 

 

低い声。

 

 

■ブライト・ノア

 

「今回は“選択”じゃない」

 

 

一拍。

 

 

■ブライト・ノア

 

「“干渉許可”だ」

 

 

 

沈黙。

 

 

欠損領域が震える。

 

 

■コルヴス

 

『干渉開始』

 

 

■シャル

 

『干渉受諾』

 

 

 

その瞬間。

 

 

アムロとシャアの観測が、

コルヴスとシャルへ直接重なる。

 

 

■四重観測

 

 

 

空間が歪む。

 

 

レイジの視界へ、

無数の戦場が流れ込む。

 

 

一年戦争。

 

 

アクシズ。

 

 

知らない戦場。

 

 

終わらなかった戦争。

 

 

■レイジ

 

「うあっ……!!」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「これが本来の“戦場”だ」

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「レイジ」

 

 

 

■レイジ

 

「……!」

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「お前はもう、

 “中心”じゃない」

 

 

 

■レイジ

 

「は……?」

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「“観測の交差点”だ」

 

 

 

■終端ログ

 

『四重観測:開始』

 

『アムロ/シャア:干渉投影化』

 

『コルヴス/シャル:直接接続』

 

『欠損領域:観測実験場化』

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