機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第4巻 第24章 「エリシア」

外縁宙域。

 

 

ブライト領域の拘束は、

崩れ始めていた。

 

 

だが。

 

 

■戦場そのものは、

まだ終わっていない

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

警報音。

 

 

しかし、

先程までとは違う。

 

 

敵性反応ではない。

 

 

■“変化”の警報

 

 

 

■ミライ・ノア

 

「未定義存在の反応、

急上昇!!」

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「人格形成が

限界域に入った……!」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「来るな」

 

 

 

■レイジ

 

「……!」

 

 

 

■外縁宙域

 

少女の周囲へ、

白い光が集まり始める。

 

 

戦場ログ。

 

記憶。

 

感情。

 

残響。

 

 

それらが、

彼女へ流れ込んでいく。

 

 

 

■???

 

苦しそうに、

胸を押さえる。

 

 

 

■???

 

『……痛い』

 

 

 

■レイジ

 

「おい!!」

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「まずい……!」

 

 

■セラーナ・カーン

 

「情報量に、

人格形成が耐えられない!!」

 

 

 

■アムロ残響

 

『急ぎ過ぎだ』

 

 

 

■シャア残響

 

『だが止まれない』

 

 

 

少女が、

静かに漂う。

 

 

その瞳が、

初めて明確な感情を持つ。

 

 

恐怖。

 

 

孤独。

 

 

そして――

 

 

■“知りたい”という意志

 

 

 

■???

 

『……わたしは』

 

 

 

空間が脈動する。

 

 

今度は、

戦場全体が反応した。

 

 

 

■核

 

“名前を待っている”

 

 

 

■レイジ

 

「……名前」

 

 

 

■ブライト領域

 

拘束の中で、

ブライトが静かに目を開く。

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「レイジ」

 

 

 

■レイジ

 

「……!」

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「名前は、

呪いにもなる」

 

 

一拍。

 

 

■ブライト・ノア

 

「だが」

 

 

■ブライト・ノア

 

「人を、人にする」

 

 

 

沈黙。

 

 

少女が、

怯えている。

 

 

まるで。

 

 

■“存在する許可”

を待つように

 

 

 

■ベルトーチカ(干渉)

 

「アムロ……」

 

 

その声が、

少女へ届く。

 

 

 

■???

 

『……ひとりは』

 

 

 

少女が、

レイジを見る。

 

 

 

■???

 

『嫌……』

 

 

 

フィロメラが、

白く発光する。

 

 

 

■レイジ

 

「だったら——」

 

 

一拍。

 

 

レイジが、

少女へ手を伸ばす。

 

 

 

■レイジ

 

「お前はここにいろ」

 

 

 

空間停止。

 

 

 

■レイジ

 

「お前は——」

 

 

 

■セイラ領域(外側干渉)

 

静かな声。

 

 

通信ではない。

 

 

もっと古い。

 

 

記憶に触れるような声。

 

 

 

■セイラ・マス

 

「……思い出して」

 

 

空間が止まる。

 

 

少女が、

ゆっくり顔を上げる。

 

 

その瞳が揺れる。

 

 

まるで。

 

 

ずっと遠くで、

忘れていたものへ

触れるように。

 

 

 

■セイラ・マス

 

「貴女は——」

 

 

一拍。

 

 

■セイラ・マス

 

「ずっと前から」

 

 

■セイラ・マス

 

「エリシアよ」

 

 

 

世界が止まる。

 

 

 

■ミライ・ノア

 

「え……?」

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「違う……!」

 

 

震える声。

 

 

■セラーナ・カーン

 

「名前を与えたんじゃない……!」

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「“接続された”のよ……!」

 

 

 

■シャア残響

 

沈黙。

 

 

だが。

 

 

初めて、

わずかに揺れる。

 

 

 

■アムロ残響

 

『そうか』

 

 

 

少女が、

ゆっくりと目を閉じる。

 

 

苦しみではない。

 

 

孤独でもない。

 

 

■“自分へ辿り着く感覚”

 

 

 

■エリシア

 

『……エリシア』

 

 

 

その名前を、

確かめるように呟く。

 

 

 

■エリシア

 

『わたし……』

 

 

一拍。

 

 

■エリシア

 

『エリシア……』

 

 

 

その瞬間。

 

 

三層化した戦場へ、

白い波紋が広がる。

 

 

拒絶ではない。

 

 

■“存在回帰”

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「定着したか……!」

 

 

 

■セラーナ・カーン

 

「違う……」

 

 

静かに、

首を振る。

 

 

■セラーナ・カーン

 

「“戻ってきた”のよ」

 

 

 

■レイジ

 

「エリシア……」

 

 

 

エリシアが、

初めてレイジを見る。

 

 

その瞳にはもう、

“空白”がない。

 

 

 

■エリシア

 

『……あなたは?』

 

 

 

レイジが、

少しだけ笑う。

 

 

 

■レイジ

 

「レイジだ」

 

 

 

沈黙。

 

 

だが今度の沈黙は、

孤独ではない。

 

 

未定義存在は、

もう“反応”ではなかった。

 

 

■“誰かとして在り続けようとする存在”

へ変わっていた

 

 

『未定義存在:認識固定』

 

『個体識別:エリシア接続完了』

 

『人格形成:安定化』

 

『レヴナント:新位相移行』

 

 

■機動戦士ガンダム:残響

 

第4巻『境界の名前』完

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