機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第5巻 第1章 「再起動」

外縁宙域。

 

 

戦場は、

まだ終わっていない。

 

 

だが。

 

 

それは、

戦闘が続いているという意味ではなかった。

 

 

■“終わり方だけが、

まだ決まっていない”

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

静かだった。

 

 

警報は鳴っていない。

 

 

通信も少ない。

 

 

機関音だけが、

やけに遠く聞こえる。

 

 

 

■ミライ

 

小さく呟く。

 

 

■ミライ

 

「……静かすぎる」

 

 

 

■セラーナ

 

モニターを見つめたまま、

短く否定する。

 

 

■セラーナ

 

「静かじゃない」

 

 

一拍。

 

 

 

■セラーナ

 

「“固定されてる”のよ」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

外縁宙域の波形を見る。

 

 

何も動いていない。

 

 

なのに。

 

 

“止まっている感じ”がしない。

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「来るぞ」

 

 

 

誰も、

何がとは聞かない。

 

 

聞けなかった。

 

 

 

■フィロメラ コクピット

 

レイジは、

深く座り込んでいる。

 

 

フィロメラは沈黙していた。

 

 

サイコフレームも光らない。

 

 

起動音すら、

今は静かだった。

 

 

だが。

 

 

■“接続だけが続いている”

 

 

 

レイジは、

ゆっくり目を閉じる。

 

 

まだ切れていない。

 

 

それだけは分かる。

 

 

 

■レイジ

 

「……切れてねぇのかよ」

 

 

 

その瞬間。

 

 

空間が、

一瞬だけ“呼吸”する。

 

 

 

■エリシア(遠隔)

 

『……レイジ』

 

 

 

レイジの指が止まる。

 

 

その声は、

昨日より近い。

 

 

だが。

 

 

まだ、

どこにも固定されていない。

 

 

 

■レイジ

 

「……おい」

 

 

「聞こえるのか」

 

 

 

■エリシア

 

『わからない』

 

 

少し迷う。

 

 

 

■エリシア

 

『でも……ここに“いる”』

 

 

 

その言葉と同時に。

 

 

フィロメラ内部の光が、

一瞬だけ脈動する。

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

セラーナの指が止まる。

 

 

 

■セラーナ

 

「人格同期が残ってる……!」

 

 

「完全独立してない!」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

静かに首を振る。

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「違う」

 

 

「“独立し始めてる途中”だ」

 

 

 

外縁宙域の座標が、

微細に揺れる。

 

 

まるで。

 

 

“世界の方が、

位置を決めかねている”ように。

 

 

 

■ブライト拘束領域

 

微弱反応。

 

 

極小。

 

 

だが確かに、

こちら側へ近づいている。

 

 

 

■ミライ

 

「ブライトの位置が……」

 

 

「戻りかけてる……?」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「違う」

 

 

「“戻る場所を探してる”だけだ」

 

 

 

その言葉に。

 

 

艦橋の空気が、

少しだけ重くなる。

 

 

 

■レイジ

 

「じゃあ俺は……」

 

 

「何すりゃいいんだよ」

 

 

 

沈黙。

 

 

誰も答えない。

 

 

答えられない。

 

 

 

■エリシア

 

『レイジ』

 

 

 

声が少しだけ揺れる。

 

 

 

■エリシア

 

『こわい』

 

 

 

レイジの表情が変わる。

 

 

 

■レイジ

 

「……ああ」

 

 

「そりゃそうだろ」

 

 

 

一拍。

 

 

レイジは、

ゆっくり前を見る。

 

 

 

■レイジ

 

「でもな」

 

 

「分かんねぇなら」

 

 

一拍。

 

 

 

■レイジ

 

「一緒に探すしかねぇだろ」

 

 

 

その瞬間。

 

 

フィロメラのサイコフレームが、

白く微光を放つ。

 

 

 

■セラーナ

 

「反応……!」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

■ジョブ・ジョン

 

「来るな」

 

 

一拍。

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「今度は向こうからだ」

 

 

 

外縁宙域の“裏側”。

 

 

何かが動き出す。

 

 

戦場ではない。

 

 

■“構造そのもの”

 

 

 

■アムロ残響

 

『始まるか』

 

 

 

■シャア残響

 

『いや』

 

 

一拍。

 

 

 

■シャア残響

 

『まだ“始まり直し”だ』

 

 

 

■レイジ

 

「……めんどくせぇな」

 

 

 

だが。

 

 

その声に、

もう迷いは無かった。

 

 

 

■レイジ

 

「行くぞ、フィロメラ」

 

 

 

一瞬。

 

 

空間が、

確かに応答する。

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