外縁宙域。
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ラプラス・コアと呼ばれた“何か”は、
沈黙していた。
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だが。
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それは停止ではない。
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観測が、
さらに一段深く潜っただけだった。
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■アマテラス艦橋
空気が重い。
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誰も不用意に声を出さない。
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モニターだけが、
微かなノイズを流し続けている。
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■ミライ
「……さっきの、
消えてない」
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■セラーナ
小さく首を振る。
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「消えたんじゃない」
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「見えてしまったのよ」
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■ジョブ・ジョン
低く息を吐く。
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「厄介だな」
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■ミライ
「何が?」
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■ジョブ・ジョン
「見えたら、
見なかった事に出来ない」
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■外縁宙域
白い揺らぎ。
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その中心で、
エリシアの輪郭が静かに揺れている。
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存在は安定していた。
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だが。
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その安定は、
静けさではない。
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■エリシア
『……レイジ』
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■レイジ
「いる」
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少しだけ沈黙。
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■エリシア
『見えてるものが増えた』
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■レイジ
「何がだ」
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■エリシア
答えない。
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答えられない。
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ただ。
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遠くを見ている。
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■アマテラス艦橋
観測ログが揺れる。
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UNKNOWN SIGNAL
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INTERPRETATION REQUIRED
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(未知信号)
(解釈要求)
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■ミライ
「またこれ……」
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「解釈しろって何を?」
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■セラーナ
静かにモニターを見る。
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■セラーナ
「分からない」
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一拍。
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■セラーナ
「名前を付けたのに」
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■ミライ
「え?」
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■セラーナ
「何も分かっていない」
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誰も言葉を返せない。
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それが一番近い答えだった。
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■ブライト拘束領域
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■ブライト・ノア
静かに目を閉じる。
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■ブライト
「また境界か」
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一拍。
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■ブライト
「今度は場所じゃないな」
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■ブライト
「理解の境界だ」
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■外縁宙域
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■エリシア
小さく震える。
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■エリシア
『……こわい』
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■レイジ
「ああ」
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■エリシア
『でも』
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沈黙。
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■エリシア
『怒ってない』
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■レイジ
「は?」
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■エリシア
『分からないけど』
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■エリシア
『怒ってない』
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■エリシア
『ずっと見てるだけ』
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レイジの表情が変わる。
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■レイジ
「見てる……?」
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■エリシア
小さく頷く。
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■エリシア
『ずっと』
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■アマテラス艦橋
セラーナが息を呑む。
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■セラーナ
「……見られてる」
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■ミライ
「誰に?」
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■セラーナ
首を振る。
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■セラーナ
「分からない」
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一拍。
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■セラーナ
「でも」
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■セラーナ
「向こうも困ってる」
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その瞬間。
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外縁宙域の奥で、
静かな脈動が一度だけ走る。
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肯定でもない。
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否定でもない。
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ただ。
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観測だけが続いていた。
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まるで。
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答えを探しているように。