機動戦士ガンダム:残響   作:片蔵清優

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■第5巻 第7章 「帰還のかたち」

外縁宙域。

 

 

揺れは、

収束しかけていた。

 

 

だが。

 

 

それは終わりではない。

 

 

■“接続が安定してしまう直前の静止”

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

ミライがモニターを見つめる。

 

 

■ミライ

 

「ブライト領域……」

 

 

「固定されてる」

 

 

 

■セラーナ

 

即座に否定する。

 

 

「違う」

 

 

「固定じゃない」

 

 

「“縫い止められてる”のよ」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

目を細める。

 

 

「誰がだ?」

 

 

 

■セラーナ

 

一拍。

 

 

そして。

 

 

■セラーナ

 

「レイジ」

 

 

 

■外縁宙域・残響領域

 

そこに、

“存在しているはずのもの”。

 

 

ブライト・ノア。

 

 

だが今の彼は、

完全な実体ではない。

 

 

観測と記録。

 

現実と残響。

 

 

その狭間へ、

引っかかっている。

 

 

■“戦争を見続けた者の残留点”

 

 

 

■レイジ

 

コクピット内。

 

 

フィロメラが、

微かに共鳴している。

 

 

サイコフレームが、

一瞬だけ熱を持つ。

 

 

 

■レイジ

 

「……まだいるな」

 

 

 

一拍。

 

 

 

■レイジ

 

「なら——」

 

 

小さく息を吐く。

 

 

 

■レイジ

 

「引っ張るぞ」

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

■ミライ

 

「引っ張るって、

何を!?」

 

 

 

■セラーナ

 

目が鋭くなる。

 

 

■セラーナ

 

「接続線」

 

 

「ブライトは、

“そこにいる”んじゃない」

 

 

「“繋がってる”だけ」

 

 

 

■外縁宙域

 

空間の奥。

 

 

細い“線”が見える。

 

 

観測と記録の境界。

 

 

ラプラス・コアが補正した、

因果接続。

 

 

それが、

ブライト・ノアへ繋がっている。

 

 

 

■レイジ

 

「見えた」

 

 

「これか……」

 

 

 

■レイジ(コクピット)

 

フィロメラ起動。

 

 

サイコフレームが、

白く脈動する。

 

 

 

■レイジ

 

「おい」

 

 

「戻ってこい」

 

 

 

■外縁宙域・ブライト

 

意識が揺れる。

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「……これは」

 

 

「呼び戻されているのか」

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

セラーナが息を呑む。

 

 

■セラーナ

 

「まずい……」

 

 

「引き抜いてる」

 

 

 

■ミライ

 

「何を!?」

 

 

 

■セラーナ

 

「現実ごと」

 

 

 

■レイジ

 

「よし……」

 

 

「見えた」

 

 

「掴んだ!」

 

 

 

その瞬間。

 

 

フィロメラが、

“接続線”を掴む。

 

 

 

■外縁宙域

 

空間が、

一度だけ悲鳴を上げる。

 

 

星が歪む。

 

 

座標が軋む。

 

 

観測値が崩れる。

 

 

それは転送ではない。

 

 

■“現実そのものの引き剥がし”

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「……っ」

 

 

意識が、

強制的に浮上する。

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「これは……」

 

 

「戻るのではない」

 

 

「引き出されている」

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

■ミライ

 

「このままじゃ壊れる!」

 

 

 

■セラーナ

 

「壊れない」

 

 

「“調整される”」

 

 

 

■レイジ

 

「重っ……!」

 

 

「でも、

離すかよ!」

 

 

 

■エリシア

 

『レイジ……!』

 

 

 

■レイジ

 

「いる!」

 

 

「見てろ!」

 

 

 

■引き抜き

 

接続線が切れる。

 

 

その瞬間。

 

 

空間が、

一度だけ大きく歪む。

 

 

世界そのものが、

呼吸を止める。

 

 

 

■ブライト・ノア

 

意識が、

“こちら側”へ落ちる。

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「……何を引き剥がした」

 

 

 

沈黙。

 

 

 

■アマテラス艦橋

 

モニターへ表示が走る。

 

 

BRIGHT NOA

 

STATUS:EXTRACTED / PRESENT

 

 

(ブライト・ノア)

 

(状態:

引き抜き成功/存在確認)

 

 

 

■ミライ

 

「……いる」

 

 

 

■セラーナ

 

「戻ったんじゃない」

 

 

「“引き抜かれた”のよ」

 

 

 

■ジョブ・ジョン

 

静かに呟く。

 

 

「こいつはもう……」

 

 

一拍。

 

 

■ジョブ・ジョン

 

「現実に縫い付けられたな」

 

 

 

■ブライト・ノア

 

静かに息を吐く。

 

 

 

■ブライト・ノア

 

「……救出ではない」

 

 

一拍。

 

 

■ブライト・ノア

 

「帰還でもないな」

 

 

 

■レイジ

 

「うるせぇ」

 

 

■レイジ

 

「難しい話は後だ」

 

 

一拍。

 

 

■レイジ

 

「居るんだろ?」

 

 

■レイジ

 

「ならそれでいい」

 

 

 

■エリシア

 

少しだけ安心した声。

 

 

■エリシア

 

『レイジ、すごい』

 

 

 

■レイジ

 

「当たり前だろ」

 

 

 

その瞬間。

 

 

外縁宙域の奥で、

何かが静かに反転する。

 

 

まるで。

 

 

■“世界そのものが、

次段階へ移行した”ように。

 

 

 

■終端ログ

 

CAUSALITY EXTRACTION SUCCESSFUL

 

 

(因果抽出成功)

 

 

BRIGHT NOA STATUS:

ACTIVE CONNECTION ENTITY

 

 

(ブライト・ノア状態:

接続実体化)

 

 

 

外縁宙域は静かだった。

 

 

だが。

 

 

その静けさは終わりではない。

 

 

帰還はまだ遠い。

 

 

それでも。

 

 

帰る場所だけは、

確かにそこにあった。

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