Fate/Draco―蛇竜王戦線―   作:ぴーらー

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第54話:至禍凶刻

2020.04.06 10:48 UTC / 南極 視点:セイバー

 

「予言……予言だと?」

「然り。此の身は既に、『蛇託寂声』(ピュートーン・テオマンティア)を発動していた。運命すらも隷属させるための術を。――此方を、確実なる死に追い込むために」

 

 眉を顰め、キャスターの言葉を考察する。

 ここまで手段を選ばない奴である以上、ブラフの可能性は否定できない。

 ピュートーンはあくまで、予言の神託者であるはず。

 「運命を操る神」のような権能を持っているわけじゃない。

 

(だが、キャスターのあの自信……! 絶対に何かあるッ!)

 

 そうでなきゃ、『蒼雷天翔』(ツァンレイ・ティエンシィアン)で機動力を上げたのに『天攪の索』(ヴァースキ・パリヴァルタ)を使うことに説明がつかない。

 ――そこまでが確定事項だったのか?

 それとも、あの一連の流れ全てを行うことでワシを捕縛できると「知っていた」のか?

 『緘毒の凝視』(イビルアイ・バジリスク)の件も含めて、ワシを「迷わせる」ことが目的なのか!?

 

(どうすればいい!? 姐さんなら、こんな時、どう――)

 刹那、脳裏に浮かんだのは。

 

(……いい? よく聞きなさいよ、タラスク。ここから先、あんたの進む道は常に厳しいものになるわ。迷うこともあるでしょう。悩むこともあるでしょう。逃げたくなることもあるでしょう)

 

(でも、人だろうが竜だろうが、それが当然です。……“あの人”でさえ、そうだったのよ。けれど――それでも信じた。見えなくなっても、届かなくても、最後まで信じ抜いた)

 

(だから、あんたも半端は駄目。信じるなら信じる。否定するなら否定する。徹底的に、やり抜きなさい! 信仰に生きるというなら、そこに近道や楽なんてありはしないのよ!!)

 

 それは、霊基に刻まれた過去の一幕。

 厳しくも優しい、あの人らしい激励。

「――迷いが消えたぜ、姐さん。そうだ、ワシが借りてるのは姿と技だけじゃない。その信念も託されて……ここに立ってんだッ!」

 決意も新たに、大地を踏みしめる。

 しかし、「予測」でその詳細を見抜いたらしきキャスターの表情には、一層憎悪が滲んでいた。

 

「……その通り。元より此方を成すは借り物の祈りに、借り物の思想。竜たる姿までも失った今、此方自身を成すものはもはや何も残らぬと知れ……!」

「うるせェんだよ、名無し野郎がッ! 他の竜の名義借りまくってんのはテメェも同じだろうが、あ゙ァ!?」

 

 ――そう罵った途端、突如キャスターの動きが静止した。

 なぜ急に? 罠か? 図星だったのか?

 気にはなるが、それは攻めを止める理由にはならねぇ!

 ジェットを噴かして急加速。

 同時に『聖鋼一閃・忠義の剣』(グラディウス・フィデス・サンクタ)が礼装群とともに自律飛行で追従する。

「――『天衝律・三重奏』(トリニティ・カデンツァ)!!」

 タイミングを完璧に合わせ、打撃・斬撃・爆撃の合体攻撃を叩き込む。

 宝具三発分に匹敵する総攻撃が炸裂する――はず、だった。

 

(……何だ、この手応えは!? まるで、不定形の相手を殴ったような……ッ!?)

 

 ……黒煙が晴れ、己の感覚が間違っていなかったことを悟る。

 大剣はキャスターを袈裟斬りにし終わり。

 拳は、奴の胴体に深く潜り込んでいた。

 「流体」となった、キャスターの体を……!

 

「――『その嫉妬は海哭のように』(レヴィアタン・インヴィディエ・マリス)。此の身は待っていたのだ……此方が、そう指摘するのを!」

 

 急いで拳を引き抜き、距離を取る。

 だが、キャスターは平然としていた。

 まるで、「物理的攻撃」そのものが通用していないかのように。

 

「此方の言う通り、“祖にして雛型”に過ぎぬ此の身に大した力はない。数多の“子孫”の伝承を借り受け、数多の命を糧とし、数多の準備を重ね続けてようやく今がある。その事実に“真の劣等感”を、“嫉妬”を抱くための鍵は――他者からの指摘に他ならない……!」

「……てン、めぇ……ッ!!」

 

 奴がどんな術を使ったのか、推察するのはあまりにも簡単だった。

 「嫉妬」を司る竜にして、タラスクの母――レヴィアタン/リヴァイアサンの伝承を基にした竜種魔術。

 その権能は、身体の「完全流体化」。

 通常の物理攻撃・刺突・斬撃……そして炎の攻撃は、海の怪物の前では全て無効化されてしまう。

 

 聖書において、「どんな武器もレヴィアタンを貫けず傷つけることはできない」と言及された通りに。

 そして発動条件は、「他者への強い嫉妬の感情」と、「その対象への一定時間の接触」。

 恐らく奴は性格上、「不特定多数の誰か」に向けて「強い嫉妬」を抱くことはできなかった。

 その領域は、「不特定多数の人類への憎悪」で埋めつくされていたのかもしれない。

 しかし、奴は今「セイバー・タラスクへの強い嫉妬の感情」を確かなものとした。

 『天攪の索』(ヴァースキ・パリヴァルタ)による拘束はこのためでもあったのだ。

 

 何より、ワシに――

 「タラスクに対してその術を使うこと」の意味は、あまりにも大きい……!!

 

(クソッ、落ち着け……気圧されるな! 奴はリヴァイアサン本人じゃない。かつてワシを捨てたあの竜じゃない。その力を使っているだけなんだ……!)

 

 アレに対して、一切の対抗手段がないわけじゃあない。

 『赤蛇絶環』(クチ・クルシェドラ)と同じで、「絶対的な無敵」などあり得ない。

 少なくとも、奴が「流体」になっているなら、弱点が一つ増えていることになる。

 ――先のライダーとの戦いで、ワシが『水禍、深淵より来たる』(ディルヴィウム・デ・プロフンディス)によって無効化した『蛇神咆吼・蒼毒劫火』(ニーラカンタ・ハーラーハラ)

 あの猛毒は、今も「水流の玉」の中に閉じ込められている。

 「改めて海を召喚する」なら令呪の補助が必要だが、一度呼び出したものならまだ操作可能だ。

 

(そして、それを奴にブチ込んでやればいい。猛毒と混ざり合ってしまえば、奴は「流体化」が解除された瞬間即死するッ!)

 そう決心し、視界の焦点を結んだ直後。

 

「……流体化を応用すれば、当然このようなことも可能。元より此の身は、他者の名・姿を借り受けし“無名”である故に」

 

 ――危うく、一撃で心が折れかけた。

 目の前にいたのは、海蛇にも似た巨大な竜。

 神性を宿した、七つの首の怪物。

 

 幼き日の記憶の底に沈む、母の姿と声。

 タラスクは、かつてその背を追い続けていた。

 「裏側」に行ったなど知らず、まだこの世のどこかにいるのだと信じて。

 自身が「裏側」に辿り着いた後も、再会できたという記憶はない。

 

 ただ、それでも――「出会えたら、受け入れてほしかった」という想いはあった。

 理性では、「偽物」だと分かっていても。

 ずっと追い続けたその似姿に――

 敵意と殺意を向けられる現実は、想像以上に堪えた。

 

「迷いは消えたなどと、どの口が言う。それは“信仰”や“祈り”という名の麻酔がもたらした、偽りの平穏に過ぎず。此方の本質は、幼き日より何も変わってはいない。どう取り繕おうと、此方は“親に愛されなかった、ただの子供”でしかない……!!」

 

 降り注ぐ言葉の刃は、心の古傷を的確に抉った。

 これまでの、どんな攻撃よりも確実に。

 ――そして、その隙を奴が見逃すはずもなく。

 

「連呪――『悪咒・毒胤咆嗤』(アジ・ダハーカ・アエシャマ)『滅毒の螺撃』(バシュム・ムシュ)ッ!!」

「ぐッ……がああああああああッ!?」

 

 詠唱と同時に、キャスターの体表が毒々しい黒紅色に変化した。

 次の瞬間、灼け爛れるような痛みが全身を襲う。

 内側から、霊基そのものが汚染されるような感覚。

 更に、その七つの首から螺旋状の毒の奔流が撃ち出された。

 

(片方は……アジ・ダハーカの術!? ワシは、十分に奴と距離を取っていたはず……いや、『天攪の索』(ヴァースキ・パリヴァルタ)か!?)

 

 そうだ。あの綱は単なる拘束具ではない。

 「ヴァースキそのもの」を媒介にした延長器官。

 奴は綱を通して、自身の術を送り込めるということか……!

 

(もう一つの術は、メソポタミア神話の――まず、い……この感覚は……!)

「然り。この二つの術は攻撃性よりも、相手の弱体化に特化している。その忌々しき【対魔力】を超えるために……!」

 

 奴は、とどめの術を叩き込もうとしている。

 ……絶対に、この綱は外さなければまずいのに――体が全く動かねえ……!!

 

「予言の通りに――これにて『詰め』だ、タラスクよ。……双呪、完全並列発動ッ!」

 

 そして、二つの首は全く同時に宣告した。

 これが、お前の死そのものであると。

 

「――『稲妻の劇毒』(タールネナハ・ナ・ヴェイヒレ)!!」

「――『九の終律』(エイトル・ヨルムンガンド・ニオ)!!」

 

 

 ハロー、ハロー。世界の敵ことバーサーカーだ。

 ウィキペディアでレヴィアタンのページを読んでたら、「創世記の蛇と同一視して、アダムを女の姿で、イヴを男の姿で誘惑した両性具有の蛇だとする伝説もあった」って書かれていて驚いたぞ。

 ま、出典がどこなのかは探しても見つからなかったがな!

 

 さて、本題に入ろう。

 今回の解説は、キャスターの術についてだ。

 まずは――『稲妻の劇毒』(タールネナハ・ナ・ヴェイヒレ)

 ベイヒル(Beithir)は、スコットランド伝承に登場する大蛇だ。

 名前はゲール語で「野獣・大蛇」や「雷光」を意味し、山岳の森林や洞窟に棲む。

 つまり、「獰猛な大蛇・獣」と「稲妻を始めとした自然現象」の破壊力・恐ろしさが結びついた存在と考えられている。

 

 で。

 このベイヒルの毒に関して、ちょいと面白い伝承がある。

 彼の毒に侵された者が助かる方法は、たった一つしかない。

 それは、ベイヒルよりも早く「最寄りの川・湖に辿り着く」ことだ。

 先に水に触れ、身を清めれば毒の効果を免れるが――

 水に入るのが遅れたり、ベイヒルが先に水場に到着すると、もう助からない。

 犠牲者と竜が命懸けのレースをする、実に奇妙な光景だ。

 

 キャスターの術も、その形式を模している。

 術の犠牲者が毒を受けたと同時に、最も近い水場が「清浄の水域」と化すのさ。

 犠牲者が「水域」に辿り着ければ解毒できるが、術者に負けた場合――即死する。

 南極にその「水場」がどこにあるのか、という問題はともかく。

 

 続いて、『九の終律』(エイトル・ヨルムンガンド・ニオ)

 ヨルムンガンドは、北欧神話に出てくる海蛇だ。

 傍迷惑な神として定評のあるロキと巨人女アンガルボザとの子にして、海原にとぐろを巻いて世界を囲み、自らの尾を噛める程の巨体を持つ。

 更に、ヨルムンガンドは「エイトル」(Eitr)という強力な毒を宿している。

 それも、ただの毒じゃない。

 北欧の宇宙創生神話では、氷の世界ニヴルヘイムと炎の世界ムスペルヘイム、その狭間で滴り落ちた毒液「エイトル」こそが、原初の生命を生んだとされる。

 そして同時に、この毒は神をも殺す混沌の象徴でもある。素晴らしい響きだな!

 ラグナロクにおいて、雷神トールは因縁の相手たるヨルムンガンドと戦うことになった。

 激闘の末、トールは宿敵をついに討ち果たす。

 

 だが、ヨルムンガンドも死の間際に猛毒を――「エイトル」を吹きかける。

 流石のトールも、その毒には耐えきれず……九歩歩いたところで力尽きた。

 『九の終律』(エイトル・ヨルムンガンド・ニオ)とは、即ちその伝承の再現。

 毒を受けた者は「九歩しか歩くことができず、九歩歩いた時点で即死する」。

 ――おや?

 さっきの『稲妻の劇毒』と併用したら、とんでもないコンボが完成しないか?

 毒に侵され九歩しか動けない者が、「最寄りの水場」へ辿り着けるはずがないぞ!

「……」

 もはや、セイバーの命は風前の灯火だが……果たして奴はこの先、生き残れるのか。

 

 全ては――お前次第といったところか。クククククク……!!

 

2020.04.06 10:50 UTC / 南極 視点:セイバー

 

「何の……つもりだ、テメェ……何故、とどめを刺さない……!」

 

 ベイヒルとヨルムンガンドの毒を喰らわせた後、キャスターは動けなくなったワシを放置し――謎の儀式を開始した。

 眼前には、星明かりを反射するように光を帯びた巨大な石碑が浮かぶ。

 まるでそれは、天と地を繋ぐ柱そのものだった。

 

「言ったはずだ……既に此方は詰んでいると。身体的・心理的外傷は積み重なり、もはや指一本動かすことすら叶わぬ。何より、現時点の予言の景色において“此方は存在していた”。ならば、消そうとして“奇跡”の類を誘発するよりは、放置が最適解だ……」

 

 淡々と告げるキャスターの周囲には、一つずつ様々な色彩のオーブらしきものが出現していく。

 赤、藍、翠、金――最後に紫で、その数は十四。

 

「即ち――“三日の経過”以降、此方との戦いにおいて世に刻みし竜の名数」

 

 ゴルィニシチェ。ラドン。ムチャリンダ。青竜。フェルニゲシュ。ビショーネ。アナンタ。

 バジリスク。ヴァースキ。アジ・ダハーカ。バシュム。ベイヒル。ヨルムンガンド。

 そして、レヴィアタン。

 

「それは、原初の女神ティアマトを基にした術――『天命記す竜筆の書版』(ドゥブ・ナムタルラ・シド・ウシュム)のための断片にして、呼び水。“主神と海との戦い”という神話的構造を共有し、最深の“海の理”を中核とする。

特にレヴィアタン――そのルーツは竜母ティアマトに遡る。故に、この術を成立させる必須の鍵こそ、レヴィアタンであった」

 

 キャスターの声が一段低く響き、光が収束していく。

 

「母たるティアマト、息子にして夫たるキングゥ、彼女が生み落とした十一の怪物たち――そしてティアマトに与した神々。十四の“役割”に、十四の竜が配置され……権威を、此処に証明する……!」

「なん……だ……とッ……!?」

 

 途切れそうになる意識の中、どうにか記憶を再生する。

 確か……ティアマトは神々との戦いの際、「天命の書版」(DUB.NAM.TAR.RA)と呼ばれる「全ての神々の役割や個々人の寿命が書き記された、最高神の権威」の石板をキングゥに授けたらしい。

 つまり、書版は元々ティアマトの持ち物であり、権能だったということ。

 そして、所持神が「天命の印」を押すことで、記述された内容は真実になるという。

 

「まさか……“書いた内容を現実にする”魔術だとでもいうのか……!?」

 

 「儀式」が八割完成したことで、キャスターが「世界の創造主と定義されつつある」というならば、奴はもう「最高神としての権限」を持っているようなものだ。

 あの儀式は、今それを確実なものにしたということになる。

 

「否……そのような“魔法”の領域に至る万能の術ではない。加えて言えば、個人を直接害することはできず、“世界に新たな法則を書き込む”程度に留まる。されど――それで十分に過ぎる」

 

 キャスターが尾で石碑を一閃すると、空欄に楔形の文字列が刻まれていた。

 後は、「最高神」による印が押されるのを待つのみ。

 

(絶対に、止めなきゃいけねぇのに……見てるだけしかできねぇ……ッ)

 

 最も強い紫色の光を中心に、周囲を舞う十三の光球が一斉に融合する。

 「神々しい」としか表現できないそれは、印章として少しずつ形状を整えていく。

 そして、それは。

 

「……今こそ。最高神の名の下に、世界へと勅命する。――【時の進む速度を、一万倍とせよ】」

 

(や……やりやがった、コイツ……!!)

 それは、事実上の勝利宣言だった。

 『終環記章・竜蛇胎蔵界』(ドラゴン・リベレイション)は、南極全土の命を吸い尽くしながら三日経過させても、ようやく八割の完成というほど時間がかかる大儀式だ。

 だが、時間が進む速度を一万倍なんて倍率にしてしまえば――全ては誤差になる。

 一秒間で約二時間四十七分。

 一分で約一週間。

 一時間で約一年二か月。

 竜の世界へと生み直す宝具は、あっという間に完成してしまう。

 

「……案ずることはない。此方も最上位に近しい竜の一つ。新たな世界でも、恙なく在り続けるだろう」

「そういう問題じゃ……ねえだろッ……分かってて言ってやがんな、この野郎……!」

「無論。此方には随分と手を焼かされた故、多少の溜飲は下げさせてもらう」

 

 淡々とキャスターは告げ、石碑はなおも輝きを増していく。

 もはや、これで全て終わりなのか――

 そう思った、その時。

 

「――少々、煩いですが。しばらくの辛抱です、セイバー」

 

 上空から、凛と響く女の声。

(これは……まさか、この声は!?)

 

「Aaaaaa――

AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――――!!」

「ぐ……ッ!」

「ちょ、うおあああああああああああッ!?」

 

 それは鼓膜どころか、魂までも思い切り揺さぶる極大音量の「歌」。

 世界を震わせ、氷原を砕くほどの衝撃波。

 「流体化」すらも貫通する、音撃の槍。

 

 同時に続く――音速をも超える降下、流星めいた軌跡。

 眩暈を振り払った次の瞬間、既に石碑はキャスターの眼前から消えていた。

 旋回した光の尾が弧を描き、大地に着弾する。

 轟音と閃光の中、ワシのすぐ傍らにその影は在った。

 

 石碑を抱える腕は――【自己改造】を施した、黒鉄の肢。

 背に輝くは、戦闘機を思わせる黒曜の翼。

 ジェットの咆哮を高らかに響かせ、鋼の裁定者は舞い降りた。

 

「……ティアマトの名において、“異議”を申し立てる。その“勅命”は無効です――キャスター・リンドヴルムッ!!」

 







キャスターの竜種魔術リスト

・『その嫉妬は海哭のように(レヴィアタン・インヴィディエ・マリス)』
Leviathan Invidiae Maris。
「嫉妬」を司る竜、レヴィアタン(リヴァイアサン)の伝承を基にした竜種魔術。
「他者と自己の境界を溶かし、己を他者と同質化する」概念操作。
発動者は身体を完全流体化し、対象への“嫉妬”を媒介にして、自分より相手が上回るステータスがあれば「自分も同じステータスになる」(自分がすでに上回っているものがあれば、それはそのまま)
身体が流体化しているため、通常物理攻撃・刺突・斬撃を完全無効化。
ただし、無敵貫通攻撃や高温(炎)・低温(氷)・真空など“形を保てぬ環境”には極端に弱くなり、長時間の使用は自己を保てなくなる危険を伴う。

・『滅毒の螺撃(バシュム・ムシュ)』
Bashmu Mush。
メソポタミア神話の毒蛇、バシュムを基にした術。魔力を凝縮し、螺旋状の毒の奔流として撃ち出す。物理的破壊よりも「魔力系統の侵蝕・汚染」により相手の耐性を下げることを主目的とする。


・『稲妻の劇毒(タールネナハ・ナ・ヴェイヒレ)』
Tàirneanach na Beithire。
スコットランドの伝承に登場し、雷や激しい嵐といった自然現象を具現化したともされる怪物、ベイヒル(Beithir)の毒を行使する。
凄まじく致命的な毒を行使する。この毒に侵された場合、両者から最も近い川や湖などの最も近い水場が「清浄の水域」となる。犠牲者が術者より先に水域に辿り着き、水に触れるか摂取すると解毒できる。 しかし術者が先に水に直接触れた場合、毒の犠牲者は即死する。
この一連の流れは、ベイヒルの伝承に基づいている。

・『九の終律(エイトル・ヨルムンガンド・ニオ)』
Eitr Níu Jörmungandr。
北欧神話に登場する巨大蛇、ヨルムンガンドの猛毒。
強大な雷神すらも殺しきる毒「エイトル(Eitr)」を行使する。この毒に侵されたものは、解毒しなければ「九歩しか歩くことができず、九歩歩いた時点で即死する」状態になる。本編のように、ベイヒルをモチーフとした毒の術と同時に用いれば、相手は「術者より先に最も近い水場に急がなければならないのに、九歩しか歩けない」という恐ろしい事態に陥る。

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