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2020.04.01 12:25 UTC / 日本・島根県・出雲大社 / 視点:ネゼミア
……僕は、目の前の光景を理解できなかった。
「クァハハハハハ! やはり俺の想像通り、随分な蟒蛇(うわばみ)っぷりだ! どれ、もう一杯注いでやろう!」
「あらどうも。それにしても、さっき宝物殿から貰ってきたばかりなだけあって実に良いわ。正に背徳の味ね」
「違いない! クク、神々が歯噛みする様が目に浮かぶようだ!」
アサシンとバーサーカーは、焚火を囲みながら、酒を酌み交わしていたのだった。
バーサーカーもまた、酒を飲むために「黒と金が入り混じった髪の人間」の姿に変身していた。その衣装は「燕尾服」と言われるものだった。
「酒とは人類が生み出した文化の中でも至高の一つだ。これだけの技術が“人を堕落させ、蝕む毒”に使われているのだからな! ククク……」
「あら、酒でやらかすのは人だけでなくてよ。嫌味かしら」
「おっとこれは失敬。確かに堕落するのは人の特権ではないな、全く!」
「全くね。貴方が言うと説得力が違うわ」
「実に実に。明けの明星が堕したのも案外酒の勢いに過ぎなかったりしてな」
「世界各地のキリスト教徒に袋叩きにされそうな発言ね。ま、類似宗派含めもう居ないからどうでもいいのだけど」
「クァハハハハ! 神域で酒盛りなどしているのだ、それに神道関係者も加わるところだったやも知れぬなぁ」
などと、軽口を叩き合っている。
両者とも近しい属性なだけあって、気が合うらしい。
聖杯戦争のマスターはサーヴァントのステータスを一部確認できるが、どちらも「混沌・悪」と表示されていた。
……いや、そういうことで納得するしかないのだが。
困惑していると、隣で小さなあくびをしてアサシンのマスターがようやく目を覚ました。
いくらアサシンの守護があったとはいえ気楽すぎる。まともなのは僕だけか。
「アサシン、お腹すいた」
白猫は念話でそう言い、尻尾で地面を叩く。まるでそれが当然叶えられることかのように。
……感情の沸騰をどうにか抑え込む。
怒りに任せたところでアサシンへの勝算はないと、どうにか理性が働いた。
バーサーカーがこちらを見てにやにや笑っているのも不愉快だったが、仕方ない。
「どうしたものか。私も酒の肴が欲しくなってきたけど、流石に食品類はもう残っていないのよね。移動は面倒だし……全く人類ったら、誰の許可を得て滅亡してるの」
「多数決でも取ったのだろうよ。さて、俺ならば――その欲、叶えてやれるぞ」
バーサーカーは、アサシンのマスターの方を向いて言う。
「折角だ、真面目にやるとしよう。アサシンのマスター、お前の名は?」
「……ユキネ」
「承知した。ではユキネ嬢及び淑女の皆様方、左側の景色をご覧あれ」
バーサーカーが気取った礼をすると、その手の先には――大きな湖が広がっていた。
厳密には「空間に広い穴が開いて、そこが湖に繋がっている」ような感じだ。
バーサーカーは、「契約魔術」という不思議な力を使う。他人の「欲」を媒介として、大凡のことを実現できてしまうのだ。ただし、それに自分自身の「欲」を使うことは絶対にできないらしい。
勿論、万能というわけではない。
「……その椅子と釣り竿のセットはどういう意図なのかしら?」
「死体であろうと、生命を作り出すのは燃費が悪い。この方が低コストだ」
「契約魔術」は一度使用すると再発動に時間を必要とする。そして、それが「現実を強く歪める」願いであるほど長引いてしまうらしい。
……確かに「移動は」していない。ここからあの長い道具……「釣り竿」を使えば、魚は捕まえられるだろう。
だがバーサーカーは、やはりバーサーカーだった。
「そして、これは“勝負”の延長戦だ。――共闘はいいが、今後の序列を決めることは大切だろう?」
「……あら。わざわざ“下”に自分から潜り込んでくれるなんて、随分と気前がいいのね?」
再び二者の間に火花が散り、両者は素早く「武器」を手に取り座り込む。
こうして、再び戦いの幕は上がったのである。
……発端となったはずのユキネは、二人に心底呆れたような視線を向けていた。
◆
2020.04.01 12:55 UTC / 日本・島根県・宍道湖
再確認ではあるが――この世界において人類は消滅し、結果、地球環境は回復し、神代すら凌駕するマナに満ちている。
湖のような巨大な水場は、そもそも神秘の色が濃い。霊が集まりやすいと考えられたり、水底には怪獣がいると信じられたように。
即ち、このような場所は地上に比べてマナの影響を受けやすい。
そして三年の経過は、決戦の場に選ばれた「宍道湖」の内部を魔境に変えるのに十分な月日であった。
「ちょっと、もう糸が切れたのだけど!?」
「何だと? そうヤワなものではないはずだが……」
――アサシンの言葉を受け、バーサーカーは先ほどまでの多弁ぶりが嘘のように口を噤んで竿の先を見つめる。
「やっぱり工業製品じゃ、この神秘の中で育った魚類に対抗できないのよ。作戦を変えるわ」
そう言ってアサシンは髪の毛を一房引き千切る。それは呪術により一本の糸に撚り合わされ、竿の先に括りつけられた。先端は牙のように変形し、釣り針の役目を果たしていた。
「ぬうっ、そう来たか……ええい、力を貸せ相棒! お前とて負けたくはないだろう!?」
「まあ、そうだけどさあ……」
「その言葉を聞きたかった。契約魔術発動!」
バーサーカーはネゼミアの「欲」を媒介とし、先程とは比べ物にならないほど高性能そうな釣り竿を出現させた。
その糸はカーボンナノチューブで構成されており、強度は鋼鉄の250倍を誇る。
それこそ怪獣でも吊り上げるつもりなのか、という代物だった。
「俺は人間の可能性を信じている……そしてその技術力もな!」
「何を言っているのあなたは?」
「お腹すいたんですけど」
「頭痛くなってきた……」
しばらくして、ぼちぼちと魚が釣れ始める。
アサシンは、背に燐光を宿したウナギを。
バーサーカーは、鋭い牙を持つ銀色の鮒を。
いずれも、この世界のマナに適応した異様な進化を遂げていた魚であった。
「……中々やるわね」
「そちらもな。さて……続けるか」
二人は、壁によって仕切られた「生簀」に釣果を放り投げる。
それは、先ほどアサシンが出雲大社の本殿から抱えてきた大きな賽銭箱であった。
内部は湖水に満たされ、もはや現在の世では意味をなさない紙幣や小銭が底に沈んでいた。
「え、なんで? 食べるんじゃないの?」とユキネ。
「最後にはそうするさ。だが、それは今ではない」
「……残念だけど、それじゃ“釣った証”が無くなってしまうの。もう少し我慢して」
「えぇえ~~~~……」
猫の抗議が虚しく響く中、賽銭箱に再び魚がバシャンと追加された。
……しかし、それ以降二人の釣果は伸び悩んでいた。
竜種の覇気とも言うべき膨大すぎる魔力に、流石の魚たちも恐れをなし始めたのだ。
勿論両者ともそれを隠す技術はある。
だが、それは「発見されてから」では意味がないのであった。
そして、試合開始前に定められた制限時間が来てしまう。
「……数では俺の方が勝っているように見えるが?」
「雑魚ばかりでしょう。質と大きさでは間違いなく私の勝ちです」
実際、生簀の中は非常に甲乙つけがたい状況となっていた。
「おい相棒、お前の意見も聞かせてもらおう! どう見ても俺の勝……」
バーサーカーとアサシンが振り返ると、そこにあったのは手水鉢からあふれ出る魚の山。
それにかじりつくユキネ。
――そして、たった今3m級の鯉を引き摺って湖から上がってきたネゼミアであった。
「……それ、どうしたの?」
「潜って、捕まえてきた」
――神社に、ユキネの咀嚼音だけが響く。
「……クァハハハハハ!! 確かにそうだ、素潜りでの狩猟は禁止していなかったな!」
「一本取られたわね……あなたの相棒のやり方が合理的だわ。何で思いつかなかったのかしら」
「そりゃあアサシンのくせに正面から突っ込むタイプだろうからな、お前は!」
「否定はしないけど腹立つわね……」
擬態し、気配を消し、一撃で仕留める。
カメレオンにとって、それは一番得意なやり方だった。
サーヴァント級の力を手にした今であれば、湖に長時間潜ることもできる。
(僕は、「勝つ」方法を考えただけだ。決められていたのは制限時間だけ。なら、濡れることも潜ることも苦にはならない。……僕は、負けたくない。例えこんな茶番でも――誰よりも、強くあるために)
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2020.04.01 17:04 UTC / 日本・島根県・宍道湖 / 視点:ユキネ
「……それで、どうするんだ? この後って」
ネゼミアが切り出す。
私やアサシン、バーサーカーは魚を食べつつ団欒していたが、そういえばこれは聖杯戦争なのである。
それを聞いて、思い出したかのようにアサシンが口を開いた。
「ああ……そうね。そういえば知ってる? キャスターが既に敗退してるって話」
「なっ……!?」
「初耳だな。随分と手が早いことだ」
「宝物殿を漁る間に数体の分身を各地に派遣していたんだけど……黒部ダムの辺りでキャスターと黒い竜のサーヴァントが戦闘していたのよ。キャスターは中型の飛竜みたいな感じ。
黒い方は結構やばそうね……あの様子だと、恐らくキャスターの宝具を奪取していたみたい。そして、それを差し引いても一方的な勝負だったわ」
アサシンは私が寝ている間に色々やっていたようだが、ネゼミアは私と同じ疑問を抱いたようだ。
「……何でそれがキャスターのサーヴァントって分かるんだ?」
「ダムに魔術工房を作っていたから。この聖杯戦争の前提を考えると、魔術師なんてサーヴァント側にしかありえないでしょ」
アサシンの話はもっともだった。
私もこの戦いについては一応レクチャーを受けたが、動物しかいないマスター側にそんなことができる奴がいるわけない。
「陣地作成のスキルか。その下準備があって敵わぬとは……しかし魔術師の竜とは珍妙なサーヴァントだ」
「キャスターもあんただけには言われたくないでしょうね、契約魔術師?」
「クァハハハ。さて、ならばクラス相性的に黒の竜はライダーか?」
「……私も奴はライダーだと思うけど、そんな法則あったかしら」
「戯言だ。気にするな」
……さらっと流されたが、話を聞く限り「中型の飛竜」というのも私やネゼミアからすれば数十倍の体躯を誇る存在である。
人間でも……というか、一般的な生物には勝ち目は0に近い相手なのだろう。
今は人間の姿をしているが、アサシンやバーサーカーの強さを見れば、それは想像がつく。
あと、それと戦おうというネゼミアは頭がおかしい。
そして問題は、そのアサシンをもってして「やばそう」という「キャスターを一方的に倒したサーヴァント」だ。
「一体何なの、そいつ」
「山のように大きな体、黒い翼を持った西洋風の竜。キャスターの魔術を弾く強靭さ。そして宝具を奪う宝具、なんて強欲さ……断定はできないけど、候補はかなり絞れるわね」
「西洋風ドラゴンか。それは……ああいう感じの奴か?」
「……そう、ああいう感じの」
バーサーカーが空を指さし、アサシンも頷く。
……全身が総毛立つ。
次の瞬間、視界を埋め尽くすほどの黒い巨体が急降下してきたのだ……!
大質量の落下に、水飛沫が豪快に舞う。
巻き込まれた魚たちも宙に飛び散っていた。
そんな中私は……いつの間にか、アサシンの頭部に収まっていた。
アサシンが「宝物殿」から盗んできたという神秘的な「櫛」。事前にそれを持たされていたのだが、今の私は「櫛としてアサシンの頭髪に刺されている」。
私自身は彼女の頭や肩に乗っているつもりなのだが、不思議な感覚だった。
どうやら現在私はアサシンの魔力と一体化し、守られているらしい。
ともかく、私の安全は一旦保証されたのだが……
「……人間体を取る竜種が二騎もいるとは。幻想種としてのプライドは無いのか?」
そいつは地震のように低い声で唸った。
全身の鱗は金属のように黒光りし、口からは燃え滾る黒炎が微かに漏れている。
背には、黒い竜に比べれば米粒のように小さなオレンジの毛玉が僅かに見えた。
たしか「キツネ」という動物だったか……そいつがマスターなのだろうか。
「不意打ち急襲上等の奴に言われたくないわ、ライダー。生憎だけど、私はこれがいいのよ」
そう宣言したアサシンの手に、翡翠を溶かしたような光を放つ大剣が出現する。
……かつて見た「ゲーム」に出てくる、現実感のない大きさの武器に似ていた。
そして、それを見た黒い竜の目が強欲に光る。
「成程、その宝具……我が簒奪する価値は大いにあると見た。相手にとって不足無しとはこのことだな、八岐の蛇王よ……!」
「あら、私も有名になったものね。極東のマイナー神性のことをかの“悪竜現象”がご存じなんて。
……ところで、何してるのバーサーカー?」
アサシンの声に後ろを振り向く。
……なんと、神社と湖を繋げていた「門」は人間の身長の半分くらいに縮んでいた。
そして、その前にしゃがむバーサーカーは何故か弓矢を構えていた。
「悪いが余の筋力では奴に太刀打ちできぬ。後方支援に努める故、お前が前衛を熱ッッッツァぁ!!」
……バーサーカーを的確に狙って、推定ライダーがブレスを吐く。
何だかわからないが、バーサーカーのわざとらしい口調の変化が逆鱗に触れたらしい。
「青の弓矢にその口振り……貴様、どこで奴の情報を……」
――そして、「彼女」はその隙を見逃さなかった。
「……ライダー、飛んで!」
黒竜の背のマスターが、上ずった声で吠える。
ライダーは素早く回避行動を取った。
だが――流石の彼も、「既に暗殺者が頭部に跳び乗っている」のは想定外だったようだ。
ほんのわずか一瞬、空気が煌めく。
「ぬゥッ……!?」
迸る鮮血。
「透明化」したネゼミアの狙い澄ました爪の一撃は、黒竜の左目を縦に裂いた。
例えばの話だが、目の前に2体の猛獣がいる状態で、頭部にいる小さな羽虫に意識を向けられるだろうか?
しかも、冷静さを失った状態で。
少なくとも私には絶対に無理だ。
まして、「プライド」を語ったライダーをや。
……着地したネゼミアの体は先ほどまでと変わっていた。
体長と角が以前より成長し、瞳の奥には紅い輝きが滲んでいる。
そして、さっきの攻撃は「ライダーの魔力を吸い取り、自らのものにした」ように見えた。
これがバーサーカーの言う、「契約」によるものなのだろうか?
「グッドだ相棒。さァて、俺も続くとしよう!」
バーサーカーは弓矢を放り投げ、瞬時に炎を纏った黒い蛇の姿に変わって突貫する。
後方支援うんぬんの話はなんだったんだ。
アサシンもまた、同時に動いた。
ネゼミアの攻撃により、ライダーの左の視界は甘くなっている。
翠の大剣の斬撃と髪の変化した複数の「首」による連撃を、全てライダーの「左側から」叩き込んだのである……!
「――させん!
宝具の発動と共に、ライダーの周囲に巨大な防護壁が展開される。
驚くべき事に、それはアサシンとバーサーカーの攻撃の一切を受け付けなかった。
そして反撃のブレス。
辛うじて二人は回避できたが、隙を突いてライダーは飛行を開始。距離を取られてしまった。
そしてその状態から一方的にブレス攻撃が続く。形勢は不利に傾きつつあった。
「……どう見てもライダーの宝具じゃないわね。如何にも秩序・善って雰囲気の宝具じゃないの」
「僕もそう思う。ただ……ちょっと気になることがあった」
ネゼミアが念話で話してくるが、姿は見えない。どうやらどこかに隠れたらしい。
「あの障壁は数秒展開されてたけど、バーサーカー側の防御壁がアサシン側より弱く見えた。……多分、攻撃者の属性を参照しているんだ」
「……どういうこと?」
「クク……理解したぞ。我らは互いに混沌・悪属性。恐らくあの聖なるバリアは邪悪を弾く。なら、そこに差が生じたとするならば!」
「?????」
「……そっちの陣営だけで納得されてちゃ困るけど。要はバーサーカー、あなたのスキルか宝具の影響ね?」
「イエスマム。悪いが詳細は企業秘密だ。だが信じる者は救われる、とだけ言っておこう!」
この土壇場でより信頼できなくなりそうな事を言いつつ、バーサーカーは再び人型に変化し弓矢を手に取る。その背には竜に似たボロボロの黒い翼が生え、高速での飛行を開始した。
「アサシン、どうするの!? あいつら、あんなに高く……!」
慌てる私に、アサシンは笑みを崩さず答える。
「大丈夫よマスター。方法ならある。
……奴らに、改めて私が何の神か思い知らせてあげましょう」
アサシンが剣を掲げると、足元の水面が爆発した……かのように膨れ上がり逆巻く。
その「上に向かう水流」は私たちを乗せ、あっという間にライダーたちの高さまで到達した……!
「ぬうッ……貴様ら、これほどの連携を……!?」
バーサーカーの誘導と妨害により逃げ場を塞がれたライダーを、アサシンの水流が縄のように縛る。
だが、再びライダーの周囲を
更にライダーは、防御を固めながら口に炎を集め始めた。
その熱量に、私は思わず身を伏せる。
「このブレスのチャージは……宝具か! 準備はいいな、アサシン! 俺の側に攻撃を合わせろッ!」
「ハッ、誰に指図してるのかしら!」
水流に乗り、加速したアサシンの髪が四つにざわめく。
更にその両手足にはそれぞれ違った属性の魔力が込められていた。
毒・火・風・呪・影・幻・血・水。
即ち、合計八つの「首」による連続宝具攻撃。
一方、バーサーカーの構える矢には――ライダーのそれとも違う、形容しがたく恐ろしい「炎」が燃え盛っていた。
きっと、本来この世界には存在してはならない……そんな輝きの炎が。
……そう、矢である。彼は弓に番えるのではなく、矢そのものを直接構えていた。
確かに、先ほどの話からしてもバーサーカーは相手の「近くにいる」必要があるのだろうが……
ともかく、それらの攻撃は再びライダーの「左側」を狙って放たれた。
「
「
宝具の真名解放。
バーサーカーの接近は魔力障壁を弱め、アサシンの連打は四度目でそれを叩き壊す。
そして獄炎を纏った矢と、アサシンの連撃はライダーの頭部に正面から命中した!
――だが、黒の竜はそれでも平然と嗤う。
「……
その剣の真名解放であれば、我を斃せたやもしれぬがな……!」
確かに、アサシンは何故か大剣の真名解放を使わなかった。
だが、それについて思考する暇は無かった。
再び、私の全身は総毛立つ。
ライダーのチャージされたブレスが、超至近距離から放たれたのである……!
「これぞ我が奥義……!
極大の黒炎が襲い掛かろうというその時。
――隣にいたはずのバーサーカーの姿が、一瞬で掻き消えた。
……私は見た。
地上の「湖と神社を繋ぐ穴」から顔を出したネゼミアが、その舌を長く長く伸ばしてバーサーカーを絡め取り……凄まじいスピードで回収していったのを。
「ちょっ――」
「残念だが、俺たちはあれを喰らいたくないのでな! 諸君らの健闘を祈る!!」
……そして「穴」は、無慈悲にも閉じられた。
DDDが好きです