私はヒューマギア   作:雨風歌

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16話 私の決意

 

与多垣「沙耶…」

 

私は与多垣さんこと本当のお父さんに正面から向き合うと、お父さんは私から視線を外してしまった。

 

与多垣「お前の記憶には細工をして蓋をしていたんだが…」

 

サヤ「迅が放った炎で私のかつての記憶が甦ったの…ただ肝心のお父さんの顔だけがモザイクが掛かっていて見えなかった…」

 

与多垣「それも細工したからな」

 

サヤ「でも地面に落下して頭をぶつけた時に記憶の蓋が外れて本当のお父さんの顔が見えたんだ。」

 

与多垣「すまない…沙耶…」

 

サヤ「記憶に細工をしたのは私に会いたくなかったから?」

 

与多垣「あの火事の日…娘であるお前を助けられなかった自分がどうしても許せなかった…何者かが家に放火してそれに気づくのが遅かったからな…」

 

サヤ「放火した人が誰かはわかったの?」

 

与多垣「すまないが犯人はまだ捕まっていない…父親でありながら娘を守れなかった私が父親を名乗るべきでは無い…そう思ってお前の記憶に蓋をした…」

 

サヤ「何言ってるの!!お父さんは私を助けに来てくれたじゃん!!」

 

与多垣「でも救えなかった…体調を崩して家で寝ていたお前の側に居ることが出来なかった…仕事優先でお前に構ってやれなかった…俺は父親失格だ…」

 

お父さんは目に涙を浮かべており握り拳を机に叩きつけたが私はお父さんの拳を自身の掌で包み込んだ。

 

サヤ「でもお父さんは私をヒューマギアとして甦らせてくれた…いつか私に会いに来てくれるつもりだったんでしょ?」

 

与多垣「あぁ…なかなか会う事は出来なかったがな…だが亡が導いてくれた…」

 

サヤ「亡が…?」

 

与多垣「不破諫の脳内に特殊なチップがあるのは知っているか?」

 

サヤ「うん…ついさっき迅から聞いた…」

 

与多垣「不破諫の脳内の特殊なチップには滅亡迅netの最後の1人である亡の人工知能が埋め込まれている…私は亡に指令を出して不破諫の目を通してお前を見守っていた…」

 

サヤ「そっか…私をみてくれてたんだ…」

 

お父さんはソファーに移動すると私もその横に座り隣のお父さんへと視線を向けた。

 

与多垣「私の目的はアークを倒す事…天津はアークを利用して飛電の買収に向けて動いているのも亡から報告を受けた。私は彼の暴走を止めなければならない…」

 

サヤ「でもお父さんはまだやるべき事がある…だから亡や迅を使って裏で動いてたんでしょ?」

 

与多垣「迅…?」

 

サヤ「迅を復元したのはお父さんでしょ?アークを倒すために迅を復元した…そうでしょ?」

 

与多垣「鋭いな…流石だ…」

 

サヤ「でも私は今の迅のやってる事を許す事は出来ない…迅はヒューマギアを解放するって言ってた…人の手からヒューマギアを解放するためにいろんな物を傷つける…私は彼の暴走を止めなきゃいけないの!!」

 

与多垣「沙耶…」

 

サヤ「彼は不破さんから無理やり亡を解放しようとして不破さんを苦しめてる…私は彼を止めたい…」

 

与多垣「沙耶…お前…」

 

サヤ「だから私に戦うための力をください…お父さん…」

 

与多垣「迅と戦うつもりか?」

 

サヤ「わかってる…迅を復元したのはお父さんだもんね… ヒューマギアを解放するって言う彼の思いに賛同したお父さんに逆らうって事になるよね」

 

与多垣「あぁ…」

 

サヤ「でも私は私のわがままを貫くよ…私は或人社長の夢であるヒューマギアは人間と心を通わせるパートナーって言葉を信じたいの!!」

 

与多垣「パートナーか…」

 

サヤ「だから…ごめんなさい…私は私の意志を貫く…」

 

与多垣「沙耶…お前は俺が思ってた以上に大人だったんだな…」

 

サヤ「親不孝な娘でごめんなさい…」

 

与多垣「いや…いいんだ…お前は自分の進みたい道を真っ直ぐに進めばいい…それでこそ…俺の娘だ。」

 

サヤ「私…お父さんの娘でいいの?親不孝なのに…見た目も変わっちゃって…」

 

与多垣「お前は私の娘だ…ヒューマギアになってもそれは変わらない…」

 

サヤ「お父さん、昔、私が秘書になるって言ったからこの服装を選んでくれたの?」

 

与多垣「あぁ…もっと可愛いのがよかったか?」

 

サヤ「ううん…知り合いが私の服を褒めてくれたから…私も自分に自信がついた」

 

与多垣「そうか…それならよかった…」

 

お父さんは私の紺色の髪を優しく撫でながら私の方をじっと見つめた。

 

与多垣「力を手にしたらお前は様々な悪意と戦う事になる…覚悟は出来ているか?」

 

サヤ「うん…覚悟は決まったよ…お父さん!!」

 

与多垣「わかった。なら…お前にこれを託そう」

 

お父さんは机の下から黒いアタッシュケースを取り出すとケースを開いて私に向かって見せてくれた。

 

サヤ「これは…」

 

中にはベルトとプログライズキーが収められており私はベルトの隣にあるプログライズキーを手に取った。

 

サヤ「これって…私が渡したフライングファルコンのプログライズキー?でも色が違う…」

 

ピンク色だったプログライズキーは銀色へと変わっておりそこには大きな鷲の絵が描かれていた。

 

与多垣「唯阿が回収してくれたハーストゼツメライズキー、そしてフリージングベアー…そしてこのフライングファルコンの3つのキーのデータを合わせて完成させた物だ…」

 

サヤ「お父さん…これ…」

 

与多垣「人間ではこのベルトを使う事は出来ない…だがヒューマギアのお前ならそれを使いこなせる筈だ…」

 

サヤ「ありがとう…お父さん…」

 

与多垣「お前は私の希望だ…ゼアにもアークにも接続していない迅と同じ完全自立型のお前ならもしかしたら…」

 

サヤ「お父さん?」

 

与多垣「いや、すまん…独り言だ…」

 

お父さんは私に向かってアタッシュケースを差し出すと私はアタッシュケースを受け取った。

 

 

サヤ「それじゃ言って来るね…」

 

与多垣「沙耶…お前を戦いに駆り立てる私を許してくれ…本当ならお前には戦って欲しく無い…ただ平穏に暮らして欲しかったんだ…」

 

サヤ「気にしないで…戦う事を望んだのは私の意志だから!!」

 

与多垣「こんな私でも私の娘で居てくれるか?」

 

サヤ「私は貴方の娘だよ…どんなに時間が経ってもはそれは変わらないよ!!」

 

与多垣「ありがとう沙耶…」

 

サヤ「それじゃ…行って来ます!!」

 

与多垣「あぁ!!行ってこい!!」

 

事務所を飛び出したサヤの後ろ姿を見守りながら、かつて中学生時代の沙耶が家を飛び出して行く様子と姿が重なり与多垣は思わずメガネを外して目を擦った。

 

与多垣「やっぱり変わらないな…あの頃と…」

 

 

私は工場を出るとまずは不破さんを探すために街中を歩いていると街の真ん中で或人社長とイズの2人が該当で演説している場面に遭遇した。

 

或人「私達が正しく接してあげれば彼等も正しくラーニングして素晴らしいパートナーになるんです!!私達人間も同じじゃないですか?家族や学校、友達、いろんな環境下からいろんな影響を受けて成長して変わっていくのが人間じゃないですか!!」

 

サヤ「或人社長…」

 

或人「たとえ今は困難なことでも夢を持って前に進めば笑える未来が待ってる…私はそう信じています!!」

 

そこに2人の男性が近づいてきてチラシを受け取るがクシャクシャに丸めてしまった。

 

男性「人間と同じって言うんならさ別にヒューマギアなんか居ても居なくても関係ないって事なんじゃね?」

 

男性「むしろ将来、俺らの仕事が無くなったら困るしな!!」

 

もう1人の男性が黄色いハンカチに火をつけて放り出してしまいイズが慌てて駆け寄るが男性の肩がぶつかり地面に倒れてしまった。

 

或人「イズ!!」

 

私はその様子を見ていられなくなり2人に駆け寄るとハンカチを払って火を消すとクシャクシャに丸められた紙を綺麗に戻そうと広げた。

 

或人「サヤ…さん?」

 

イズ「サヤ…?」

 

サヤ「私にも手伝わせてください!!」

 

或人「えっ…」

 

サヤ「私の夢も同じです。人とヒューマギアが共に笑い合える世界を作る…私もその夢が叶う日が来るって信じてます!!」

 

イズ「サヤ…」

 

私は配布している紙の束を掴むと辺りをぐるぐると回りながら道行く人々に紙を手渡しながら必死に呼びかけた。

 

サヤ「お願いします!!ヒューマギアを信じてください!!ヒューマギアも人間と同じ…心があるんです!!」

 

或人「サヤさん…」

 

サヤ「ヒューマギアと人間が手と手を取り合って幸せに暮らせる世界…今は困難でも夢を持って前に進めばきっと夢は叶う!!私はそう信じています!!」

 

なかなか紙を受け取ってもらえず、払いのけられたり肩をぶつけられて地面に倒れたりもしたが私は諦めずに立ち上がり呼び掛け続けた。

 

サヤ「お願いします…人間とヒューマギアが共に笑い合える世界を作るために私達に力を貸してください!!」

 

或人「サヤさん…」

 

イズ「或人社長…サヤの想いを無駄には出来ません…私達も!!」

 

或人「あぁ…わかってる!!」

 

或人とイズも再び紙の配布に動き始めて3人が必死に呼びかける声が辺りが暗くなるまで続いた。

 

 

-翌日-

 

不破「なんでここに!?」

 

黒いコートを羽織った不破が暗い路地を歩いていたが自分の意識を取り戻して慌ててコートを脱ぎ捨てると迅が路地の奥から姿を現した。

 

迅「僕が連れてきたんだよ?お前をハッキングしてね」

 

不破は自身の頭を抑えるが迅はスラッシュライザーを取り出すと腰に装着しようと掲げた。

 

迅「お前の中の亡を解放する…」

 

迅はスラッシュライザーを装着するとバーニングファルコンのプログライズキーを掴むが突如何者かの気配を感じて拳銃を取り出して掲げると繰り出された刀が拳銃にぶつかり動きを止めた。

 

迅「なんで邪魔するんだよ…滅…」

 

滅「あの男を滅ぼすことはアークの意志に反する…」

 

迅「どいてよ滅…人間から亡を解放するんだ!!」

 

滅「あいつには亡の器としての利用価値がある…それがアークの判断だ!!」

 

不破「ふざけるな!!俺はお前らの道具じゃねぇ!!」

 

 

不破(俺のルールで相手をぶっ潰す!!)

 

或人(その先にある不破さんの夢ってなんだ?)

 

或人(たとえ今は困難なことでも夢を持って前に進めば笑える未来が待ってる…私はそう信じています!!)

 

サヤ(ヒューマギアと人間が手と手を取り合って幸せに暮らせる世界…今は困難でも夢を持って前に進めばきっと夢は叶う!!私はそう信じています!!)

 

 

不破「ううっ…ああっ!?」

 

不破はこれまでの記憶がふと頭を過るが亡の意識が表に出てしまった。

 

亡「私は…道具…ZAIAの意志のままに…」

 

不破「ああああああああっ!!」

 

再び不破の意思が表に出るが不破は今の現状が受け入れられずに絶叫して地面に崩れ落ちて地面を必死に叩いた。

 

滅「まもなく奴の意思は無くなる…アークの器として完成だ…」

 

滅は苦しむ不破の様子を見ると笑みを浮かべてその場を去ってしまい迅は不破に向かってスラッシュライザーを構えた。

 

不破「僕は僕の使命を果たす…」

 

 

(スラッシュライザー!)

 

 

ついにベルトを腰に装着してバーニングファルコンのプログライズキーを再び掴むが突如として路地の奥から駆け寄って来た人物の姿をみるや思わず動きを止めた。

 

サヤ「不破さん!!」

 

不破「サヤ!?うっ…ぐあああああっ!!」

 

サヤが不破へと駆け寄って来ており必死に不破を介抱しようと体を揺さぶっていた。

 

 

 

サヤSide

 

 

迅の行方を追っていた私は人気の無い路地の近くを歩いていると路地の曲がり角付近で滅と遭遇してしまった。

 

サヤ「滅…!?」

 

滅「サヤ…迅を止めたければ奴はこの奥にいるぞ」

 

サヤ「なんでそんな事教えてくれるんですか?」

 

滅「奴の行動はアークの意志に反する…ただそれだけだ…」

 

サヤ「今だけはお礼を言っておきます…ありがとう…」

 

滅「フッ…」

 

私は滅の横をすり抜けると路地の奥に地面で苦しむ不破さをの姿とその様子を笑いながら眺めている迅を見つけて迅を押し退ける形で不破さんの元へと辿り着いた。

 

サヤ「不破さん!!」

 

不破「サヤ…俺は…うぅ…あああああ!!」

 

不破さんは再び苦しみ始めて私は不破さんの肩を掴むが不破さんの雰囲気が変化して亡らしき人物の意識が表に現れた。

 

亡「ZAIAの道具…私は道具…」

 

サヤ「もしかして亡?」

 

亡「サヤ…私は…私は…」

 

迅「どいてよサヤ…そいつから亡を解放するんだ!!」

 

迅が私の肩を掴むが私はその手を払いのけながら叫んだ。

 

サヤ「邪魔しないで!!」

 

迅「なっ…」

 

サヤ「亡!!私の声が聞こえる?亡!!」

 

亡「サヤ…?」

 

サヤ「私の事を見守ってくれてありがとうございました…お陰で私はお父さんと再会出来ました!!」

 

亡「サヤ…私は…」

 

サヤ「でも貴方は道具じゃない!!貴方には貴方の意志がきっとある…貴方の生き方は貴方自身で決めるべきなの!!」

 

亡「サヤ…」

 

私は不破さんの体を支えるとゆっくりと立ち上がらせて背後に背を向けた。

 

サヤ「不破さん…聞こえていますか?迅は私が抑えます…貴方は逃げて!!」

 

不破「サヤ…お前…」

 

サヤ「お願いです…もう私は貴方が苦しむ姿を見るのは耐えられない!!」

 

私の必死の呼びかけに不破さんは苦しみながらもゆっくりとその場から立ち去ってしまいその場には迅と私の2人が残された。

 

迅「邪魔するなよ…サヤ…」

 

サヤ「邪魔なのは貴方の方!!これ以上不破さんを苦しませないで!!」

 

迅「人間からヒューマギアを解放するんだ!!それが僕、仮面ライダー迅だ!!」

 

サヤ「解放…ヒューマギア達がそれを望んだの?」

 

迅「何?」

 

サヤ「ヒューマギアにも心がある…人間とどう付き合うかは彼等自身が決める事…ヒューマギアの未来は彼等自身に決めさせるべきだ!!」

 

迅「黙れっ!!」

 

迅は怒りの表情を見せるとプログライズキーをチェーンから外して掲げた。

 

迅「まずはサヤから解放してあげる…」

 

 

(インフェルノウィング!)

 

 

(バーンライズ!)

 

 

(Kamen Rider…Kamen Rider…)

 

 

迅「変身」

 

 

(スラッシュライズ!)

 

 

待機音が流れる中で迅は赤いプログライズキーをベルトに装着するとそのままトリガーを引いて炎の翼を模した装甲を身に纏って変身を完了させた。

 

 

(バーニングファルコン!)

 

 

迅が変身を完了させると装甲から飛び出した炎が辺りのドラム缶に引火して辺りは炎に包まれた。

 

迅「サヤ…もう容赦しないよ…」

 

迅が仮面ライダー迅に変身して私に向かって拳を構えるが私は負けずに迅に向かって一歩を踏み出した。

 

迅「炎が怖くないの?」

 

サヤ「怖いよ…でも恐れていては一歩も前に進めない。だから私は戦う!!」

 

私は懐からベルトを取り出して迅に見せつけるように掲げると迅が驚きの声を上げた。

 

迅「なんでお前がそれを…?」

 

 

(スラッシュライザー!)

 

 

私が取り出したのは迅と同じ赤い色のスラッシュライザーでありショットライザーと異なりバックルの両方にベルト部分が付き、後ろ部分が分かれるようになっており腰にバックル部分を押し当てると後ろの方で銀色のベルト帯が固定された。

 

サヤ「迅…行くよ…」

 

迅「サヤ…」

 

私はスカートのポケットから銀色のプログライズキーを取り出すと静かに起動させた。

 

 

 

(ブリザードウィング!)

 

 

 

銀色のプログライズキーを起動させるとプログライズキーが水色に発光してスラッシュライザーに装填するとプログライズキーの蓋を手動で展開した。

 

 

 

(フリーズライズ!)

 

 

 

(Kamen Rider…Kamen Rider… Kamen Rider…Kamen Rider…)

 

 

待機音が鳴り響き、私はスラッシュライザーのトリガーに指を掛けた。

 

 

サヤ「変身」

 

 

 

(スラッシュライズ!)

 

 

トリガーを引いた瞬間にスラッシュライザーから氷の巨大な鷲が飛び出して来て私の全身に装甲として装着されて最後に複眼部分が水色に発光した。

 

 

(フローズンイーグル!)

 

 

(the wings of absolute zero clad in freezing ice)

 

(氷結を纏いし絶対零度の翼)

 

 

私の全身は銀色の装甲と迅と同じスーツを身に纏い、周りの炎は私の全身から放たれる冷気で一瞬で凍りついて辺りにはダイヤモンドダストが舞っている。

 

 

迅「サヤ…その姿は…」

 

 

 

サヤ「私の名前は与多垣沙耶…そして仮面ライダーサヤ!!」

 

 

 

 

 

 

 

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