私はヒューマギア   作:雨風歌

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17話 ヒューマギアの一斉停止

 

降り頻る大雨の中で私の体に降り注ぐ雨粒は凍り付き、私の足元に氷の粒がいくつも落下した。

 

迅「ダアアアアッ!!」 

 

迅がベルトの剣を抜いて私に向かって駆け出すが私は向かって来る迅に向かって一歩を踏み出すと一歩を踏み締める度に足元が凍り付いていく。

 

迅「ハアッ!!」

 

サヤ「ふっ!!」

 

迅が炎を纏った斬撃を繰り出すが私は冷静に片手で剣を払うように跳ね上げるとガラ空きとなった腹部に蹴りを叩き込み、続けて回し蹴りで迅を蹴り飛ばした。

 

迅「ぐっ…」

 

迅は全身ずぶ濡れのために私が蹴りを加えた装甲が凍ってしまい、迅は全身に力を溜めると氷を溶かしてしまった。

 

迅「ハアッ!!ダァッ!!」

 

迅は再び剣で連続で突きを放つがその動きを見切った私は最小限の動きで後ろに後退しながら体勢を低くして素早く地面を滑って繰り出された剣の一撃を回避した。

 

迅「なっ!?」

 

サヤ「はあっ!!」

 

素早く背後に回った私はガラ空きとなった背中に向かって蹴りを叩き込むと迅は再び濡れた地面に倒れ込んだ。

 

迅「くっ…ハアッ!!」

 

 

(インフェルノウィング!)

 

 

 

迅はプログライズキーのボタンを押して駆け出すと剣に炎を纏い私に向かって剣を振り上げた。

 

 

(バーニングレイン!)

 

 

 

迅「ハアアアアッ!!」

 

 

 

(ブリザードウィング!)

 

 

 

私はバックルから剣を取り外してプログライズキーのボタンを押すと待機音声が流れてすぐにトリガーを引いた。

 

 

 

(フリージングレイン!)

 

 

 

サヤ「ハッ!!ヤアッ!!」

 

 

迅の炎の斬撃と私の氷の斬撃がぶつかりあい私達は鍔迫り合いの状態になるが剣をぶつけながらも迅は笑い声を上げた。

 

迅「ハッハッ…無駄だよサヤ…炎は氷を溶かす…僕の勝ちだ!!」

 

サヤ「周りをよく見てごらん?」

 

迅「なっ…」

 

大雨の影響で迅の炎はいつもより威力が半減しており逆に水に強い私は剣に力を込めると迅の剣先が凍り始めた。

 

迅「嘘でしょ?」

 

サヤ「嘘じゃない…ハッ!!ヤアッ!!」

 

迅「がっ…うわっ…」

 

迅の剣を跳ね上げると再びガラ空きとなった装甲に連続で斬撃を繰り出すと赤い装甲は斬撃で火花を散らして迅はダメージにより地面に倒れ込んだ。

 

 

(ブリザードウィング!)

 

 

剣をバックルに戻してからプログライズキーのボタンを押すと再び待機音が流れてトリガーを引いて私は足元に力を込めると背中に氷の翼が展開した。

 

サヤ「タアッ!!」

 

迅「くっ…」

 

 

(インフェルノウィング!)

 

 

私が空中に飛び上がるのと同時に迅も剣をバックルに戻すとプログライズキーのボタンを押してトリガーを引いて空中に飛び上がった。

 

 

(バーニングレインラッシュ!)

 

 

 

迅「ダァッ!!」

 

 

 

(フリージングレインラッシュ!)

 

 

サヤ「ヤアッ!!」

 

 

私達の蹴りがぶつかり合い、激しく火花を散らすが氷を纏った蹴りが迅を押し返し始めた。

 

迅「馬鹿な…そんな!?」

 

サヤ「ハアッ!!」

 

迅の足元から発生する炎を私の氷が包み込んでしまいそのまま迅は勢いを失い、私は迅をそのまま蹴り飛ばしてしまい迅は地面に叩きつけられて変身が解けてしまった。

 

迅「僕が…負けた…?」

 

サヤ「迅…私の勝ちだよ…」

 

私は地面に着地を決めるとプログライズキーを抜いて変身を解除して迅へと歩み寄った。

 

迅「なんで…僕と同じヒューマギアの癖に…人間を庇うんだよ!!」

 

サヤ「ヒューマギアにも人間と同じ心がある…ただハッキングして言う事を聞かせたとしてもそれってヒューマギアにとって本当に幸せだと思う?」

 

迅「それは…幸せに決まってるだろ!!」

 

サヤ「嘘っ!!」

 

迅「なっ…」

 

サヤ「貴方がゼツメライザーを無理やり取り付けて意思を奪われたヒューマギア達は心の底から嬉しそうだと感じた?」

 

迅「それは…」

 

 

腹筋崩壊太朗(私の仕事は…人を笑わせる事だから!!)

 

マモル(この会社を守るのは私の仕事です!!)

 

迅(プログライズキーも奪っちゃおう!!)

 

森筆ジーペン(あああああ…)

 

香菜澤セイネ「うわあああああっ!!」

 

 

 

迅「嬉しくなさそうだった…」

 

サヤ「ヒューマギアにも心がある…ただ人間から一方的に奪っても奪われた人間は辛いし、ヒューマギア本人だって辛い筈だよ…」

 

迅「でも人間はヒューマギアを道具としか思ってないだろ!!」

 

サヤ「!!」

 

迅「ZAIAがその証拠さ!!人間は悪意に満ちてるんだ!!」

 

サヤ「うん…でもZAIAに所属する全員がそう思ってるわけじゃない…私はそう信じてるから!!」

 

迅「何?」

 

サヤ「悪いのは…本当に悪いのは…ヒューマギアを平気で壊して道具として扱い、最後にはヒューマギア事業を撤廃させようと目論む、天津垓だよ!!」

 

迅「サウザーが…」

 

私はスラッシュライザーを腰から外して迅に向かって掲げてみせた。

 

サヤ「だから…私は戦うって決めたの…この世界の悪意と!!」

 

迅「サヤ…」

 

サヤ「貴方が無理やりヒューマギアを人間から解放するなら私は貴方を止める…」

 

迅「くっ…」

 

サヤ「あと、不破さんの中に存在する亡の事だけど…」

 

迅「亡…そうだよ…亡も解放するべきだ!!」

 

サヤ「亡の解放には私も賛成するよ」

 

迅「ほんと?わかってくれたんだ?」

 

サヤ「でもそれは今じゃない…きっとその時が来る…それまで不破さんにハッキングして苦しめるのはやめて…」

 

迅「……わかったよ…」

 

私は迅に向かって手を差し伸べると迅は困惑した表情を浮かべた。

 

迅「僕を倒さなくていいのかいサヤ?」

 

サヤ「ちゃんと話せば貴方はちゃんと理解してくれるって思ってた」

 

迅「でも僕はまだ完全に人間を許すって決めたわけじゃない…」

 

サヤ「そっか…でもまだそれでいいよ…」

 

迅「え?」

 

迅の手をがっしり掴んで立ち上がらせると私は迅に向かって笑ってみせた。

 

サヤ「今は人間を…或人社長の話を聞いてあげて」

 

迅「ゼロワン…?」

 

サヤ「うん…あの人がヒューマギアのために誰よりも考えて動いているから…彼ならきっと…」

 

 

-数日後-

 

私はA.I.M.S.を抜け出すと遠く離れたビルの上でライズフォンを開いて投票結果を見てZAIAが飛電インテリジェンスを買収したと言う衝撃のニュースを見ていた。

 

サヤ「或人社長…」

 

私はイズやシェスタの事が心配となってしまいスラッシュライザーを装着するとフローズンイーグルのプログライズキーを取り出して起動させた。

 

サヤ「変身!!」

 

 

(フローズンファルコン!)

 

 

変身した私は飛電インテリジェンス目指して飛行していると目的の飛電インテリジェンスの巨大なビルに辿り着いて空いている窓から建物の中へと侵入した。

 

サヤ「イズ…シェスタ…どこにいるの?」

 

私は副社長室らしき場所に辿り着くとシェスタが大量の書類の整理を行っているところだった。

 

サヤ「シェスタ!!」

 

シェスタ「サヤ…?どうやってここに?」

 

サヤ「それより、飛電がZAIAに買収されたって聞いて慌てて飛んできました…」

 

シェスタ「飛電が買収されればいずれヒューマギアが強制停止されるでしょう…なので私が居なくても仕事が出来るように副社長達に向けて書類を作成しているところです…」

 

サヤ「そんな…シェスタ達が強制停止?」

 

シェスタ「仕方ないのです…我々は負けたのですから…」

 

サヤ「そんな…」

 

その時入り口から誰かがやって来る音が聞こえて来て私は慌てて窓の方へと足を掛けた。

 

シェスタ「サヤはこれからどうするのですか?」

 

サヤ「私はZAIAと戦うつもりです…ヒューマギアを再び人々の手に取り戻すために…だから、待っててください…シェスタ…」

 

シェスタ「そうでしたか…サヤ…後は貴方と社長に任せます…」

 

サヤ「はい…シェスタ!!」

 

私は再びプログライズキーを装填してトリガーを引いて変身すると窓から飛び立ち社長室目指して飛び上がった。

 

 

-社長室-

 

サヤ「イズ!!」

 

私が社長室に侵入すると既に或人社長の姿はなくなっており、社長室の机を清掃するイズの姿があった。

 

イズ「誰ですか!?」

 

サヤ「あ…私です。サヤです!!」

 

私は変身したままだったのですぐにサヤだと気づいてもらえなかったが私が声を掛けるとイズは私だと気づいて駆け寄って来た。

 

イズ「サヤ…その姿は…仮面ライダーの力を手に入れたんですか?」

 

サヤ「えぇ…それより或人社長は?」

 

イズ「退職しました…まもなく天津社長がここの椅子に座る事になるでしょう」

 

サヤ「そんな…或人社長が…」

 

イズ「サヤ…時間がありません。或人社長を助けてあげてください!!」

 

サヤ「或人社長を?」

 

イズ「或人社長は人とヒューマギアが共に歩んで行ける道の実現のために動く筈です…」

 

イズは大量のプログライズキーの入ったバッグを机の上に置くと私に向かって手渡して来た。

 

イズ「今、或人社長を支えてあげられるのは自立型のヒューマギアであるサヤだけなのです!!」

 

サヤ「私が或人社長を支える…?」

 

イズ「サヤ…どうか或人社長をそしてヒューマギアを救って…あ…げ…てくだ…」

 

突如イズのヒューマギアが異常を起こしてしまいイズは台詞が途切れ途切れになってしまった。

 

サヤ「イズ!?どうしたのイズ!!」

 

イズはそのまま目を閉じるとヒューマギアモジュールの電源がオフになってしまい私は必死にイズの体を揺さぶった。

 

サヤ「イズ…イズ!!」

 

どんなに呼びかけてもイズは動く事はなく、完全に機能が停止してしまっており私はイズの体を持ち上げるってラボのリクライニングチェアに座らせてあげた。

 

サヤ「せめて…これだけは!!」

 

私はイズのヒューマギアモジュールに触れて中のセントラルメモリーを取り出すと懐に仕舞い込んだ。

 

サヤ「イズ…必ず助けに行くから…」

 

私は窓から飛び降りると離れたビルの屋上目指して高速で飛行していると地上から何かを叫ぶ声が聞こえて来て思わず視線を向けた。

 

福添「くっ…シェスタぁぁぁ!!」

 

山下「シェスタぁぁ…」

 

飛電の正面入り口へと視線を向けるとZAIAの職員がシェスタを回収のためにトラックに詰め込んでいる場面であり副社長達が涙を流しながら必死に別れを惜しんでいる様子だった。

 

ZAIA職員「社長秘書のヒューマギアはどうするんだ?」

 

ZAIA職員「あのヒューマギアは天津社長が直接処遇を決めるそうだ…」

 

ZAIA職員は機能が停止しているシェスタをトラックの荷台に乱暴に転がすとシェスタは目を閉じたまま荷台の上で仰向けの状態になった。

 

サヤ「うっ…シェスタ…シェスタぁぁ…」

 

私は仮面の下で涙がポロポロと溢れてしまい近くのビルに降り立つとスラッシュライザーからプログライズキーを抜いて変身を解除した。

 

サヤ「天津垓…絶対にぶっとばしてやる!!」

 

私は涙を拭うと自身の着ているジャケットの裾をぎゅっと強く握り締めた。

 

サヤ「シェスタ…必ず副社長の元に返して見せるから…だから待ってて!!」

 

今、私が来ている服は偶然にもシェスタと同じカラーのジャケットであり屋上の強風にてジャケットの裾がひらめいて、私の紺色の髪が大きく揺れた。

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