ウマ娘 地上の輝く星   作:ステイタキオン

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オークスでオルフェーヴル産駒が女性ジョッキーで優勝という記事を見て久しぶりに競馬とウマ娘に戻ってきました。

競走馬時代の設定
名前 スターズシャイン
性別 牡馬
毛色 青鹿毛
父 シニスターミニスター
母 スタークイン(架空馬・メジロラモーヌの縁戚)
母父 ナリタブライアン
厩舎 某帽子の人(ヤン子と同じ)
生産 日高の家族経営牧場


スターズシャイン

 

 2016年 宝塚記念

 

 故郷の星になると誓った。

 

 怪物と言われるライバルとの激闘があった。

 

 地方も中央も、その足で芝もダートも駆け抜けた。

 

 地上にあるその眩しい星は、確かに輝き続けた。

 

 ウマ娘の名は、スターズシャイン。

 

 

 

――――

 

 中央トレセン学園 ミーティングルーム

 

「レースは入学前から始まっている」

 

 ある日のミーティング。新入生が入り、新たな時代の風が流れるトレセン学園。

 その中でエリートな経歴を持つ一人のトレーナーがそう言った。

 

「今の時代、トレセン学園の入る前の段階から、とある施設で優秀な人材を集め、最先端のスポーツ科学でトレーニングをしている。データでとると不安定だが、大体言えることは、そのルートを走っている彼女たちが、G1を7,8割とっていることだ」

 

 

 ディープインパクト、キングカメハメハ、オルフェーヴル、ジェンティルドンナ……

 このルートで走っている者たちの名前には、数々のウマ娘が綴られていた。

 

 

「問題は、そのルートを走っているトレセン学園のウマ娘の割合がせいぜい二割ということだ。つまり、二割しかいないウマ娘に七割以上のG1を独占されている状況。この状況が続けば、我々中央トレセンのトレーナー達は意義を失うだろう」

 

 冷たく放ったエリートトレーナー。

 その言葉に賛同するものはなく、考えすぎだの、そんなことありえないだのというのが、周りの表情から見てとれた。

 その後、会議は形ばかりの進行を続け、静かに終わりを告げた。

 

 

矢萩流星 トレーナー

「柴崎先輩、さっき会議に行った施設ってもしかして……」

 

柴崎宏壱 トレーナー

「NF(ノーブル・ファーム)だな」

 

 NF(ノーブル・ファーム)

 最高峰の「外厩」施設でアスリートのようにトレセン学園入学前のウマ娘を仕上げる。

 トレセン学園入学後でもサポートが手厚く、夏ではトレセン学園の伝統の夏合宿ではなくNFの施設でトレーニングする光景を見かけることが多くなってきた。

 

「さっきの会議では、このままでは自分たち中央のトレーナーがいる意味がない、むしろそうなってしまうことを危惧してたように言ってたような気がする」

 

「でも、そういうのって時代の流れってやつじゃないんですか」

 

「だよな?正直、NFからやってくる生徒の取り合いになってる。今のトレセン学園には思うところがあるが、そうしたところで努力している彼女たちの頑張りは否定することはできない」

 

 矢萩の言葉に柴崎がそう頷くも、納得のいっていない表情していた。

 

「だが、やはり完成されたシステムで育っていくウマ娘を打ち砕くような、そんな今、ウマ娘を望んでいる人もいるのは確かだ」

 

 テイエムオペラオー、ゴールドシップ、スペシャルウィーク、オグリキャップ。

 スターの生まれは完成されたシステムで育っていったわけでもない。

 突然現れた雑草魂、彼女たちのようなものに夢を見る。そういうウマ娘ファンもいる。

 

「俺の先輩が昔こんなこと言ってたな。スターがいない自分と重ね合わせて心の底から応援したくなるような、そんなウマ娘が」

 

「まあ、といっても俺たちのような地方上がりのトレーナーじゃ、そういうウマ娘は来てくれませんけどね」

 

「お前、嫌なこと言うな」

 

 ――ドゴォン!!

 地鳴りのような足音が鼓膜を震わせた直後、二人の間を黒い疾風が猛烈な風圧と共に駆け抜けて行った。

 

「ッ……!?」

 

 吹き抜けた突風に、矢萩は思わず腕で顔を覆う。遅れて、ちぎれた芝の匂いと、激しい砂煙が舞った。

 呆然と立ち尽くす二人の前には、すでに誰もいない。ただ、嵐の後のような静寂だけが残されていた。

 

 

――――

 

 トレセン学園 模擬レース会場。

 トレーナーからのスカウトを目指してウマ娘達が走るレース。

 有力なウマ娘が集まる時期はさながら競り市のような活気を見せる。

 

「有力候補はドゥラメンテにサトノクラウンか」

 

 ドゥラメンテ

 優れたウマ娘やアスリートを数多く輩出してきた名門一族の研鑽の結晶として、将来を嘱望されるエリートウマ娘。

 

 サトノクラウン

 名門サトノ家の期待を背負う実力者である。

 

 互いにNFからも高い評価を得る完璧なシステムによって育てられたウマ娘。

 新人トレーナーである矢萩から見ても二人が頭一つ分いやそれ以上に抜き出ていることに気づく。

 

「まあ、どうせベテランか今絶好調なトレーナーに誘われてそこに行くんだろうけど」

 

 周りがその二人に注目しているその中で、ダートのレースを開始するゲートの開く音が聞こえた。

 矢萩があわてて双眼鏡でダートのレースを見ると、中段の位置から少し遅れ、外側を走っているウマ娘がいた。

 スタートに出遅れたのだろう。このレースは200mも立たない。短めのレース、出遅れ一つが致命傷になる。

 

「さて、他のレースに行くか」

 

 最終コーナーに差し掛かった瞬間、そのウマ娘の足元から、爆発したかのように激しい砂塵が巻き上がった。

 

「――ッ!?」

 

 矢萩はすぐさま振り返り、双眼鏡を握る手に思わず力が入る。

 常識外れの大外ぶん回し。本来ならスタミナをロスして沈むはずの無謀なライン。

 しかし、彼女の加速は止まらない。それどころか、一歩ごとに前を走るウマ娘たちとの差を、暴風のような勢いで縮めていく。

 荒れ狂う砂を蹴立て、他を置き去りにするその姿は、まさに――

 

「怪物!」

 

 NFから届いた情報に彼女のようなウマ娘はいない。

 青鹿毛の長い髪をポニーテールにしたどこかナリタブライアンと似ているウマ娘。

 気づいたときにはそのウマ娘が一着だった。

 

『ゴール!出遅れから一転、最終直線で全員をちぎったのは……スターズシャイン!』

 

 

 粗削りながら圧倒的な走りで勝利を収めた束の間……

 

「聞け民衆よ!」

 

 スターズシャインは拡声器も使わずに大声で何かの宣言を始めた。

 

「我が体に流れるシニスターミニスターの血と我が故郷に響きし偉大な者たちの伝説に誓おう。この俺、スターズシャインは、日高の星になると!!」

 

 

 数秒の演説とも言えない演説。

 言葉の内容だけを考えれば、何よりも馬鹿げたことと一蹴する内容だが、彼女の口を通して放たれたその言葉は、不思議な真実味を伴って人々の鼓膜と心を震わせる。

 

「静聴、感謝する!この出会いが君達の人生を満ちたものにすることを祈ろう」

 

 場違いな行動による混乱と沈黙が押し合いする中、言いたいことだけを言って、スターズシャインは満足気にそこから去っていった。

 

「何だったんだ?」

 

  模擬レース場では新たなスターの誕生を迎えている中、双眼鏡は手に持つだけで矢萩は遠くからそれらを見ていた。

 

 優秀なウマ娘、特に芝でクラシックを狙えるような逸材は、ベテランで結果を残しているトレーナーのもとに行く。

 それは仕方ないことだってある。その単純な問題が、自分には苦痛でしかない。

 

 必死に努力して、手にした国家資格と同等の難易度の中央トレセンのトレーナー資格。

 テレビで見た憧れを追いかけるようやってきたこの場所に、冷たい現実が目に映った。

 

 入学前からウマ娘たちはエリート街道を走り、走り方も戦略も知っている。

 最先端の科学で描かれたその走りは、トレセン学園のトレーナーの存在意義を無くす。

 いつしか勝つためには優秀なウマ娘の争奪戦という光景に変わっていた。

 

 高校野球の地元の選手がいない越境の私立校を見たような、マネーゲームとなったサッカーリーグを見たような……

 いつしか、矢萩はかつて持っていた熱意をなくしていた。 

 

 だが、さっきスターズシャインの言葉に鼓膜と心が揺らされていた。

 

「大丈夫か?随分と疲れた顔しているな」

 

 突然、視界にど真ん中に件の青鹿毛のウマ娘、スターズシャインが現れた。

 

「どわっ!!」

 

 矢萩は心臓が跳ね上がるほど驚き、後ずさりし、手に持っていた双眼鏡を落としそうになった。

 

「そう驚くな。他のトレーナーがドゥラメンテやサトノクラウンの方に行き、ダートを走った俺たちは暇なんだ」

 

 ドゥラメンテやサトノクラウンの元へ群がる、ベテランや絶好調のトレーナーは新たなスターの誕生に沸いていた。

 やはり芝のG1レースは価値が高い。そのため、まだスカウトの時期が始まったばかりのこの状況では、ダートのウマ娘は後回しになる。

 

「君はあの子たちのもとに行かないのか」

 

「お前には関係ないだろ」

 

 不愛想に応える矢萩に、スターズシャインは更に詰め寄る。

 

「なら、君の命令に従う必要はないということだ」

 

「はぁ?」

 

 詰め寄ってきた距離はさらに近くなり、矢萩は壁に背をつけて、それしか口にすることが出来なかった。

 

「俺は君の言うことは聞かないぞ、というわけだ。いろんなことを質問してやる。覚悟しろ」

 

 楽しそうに言うスターズシャインに、矢萩はうんざりしていた。

 

「俺の目標のためには、ノーザンいや、NFに所属するウマ娘に興味のないトレーナーが必要だったんだ」

 

 別に興味ないわけではないかと矢萩は呟いたがスターズシャインは構わず続けた。

 

「俺はNFのようなエリートに負けたくない。これからのトゥインクルシリーズには俺のような奴が必要なんだ!」

 

「はぁ?」

 

「全員が同じ走りをしていたら、これから日本のトゥインクルシリーズは先細りになってしまう。何より全員が同じなんて面白くない」

 

 スターズシャインの言葉に思考がパズルのピースのように破壊され再構築されていく……

 

「先細り……スタイルの一律化か」

 

「その考えにたどり着ける、そういうやつを俺はトレーナーとして必要としている」

 

 眩しい笑顔でスターズシャインは右手を差し出した。

 傾いた日の光が彼女を照らし、まるで一枚の絵のような光景だった。

 

「別に俺がお前を担当するとは言ってないが」

 

 スターズシャインが握手をした手を無視し、矢萩は歩き出した。

 それを追いかけるように、スターズシャインも歩き出した。

 

「断る! だったら俺が君の世話を焼いてやる。泣いて嫌がっても、お節介を焼き尽くしてやるから覚悟しろ」

 

「なんだよそれ」

 

 ため息をつく矢萩に対し、スターズシャインは演説したときとは違う軽い調子で言葉を紡ぐ。

 

「君も考えてくれないか。どうしてトレーナーになったか。これからトゥインクルシリーズは何を必要としているのか」

 

 その言葉に、矢萩は歩みを止めず、ただ小さく息を吐いた。

 胸の奥、冷え切っていたはずの場所に、じわりと熱いものが戻ってくるのを感じていた。

 

「ん?」

 

 その一瞬、難しい顔をした後、重要な疑問を口にする。

 

「そういえば、名前を教えてくれないか?」

 

「矢萩流星だ」

 

「矢萩、流星。これも何かの縁だ。よろしくな!」

 

 

 

 

 




スターズシャイン(ウマ娘)
キャッチコピー 地元の星を目指す一等星
身長 161cm
体重 成長中
スリーサイズ B90・W57・H84
学年 中等部(ドゥラメンテと同じクラス)
所属 栗東寮
イメージCV 関根明良
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