アベコベ少女ノヤンデレ裁判 作:MS
※ネタバレ注意
「あーえっと、○○って言います……この施設で唯一の男らしいんですが、仲良く過ごせたらいいなーって思ってます……?」
無難に自己紹介を終えてここまでを振り返ってみる。
前世で事故に会って転生してから早数年……気付いた時には両親もおらず、あれやこれやの内に施設へと預けられてしまった。
(異世界に転生したわけでもないし、上手いこと立ち回って健やかな人生を送ろうかと思っていたのだが……)
「かっこいいー!」
「可愛いわね……なんとか引き取れないかしら」
「私男の子って初めてみたかも?」
なんとこの世の男女比は1:10の貞操観念逆転世界だってんだから驚きだ、施設の少女たちはみんな小さいからまだ何か起こったりはしないだろうが……職員さんたちからの視線が少し怖い。
(同性が一人もいないってのはなんだかむず痒いし心細い。それに男女比がここまで偏ってるなら男専用の施設とかじゃないのか……?)
「おおー!生の男の子って私初めて見ました!あ、自己紹介がまだでしたね!私の名前は橘シェリーっていいます!」
来て早々不安になりつつも、青髪の活発な女の子から話しかけられる。自分の悩みなんか吹っ飛ばしてくれそうなほど明るくて心が現れるな……
「オレも初対面でそんなガツガツくる女の子は初めてだ……まぁよろしくな。てか橘さん、アザが凄いけどそんな活発に動き回ってるのか?」
握手のためにお互い手を出すと、袖から覗く橘さんの腕から大きめのアザが見える。いくら子供で治りが早いと言っても痛いだろうに
「シェリーちゃんと呼んでください!このアザは……えへへ、動き回るのが好きなのでついつい作っちゃうんです!なのでお気になさらず!」
子供だったらそんなもんかとあの時流してしまった自分が憎い。今は子供でも中身は大人な自分がなんとかすべきハズだったのに……
「それじゃあこのシェリーちゃんがここを案内してあげます!さぁ付いて来て下さい!」
「ねぇねぇ○○くん!すきなヒトとかいるの?」
「今日はアタシと一緒にご飯食べよー!」
「へっへっ♡い、いい一緒にお昼寝したいな♡」
「えっと……忙しいから、また今度でいいかな?」
最初の内は見慣れない男子に警戒心もあったのか、シェリー以外に話しかけられることもなかったが……数か月も経てば色んな子から引っ張りだこだ。ここまで激しくくるとやっぱり怖い。
「はいはーい!シェリーちゃんが通りますよー!おっと○○さん奇遇ですね!何やらお困りの様子、さぁさぁ私の手を取ってください!一気に駆け抜けますよ!」
「ケチ―!どくせんしたらひきょうだぞー!」
「そうだそうだー!男子と触れ合いたいー!」
ぐっと強い力でシェリーに手を引っ張られ、囲まれていた自分を引っ張り出してくれる。同い年の女の子にしてはとんでもない力に感じるが……気のせいだろうか?
「あ、ありがとうなシェリー……助かった」
「いえいえお気になさらず!困っている人を助けるのも探偵の仕事ですから!」
「探偵ねぇ、またミステリーでも読んだのか?」
数か月もシェリーと過ごしているうちに、互いの趣味や好きなモノなどを語り合えるくらいには仲良くなった。周りに馴染めずにいた自分と一番最初に友達になってくれたシェリーには頭が上がらない。
「はい!今回読んだやつは中々ロジックが……おおっとネタバレになってしまいますね!」
「別に気にしないでいいぞ?中身をしってても楽しめるタイプだからな」
「え~?それじゃ楽しくなくないですか~?」
それにシェリーはオレを
「どうしました?」
「あ、あぁなんでもない。今日の晩飯はなんだったかな~って思ってよ」
「今日は確かハンバーグだったハズです!さっきキッチンに忍び込んで冷蔵庫を覗いてきましたから!」
「おいおい……あんまよろしくないんじゃないか?」
「探偵として色んな情報を得ておくのは大切ですから!」
明るく笑うシェリーを見ると安心する。シェリーが大人びている?のもあって会話も弾むしずっと一緒に居たいとすら思ってしまう。まだお互い小さいのにもう惹かれてしまうのは……オレがチョロいからかもしれない。
「あらあら、どうも小さい探偵さんたち」
「あ、ど、どうも、です……」
だがいい気分ってのは長くは続かないもので、
「どうも!私と○○さんの二人でこの施設のパトロールをしてました!こわーい人が隠れているかもしれませんからね!」
「ふふっ、そんな人がいたら大変だね~?」
「それでは次の場所へ行かないといけませんので!早く行きますよ○○さん!」
さっきよりも優しく、まるで安心させるかのように手を包み込んで逃げだしてくれるシェリー。あの職員さんが苦手なのは同じなのかも
「ふぃ~、逃げきれましたね!私あの人嫌いなんです」
「奇遇だな、オレもあの人は大の苦手だ」
「す~ぐ殴ったりなんだり……あぁなんでもありません!とにかく○○さん、あの人にイヤなことされたらすぐに呼んでくださいね!シェリーちゃんが飛んでいきますので!」
「ははは、それは頼もしいな」
既に色々とされてはいるのだが、シェリーは大切な友達だ。巻き込むわけにはいかない。きっと今夜もされるだろうが高校、いや中学生になるくらいまで耐えれば済む話だ。そうしたらオレは……
「むむ、楽しい時間はあっという間ですね!もうそろそろ晩御飯の時間なので戻りましょうか!」
「もう夜なのか……」
「今日はシェリーちゃんと楽しそうにしてたわね?」
「ま、まぁ一番の友達ですから……」
晩御飯も食べ終わり、お風呂も終わって後は寝るだけとなったが……今日も職員さんから物置へと呼び出される。少し埃っぽい、どうせスるのならベッドのある部屋がいいのだが、職員さんの癖なのだろう。
「ふーん、友達かぁ、私とはそれ以上、なのにね?」
聞き分けの無い子供に言い聞かせるように一言一言強くしゃべり始める職員さん。まさかシェリーに嫉妬しているのか?イヤな大人だな……
「早くそこのマットに横になりなさい」
「ど、どうしてこんなことをするんですか?」
「無垢なのはいいことだけど、無知なのは嫌いなのよね……別に?世の中の女なんてこんなもんよ、隙あらば男を食ってやりたいと思ってるもの。シェリーちゃんだって大人になればきっとそうなるわ」
吐き気がする。転生した世界は前世よりも汚くて醜い人間ばかりなのか?そしてこんなヤツをどうしようもできない自分の弱さがもっと憎い……!
「どう思っていようとキミが抵抗するなら撮った動画をバラまくだけだし……」
「うぐっ、も、もうやめてください……」
「もう何回もシてるんだし今さらじゃない?」
この施設にきて早々油断している間に襲われて様々な様子を撮られた。それから毎日こんな部屋で埃を吸いながら媚びるばかり……なんでだ、転生したらもっといい日々が送れるはずじゃなかったのか?
「こ、このくそったれ女めっ!地獄に落ちろ!」
「ふーんそんなこと言うんだ……別にいいんだよ?キミで発散できないならそれはそれでね。でもなぁ、代わりに別の子で発散しないといけなくなっちゃうなぁ~……例えばお友達のシェリーちゃんとか」
自分でも分かるくらい身体が跳ねる。まさかシェリーの身体のアザは、い、いや今は考えてる場合じゃ
「わ、分かりました……な、なのでシェリーには、施設に来て一人だったオレに優しくしてくれた、いいやつなんです……」
「うんうんいい子ね……♡男なんてこの先味わえるか分からないし、ましてやこんな小さな子を自分好みに出来るなんて……ね♡」
シェリー助けてくれ、そう思ってしまったオレはこの先ずっと後悔し続ける。
「シェリーちゃんパーンチ!」
次の瞬間にはぐしゃっと肉が潰れる音して、目の前に血の海が広がって……職員さんの身体がべちゃっと倒れ込む。
「あ、は、えっ?しぇ、しぇりー、おまえ」
「あれれ、大人って子供のパンチでこんな形になるんですっけ?」
「そんな、なんで、ひと、しんで……!?」
この世で一番深い関係性は『共犯者』らしい。
誰にも言えない秘密を共有しあう仲は、確かに親友だとか婚約者とかよりもずっと深い関係性なのかもしれない……
「お怪我はありませんか○○さん?」
「う"、お"え"っ、え"ぁ"あ"……!」
「だ、大丈夫ですか!?だ、誰かー!○○さんが苦しんでますー!早く来てください―!」
次のヤンデレは誰に……?
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桜羽エマは救わない
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黒部ナノカは疑わない
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佐伯ミリアは奪わない
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蓮見レイアは縛らない
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沢渡ココは覗かない
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宝生マーゴは語らない
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二階堂ヒロは適さない
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紫藤アリサは揺らめかない
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城ケ崎ノアは描かない
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氷上メルルは癒さない
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夏目アンアンは操らない
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遠野ハンナは浮かれない